39.4 奇妙な結婚

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji

 一条御息所が亡くなったので夕霧も駆けつけるんだけど、女二宮は夕霧のせいでお母さんが死んだとまで思い詰めているの。

 葬儀も終わって日にちが経っても女二宮は心を開こうとはしてくれないの。このまま出家をしてしまいたいと思っているみたい。夕霧が手紙を出してもスルーされて、夕霧は夕霧で悩んでいるのね。そんな夕霧に雲居の雁も面白くなく思うわね。


~ 哀れをも いかに知りてか 慰めん るや恋しき 無きや悲しき ~

(何が原因で落ち込んでいるのかしらね? 生きている人が恋しいの? 亡くなった方が悲しいの?)


 皮肉めいた雲居の雁の歌に夕霧は「世の中全てが無常だからね」とかわすから、「すっとぼけてアタマにくるわね」と雲居の雁がもっと怒っちゃうの。源氏と複数の奥さんたちのように一夫多妻が一般的なのに、自分は珍しく誠実な夫を持ち、親兄弟や世間からも羨ましがられていた雲居の雁は今頃になって夕霧に裏切られて惨めだわって嘆いているの。


 源氏にもこのウワサは届いていて、自分の「女好き」な不名誉を真面目な夕霧が挽回してくれていると思っていたら、ここへきての浮気騒ぎなのかって心配してるの。でものめり込んでいる人間に何を言ってもムダだとあえてお説教はしないのよね。

 それより自分が亡くなったあとに紫の上をめぐってこんな騒ぎにならないかと心配するの。紫の上は雲居の雁や女二宮に同情して女の一生の哀れさを嘆くの。恋しい気持ちも心惹かれる想いも抑えなきゃいけないなら女にとって何が幸せなの? 女はいつも男のいいなりなの? 

 今の生きがいは明石女御の産んだ内親王のお世話だけみたいなのよね。


 御息所の四十九日の法要を夕霧が取り仕切ったので、夕霧と女二宮のことがオフィシャルに知られるようになったの。女二宮のお父さんの朱雀上皇は女三宮が出家したばかりであるし、夕霧との仲がよくないから出家したと思われるのも外聞が悪いからと女二宮の出家を反対するの。


 夕霧も女二宮との仲がいつまでも進展しないので、女二宮の自宅を改築して山荘から連れ戻そうとするの。引っ越しの日に女二宮はこのまま山荘で死んでしまいたい、好きでもない人と結婚したくないと泣くんだけど、そうもいかず一条のお邸に連れていかれるの。


 夕霧の本宅(雲居の雁と住んでいる三条邸)でも急な結婚に驚いているの。今まで恋愛沙汰を起こしたことのないヒトに限って突然こんなことをするのね、なんて言っているみたい。


 新婚初夜なのに女二宮は夕霧と会おうともしないの。あげくに塗籠ぬりごめ(物置部屋)に鍵をかけて閉じこもっちゃうの。ひどい仕打ちをされる夕霧も呆れるやら悲しいやら、何もできないまま朝になってしまい六条院に向かうの。





To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ 哀れをも いかに知りてか 慰めん るや恋しき 無きや悲しき ~

「お母さんが亡くなって悲しいの? 娘さんのことが恋しいの?」雲居の雁が詠んだ皮肉っぽい歌



◇「女二宮さん、籠城作戦!!」

 そうですね。強硬手段に出ましたね。でも新婚初夜に部屋にも入れてもらえない夕霧です。

「女二宮さん、同意していないんだもん。いいじゃんそれで」


「夕霧がひとりで勝手に進めてるだけじゃん」

「この時代のオトコってどうしてこんなに勝手なの?」


 夕霧の女二宮への恋心に対して雲居の雁は怒り、女二宮は想いを拒否しました。けれども当時は彼女たちのふるまいは非難され、夕霧の結婚は成立してしまいます。

 女性の意思や気持ちがくみとってもらえない社会だと痛感されられますね。




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39.5 結婚の余波

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