34.11 明石女御の出産
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
そこへ明石の御方もやってきて、尼君が女御さまに真実を話してしまったと知るの。臨月で体調も思わしくないときに精神的にも不安定になってしまうんじゃないかって明石御方は心配するの。
~ 老いの波 かひある浦に 立ちいでて しほたるるあまを たれか咎めん ~
(こんな日がくるなんて長生きしていてよかったわって嬉し泣きしているわたしを怒ったりしないでね)
嬉しくて話しちゃったのよ、と尼君はこんな歌を詠んで泣いているの。
~ しほたるる あまを波路の しるべにて 尋ねも見ばや 浜の
(おばあさまに案内していただいて生まれた浜辺に行ってみたいわ)
明石女御はこんな歌を詠うの。すると明石の御方も
~ 世を捨てて 明石の浦に 住む人も 心の闇は 晴るけしもせじ ~
(今も明石にいるおじいさまのわたくしたちを思うお心はまだ晴れないでしょうね)
明石で勤行をしている明石入道のことを歌に詠んだのよね。
3月に女御さまは若君を無事出産。出産後は女御さまと若宮は春の御殿に移動してしまうの。紫の上は赤ちゃんのお世話が嬉しくてならないみたい。明石の御方も女御さまの実の母親ってみんなには知られているけれど出しゃばったりしないで周りを気遣うから、みんな明石の御方を褒めるのね。宮中からもお祝いの品が届いて祝福ムードでいっぱいの六条院。もちろん源氏も大喜び。
紫の上は子供好きで若宮の面倒を見てあげて、明石の御方も紫の上を尊重しながら自分のすべきことをしていて、ふたりはとても仲良くしているの。以前は明石の御方に嫉妬したこともあったけれど、今は友情で結ばれているようなふたりのようね。明石尼君だけは女御さまと若宮さまが冬の御殿からいなくなってしまってがっかりしちゃったみたいね。
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~ 老いの波 かひある浦に 立ちいでて しほたるるあまを たれか咎めん ~
孫娘との再会を喜んだ明石尼君が詠んだ歌
~ しほたるる あまを波路の しるべにて 尋ねも見ばや 浜の
真実を知った明石女御が明石のことを詠んだ歌
~ 世を捨てて 明石の浦に 住む人も 心の闇は 晴るけしもせじ ~
尼君(母)が女御さま(娘)に話したいきさつを知った明石の御方が詠んだ歌
◇明石の尼君に明石の御方と明石の女御さま、母子3世代の対面でしたね。
「そうだよね。明石の御方だけじゃなくて明石の尼君も小さいころに姫君と別れたっきりだったんだもんね。会えてよかったね」
せっかく同じ冬の御殿で過ごせたけれど、赤ちゃんが生まれたら女御さまと若宮さまは春の御殿に行ってしまいました。
「だからさぁ、同じ六条院なんだから春と冬の御殿を行き来できるようにすればいいんじゃん!」
「明石の尼君だって孫の女御さまやひ孫の若宮さまと一緒にいたいじゃん!!」
「源氏だけが春やら冬やらあっちこっち行ったり来たりしててずるいじゃん!!」
……。当時と今とでは暮らし方が違いますからね。
でもこまちちゃんの優しさですね。
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34.12 明石入道の見た夢、源氏の占い
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