35.3 明石一族の繁栄と紫の上の嘆き

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 源氏は明石入道の宿願がすべて達成されたので住吉詣でに出かけることにするの。明石の女御や紫の上に明石の御方や明石尼君も一緒に連れていくの。

 明石の御方や女御さまや尼君の昔を懐かしく思い出した源氏が尼君に和歌を贈るの。


~ たれかまた 心を知りて 住吉の 神代を経たる 松にこと問ふ ~

(住吉の神様に願をかけたことを私以外に覚えていらっしゃるのは尼君だけですね)


 尼君もすぐに源氏に返歌をしたの。


~ 住の江を 生けるかひある 渚とは 年ふるあまも 今日や知るらん ~

(ここがいい想い出の場所となったことが年とった尼にも今日わかりましたよ)


 源氏たち一行は一晩中神楽かぐら(神様に奉納する歌や舞)を演奏して楽しむの。紫の上は普段お屋敷から出たことがなく、都から離れた旅行なんて初めてだからどんなことも新鮮で興味深かったみたい。


 世間では明石尼君が元は中流階級の夫人だったのに次に帝となる東宮さまのひいおばあちゃんになったので長寿で幸運の象徴みたいに言われているの。あの近江の君もすごろくでサイコロを振るときとかに良い目がでるように「明石尼君、明石尼君」っておまじないを唱えるんですって。


 源氏は表向き女三宮を大事には扱っているけれど、どうしたって紫の上のことが愛おしくてたまらないの。

 そんなウワサは女三宮のお父さんの朱雀院の耳にも入ってくるから出家していても朱雀院は娘のことが心配で、それを見た帝(女三宮のお兄さん、明石女御のオット)は女三宮の位を上げるの。朱雀院や帝が後ろ盾バックについていて位も高い女三宮と比べると、源氏だけが頼りの紫の上はこのまま源氏と過ごす時間も減ってくるし愛情だっていずれは尽きてしまうわと思うの。

 源氏も朱雀院や帝への義理もあるので、女三宮のところで過ごさなきゃいけなくなってくるの。紫の上は源氏のいない時間を明石女御が産んだ内親王(女一の宮)を預かって気を紛らわせているのよね。


 紫の上も明石の御方も孫の世話をしているのが花散里は羨ましくなったみたいで、夕霧と藤典侍の子供を預かって育てているの。源氏自身は子供が少なかったんだけど、いつのまにか孫はたくさんできていたのよね。

 玉鬘も32歳になっていて立派な右大臣夫人なの。六条院にも遊びに来て紫の上とも仲良くしているんですって。

 そんな六条院のメンバーに比べると女三宮だけが幼くてたよりなく見えるのね。でも自分の娘の明石女御が手元を離れたので、これからは女三宮の教育をしていこうって源氏は考え直すみたいね。




第三十五帖 若菜下(一)


To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ 住の江を 生けるかひある 渚とは 年ふるあまも 今日や知るらん ~

(明石の尼君が幸せを感謝して源氏に返した歌)



◇ここまでを第三十五帖【若菜下】その一とします。

episode35-1 六条院の人びと   若菜下(その一)

35.1 柏木のゆがみ

35.2 源氏の周りの人びと

35.3 明石一族の繁栄と紫の上の嘆き



 念願を果たした明石一族

 穏やかな暮らしを望んでいたのに、正室女三宮と元カノ朧月夜の存在に苦しめられる紫の上


 こうなると子供を産んだ明石御方と子供に恵まれなかった紫の上の立場が明と暗に分かれますね。


「紫ちゃんが可哀想だよ! なんとかしてあげてよ。紫式部さん!!」


 こまちちゃん、とうとう千年前にリクエストです。




 この三十五帖【若菜下】も【若菜上】と同じくボリュームがあります。また10以上のセクションになるのですが、どれもカットできないエピソードなのでお付き合いくださいね。なるべくわかりやすくお伝えしますね。




NEXT↓

episode35-2 春の演奏会とある願い   若菜下(二)

35.4 豪華なホームパーティー


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