37.2 夕霧と女二宮の夜
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
くっきりクリアな月に雁の鳴く声。雰囲気たっぷりの夜に女二宮は十三弦の琴を弾くの。深みのある音色に夕霧は盛りあがちゃって琵琶で
~ ことに
(言葉にできないくらい想っているってよくわかるよ)
夫を亡くした自分にこんな曲なんてと女二宮は戸惑うんだけど、最後の方だけ少し琴を弾いたのよ。
~ 深き夜の 哀ればかりは 聞きわけど ことよりほかに えやは言ひける ~
(秋の雰囲気に誘われただけのことよ)
女二宮はすぐに演奏をやめちゃうから夕霧はもっと聴いていたいって残念に思うけど、あまり長居すると柏木が嫉妬するだろうからって夕霧が夜のうちに帰ろうとするの。またすぐ来るから、琴の調子が変わらないうちにね、なんて話すの。直接的な恋の告白ではないんだけど、好きだって気持ちは匂わせるのよ。
帰り際に一条御息所は夕霧に柏木の遺品の横笛を渡すの。柏木が生きているときにいつも使っていた横笛で、いつかは大事にしてくれる人に譲りたいって話していたことを夕霧は思い出したの。
家に帰ると、
「こんな遅くまで夜遊びするなんて!」
怒っている雲居の雁も寝たフリをしているの。
こんな綺麗な月夜なのにもったいないよ、と夕霧が格子を開けさせて月を眺めて物思いにふけるの。
「どうしてあんなにステキな宮さまを
夕霧は不思議でしょうがないみたい。自分と雲居の雁なんて恋の駆け引きとは無縁で結婚してもう10年以上過ぎてるの。立場的に雲居の雁が強いのもまあ仕方ないかって思っているの。
そのままうたた寝をしてしまったらしい夕霧の夢に柏木が出てくるの。
~ 笛竹に 吹きよる風の ごとならば 末の世長き
「その笛は子孫に伝えたいんだ……」
子孫って誰のこと? と聞こうとしたところで子供が泣きだして夕霧は目が覚めてしまうの。こどもは母乳を吐いてしまってずっと泣いているの。
「どうしたの?」
夕霧が心配して雲居の雁に尋ねるの。
「あなたが夜遊びして遅くに帰ってくるから物の怪まで連れて帰ってきたんでしょっ!」
雲居の雁は怒っているの。その夜ずっとこどもはむずがっていたの。
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~ ことに
亡き夫の友人としてではなく夕霧が贈った恋のはじまりの歌
~ 深き夜の 哀ればかりは 聞きわけど ことよりほかに えやは言ひける ~
夕霧の好意を受けられないと女二宮が返した歌
◇「タイトル見てどきどきしちゃったよ。でもさ、もう完全に女二宮さんのこと好きじゃん……」
雲居の雁とは幼い初恋で、藤典侍とも付き合って側室にしていますが、夕霧にとっては大人になってする「はじめての恋愛」のようです。
「そんなんしなくっていいの! 雁ちゃんだって怒ってるじゃんか!!」
そんな雲居の雁のところに夜遅く戻ってきて、戸を開けて月を眺めて柏木の笛を演奏します。
「お子ちゃんだって寝てるでしょうに、夕霧くん、迷惑!!」
そんな夜に柏木が夢に現れました。子供がその夜ずっとむずがっていたのは関係があるのでしょうか。
「あるかもよ。柏木の霊感を感じちゃったのかもしれないよ」
「もうさ、やめときなよ。雁ちゃんも怒ってるし、お子ちゃんだって様子がおかしいし」
こまちちゃんの注意報が夕霧に出されたようですね。
NEXT↓
37.3 源氏と夕霧の探り合い
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます