25.3 一途な夕霧

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 自分が父親の妃(藤壺の宮)に恋してしまったような過ちがあってはいけないからと、源氏は息子の夕霧を紫の上に近づけないようにしていたのね。けれども明石の姫君とは兄妹だからと夕霧と姫君とは遠ざけなかったの。夕霧も気軽に姫君の部屋の御簾内にも入っていってお人形遊びの相手もしてあげていたの。でも、そうしていると昔雲居の雁と遊んだことも思い出したりもしているみたいね。

 夕霧は女の子と軽く言葉を交わしたりはすることはあっても、結婚もせず、誰かと深く付き合ったりすることもなく、ずっと雲居の雁のことを想っているのよね。

 雲居の雁の父親の内大臣に頼み込めば交際は許してもらえるのだろうけれど、内大臣に認めてもらって向こうから折れてくれるのを待つと誓った夕霧は律儀にそれを守っていたの。雲居の雁とは手紙のやりとりをたまにするだけだったみたい。


 一方、内大臣の息子の柏木は、友人の夕霧に玉鬘との仲をとりもって欲しいと頼むんだけど夕霧はさらりとかわしてしまい、まるで昔の源氏と内大臣の関係みたいなの。

 源氏とは違って子供がたくさんいる内大臣。けれども男子が多く、女子は長女の新弘徽殿女御を中宮にできず、二女の雲居の雁も夕霧とのウワサが広まり他の人と結婚させるわけにもいかず、悩みのたねだったのね。

 じゃあ、ということで若い頃に付き合っていて娘を産んでくれた夕顔(頭中将は撫子と呼んでいた→2.1 雨夜の品定め)とその娘を探そうとするの。占い師にも「長年忘れていた娘が、他所の養女になっている」なんて言われたものだから息子たちに探させるように指示をしたんですって。


第二十五帖 蛍



◇第二十五帖蛍でした。

episode25 恋多き父と一途な息子

25.1 源氏のサプライズ演出?

25.2 花散里は癒しの里

25.3 一途な夕霧



 夕霧の近況ですね。官位を上げて内大臣に認めてもらえるように頑張っています。一途に雲居の雁を想っていますが進展しない恋路はお父さんとはずいぶん違っていますよね。


「無理やり引き離されちゃった夕霧くんと雲居の雁ちゃん。まだ会えないんだね」

 あの突然の別れから2、3年ほどでしょうか。


「身分を上げるために頑張るのはわかるんだけれど、出世しても内大臣にお願いに行かないの?」

 そう決心しているようですね。

パパ源氏なら禁じられた恋とかいいながらこっそり会いに行きそうだよね」

 見た目はそっくりでも性格や恋の進め方は対照的な親子です。一途な夕霧の恋模様の行方はもう少し時間がかかりそうです。


「自力で頑張るんだね。夕霧くんえらい!」

「夕霧くんも雲居の雁ちゃんもがんばって!」

 応援団が結成されたようですね。




NEXT↓

episode26 ふたりのムスメの明と暗   常夏

26.1 夏の六条院 源氏と玉鬘



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