34.14 柏木の恋

To be continued ✈✈✈


 源氏は自分も太政大臣(元内大臣)に蹴鞠は敵わなかったけどキミも上手いねと柏木を褒めるの。若々しく美しい源氏を目の前にすると、源氏に勝てるものなんて何もないと柏木は落ち込むのよ。


 夕霧も一緒の牛車で帰るんだけど、柏木が源氏は紫の上ばかりを寵愛になっているから女三宮がお気の毒だって愚痴を言い始めるの。夕霧はそんなことはないと否定するの。


~ いかなれば 花に伝ふ うぐひすの 桜を分きて ねぐらとはせぬ ~

(どうしてあの人は僕のところに来てはくれないんだろう)


 そんな歌を柏木が詠むからやっぱり女三宮の姿を見て恋に落ちてしまっていると夕霧は焦るの。


~ 深山木みやまぎに ねぐら定むる はこ鳥も いかでか花の 色に飽くべき ~

(もう帰る家が決まっている人なんだから飽きたりするわけないじゃん)


 お前はなんか誤解しているよと夕霧は柏木に忠告してあげるんだけど、盛り上がっている柏木は聞き入れなかったの。

 柏木はまだ独身でお父さんの太政大臣の家に住んでいるの。どうしても自分の気持ちを知ってほしいと柏木は小侍従経由で女三宮に手紙を出すの。


~ よそに見て 折らぬなげきは しげれども なごり恋しき 花の夕かげ ~

(自分のものにはできない悲しみは深いけれども、あの夕方に見た美しさに今も恋しています)


 僕は恋の病にかかっています、なんて手紙を受け取った女三宮は男性に顔を見られてしまったことで源氏に叱られるって怯えちゃうの。もちろん返事なんて女三宮は書かないから、柏木には小侍従が「高嶺の花に恋してもムダよ」って書いたみたい。



第三十四帖 若菜上(三)


To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ よそに見て 折らぬなげきは しげれども なごり恋しき 花の夕かげ ~

柏木が女三宮に贈った恋の歌




◇若菜上(三)でした。

episode34-3 慶びの春と忍び寄る影

34.10 ふたりのお母さん

34.11 明石女御の出産

34.12 明石入道の夢、源氏の占い

34.13 女三宮のすがた

34.14 柏木の恋




 明石女御が無事男の子を出産して明石入道の願望がすべて叶いました。母親代わりの紫の上と実の母の明石の御方も協力して皇子さまのお世話をしています。

 一方、柏木はいまだに源氏に嫁いだ女三宮をあきらめられずにいます。源氏の息子であり柏木の友人でもある夕霧が「早まったことをするなよ」と心配していますね。


「なんかさ、柏木くん心配だよね。源氏の奥さんに恋するなんてアブナイよね?」

「一夫多妻っていったってこれはNGでしょ?」

 そうですね。准太上天皇(帝に次ぐ地位)の源氏の正室への恋など叶うわけがありません。


「いいのかなぁ。恋の歌なんか贈っちゃったよ……」


「いやな予感……」

 

 物語は第三十五帖へと続きます。


 ここまでが源氏物語第三十四帖【若菜上】でした。朱雀院の出家に始まり、女三宮と源氏の結婚、朧月夜と源氏の復縁、明石女御の妊娠・出産、柏木の恋とさまざまな人の動きや想いが描かれました。第三十五帖が【若菜下】です。こちらもボリュームがありますので分けてご案内していきますね。



NEXT↓

episode35-1 六条院の人びと   若菜下(一)

35.1 柏木のゆがみ

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