6.2 強行突破! 既成事実?!

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 ふと宮家の庭を見ると人影があるのね。誰かと思えば頭中将とうのちゅうじょう。源氏がどんな女子と遊んでいるのか、つけてきたんですって。


「浮気現場、押さえたぜ」

 頭中将は一大スクープを取ったかのようなドヤ顔なの。

「何してんの? おまえ」

 源氏は相手が親友の頭中将だったから怒るどころかおかしくなってしまうの。


 結局ふたりは頭中将の実家の左大臣家に行くことにしたの。源氏の正妻の葵の上は頭中将の妹だから、ふたりは義理の兄弟でもあったのね。


 左大臣家でも葵の上のところではなく、頭中将とついつい話しこむ源氏。話題はもちろんさっきのお屋敷のお姫様のこと。干渉する親兄弟がいなくて荒れていくお屋敷に住んでいる可憐なお姫さま、そんなお嬢さんを恋人にできたらいいよな。

(やばいじゃん、頭中将もあの姫を狙ってんのかよ、早くしないと……)

 頭中将も頭中将で、これだけモテる源氏がここまで入れ込んでるなんて絶対にいいオンナだとばかりにラブレターを出し始めたの。


「ちょっとさ、文なんか送ってみたんだけどさ、もったいつけて返事が来ないんだよ。オマエんとこは?」

 なんて頭中将が源氏に聞いてきたの。やっぱりコイツも狙ってんのかと源氏はニンマリするの。

「本命じゃねぇしな、返事来たんだかどうだか覚えてねぇわ」

 そんな風にはぐらかして頭中将をけん制したの。


 宮中の2大アイドル、光源氏と頭中将から文が届くという有り得ない状況に姫本人はもちろん、大輔の命婦すらビックリ。でも極度の恥ずかしがりで姫はどちらにも返事を出さなかったの。


「なあ、1回も返事がねぇんだよ。俺のコト警戒してんじゃねぇの?」

 いつになっても姫から返事をもらえない源氏は大輔たゆう命婦みょうぶにそう愚痴るの。

「あなたには釣り合わないかもしれないわよ。ちょっとないくらいおとなしい方だから」

 大輔の命婦がそう牽制するの。

「おっとりしてるんだろ? カワイイじゃん。俺そういうコも好きだぜ?」

 もう何が何でも源氏はその姫に会いたいのよね。


 頭中将には取られたくないし、焦った源氏は大輔の命婦を説得して会わせてもらえるよう段どってもらうの。

「絶対お部屋には入らないでくださいね。障子越しですからね」

「オッケー、オッケー。わーってるよ」

 源氏の性格をよく知っている大輔の命婦が何度も何度も念を押して屋敷へと連れて行ったの。

 障子越しに源氏は会えて嬉しいとか、今までずっと会いたかったんだとかいつも通りに口説くんだけど、まったくレスポンスがないの。

「ちょ、ホントにそこにいる?」

 そんなことを言いながら結局源氏は大輔の命婦との約束を破って姫の部屋の中に入っちゃったの。



To be continued ✈✈✈


◇仕事上でもライバルの頭中将もこの姫を狙ってんのかよ! と源氏は焦ります。とにかく早いもん勝ちだぜとばかりに姫のお部屋に入ってしまいました。大輔の命婦との約束破っちゃった……。


「源氏くんってさ、ダメって言われると盛り上がるタイプだよね」

 空蝉さんのときもそうだったわね。六条御息所さんも付き合ってもらえるようになるまではグイグイ押してたのよね。

「見ちゃだめって言われたら絶対見るタイプ」

 こまちちゃん、源氏分析が的確だわ。


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6.3 クチコミの現実

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