50.3 匂宮との遭遇

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji

 薫は匂宮が中宮さまのところに出かけたのを知っていて中の君に会いに来たみたいなの。薫はまた中の君を想っているだなんて話しはじめようとするから、中の君は浮舟が今この邸内にいることを教えてあげるの。


 ~ 見し人の かたしろならば 身に添へて 恋しき瀬々の なでもにせん ~

(亡き大君の身代わりになってくれるのなら、いつもそばに置いておきたいな)


 そんな歌は詠んだけれど薫は動揺してしまって、浮舟に会おうとはしないで伝言だけ頼んでその日は帰って行くの。中将の君浮舟ママは薫のことを立派で娘のお婿さんとして理想的だわって思うの。

 中の君も中将の君に薫には正室がいらっしゃるけれど、とても誠実で信頼できるから浮舟を託してみたらどうかしらって話をするの。



 中将の君の夫の常陸の守が早く戻るようにと二条院に迎えをよこしてきて、浮舟を残して中将の君だけが自宅に戻ることになるの。その見慣れない牛車を見た匂宮は中の君が浮気をしているのかと勘違いするの。その追及を中の君はかわしだのだけど、別の事件が起きてしまうの。

 匂宮が浮舟を偶然見つけてしまうの。衣装も綺麗だからきっといい家からやってきた新しい女房だと匂宮は勘違いしたみたい。


「キミは誰? なんていう名前なの?」

 突然男性から話しかけられた浮舟は怖くなっちゃうの。しかも、この人が前から話だけ聞いていた薫なんじゃないかって思っちゃったみたい。

「名前を教えてくれないんならキミを離さないからね?」

 匂宮は部屋に連れ込もうとするんだけれど、浮舟の乳母が断固阻止するの。中の君の女房もやってきて匂宮を牽制したのでその日は何も起きなかったけれど、匂宮は浮舟のことが気になって仕方ないのよ。女房からこのことを聞いた中の君も夫の惚れっぽさに呆れながら、浮舟は怖い思いをしただろうと同情するの。

 そこに明石中宮さまの容体が悪くなったとのお使いがきたので、匂宮は仕方なく御所へと向かうんだけど、まだ名前も知らない浮舟かわいいオンナノコにものすごく惹かれちゃったのね。





To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

 ~ 見し人の かたしろならば 身に添へて 恋しき瀬々の なでもにせん ~

同じ屋敷に浮舟がいると知り薫が詠んだ歌




◇中の君は薫と浮舟の仲をとりもってあげようとしますが、匂宮は自宅に中の君の異母妹が滞在していることを知りません。薫は中の君から「お話していた姫君がここにいますよ」とアシストしてもらっているのに歌だけ詠んで彼女には逢わずに帰ってしまいました。そして事情を知らない匂宮が彼女を見つけてしまいます。一目見て気に入った匂宮でしたが、乳母たちに一線を越えることを阻止されました。


「はぁぁぁ。匂宮くんはすぐに一線を越えようとするんだねぇ」

「中の君ちゃんのときもそうだったもんねぇ」

 すぐに行動しない薫と対照的ですね。


「でも匂宮くんはまだそのコが誰なのかわかってないんだよね?」

 大きいお屋敷ですから従者のひとりひとりも認識していないのかもしれません。中の君のお客として滞在している浮舟のことも匂宮は知りません。


「家にいる人やお客さんのことがわからないくらいお屋敷が広いっていうのがちょっと想像しづらいね」





NEXT↓

50.4 薫と宇治へ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る