36.5 夕霧と女二宮
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
柏木に死なれた妻の女二宮は死に目にも会えず今は寂しく暮らしているの。柏木が使っていた道具や大事にしていた和琴や琵琶は見るのも辛かったんですって。
そんな女二宮のところに夕霧はお見舞いに行くの。
女房だけで応対するのは失礼だということで女二宮の母親の
柏木が最期まで女二宮さまのことを気にかけていたと夕霧は話しながら思わず涙を流すの。聡明で気高く美しい夕霧。一条御息所は気の進まない結婚でしかも夫に先立たれてしまったけれど、最期は娘のことを気にかけてくれていたみたいで少しホッとしました、と答えたの。
柏木は夕霧より5歳年上なんだけど若々しく優雅で柔らかい雰囲気の人だったの。比べて夕霧は端正で男らしくて顔の美しさが際立ってたんですって。帰ろうとする夕霧は歌を詠むの。
~ 時しあれば 変はらぬ色に 匂ひけり
(片方の枝が枯れてしまった桜だけれど変わらない色に咲きましたね)
すると一条御息所もすぐに返歌を送るの。
~ この春は 柳の芽にぞ 玉は
(今年の春は柳の芽に玉が連なるように泣いております。咲いて散る桜の花の行先はわかりませんから)
とっさに返した和歌だけれど気の利いた歌でさすがは宮中で才女と言われていた人だなぁと夕霧は感心するの。
そのあと夕霧は柏木の実家で前大臣に会って、女二宮を見舞ったことを報告するの。前大臣は今も悲しみにくれているの。夕霧のお母さんで大臣の妹でもある葵の上が亡くなった秋も悲しかったけれど、今回はそれ以上だって、ただただ辛くて息子のことが恋しいって落ち込んでいるのよね。
4月になってまた夕霧は女二宮のところを訪ねるの。隣り合う柏の木と楓の木の枝や新緑の葉が交差しているの。
「これからは僕を柏木の代わりだと思って下さい」
そんな風に夕霧は女二宮に挨拶するの。まだ恋の告白というわけではないんだけれど、好意を期待するような言い方だったみたいよ。
第三十六帖 柏木
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~ 時しあれば 変はらぬ色に 匂ひけり
夕霧が女二宮に贈った歌
◇第三十六帖【柏木】でした。
episode36 想いを遺し恋に死す 柏木
36.1 柏木の最期の歌
36.2 女三宮の出家
36.3 消えゆく柏木
36.4 父に似ることなかれ
36.5 夕霧と女二宮
とうとう柏木が亡くなってしまいました。熱烈なまでに女三宮に恋をしましたが、結局は女三宮が尼になり自分も死んでしまうという破滅的な恋でした。
親友の夕霧は源氏との和解と女二宮のことを柏木から託されました。
「女二宮のことを託されたって、どういうこと?」
最初は亡くなった友人の奥さんとして心配していたようです。
「柏木の代わりに思ってくださいって言ってるけど???」
「まだ恋の告白ではないってこれからそうなっちゃうの???」
「ええええええ? 夕霧くんが???」
「ウソでしょ……」
「なんで? どこから恋が始まったの??」
「え――、柏木の恋の次は夕霧くんなの?」
「もう、やめてよ――」
こまちちゃんは夕霧と雲居の雁カップルの応援団長ですものね。
これから物語はどう展開していくのでしょうか。
「ダメだからねっ!!」
こまちちゃんのメッセージは千年前に届くのでしょうか……。
↓ NEXT
episode37 親友が遺した想い 横笛
37.1 薫の成長と柏木の遺言
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