23.3 玉鬘の想い

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 新年の宮中行事もひと段落して、源氏は二条院に行くのね。元は源氏や紫の上が暮らしていたお屋敷だけれど、今は東の院に末摘花が暮らしているの。唯一のチャームポイントだった豊かな黒髪にも白髪がまじるようになっちゃって、おまけに寒いらしくてぶるぶる震えながらお話しているんですって。

 どうやら温かい皮の衣類はお兄さんの禅師の君にあげてしまったらしいの。正直で素直な末摘花らしいけれど、これではあんまりなので源氏は彼女のためにいろいろと絹織物を用意させたの。


 同じ東の院には空蝉も住んでいるのでそちらにも足を運ぶの。空蝉は出家していて尼さんらしく小ぢんまりとしているけれど、風情のある暮らしぶりだったの。懐かしい昔のことをふたりで話すんだけれど、元夫の息子(自分の息子ではない)から言い寄られたことを源氏が知っていたので、空蝉はとっても気まずく恥ずかしく思ったんですって。


 こんな風に生活の面倒を見てあげている恋人たちが源氏には何人もいて、あまり通わないと恨まれそうだけれど、そこは源氏もフォローしているのね。

「なかなか会いに来れないときもあるけれど、忘れてるわけじゃないから」

 源氏なりにそれぞれの人を大事にしているみたいね。

 

 宮中行事に男踏歌おとことうかというのがあるのね。男たちの行列が御所から朱雀院のお屋敷に向かって、さらには六条院にもやってきたの。音楽を奏でて舞を舞う催し物なのね。六条院の夏の町の花散里も玉鬘もみんな春の町に集まって見物するの。玉鬘はこのときはじめて紫の上と対面したの。(几帳ごしにね)

 一月の明るい月のもと、降り積もった雪の景色の中での公達の姿はとても素晴らしいものだったの。それを眺めている女君がたのお衣装の袖のグラデーションが御簾の端からちらちらと見えていてそれがまた風流で雅やかだったんですって。

 男たちの行列の中には夕霧や内大臣(頭中将)の息子たちもいて玉鬘は自分の兄弟たちを御簾内から眺めるのね。

 源氏は夕霧の歌声がいいと褒めていたみたいね。

 普段は別々に暮らしている六条院の女君がただけれど、今回みたいに集まって管弦の遊びをするのも楽しそうだね、って源氏は思ったんですって。


 第二十三帖 初音


To be continued ✈✈✈



◇第二十三帖初音でした。

episode23 源氏と六条院の新年

23.1 春の町のお正月

23.2 夏の町と冬の町のお正月

23.3 玉鬘の想い


 お正月を迎えた源氏と源氏の周りの女君がたの様子が書かれたエピソードですね。また玉鬘は御簾ごしに自分の実の兄弟を見ることができて早く本当のお父さんの内大臣に知らせてほしいと思っているでしょうね。


「優雅なお正月だね。十二単の衣装とか綺麗だろうね」

「源氏は玉鬘ちゃんのこと内大臣に知らせていないの?」


 以前は源氏が須磨で謹慎生活を送っていたときにわざわざ訪ねてきてくれたほどの親友だったのに、冷泉帝の中宮のポジション争いや夕霧の件で仲たがいしてしまっていますね。


「困ったお父さんたちだねぇ」



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episode24 娘なの? 恋人なの?   胡蝶

24.1 六条院の春






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