41.4 出家の準備

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji

 なんとか1年を過ごしてきたから、いよいよ出家の準備をしようと源氏は身の周りの整理を始めるの。女房達に形見の品をあげて、今まで貰った恋人達からの手紙も処分するの。須磨で謹慎生活をしていたときに紫の上が送ってきてくれた手紙だけは別の束になっているのね。遠い昔の出来事だなと思いながらも源氏はその手紙を見てみると、たった今彼女が書いたみたいに筆の跡が生き生きとしているのよ。これこそ永久保存しておきたいって思ったんだけど、女房達に処分してもらうの。


~ かきつめて 見るもかひなし 藻塩草 同じ雲居の 煙とをなれ ~

(キミからの手紙は眺めて見るのももう虚しいんだ。キミと同じ煙になってくれ)


 紫の上の手紙の横にそんな歌を源氏は書いて、それも一緒に燃やしてしまったの。


 年末に源氏は年の瀬の法要を開くの。僧侶たちだけじゃなくて貴族たちも大勢集まるところに久しぶりに源氏は姿を見せるの。その姿は昔光源氏と呼ばれていたころよりも輝いて見えたそうよ。あまりの美しさに僧侶も涙を流すほどだったんですって。


 大晦日の日に匂宮は恒例の追儺ついな(鬼に扮した人を追い払う行事)を楽しみ走り回っているの。可愛らしい匂宮との別れも源氏は寂しく感じるの。


~ 物ふと 過ぐる月日も 知らぬ間に 年も我が世も 今日や尽きぬる ~

(物思いしながら月日を過ごしてしまったが、今年も俺の人生も今日で終わるんだ)


 お正月の行事はいつもよりも盛大に源氏は準備させたんですって。みんなへの贈り物なども立派なものが用意してあったらしいわ。



第四十一帖【幻】




To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ かきつめて 見るもかひなし 藻塩草 同じ雲居の 煙とをなれ ~

 紫の上からの手紙を天に返しながら源氏が詠んだ歌



◇第四十一帖幻でした。


episode41 思慕、痛恨、後悔、懺悔   幻

41.1 彼女のいない冬

41.2 彼女のいない春

41.3 彼女のいない夏

41.4 出家の準備


 紫の上を失ったあとの源氏の1年を描いています。和歌で綴る紫の上への想い。季節は巡り月日も流れますが、源氏の悲しみは癒えることはありませんね。


 歌人の俵万智先生は「四季の移ろいと例年通り行われる季節の行事を紹介し、いつも隣にいたはずの、今年はそこにいない紫の上を忍び嘆いている源氏の姿を1年をとおして描いている」とこの第四十一帖【幻】を評しています。確かに年間行事が順に紹介されていますね。

それに合わせて多くの和歌が登場しました。


「こんなに悲しむんなら紫ちゃんをあんなに傷つけなきゃよかったのにって思っちゃうのは結果論かなぁ……」

 





NEXT↓

episode41extra 衝撃の演出   雲隠

41-extra 人生の幕


☆こまちのおしゃべり

【別冊】源氏物語のご案内

 関連するトピックスがあります。よかったらご覧になってくださいね。


topics35 キミがいない世界

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054883058508

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