9.2 正妻とアイジンの戦い?!

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 そんな頃、正室の葵の上が妊娠したの。自分の子どもを、ようやく堂々と自分の子どもと言える子どもを身ごもってくれた葵の上のことを源氏はとても大切にして、夫婦仲もよくなってきたようなの。妊娠して体調のよくない葵の上に付き添い、神仏にもお参りをして、大勢いる愛人のところには通わなくなったみたいなの。


 京で大きなお祭りが開かれることになり、華やかな行列が街を練り歩き、源氏もその行列に参加することになったの。みんなその盛大なお祭りの見物に行きたがったの。光る源氏大将げんじのたいしょうが行列に出るというので女子達は大騒ぎ。


 葵の上は妊娠していて具合がよくなかったんだけど、母親が

「気分転換にお祭りに行っていらっしゃい」

 と言うし、仕えている女房たちもお祭りを見たがっているのでしぶしぶ出かけることにしたの。

 ゆっくり出かけて行ったから、もう行列を眺める特等席は埋まっていたのね。高貴な方達は牛車ぎっしゃの中から下ろした御簾ごしに眺めるの。だから牛車を行列のよく見えるところに停めたいのよ。そうしたら葵の上の家来が自分たちは源氏大将の正室だからと特等席にいた人達のあいだに割り込もうとしたの。そこに見るからに高貴な人が乗っていそうな牛車が停まっていて、その牛車もどかそうとしたんだけど、その牛車の家来たちも、こちらは身分の高い女性が乗っているからどかないともめ始めたの。


 その牛車に乗っていたのが六条御息所だったのね。こっそりと誰にも知られずに源氏カレを眺めようと来ていたのに、家来が騒ぐからみんなにバレちゃったの。葵の上の家来と六条御息所の家来で乱闘になってしまい、御息所の牛車の一部が破損してしまったの。

「正室と愛人の争い」なんて冷やかされて、恥ずかしくて、御息所はもう帰りたいと言うんだけど、もう混みあっていて今さら帰ることもできなかったの。


 そんな中行列がやってきて、源氏大将も見えてきたの。華やかな光源氏にみんなウットリ。馬に乗っている源氏も葵の上の牛車には気づいてきちんと挨拶をしたの。けれども六条御息所の牛車には気づかずに通り過ぎたのね。葵の上が正室で自分は数多くいる愛人のひとりにすぎないと六条御息所はつくづく思い知ったの。


 翌日になって葵の上と御息所の家来の乱闘騒ぎを聞いた源氏は御息所が傷ついただろうとお見舞いに行くんだけど、会ってはもらえなかったの。




To be continued ✈✈✈


◇この「車争い乱闘騒ぎ」は源氏物語の中でも有名なエピソードです。元春宮妃という高貴な身分でプライドが高い六条御息所はこの事件で恥をかかされ、源氏の正室の葵の上に対して猛烈な嫉妬心を抱くようになります。


「こわっ! 怒っちゃったよ。でも葵の上さんの家来たちも図々しかったね」

「正室と愛人の争いかぁ。怖~~っ!!」


 隠れてひっそり源氏恋人を眺めようと来てたのに、お忍びがバレてしまい、しかも恋人の正室に恥をかかされました。愛人なんて言われて六条御息所は我慢がなりません。プライドをズタズタにされてしまい、葵の上を憎むようになります。


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9.3 嫉妬の鬼

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