31.2 源氏の無念と玉鬘の涙
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
源氏は髭黒大将がいない時間をみはからって玉鬘のところに行くの。玉鬘はずっと病気のようにふさぎこんでいるんだけれど、源氏が来たので几帳の向こうに座ったの。源氏も今までの馴れ馴れしい態度は改めて父親らしく振舞うの。
平凡な容姿の髭黒大将と比べるとやっぱり源氏は高雅で、玉鬘は自分のことが恥ずかしくて涙を流すの。
少し痩せたような可憐な玉鬘を見ながら、髭黒に譲ってしまったことは善人過ぎたと源氏は後悔したんですって。
~
(キミとは一線は超えなかったけれど、まさか他の男との結婚を認めたわけでもなかったのにね)
思いがけないことになってしまったね、と源氏は玉鬘に歌を詠んだの。
~ みつせ川 渡らぬさきに いかでなほ 涙のみをの 泡と消えなん ~
(三途の川を渡る前になんとかして泡のように消えてしまいたいの)
「俺が安全なオトコだったってキミもわかったろ?」
源氏がそう言うの。帝からのお言葉もいただいているから形式だけでも尚侍として参内(宮中に行く)させようと思っているとも伝えたの。
玉鬘はただただ泣いてばかりいて可哀想だったから、源氏は前みたいに抱き寄せたりすることはしなかったみたい。
髭黒の大将は玉鬘に宮仕えをさせるつもりはなかったんだけど、それを利用して自宅に玉鬘を連れてこようと画策するの。そこで一度だけ出仕(宮中に行くこと)を許可することにして、そのあと自宅に迎え入れるためにリフォームを始めるの。
そんな髭黒を見て自宅にいる妻は落ち込むの。髭黒の奥さんは式部卿宮(元兵部卿宮・紫の上のお父さん)の娘という高貴な家柄なんだけど、ときどき物の怪が憑りついて狂気じみてしまう病で夫婦仲はうまくいっていなかったのね。玉鬘との結婚を聞いた式部卿宮も娘を実家に引き取ると怒るの。
髭黒は今まで精神病で病んでいる妻を支えてきたことも評価してくれないのかとボヤき、妻は妻で愚痴を言いながら夫が玉鬘のところへ出かける支度の手伝いをしているの。
すると、急に物の怪が憑りついたらしく、妻は暴れ出して髭黒に灰を投げつけるの。全身灰だらけで着物に焦げ穴までできてしまったんだけど、妻を落ち着けさせて物の怪を追い払うの。もうこんなのはうんざりだ、この妻とはもう一緒にいられない、早く玉鬘をここに連れて来たいってしみじみ思うのですって。
「あなたに逢いに行く予定だったけれど、ちょっと病人が出てしまって行けなくなりました。あなたに逢えなくて辛すぎます」
そんな手紙を髭黒は玉鬘に送るの。玉鬘にしてみれば別に会いたくて楽しみに待っているわけでもないのにこんな言い訳がましい手紙が来たので特に返事もしなかったみたい。
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~
源氏大臣が突然結婚することになった玉鬘に贈った歌
~ みつせ川 渡らぬさきに いかでなほ 涙のみをの 泡と消えなん ~
玉鬘が傷つき落ち込んで泣きながら源氏に返した歌
◇突然の髭黒の乱入に源氏も結婚を認めます。今までのように玉鬘を抱き寄せたりすることもしません。
「玉鬘ちゃんのこと大事なんだからどうして守ってあげなかったの?」
早く宮中に行っていれば。
もっと警備が厳重だったなら。
裏切るような女房を雇っていなかったなら。
いくつもの「たら・れば」が出てきます。
「天下の六条院がそんな甘々セキュリティなわけ?」
「警備員とかいなかったの?」
大勢の従者がいたでしょうに、お金になびいた女房が手引きをしてしまいました。
「なにそれ! その女房成敗!!」
「お仕えしている玉鬘ちゃんを襲う手助けするなんてよくそんなことができたね」
「殺してやる」
気持ちはわかりますが、こまちちゃん殺人は思いとどまって。
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31.3 髭黒の娘
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