5.3 理想の女の子に育てる?

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji


 藤壺の宮さまとの件で、春に出逢った少女のことを忘れていた源氏なんだけど、秋になってまた少女を引き取りたいって祖母の尼にお願いに行くんだけれど、お許しが出ないうちにおばあさまは亡くなってしまうの。

 少女の住んでいるお屋敷に行って、女房達から源氏は事情を聞くと、どうやら少女の父親の兵部卿宮が引き取りに来るらしいのだけれど、兵部卿宮には正室がいて、兵部卿宮のお屋敷で正室の子どもではないこの少女がいじめられはしないかと女房達は心配しているみたい。


 少女の家はとても荒れていて、ついている女房も少なく、とても心細かったみたい。源氏は可哀想にと同情するの。

「男の方がいらしたって、おとうさまがいらしたの?」

 少女が部屋に入ってきたの。でも少女はお父さんじゃない初対面の光源氏に驚いちゃうの。

「引き取りたいとおっしゃってくださる姫はこんなに子供なんですよ」

 と少納言という女房が源氏に話すの。それでも可愛らしい姫を見た源氏は盛り上がってしまうのね。そして今日はもう天気も悪いし、自分がついているからと屋敷の戸締りを家来たちに命令して、姫や女房たちと一緒に過ごしたの。

「おもしろい絵とかお人形もたくさんあるから、ウチにおいで」

 と優しく話かけているうちに、姫さまも安心したみたい。女房達も心細い夜に源氏がついていてくれたことに感謝して、

「これで姫さまが源氏の君に釣りあう年齢ならどんなによかったかしらね」

 と噂しあったみたい。


 数日後、惟光をそのお屋敷に行かせてみると慌ただしい様子なの。明日兵部卿宮姫のお父さんが迎えにくるらしく、準備に追われていたんですって。それを聞いた源氏は夜も明けきらないうちに兵部卿宮より先に屋敷に向かい、まだ寝ていた少女を抱きかかえて二条院へ連れてきてしまったの。

 最初は寂しさと恐ろしさで泣いていた少女だったんだけど、源氏が優しく話したり遊んだりしてくれるうちに打ち解けていったみたいね。

 一方、兵部卿宮は少女の失踪に落ち込んだみたい。



 ~ 手に摘みて いつしかも見む むらさきの 根にかよひける 野辺の若草 ~

(俺のそばで見ていたいんだ。憧れの人とよく似た可愛いキミをね)


 こんな歌を源氏は詠んだの。そうして、これからこの少女を紫の君と呼ぶことにして二条院で一緒に暮らすことにしたの。このとき源氏が18歳、紫の君が10歳。






第五帖 若紫



To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ 手に摘みて いつしかも見む むらさきの 根にかよひける 野辺の若草 ~

源氏宰相中将が紫の君へと詠んだ歌


◇第五帖若紫でした。

episode5 過ちと略奪   若紫

5.1 ふたりの女の子

5.2 禁断の恋

5.3 理想の女の子に育てる?


 この紫の君がのちの紫の上です。聞いたことありませんか? いろいろな見方はあるけれど、源氏がもっとも愛した女性かな。幼い頃から理想の女性に育てて愛するのです。

 藤壺の宮さまとの過ちと紫の君の略奪。五帖の若紫はなにやら犯罪めいています。今ならワイドショーが大騒ぎ? ネット炎上?! 


「これって勝手に自分ん家に連れて来ちゃったんだよね?」

 そうなりますねぇ。

「誘拐? 幼女連れ去り? 今なら事件じゃん」

 そうなりますねぇ。

「警察沙汰じゃん!!」

 現代ならそうですよね。これがこの物語では警察沙汰にはなっていません。お父さん(兵部卿宮)もがっかりはするけれど、必死に探す様子ではないようです。


NEXT↓

episode6 雪の朝の衝撃   末摘花

6.1 ウワサの令嬢



☆こまちのおしゃべり

【別冊】源氏物語のご案内

関連するトピックスがあります。よかったらご覧になってくださいね。


topics1 紫式部サマと源氏物語

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054881975020


 警察沙汰……じゃないんだ……。うぅぅぅん。

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