34.8 紫の上の魅力
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
東宮さまに入内した
紫の上はしみじみ考えるの。20年以上も一緒に住んでいて源氏から一番愛されているって過信していたけれど、小さい頃に引き取られて育ててもらったからか自分のことを軽んじていて、今回身分の高い正室を迎えたんだわ、と思うと辛くて寂しいの。和歌を詠んでも哀しい歌ばかりなのよね。
一方源氏は明石女御や女三宮など若い姫君を見たあとで見る紫の上は驚くほど美しいって惚れ惚れしているの。
気高さや貴婦人ぶりが備わっていて、その上華やかで明るく優雅で何もかもが素晴らしい紫の上。去年よりも今年の方が美しく、昨日よりも今日の方が新鮮でいつまでも飽きることがないと源氏は思うの。
「どうしてこんなに綺麗に生まれてきたんだろうな」
皮肉なことに女三宮と結婚してからますます紫の上を愛するようになるのよね。
~ 身に近く 秋や来ぬらん 見るままに 青葉の山も うつろひにけり ~
(私のところにも秋(飽き)が来たのね。青い葉もあなたの心も色が変わるのね)
紫の上の詠む歌は哀しい諦めの歌なの。
~ 水鳥の 青羽は 色も変はらぬを 萩の下こそ けしきことなれ ~
(俺の心は変わらないよ? キミの様子が変わっちゃったんじゃね?)
こんな歌を紫の上の歌の横に書いたの。ときどきはこうして哀しんで悩んでいる様子がわかるけれど、普段は普通に振舞ってくれる紫の上に源氏は感謝しているの。
その日の夜は女三宮とも紫の上とも一緒にいなくてよさそうだったので、源氏は朧月夜のところに出かけるの。よくないとわかっていながらも気持ちは押さえられないんですって。
そして紫の上は明石の女御と再会したあとで女三宮と対面するの。子供っぽいというより本当に女三宮は子供だったのよね。紫の上も保護者のように優しく話しかけるの。女三宮も紫の上の人柄に惹かれて打ち解けたみたいね。
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~ 身に近く 秋や来ぬらん 見るままに 青葉の山も うつろひにけり ~
紫の上が源氏の移ろいやすい心を嘆いて詠んだ歌
~ 水鳥の 青羽は 色も変はらぬを 萩の下こそ けしきことなれ ~
源氏が紫の上に変わらぬ愛を詠んだ歌
◇「渚ちゃん、これ持ってて」
なにやら板を持たされました。
「腰入れて持っててね。おっっっりゃぁぁぁぁぁ!」
―― バキッ! ――
「空手部から板割りの板分けてもらってきたんだ」
また板を持たされました。
「なぁにが、『キミの様子が変わったんじゃね?』だとぉぉ?」
―― バキッ! ――
「一緒にいなくてよさそうだから朧月夜のところにまた行っただとぉぉ?」
―― バキッ!! ――
「何もかもが素晴らしくて去年よりも今年、昨日よりも今日が美しいだとぉぉ?」
え? こまちちゃん、板3枚……。
―― バッッッキィッ!!! ――
「渚ちゃん、バカの最上級はなんて言うの?!」
こまちちゃんの気持ちはわかります。わかりますが、少し落ち着こうか。
ミルクティー飲む? 紅茶のシフォンケーキもあるわよ。
手をパッパッとはらって、フンっと鼻をならしながらこまちちゃんが音を立てて椅子に座ります。
「ミルクティーとケーキはいただくけれど、この怒りは収まらないからね!」
積みあがっている板が不気味です……。こまちちゃん、競技かるた部だったよね?
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34.9 華やかな誕パ
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