39.3 一条御息所の誤解と怒り

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji

 雲居の雁に朝帰りを責められるのを避けたい夕霧は六条院の花散里のところに帰ってそこから女二宮に手紙を書くの。

「ツレないあなたのところに魂を置いてきちゃってどうしたらいいか自分でもわからないんだ」

 でも後朝きぬぎぬの歌(夜デートをした恋人に贈る歌)のように色っぽくない内容の手紙や歌に女二宮の女房たちも「ふたりはくっついたの? なにもなかったの?」とウワサしあうの。そして女二宮がふさぎ込んでいるから女房たちも女二宮の将来を心配するの。


 お母さんの一条御息所の病状は安定したみたい。すると祈祷にきていた僧侶が夕霧の朝帰りを見たと御息所に話してしまうの。僧侶は夕霧の正室の雲居の雁の権勢がとても強いから夕霧との結婚は賛成できないって話すのよね。

 御息所は女二宮を呼び出して話を聞こうとするの。元々内親王は独身が通例なのに気の進まない結婚をしてその夫に先立たれ、その上再婚というのは当時では考えられないくらい非常識なことなのね。それでも夕霧が誠実で女二宮を大事にしてくれるのならいいんだけど、今夜は来られないなんて手紙だけを寄越すから御息所は怒ってしまうの。

 夕霧にしてみればまだ結婚していない(一線を越えていない)から続けて通わなくてもいいと思っているの。女二宮ともちょっと気まずいしね。でも御息所は結婚するなら三日は通わないといけないのに二日目の夜は来るつもりがないの? と憤るのね。

 御息所は息も絶え絶えに夕霧に手紙を書くの。あまりに乱れた筆跡で読みづらいんだけど、自宅で読んでいる最中にその手紙を雲居の雁が取り上げてしまったから夕霧は返事も書けなかったの。


 翌日、やっとのことで昨日の御息所の手紙を見つけ出すと、女二宮のことは一夜限りの遊びなのかなんて書いてあってビックリ。夕霧はすぐにでも御息所のところに行こうとするんだけど、その日は出かけられない凶日で仕方なくまた手紙だけを届けたの。

 ちっとも反応リアクションのない夕霧に御息所は怒り心頭。女二宮は男女の仲になっていないと言い訳がしたいんだけど、それすら言えないで泣いてばかりなの。

 そんなところに夕霧の手紙が届くから、今夜も来ないのかと絶望しながら亡くなってしまったの。





To be continued ✈✈✈



◇女二宮のお母さん一条御息所が亡くなってしまいました。

「絶望しながらってお気の毒……」

 娘が夕霧に一夜だけ遊ばれてしまったと誤解したままでした。


「もう誰にとってもいい方向にすすんでないじゃん……」

「女二宮さんは同意していないし、一条御息所さまは誤解したまま亡くなっちゃうし、夕霧くんだって前途多難じゃん」

「それに雁ちゃんはもちろん面白くないでしょ?」


 夕霧の結婚への道はすんなり行かないようですね。





NEXT↓

39.4 奇妙な結婚

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る