34.4 紫の上の絶望
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
~ 目に近く うつれば変はる 世の中を 行く末遠く 頼みけるかな ~
(人と人の関係なんて変わっていくのに、どうしていつまでも変わらないなんて信じてたのかしら)
源氏を信じ切っていた紫の上は絶望の歌を詠むの。源氏の心にもこの歌はぐさりと刺さるのね。
~ 命こそ 絶ゆとも絶えめ 定めなき 世の常ならぬ 中の契りを ~
(命はいつか終わってしまうけれど、俺たちの仲は永遠に変わらないんだよ)
そんな歌を詠って、ぐずぐずしている源氏は女三宮のところに出かけようとしないの。それを紫の上が急かすんだけど、そんな様子だってもちろん平気そうには見えなかったわね。
今までにも新しい奥さんを迎えるのかもって心配したことはあったけれど、源氏もなんやかんやと思いとどまってきたし、これからは順調に幸せが続いていくって紫の上は信じていたのよね。そんなときに起きた今回の件だったの。永遠に続くものなんてないんだわ、これからどんな運命が待っているのかしら、って落ち込むの。
周りの女房達は困ったことになったと騒ぐのよ。今までの他の奥さんや愛人たちは紫の上のことを「源氏の最愛の奥さま」と認めていて遠慮もしてくれたけれど、女三宮は(身分が高いから)そうはいかないんじゃないかって皆は言うのよね。
紫の上はそんなことをいっちゃダメよとみんなに注意をするの。紫の上にしてみれば同情されるなんてうっとおしいし、本心を見透かされたくないから
ひとりになると、源氏が須磨に行ってしまっていたころのことを思い出すの。眠りにつけない紫の上は近くに控えている女房達にバレないように身動きもしないで夜を過ごすの。
そんな風に紫の上が苦しんでいるのが伝わったのか、源氏は女三宮のところで紫の上の夢を見るの。次の日夜明けとともに源氏は急いで紫の上のところに帰ってくるの。すると紫の上は涙で濡れた袖を隠そうとしていて、源氏はグッときちゃうのよ。
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~ 目に近く うつれば変はる 世の中を 行く末遠く 頼みけるかな ~
紫の上が源氏と女三宮の結婚に絶望して詠んだ歌
~ 命こそ 絶ゆとも絶えめ 定めなき 世の常ならぬ 中の契りを ~
源氏が紫の上に今までと変わらない気持ちを詠った歌
◇「紫ちゃんが可哀想だよ。源氏が女三宮のところに行ってるときに泣いちゃってるんでしょ?」
源氏物語の評論家や研究者は「紫の上の心は2度死んだ」と評しています。その2回とは須磨で謹慎中に明石の君と恋仲になったことと今回の女三宮との結婚だそうです。
「そりゃ絶望もするよね。源氏とふたりで老後? というか娘をお嫁に出してまたふたりで暮らそうって思ってたのに、今度は娘より若い女の子と結婚だよ?」
しかも女三宮の身分が高いので「正室」になってしまいました。
「紫ちゃんは正室じゃなかったんだね」
誰もが「源氏の最愛の人」と認めていましたが「正室」ではなかったのです。
「その最愛の人を哀しませるなんてやっぱり源氏はバカなんじゃん」
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34.5 幼い女三宮
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