22.4 ファッションチェック?!

To be continued ✈✈✈


 お正月に向けて源氏は新しい衣装を用意するの。紫の上は六条院の方たちの衣装を源氏に見立てさせるのよ。

「俺が選ぶ衣装で相手を想像するなんてキミもやるね」

 なんて紫の上をからかいながらも恋人たちの衣装を選ぶのよ。

 そう、この時代の女性は自分の夫や恋人が他にも付き合ってい人がいると知ってはいても会ったことはないのが普通なのね。


 まずは紫の上のために流行りの葡萄染め(えびぞめ)の紅梅模様を選ぶの。表が白で裏が赤の桜襲さくらがさねは明石の姫君用。薄藍色に紅で色目がハデでないけれど凝った織り方のものは花散里に。玉鬘には紅に山吹の花をあしらった衣装を選んだの。玉鬘に華やかな衣装を源氏が選んだので、紫の上は玉鬘は内大臣に似て華やかなお顔をしているんだわと想像するのね。


「確かにその人らしいけれど、衣装と本人が合わない人もねぇ……」

 と末摘花のために選んだ衣装を眺めながら、本人にもこれくらいの艶やかさがあればねぇとため息をつくの。

 それから高貴な人が纏う紫色の衣装を明石の御方のために選ぶ源氏を見て、紫の上はやっぱり明石の御方はあなたにとってトクベツな方なのね、どんな素敵な女性なの? と思ったりするの。

 尼になって二条院に住んでいる空蝉にも青鈍あおにび色の織物を贈ったんですって。

 

 衣装を贈られた方たちはそれぞれ御礼などのリアクションがあったんだけど、末摘花だけは例の「からころも」攻撃の和歌だったの。


~ 着てみれば うらみられけり からころも かへしやりてん 袖を濡らして ~

(衣装しか届けてくれないなんてあなたに逢えなくて泣いちゃうわよ。からころも! こんなお衣装返してやるんだから! 袖なんて(涙で)濡れちゃってるんだからねっ)


 もう可笑しくて源氏は笑ったの。古風で奥様ぶってちょっと出過ぎたことをするんだよなぁと苦笑したのね。


第二十二帖 玉鬘


To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ 着てみれば うらみられけり からころも かへしやりてん 袖を濡らして ~

末摘花がちっとも訪ねてくれない源氏に贈ったクレームのような歌


◇第二十二帖玉鬘でした。

episode22 元カノのムスメ   玉鬘

22.1 流転のお姫さま

22.2 運命にみちびかれて

22.3 源氏と対面

22.4 ファッションチェック?!


 源氏には複数の奥さんや恋人がいて同じお屋敷六条院に住んでいますが、女性同士は普通交流がなく会ったことはありません。それでも自分以外の女性の事はやっぱり気になる。紫の上は「あの方ってどんな人なの?」と直接的には聞かずに源氏が選ぶ衣装から「ふぅん、華やか系なのね」とか「そんな高貴な衣装が似合うのね」とかいろいろ想像したみたいですね。


「会ったことなくても気になるよね。しかも近くに住んでるんでしょ?」


 複数いる夫の奥さん。普段顔を合わせませんが、だからこそどんな人か気になるでしょうね。


「大変だねぇ。一夫多妻制って……」


 そうなりますね。

 そして相変わらずの末摘花さん。彼女和歌が苦手でとりあえず「からころも(特に意味はない)」を入れればいいやって思っているみたいです。


「ディズニープリンセス末摘花ちゃんだ! 久しぶり♪」


NEXT↓

episode23 源氏と六条院の新年   初音

23.1 春の町のお正月








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