episode25 恋多き父と一途な息子    蛍

25.1 源氏のサプライズ演出?

🌟蛍ざっくりあらすじ

 源氏は玉鬘を訪ねては口説いて困らせたかと思えば、玉鬘のことを好きな蛍兵部卿宮の恋心を焚きつけるようなこともして、玉鬘は戸惑うばかりです。

 一方源氏の息子の夕霧は引き離された幼馴染の雲居の雁のことを一途に想い続けています。



【超訳】蛍 玉鬘十帖

源氏 36歳 紫の上 28歳

玉鬘 22歳

夕霧 15歳 柏木 20歳


✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 源氏から想いを寄せているだなんて告白をされちゃった玉鬘は憂鬱な日々を暮らしているの。父親がわりに身元を引き受けてくれた人からのまさかの告白に、こんな目に遭うのも母親の夕顔が早くに亡くなっちゃったからだわって思って悲しく思っているみたい。


 源氏も気持ちを伝えはしたものの、これ以上深入りしちゃいかん、と思ったらしく気持ちを抑えつつもしょっちゅう玉鬘の部屋には通うのよね。そして会っては玉鬘を口説いて困らせていたみたい。

 玉鬘は明るく朗らかな性格でまじめなんだけれど、それでもこぼれるような愛嬌がある魅力的な女性だったみたいよ。


 そんななか、源氏の異母弟の蛍兵部卿宮は相変わらず玉鬘にアツい恋文ラブレターを送ってきていたの。玉鬘は源氏の想いから逃れるには蛍兵部卿宮に好意を持っている風を装うのもいいかも、なんて思い始めたのよ。すると源氏はいいことを思いついて、玉鬘に蛍兵部卿宮宛てに返事を書かせたの。喜んで玉鬘のところにやって来た蛍兵部卿宮は部屋の中に源氏が隠れているのも知らずに几帳ごしに玉鬘の前に座るのね。


 照明を落としたお部屋のインテリアもステキで、薫香フレグランスの香りもふわりと漂ってきて雰囲気ムードはカンペキ。予想以上に趣味の良いしつらえインテリアに兵部卿宮は盛り上がっちゃうの。そんなときに源氏は袖に隠し持っていた蛍を解き放つの。

 暗闇の中を一斉に蛍が飛び交い光を放つから、一瞬几帳の向こうの玉鬘の横顔が蛍兵部卿宮側から見えたの。あまりの玉鬘の美しさに蛍兵部卿宮はますます夢中になってしまうんだけど、その夜に蛍兵部卿宮が贈った歌への玉鬘の返歌はつれない内容だったんですって。


~ 鳴く声も 聞こえぬ虫の 思ひだに 人の消つには 消ゆるものかは ~

(恋心を語らない蛍だけれど、この恋の炎は人が消そうとしても消せませんよ)


~ 声はせで 身をのみ焦がす 蛍こそ いふよりまさる 思ひなるらめ ~

(声は出さずにひたすら身を焦がしている蛍の方が、口に出して愛を語るあなたよりも想いの深さは勝っているのでしょうね)


To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ 鳴く声も 聞こえぬ虫の 思ひだに 人の消つには 消ゆるものかは ~

蛍兵部卿宮が美しい玉鬘に贈った恋歌


~ 声はせで 身をのみ焦がす 蛍こそ いふよりまさる 思ひなるらめ ~

玉鬘が蛍兵部卿宮に返したそっけない歌


◇自分も好きだと告白したかと思えば、「いかん。いかん」と気持ちを抑え込んで自分の弟の蛍兵部卿宮と玉鬘が逢うときにサプライズ演出をして蛍兵部卿宮の気持ちを焚きつけます。


「源氏はなにやってんの?」

「なにがしたいの?」

「バカなの? あ、バカだったわ」


 一体源氏はどうしたいのでしょうね。

 玉鬘が翻弄されて戸惑うのも無理はありませんね。

 

 そしてこまちちゃんが呆れるのも無理はない?




NEXT↓

25.2 花散里は癒しの里





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る