さいだんき

 むかしむかしあるところに、若いサラリーマンがいました。若いサラリーマンはある会社の新入社員で、どんな仕事も熱心に取り組みました。ところが会社の上司は、若いサラリーマンのやった仕事を全く良く思っていませんでした。それどころか、一生懸命作り上げた仕事の書類を事細かくいちゃもんをつけて直させては、その度にお説教をしました。若いサラリーマンは真摯に受け止めて、真面目に何度も書類を治しましたが、上司には一向に満足してもらえません。若いサラリーマンは項垂れながら、上司の命令で、書類をシュレッダーにかけました。

 そんなことが毎日早朝から夜遅くまで続いていたものですから、若いサラリーマンは日に日にやつれていきました。ある時、若いサラリーマンがいつものように書類をシュレッダーに通している時のことでした。若いサラリーマンは連日の上司から叱責とクビと引継ぎの任務を立て続けにもらい、意気消沈していました。すると、若いサラリーマンは書類を指から離すのを忘れてしまい、痛ましいことに両手をシュレッダーに巻き込まれてしまいました。周りの人が駆け付けた頃には若いサラリーマンは全身をシュレッダーに飲み込まれて、死にました。

 若いサラリーマンが亡くなった後もシュレッダーは会社に残り続けました。人を殺したシュレッダーなんて気味が悪いと会社の誰もが思いましたが、シュレッダー一台は結構高いものですから、若いサラリーマンの遺体を取り出した後は、中身を業者に洗浄してもらって、使い直しました。初めは嫌がっていた社員達も、仕事の忙しさから仕方なくシュレッダーを使うようになりました。すると、社員達がシュレッダーを使っている時、「まだ書類が残っている……まだ書類が残っている……」という、人の呻き声のような音が聞こえるようになりました。

社員達は思わず背筋がゾッとしました。これはもう若い社員の祟りか何かに違いないと考えた社員達は、このシュレッダーを使うことを裂けるようになりました。ところが会社の上司はこれに猛反発しました。馬鹿馬鹿しい、と激怒して、シュレッダーを使うように社員達に迫りました。仕方なく社員の一人が書類をシュレッダーにかけました。シュレッダーは咳き込むような音を立てて書類を飲み込みました。無事に終わったと社員が安心した時、社員の両手がシュレッダーにするりと飲み込まれました。悲鳴を上げながら社員は血肉に変わっていきました。

社員一同は驚きました。上司は飲み込まれた社員がぼーっとしていたからだと呆れながら業者を呼ぼうとすると、シュレッダーが「まだ書類が残っている……!」と呻き声を上げました。するとシュレッダーは轟音を立てて動き始めました。徐々に加速しながら、社員一同に向かっています。社員達は悲鳴を上げて逃げるも、シュレッダーは次々と飲み込んで血肉を溢れさせます。上司は走ってコンセントまで近づいて引っこ抜きました。しかし、シュレッダーは止まらず、上司を頭から飲み込んでバリバリ音を立てて血肉を噴き出すと、静かに止まりました。

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