33.4 人生の春

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 源氏も娘の明石の姫君がお嫁入りし、独身だった夕霧も雲居の雁と結婚して幸せになり安心したので、そろそろ出家をしてもいいのかな、と思い始めるの。

 紫の上が心配だけれど、養女の秋好中宮がついているから大丈夫だろうと思うのね。

 花散里には夕霧がついているからこちらも安心だと思うのね。

 

 来年源氏は40になるのでそのお祝いの用意をいろいろなところでしているのね。

 冷泉帝は源氏に「准太上天皇じゅんだじょうてんのう」という天皇に次ぐ位を授けるのね。でも実は冷泉帝としては譲位(帝の位を源氏に渡す)したいんだけれど、それができない妥協の策だったのね。


 内大臣が太政大臣に、夕霧は宰相中将から中納言に出世するの。夕霧は整った顔立ちにいっそう輝きが増したようで大臣も素晴らしい婿だと惚れ惚れしているみたい。

 前に雲居の雁の乳母が夕霧の身分が低いことをバカにしたことも今では笑い話よね。


 夕霧が出世して来客も増えるからということで、ふたりが一緒に育った三条邸に引っ越したの。おばあさまの大宮さまが亡くなってから少しお屋敷が荒れていたんだけれど、ふたりが住んでいたころのように手直しをしたの。

 美しい夕方の庭を眺めながら、引き離されたツラかった日のことなんかをふたりで語り合うの。

 大宮さまにお仕えしていた女房たちもこのふたりがここに住むことになったことをとても喜んでくれたわ。

 そこへ雲居の雁のお父さんの大臣もやってきてふたりを祝福してくれたのよ。



 秋に源氏のお屋敷の六条院に冷泉帝をご招待したの。冷泉帝が朱雀院(元朱雀帝、源氏のお兄さん)もお誘いしたので、天下人がみな六条院に集まることになったのよね。

 秋の庭の紅葉が美しく素晴らしいのよね。

 供される饗膳きょうぜんも珍しいお料理ばかりだったみたいよ。

 宴会では舞が披露されたんだけど、みんな昔の「青海波」を思い出すのよね。


 朱雀院も冷泉帝も和歌を詠んで宴を楽しまれるの。冷泉帝のお顔は美しくて源氏とそっくりなの。おまけに夕霧ともよく似ているから3人がそっくりで美しいなぁと朱雀院はしみじみ思ったんですって。


 第三十三帖 藤裏葉



To be continued ✈✈✈






◇第三十三帖藤裏葉でした。

episode33 長く遅く遠かった春   藤裏葉

33.1 ほころびかける蕾

33.2 ようやく咲いた初恋の花

33.3 8年ごしの初対面

33.4 人生の春


 幼馴染同士の淡い初恋がようやく実りました。父親の内大臣に引き離されてから6年が経っていました。この時代にありがちな女子の部屋に忍び込んで既成事実を作ってしまうというようなことをせず、きちんと出世して内大臣の信用と許しを得てから結婚した誠実な夕霧でした。

 お父さんとは……、見た目はそっくりですが、恋模様は正反対でしたね。


「幼なじみ同士の初恋が実ってよかったよねぇ」


「想い合ってるのに引き離されるって、ロミジュリも同じ設定だよね」

「幼なじみ同士の恋って今でもテッパンだもんね」

 千年経っても共感できるラブストーリーでしたね。



 諸説ありますが、源氏物語全五十四帖を三部構成に区分することができるようです。その構成に従うと、この第三十三帖藤裏葉までが第一部でした。


 1話目の「1.1 源氏パパと源氏ママの恋」から始まった1日1000文字源氏物語、今話が116話、およそ116,000文字。閲覧いただき、心より感謝申し上げます。

「応援とかコメントとかとっても嬉しいよね!」


 こまちちゃんのサポートもどうもありがとう。

 皆さんも引き続きお立ち寄りいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

「よろしくねっ♬」


NEXT↓

第一部さらっとおさらい

topics1 ラブストーリーの見本市


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る