89.美弥子、ピンチ。



 ど、どどど、どうしよう。



 隙を見て逃げようと思ったら、うっかりこけて、魔王様の頭にダイブしてしまった。



 あまりの出来事に呆然としてたら、いつの間にか魔王様の顔面に移動してて、更には頭をこれでもかとごりごりされる。


 痛い。めっちゃ痛い。指一本でこれだけ力が強いとか、流石は魔王様だ。強過ぎて起き上がれないよ。

 さっさと離れたいのに。離れて土下座して謝りたいのに。魔王様がごりごりと指で私の頭を押さえ付けてくるから、起きようにも起き上がれません。



 しかも、ずっと凝視してくるし。



 この至近距離で、あの目付きで見下ろされるって、もうそれだけで恐怖だからね。ビビって動けなくなるから。現に私、動けないから。喋る余裕もないから。



「……うぅ……」




 だ、誰かぁぁぁ……たぁすけてぇぇぇぇぇー……。



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