34.12 明石入道の見た夢、源氏の占い

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 明石にも若君誕生のニュースは伝わり、明石の御方のお父さんの明石入道あかしのにゅうどうは願いがすべて叶ったからと明石のお屋敷を離れて山奥に籠ってしまうの。最後に娘の明石の御方に長い長い手紙を書いたのね。


 それには姫君(明石女御)の若宮出産を祝い、明石の御方が産まれる前に見た夢の話が書いてあったの。

 夢の中で入道は須弥山しゅみせん(仏教で世界の中心となる山)を右手に持っていて、その山の周りを月と日の光がさしているの。入道自身は山の陰になっていて日は当たらないんだけど、その山を広い海に浮かべて置いて入道は小さい舟で西の方に去っていったんですって。


 この夢は入道に娘が産まれてその子孫から帝(日)と皇后(月)が産まれることを暗示していたの。それからはその夢が現実になるようにさまざまな願をかけて明石の御方を育てたの。そして夢のとおりに明石の御方は姫君を産んでその姫君が入内して妃となって若宮を産んだわよね。

 きっとこのまま姫君が皇后になって若宮が帝になるだろうから入道の夢のすべてが叶うことになるわね。そうすると、入道が極楽浄土に行く(西の方に船で行く)ことも叶うだろうから、私がいつ死んでも気にすることはないけれど、願を叶えてくださった仏様へのお参りはするようにって書いてあったの。


~ 光いでん 暁近く なりにけり 今ぞ見し よの夢語りする ~

(夢が叶いそうになったので初めてこの夢の話をしてみました)


 奥さんの明石の尼君宛てはとても短い手紙だったんだけど、長生きして若宮の御代になるのをごらんなさい。私とは極楽浄土で逢いましょうって書いてあったんですって。


 この手紙を書いた3日後に山へ入られたと使者が話すのね。明石を離れたときがそのまま永遠のお別れになってしまったと明石尼君と明石の御方は大きな悲しみにくれたの。


 明石の御方は手紙を女御さまに渡すの。おじいさまの想いを忘れないように、それから紫の上の御恩を決して忘れてはいけないと話すのね。そのあと源氏もやってきて入道の手紙を読んだの。特に夢の話には興味をひいたのね。(源氏も占いで帝と皇后が産まれるって言われたから)そしてやっぱり明石の御方と恋に落ちて姫君が産まれたのは宿命だったんだなぁって思うのですって。

 あなたの産まれた事情はこうだけど、紫の上の有難さを忘れちゃいけないからね、実の子でないあなたを愛し慈しんで育ててくれて、今もあなたを愛してくれているんだからねと源氏は女御さまに話をしたの。側で聞いている明石の御方にも源氏が紫の上のことを特別に想っていることがわかったみたいね。


 源氏は紫の上とうまく連携して女御や若宮の世話をして仲良くしてくれていることを明石の御方に感謝するの。源氏がその日紫の上のところに戻って行くのを見て、明石の御方は今まで以上に源氏が紫の上を愛しているように感じられるの。高貴な女三宮でも紫の上に敵わないのに、身分の低い自分がよく源氏の夫人になっているわってしみじみ感じたみたいね。



To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ 光いでん 暁近く なりにけり 今ぞ見し よの夢語りする ~

明石入道が若宮誕生を祝い、自らの願を果たし、明石の御方に贈った歌



◇明石入道が見た夢は源氏の占いと同じ内容でしたね。


「うう~ん、源氏と明石の御方は結ばれる運命だったってことかなぁ」


「紫ちゃんのことを想うと複雑だけれど、明石さんサイドから見ると姫君が帝に入内して、若宮さまも産まれてお父さんの願いがかなってよかったんだね」

 明石の入道はこの宿願のために明石に移り住み勤行にいそしみました。




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34.13 女三宮のすがた

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