50.2 浮舟ママの驚愕

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji

 浮舟と中将の君浮舟のお母さんが二条院に移って何日か過ぎたの。匂宮の姿をちらっと覗いた中将の君は匂宮の美貌に驚いてしまうの。まるで桜の花のような華やかさなんですって。しかも自分の夫よりも身分の高い貴族たちがみんな皇族の匂宮にかしずいているのよね。たまたま自分の継子である式部の丞しきぶのじょうがお供に控えていたけれどとても匂宮に近づくことなんてできないの。


「んまあぁぁ、匂宮さまはこの世のヒトとは思えない超超イケメンさまなのね。中の君さまはなんとお幸せなんでしょう!」

「女性関係が派手だってお聞きしたけれど、あれならしょうがないわぁ。たとえ七夕のように年に一度しかお会いできなくても許せちゃうわねぇ」


 浮舟のお母さんは初めて見た匂宮に大興奮みたいね。その匂宮が若君をあやしていて、そばに中の君もいたので美男美女カップルに見惚れちゃうの。

 お屋敷のインテリアも生活スタイルもそこで暮らす匂宮たちもハイセンスでとても自分たちとは比べられないけれど、娘の浮舟の美しさだけはひけをとらないわってお母さんは思うみたいよ。


 体調がよくないお母さんの明石中宮さまのところに見舞いに行くからと匂宮が支度を始めるんだけど、そこに仕えているさえない男がいるの。それがなんとあの左近の少将だったのね。浮舟との結婚を承諾したときはそれなりの男だと思っていたのが匂宮とくらべると月とすっぽんだったの。浮舟をあんな男と結婚させなくて本当によかったわってお母さんは思ったの。


 浮舟のお母さんは中の君と対面して中の君の夫の匂宮を絶賛して、それから娘の将来が不安だと打ち明けるの。中の君は浮舟は可憐で美しく本当に亡くなった大君によく似ているわって思うのよね。そこに薫がやってくると知らせが届いて、また中将の君は覗き見をしようとするの。


「匂宮さま以上のイケメンさまなんていらっしゃいませんわ!」

 中将の君はまだ匂宮を見た興奮が冷めないみたいね。そこへ薫が姿を現すの。そして匂宮とはタイプの違うハンサムな薫にまたまたビックリするの。


 艶やかさは匂宮なんだけど、薫の気高い容姿に中将の君はまた度肝を抜かれるの。


「んまっ! んまぁぁぁぁぁ! なんてことでしょっ!」

 この世にこんな超絶イケメンがふたりもいるなんて。

「一日でこんなイケメンさまをおふたりも見られるなんて!!」

「超ド級のウルトラスーパーイケメンさま……」

 中将の君の興奮はおさまらないみたいね。





To be continued ✈✈✈





◇「浮舟ちゃんママ、いいリアクションだね。可愛い」

 見たこともない麗しいイケメンを1日にふたりも見ました。漫画『あさきゆめみし』では桜の花のような匂宮に橘の木のような薫と例えています。


「タイプの違うイケメンふたりかぁ。そりゃ浮舟ちゃんママじゃなくてもキャアキャア言っちゃうよね」

 物語でも女房たちは常にふたりの噂をしていますし、男性は自分の娘と結婚させて婿にしたがっています。


「そんなスーパーイケメンの薫くんと浮舟ちゃんが結婚したら浮舟ちゃんママ大興奮じゃないの?」

「うちのおむこさ――んって大自慢しちゃうよね」

 そうかもしれませんね。





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50.3 匂宮との遭遇



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