9.5 紫の君との結婚

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 葵の上のこともあり、しばらく左大臣家にいた源氏だったのだけれど、葵の上は亡くなってしまい、赤ちゃんの世話を左大臣家に任せて久しぶりに自宅の二条院に帰ったの。

 するとしばらく会わないうちに紫の君が大人びて成長していたの。正室の葵の上が亡くなったこともきちんと理解していて、落ち込んでいる源氏を気遣ってあげたの。


 それからしばらくして源氏と紫の君が結ばれたの。きちんと当時の決め事どおりに結婚準備をしたので、周りの女房たちはそれを喜んだのだけれど、紫の君にとってはカラダの関係を結ぶということは恐ろしい出来事だったみたいなの。今まで優しかったお兄さんのような源氏が急にコワイ男の人に見えたかもしれないわね。

 結婚するからには正式にと考えた源氏は、今まで紫の君を引き取っていることをだまっていた紫の君の父である兵部卿宮ひょうぶのきょうのみやにも挨拶をして、裳着もぎ(女の子の成人式)に招待して、大々的に彼女との結婚をアピールしたの。紫の君は紫の上と呼ばれるようになったわ。


 その頃朧月夜の君は源氏のことを想っていたの。父の右大臣は正室も亡くなったことだし、源氏と結婚させてもいいかなと思い始めたんだけど、姉の弘徽殿女御は断固反対。予定どおり自分の息子の朱雀帝と結婚させようと話を進めていたらしいわ。源氏も朧月夜のことは好きだから朱雀帝との結婚は残念な気もしたんだけれど、紫の上と結婚したばかりだしそろそろ自分も落ち着かないとな、って朧月夜カノジョのことはなりゆきにまかせたの。


 源氏の息子はすくすくと育っているんだけど、やっぱり顔立ちは東宮さま(藤壺の宮と源氏の子)とよく似ていたみたい。ま、当然といえば当然、なんだけどね。

「こんなに似てるんじゃあのことがバレちゃうんじゃ……」

 源氏は心配でならないみたいよ。



第九帖 葵



To be continued ✈✈✈



◇第九帖葵でした。

episode9 オンナのオンネン   葵

9.1 六条御息所とのカンケイ

9.2 正妻とアイジンの戦い?!

9.3 嫉妬の鬼

9.4 息子の誕生と葵の上の死

9.5 紫の君との結婚


 葵の上を亡くした源氏を紫の君は優しく気遣ってあげました。このとき源氏22歳、紫の君が14歳。しばらく会わないうちに美しく成長していた紫の君。今の年齢で考えると14歳の結婚は法律でも許されていませんし、あり得ないことですが、この時代では珍しくないでしょうね。(源氏が結婚したのは12歳でした)


「14歳で結婚かぁ。そっか、源氏くんは12歳だったもんねぇ。今とは違いすぎるね」


 こっそり二条院自分ん家に匿って育てた紫の君。お父さんが兵部卿宮(皇族)ですが正妻の子ではなく知名度も高くない姫君。そのままなしくずし的に愛人扱いしそうなところを源氏は正式に結婚して世間にも公表しました。紫の君の従者たちはとても感激したようですが、紫の君にとっては突然の結婚だったので戸惑っていますね。


 それから葵の上の産んだ赤ちゃんですが、原作オリジナルでは名前はついていませんが「源氏の息子」では伝えにくいので「夕霧」と呼ぶことにします。どうして「夕霧」という名前なのかは物語の中盤でわかると思います。


「夕霧くん、東宮さまと似てるって。イケメンパパからはイケメン息子が産まれるんだねぇ。でもさ、夕霧くんはパパとそっくりはいいけど、東宮さまと似てるのはちょっとヤバい?」

「えっと、本当は東宮さまと夕霧くんは兄弟だけど、表向きは叔父さんと甥ってことか。血は繋がってはいるし、似ていてもおかしくはないのかな。なんかややこしくなってきた」

 家系図、書いてみる? こまちちゃん。





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episode10 別れ、別れ、それから密会   賢木

10.1 六条御息所の決断

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