13.4 最愛の妻の元へ

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji 


 年が明けて帝は譲位(帝を退位)を考えるの。すると次の帝になる東宮(藤壺と源氏の子)の後見人が源氏なので源氏を都に戻すことに決めたの。夏には都へ戻るように明石にまで帝の使者がやってきたの。

 

 都へ戻れるのは源氏としては嬉しいんだけど、それは明石の君とのお別れでもあるから複雑な心境だったの。それに明石の君が妊娠したので毎日毎日明石の君のところに通うの。

 秋になって本当に明石を離れないといけなくなり、最後のお別れに明石の君に琴を弾いてもらうの。明石入道が言ったとおりの素晴らしい音色だったんですって。源氏は自分の琴を明石の君に預けるの。キミたちを京に迎えるから。また逢えたら一緒に弾こうって約束をして。


 ~ なほざりに 頼めおくめる ひとことを つきせぬにや かけてしのばん ~

(”また逢ったら一緒に弾こう”なんて軽くおっしゃったんでしょうけれど、泣きながらそのひとことだけを信じてあなたを想っているわ)


 ~ 逢ふまでの かたみに契る 中の緒の しらべはことに 変はらざらなん ~

(また逢える日までの約束に置いていく琴みたいに俺たちの愛情もいつまでも変わらないよ)


 琴の調子が狂わないうちに必ず逢おう、と源氏は明石の君に言ったの。


 源氏が行ってしまい、明石の君はものすごく落ち込んだの。お母さん(明石入道夫人)も娘が可哀想だって同情しているの。明石入道もそうなんだけど、娘のお腹に赤ちゃんがいるからとなんとか気持ちを立て直したみたいね。



 久しぶりに都に戻り紫の上との再会を果たす源氏。しばらく会わないうちにまた美しくなっていた紫の上。こんなにも美しくて可憐な紫の上とよく離れていられたよな、と源氏はしみじみ思うの。明石の君のことも正直に話すのよ。お屋敷の二条院も紫の上がしっかりと留守を守っていたのね。

 

 政治でも復帰して権大納言ごんのだいなごんという役職についたの。朱雀帝からもお召しがあってふたりは宮中で再会するの。東宮さまにも会いに行くと随分成長して大きくなっているのよね。お勉強もよくできていつ即位されても大丈夫なほど聡明な少年になっているみたいね。きっとそのあと藤壺の宮さまにも挨拶にいったはずよね。


 何人も付き合っている恋人がいた源氏だったけど、都に戻ってからは紫の上オンリーで他の人のところには通うのをやめたみたい。



第十三帖 明石


To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

 ~ なほざりに 頼めおくめる ひとことを つきせぬにや かけてしのばん ~

明石の君が明石を離れる源氏に贈った歌


 ~ 逢ふまでの かたみに契る 中の緒の しらべはことに 変はらざらなん ~

源氏が別れ際に明石の君に贈った歌



◇第十三帖明石でした。

episode13 最高のカノジョと最愛の妻   明石

13.1 須磨から明石へ

13.2 気になる明石の君

13.3 最高のカノジョ

13.4 最愛の妻の元へ


 明石の君との出会いと別れ、紫の上との再会の巻ですね。

 謹慎に行ったはずなのに新しい恋人を作るなんて(しかも子供まで)、紫の上はそうとうショックだったでしょうね。

 明石の君にしても、「どうせ明石ココにいるときだけでしょ」と覚悟していたけれど、やっぱり京に帰ってしまうと悲しいし寂しい。

 また女の子を泣かすのです。もう何人目なんでしょうね。


「おのれバカ源氏……」

「許さん」

「紫ちゃん、どうして怒らないんだろう。一夫多妻制だから?」

 この頃は夫の女性関係のことをあれやこれや干渉するのはよろしくないという風潮があったみたいですね。

「紫ちゃんのかわりにわたしが成敗してやる」


 こまちちゃん、成敗って……。

 どうやって??



NEXT↓

episode14 命をかけて……   澪標

14.1 冷泉帝の即位


 

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