47.4  中の君に夢中

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji

 明るくなってきた中で見る中の君は本当に美しくて整った顔立ちをしているの。自分の方が身分も高いと思いあがっていた匂宮だったんだけれど、それは間違いだった、中の君のことをもっと知りたいし、もっとよく見たいって今まで以上に彼女に恋するようになるの。

 匂宮は艶っぽくて美しいの。その匂宮がこの世だけでなく来世まで夫婦でいようと中の君に約束するの。

 中の君にとっては思いがけない結婚だったけれど、あのクールな薫と結婚するよりはよかったのかもしれないわって思い始めたみたいよ。


 ~ 中絶えん ものならなくに 橋姫の 片敷く袖や 夜半よはに濡らさん ~

(引き裂かれるわけではないけれど、キミを一人にしちゃうから泣いちゃうかもね)


 帰らないといけない匂宮なんだけど、離れたくなくてこんな歌を詠んだの。


 ~ 絶えせじの わが頼みにや 宇治橋の はるけき中を 待ち渡るべき ~

(あなたとのご縁が切れませんようにって、あなたが来てくれることを祈っているわ)


 悲しみをこらえながら歌を返してくれる中の君に匂宮はまたグッときちゃったみたい。

 中の君も匂宮が帰ったあとの残り香に胸をしめつけられているの。いつのまにか匂宮に惹かれていたみたいね。女房たちも初めて見る匂宮の姿にカッコいいだの素敵だのと大騒ぎだったのよ。

 匂宮は帰る途中も宇治に引き返したいと思うくらい中の君に夢中なの。しょっちゅうは逢いに行けないから手紙だけは毎日送ることにするの。


 9月になって薫が匂宮を宇治に連れ出してあげるの。宇治でもふたりを出迎えてくれるけれど、やっぱり大君は薫の気持ちには応えられないって障子越しにしか話をしてくれないの。

 匂宮も無理をして宇治に出かけてもまたすぐに都に戻らないといけないからツライみたいね。あんなに「恋多きオトコ」だった匂宮も今では中の君以外に通っているところもないみたいなの。六条院に夕霧の娘の六の君はいるけれど、あんまり興味を持ってもらえないってお父さんの夕霧は不満のようね。とにかく匂宮は中の君オンリーでどうやったら一緒にいられるか、そればかり考えているの。

 薫は火事にあった三条邸の再建が終わったら大君を迎えようって考えるの。






To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

 ~ 中絶えん ものならなくに 橋姫の 片敷く袖や 夜半よはに濡らさん ~

都に戻らなければならない匂宮が離れがたくて詠んだ歌


 ~ 絶えせじの わが頼みにや 宇治橋の はるけき中を 待ち渡るべき ~

中の君が待っているわと返した歌



◇「中の君ちゃんも匂宮くんのことを好きになっちゃったみたいだよね。イケメンパワーおそるべしだね」

 中の君以外の女性のところに通わなくなったようです。


「でも宇治って都から遠いから通うのがタイヘンなんだね?」

 京都市中京区二条あたり(匂宮の二条院)から宇治の平等院鳳凰堂(中の君たちのお屋敷の対岸で夕霧の別荘のモデル)が20キロほどです。今なら電車で1時間、車で30~40分ですが匂宮の交通手段は牛車です。しかも整備されていない道です。3日間連続して往復するのも大変だったでしょうね。







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47.5 大君のなげき

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