episode36 想いを遺し恋に死す 柏木
36.1 柏木の最期の歌
🌟柏木ざっくりあらすじ
柏木との不義の子を身ごもった女三宮は男の子を出産。源氏に疎まれている女三宮は父親の朱雀院に願い出て出家します。柏木は女三宮を想いながら息を引き取ります。
柏木の遺言で夕霧が未亡人となった女二宮を見舞います。
【超訳】柏木
源氏 48歳 紫の上 40歳
女三宮 22歳 薫 1歳
夕霧 27歳 柏木 32歳
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
柏木の病状は好転せずに年が明けたの。「女三宮を愛してしまったこと」と「源氏に密通が知られてしまったこと」、生きて行くのがツラいほどの苦しい想いをふたつも抱えることになったのはすべて自分のせいだって柏木は思うの。この先、生きながらえて自分も女三宮も苦しむよりは、自分が死ねば源氏の怒りや憎しみがとけるかもしれないとまで考えるの。
柏木は残りの力を振り絞って女三宮に最後の手紙を書くの。
~ 今はとて 燃えん煙も 結ぼほれ 絶えぬ思ひの なほや残らん ~
(あなたへの想いが残っているから、僕を荼毘にふす煙も空には上らないでくすぶるんだろうな)
源氏から蔑まれる原因になったのは誰のせいなの、と女三宮は憤るんだけど小侍従がこの返事だけはしてあげてと泣くので返歌を書いたの。その手紙を持って小侍従が柏木を訪ねるの。
柏木のお父さんの前太政大臣にしてみれば、柏木に何があってこんなに弱っているのか知らないから戸惑うばかりなのよね。
哀しい恋を嘆く柏木に小侍従は持ってきた女三宮の手紙を渡すの。
~ 立ち添ひて 消えやしなまし うきことを 思ひ乱るる 煙くらべに ~
(わたしだって煙になって消えちゃいたいわ。思い悩む辛さなら負けてないもの)
これがこの世の最期の想い出なんだね、と柏木は泣き崩れるの。
~ 行くへなき 空の煙と なりぬとも 思ふあたりを 立ちは離れじ ~
(行先のない空の煙になったとしても僕はあなたのそばを離れはしない)
空を眺めて、僕のことを忘れないで、ともう一度柏木は女三宮に歌を贈ったの。
その夜、女三宮が産気づくの。源氏もあわてて六条院に駆けつけるの。普通の出産ならどんなにか喜ばしいことなのに、と源氏は思うの。女三宮は一晩中苦しんで明け方に男の子を出産。源氏は人前に出る男子だったのはマズイなって思うんだけれど、世話がかからないから男子でよかったのかもなとも思いなおすの。この子が後に薫と呼ばれるのね。身分の高い内親王さまが母親で准太上天皇の源氏が父親の初めての子でとてもおめでたいって世間は盛り上がるんだけれど、源氏はフクザツな心境よね。周りは真実を知らないから、とても盛大なお祝いの支度を始めるの。六条院の奥さまたちや宮中からもお見舞いやお祝いの品が届けられたみたいよ。
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~ 今はとて 燃えん煙も 結ぼほれ 絶えぬ思ひの なほや残らん ~
柏木が弱っていく中で女三宮に贈った歌
~ 立ち添ひて 消えやしなまし うきことを 思ひ乱るる 煙くらべに ~
わたしだって辛いのよ、と女三宮が柏木に返した歌
~ 行くへなき 空の煙と なりぬとも 思ふあたりを 立ちは離れじ ~
柏木が女三宮に贈った人生最期の歌
◇女三宮が柏木の子を出産しました。その柏木はどんどん弱っていくようです。
「なんか……、なんともね」
こまちちゃんの歯切れがよくないですね。
「赤ちゃんが生まれたのは表向きはおめでたいことなんだろうけれど、女三宮ちゃんがどんな想いで赤ちゃん産んだんだろうとか考えるとさぁ」
柏木からの一方的な求愛から逃れられず、源氏からは疎まれ、罪の子を出産しました。
「源氏も複雑だよね。みんなは源氏の子だって言ってお祝いしてるんだもんね」
准太政天皇の源氏と朱雀院の内親王の女三宮という最上級に高貴なカップルの出産です。皇族や貴族、源氏の家族も皆祝福モードです。
「生まれてきた赤ちゃんに罪はないけれど、素直によかったねって言えないね……」
源氏だけでなくこまちちゃんもフクザツな心境のようですね。
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36.2 女三宮の出家
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