9.4 息子の誕生と葵の上の死
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
とうとう葵の上のお産が始まるけれど、やっぱりひどく苦しんでいるから僧たちが祈祷を続けているの。源氏とふたりきりになると葵の上の様子がヘンなの。
「苦しいから祈祷をやめさせて」
葵の上の身体に六条御息所が憑いているの。
「あなたは誰? 名前を言って」
すると葵の上の見た目も六条の御息所にそっくりになってくるの。源氏は恐ろしくなっちゃうの。御息所が生霊になっているというウワサは本当だったのね。
それでもなんとか葵の上は男の子を出産したの。源氏は産後の葵の上を看病していたんだけど、源氏が仕事に行っているあいだに容体が急変して葵の上は亡くなってしまったの。
ずいぶんと長い間冷めた関係の夫婦だったんだけど、妊娠、出産を機にこれからは仲良くしていこうと源氏も葵の上も思っていたから、彼女が亡くなったことに源氏はひどく落ち込んだの。
~ のぼりぬる
(空に昇っていったあなたの煙がどの雲かはわからないけれど、どんな雲を見ても落ち込んでしまうんだ)
自分の子どもを産んでくれて、これからは大切にしていこうと心に誓ったばかりの葵の上を亡くしてしまい、源氏は悲しみの中で和歌を詠んだのね。
しばらくして六条御息所からお悔やみの手紙が届くの。源氏は出産のときに見てしまった六条御息所の生霊のことを御息所に文で知らせたの。
「もうさ、亡くなった人のことを恨むのはやめてね」
御息所も源氏に知られてしまったことで、娘と一緒に京を離れて伊勢に行くことにするの。
源氏の良きライバルであり親友の頭中将にとっては葵の上は妹だったので、ふたりでお酒を飲みながら葵の上のことを話したみたい。
元々、親同士(桐壺帝と左大臣)の指図での政略結婚だったから源氏が妹をそんなには愛していないと思っていたのに、妹が亡くなってからの源氏の落ち込みようは頭中将にとっては意外だったみたいね。
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~ のぼりぬる
源氏宰相大将が亡くなった葵の上を想って詠んだ歌
◇葵の上が亡くなってしまいました。しかも六条御息所の生霊に呪い殺されるという死因です。生きている人が生霊になるなんてことは滅多にないことです。それほどまでに六条御息所は葵の上のことを深く恨んでいたということでしょうか。
「葵の上さん、赤ちゃん産んで源氏くんとも距離が縮まったカンジだったのにかわいそう」
「恋」というものを知らずに結婚した葵の上。美しい容姿に知識も豊かで芸術にも長けていた完璧妻。夫の源氏に素直に接することができなかった優等生さん。ようやく「愛」を感じることができたのに。愛する人の子供を産んだのに。哀しい結末になってしまいました。
「赤ちゃんもママが亡くなっちゃってかわいそう……」
NEXT↓
9.5 紫の君との結婚
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます