40.3 最愛なる貴女
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
~ おくと見る ほどぞはかなき ともすれば 風に乱るる 萩の上露 ~
(少し起き上がれたけれど何かの拍子で風に吹き飛ばされそうな萩の上の露みたいなわたしだわ)
~ ややもせば 消えを争ふ 露の世に
(人の命なんて消えていく露みたいなもんだよね。俺も遅れたり先だったりしないでキミと一緒に消えたいよ)
そんな歌を返しながら源氏は涙を隠そうともしないの。
紫の上と源氏の哀しい歌のやりとりを聞いて明石中宮も歌を詠まれるの。
~ 秋風に しばし留まらぬ 露の世を たれか草葉の 上とのみ見ん ~
(
「どうやったら千年一緒にいられるんだろうな……」
叶えられない望みだってわかっているけれど、源氏は悲しみにくれているの。
すると急に紫の上は具合が悪くなり明石中宮が手を取るの。容体が急変したので僧侶たちが呼び寄せられるの。前にも一度呼吸が止まったときに息を吹き返しているので一晩中祈祷が行われるんだけど、紫の上は明石中宮に看取られてそのまま息を引き取ってしまったの。
皆が悲しみにくれる中、夕霧も駆けつけるの。紫の上に付き添っている源氏は出家の願いを叶えてやれなかったと悔やんでいるの。
今からでも紫の上の髪を切って尼にしてやりたいって源氏は言うんだけど、髪を切った紫の上の姿に源氏の悲しみが増えるだけだからしなくてもいいんじゃないかと夕霧は引き留めるのね。
いつかの台風のときに偶然見た紫の上にずっと憧れていた夕霧は最後にもう一度顔を見たいと几帳をめくって紫の上のそばに来るの。以前よりも美しい紫の上の死に顔に源氏も夕霧も涙を流したの。源氏も夕霧が紫の上の顔を見てももう咎めないのね。
「生きているときとこんなにも変わらないのに……」
見れば見るほど欠点のない美貌で、夕霧は自分の心が紫の上のご遺体にとどまっちゃうんじゃないかと思ってしまうほどなんですって。
源氏はなんとか葬儀の手配をしたんだけど、本葬のときはひとりで歩けないほどに焦燥しきっているの。まるで空の上を歩いているような気持ちなんですって。身体を支えてもらいながら葬送に参列する源氏の姿に人々は涙を流すの。
夕霧の母親の葵の上を送ったときは月の形まで覚えているんだけど、今日は目を開けていても暗闇にいるような気持ちの源氏みたいなの。
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~ おくと見る ほどぞはかなき ともすれば 風に乱るる 萩の上露 ~
紫の上の最期の歌
~ ややもせば 消えを争ふ 露の世に
源氏が「いつも一緒だよ」と紫の上に贈った最後の歌
◇紫の上が息をひきとりました。こまちちゃんも手を合わせています。コメントは……ないかな。
臨終シーンですが、源氏でなく明石中宮に手をとられて息をひきとりました。原文でも「ちょっと気分が悪くなりました」と紫の上が言ってからほんの数行であっけなく亡くなってしまいました。
最後の歌で詠んだ萩の露が消えゆくような最期だったと与謝野晶子先生も訳しています。
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40.4 皆の悲しみ
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