第6話未定

 そして後片付けに向かう所で巨大なエネルギー反応が発生する。世界その物が何かに沈んでいく様だ。世界には数多の鎖が増殖していく。出来る限り壊すが、かなりの数の奴がそれに飲み込まれてしまう。……。くそ、何だ、これは、……システム介入者か何か、か?……なら対抗は可能。……だが、……くそ、贅沢いっている場合じゃあ無い。俺は隠すつもりだった力を行使する。

『システムブレイカー、起動』

 一先ず海底都市に居た奴は引きずり込まれたのを何とかしたが……。

『……説明して貰っても?』

『それは後で。これ大陸単位での奴らを引きずり込むゲートと言う奴か?……引きずり込まれた奴らはどうなった?』

『一先ずお母さまを起こしますね。それで聞いてみます』

『……運命を断ち切るのは、運命が見られなければ無理か、それなら運命を見れば解る、と、じゃあ頼む』

「……何かしら」

『ケールハイト、休憩してようなんて悠長な事言ってはられなく成った。海上に居た奴らの運命を見てくれ。そしたら解る』

『…………解ったわ。存在悪夢封書。本に本人を閉じ込めて、後は只、ひたすらに悪夢を実体験と思う様な形で体感させ続ける。つまり、対象者へのアンチ・ヘイトの仕様の世界を本の中に創り、それに後は実際にそれを体感する形で閉じ込める能力。……対象者の封印と同時にひたすらに心を折る為の能力ね……』

『……世界中の奴を殺す気か?』

『……逃れる手段が有る以上は全員へ向けられた物じゃ無いのだし、……足切り、かしら?』

『……召喚システムを使わないと言う選択肢自体は良かった、でもそれはそれとして、召喚システムを深く理解する奴もある程度は居るべきだった。そうすればそれを悪用する奴への対策だって立てられるのだから……世界中の奴に己が対象者の仮想的アンチ・ヘイトの世界に引きずり込む能力をぶつける……殺意しか無いな』

『問題に成るのは、犠牲者はそれを見せられた夢の物だと知らない事……受け取る気持ちとしては、只の現実ね』

『……それは受け取る奴の考え方次第な話では有るが、……それは、所詮は幻覚を見せられているだけに過ぎない訳で』

『例えそれが虚構でも、取るに足らない作り物でも、空想でも、妄想でも、精神的に効果は有るわ。構図や絵図的には疑似的にでも体験したく無い様な物も事も、実際に体験する羽目になるもの』

『……それでも、結局の話、それは事実では無い』

『それに気付く前に正気度を削られ切られなければ良いけどね』

『……』

『それより、どうしてそれらから逃れられたの?水霧さんとかアーバーンさんとかの一部の奴の運命を見るのが出来ないのだけど』

『……能力効果潰し的な能力を持っているだけだ。それが有効な範疇だったのだろう』

『……システムブレイカー、ですよね。能力の、ですか、そうですか』

『……流石にこれは切り札だからな。余り使いたく無かった』

『……それより、どうしますか?流石にこのままと言う訳にも行かないでしょう?』

『これの理屈自体はそんなに大層な物ではない。要は封印した奴に任意の幻覚を見せ続ければ良いだけだしな。問題なのはその規模と強制力だ。狂ってやがる。……アニメに世界中の奴に幻覚を見せようとした奴なら居たが、それとは目的が違い、少なくともこれらは心を折る為の物だ……まああくまでも対岸の火事なので、そんなのなんか知るかと言うと話がそれで終わるのだが、どうしようか』

『悪夢の様な現実を体感して居ると認識する様に仕向けられた悪夢が対岸の火事、ですか』

『……少し良い?こんな事をやれるコストをどうやって揃えたのかしら?』

『……あ、そうですね。アーバーンさん。それを見れば解りますね……駄目です。無関係な人達しか見られません』

『……つまり、特定の条件を満たす奴は能力の対象に成らず、そいつが関わる検案の事も見られないと……はぁ……つまり、私や水霧みたいなレベルの物を持つ奴の情報は全部秘匿のままと言う事じゃない……神格個体が単に能力の適用外な可能性は?アトロポスの能力は人間の運命の糸を断つ物でしょう?単に人間以外の者扱いに成っている奴が関わる事は見られないとかじゃないかしら?』

『つまり、効果は対人間のみですか……』

『確かアトロポスと言うかモイライは、巨人系の種族の奴を只の物理で殴り殺した逸話が有るから、人間以外に対して無力と言う事では無いはずだけど……』

『はは……そう言う逸話が有るのですか……』

『それはさておき、流石にこれは止めよう。エネルギーが膨大な量使うはずなのに、これが成立して居るのは何かからくりが有るはず。それを潰せばだいぶ規模は小さくなるだろ』

『純粋にエネルギーを大量に持つとかの可能性は無いの?』

『それならもう潜伏する必要性が無いだろ。だから、何か特殊な条件が必要か……あ、対象者からエネルギーを調達しながらやればいい。それなら相手のエネルギーが枯渇する迄は半永久的に持続可能だろ』

『……それだと本命の対象は一定以上の実力者に成るわよ?』

『封印を効果に追加しているのだし、あながち間違いでも無いかもだろう。……もっとも、これでは実力者側には普通に逃げられるのがアレなのだが』

『と、言うよりも、……そもそも逃げられたのが例外検案のパターンなのじゃ無いかしら』

『……それは十分有り得るな……』

 ……要はシステムブレイカーなんて反則を行使したから逃げられただけだし。神格個体に成ると言う事は、飽和現象を制御すると言う事で、制御力がそれで落ちていると言う事でも有る。……ならば、神格個体なのを棄却すれば神格個体としての能力以外は、神格個体で有る事を棄却した方が強さは上がる。……故に神格個体としての実力が神格個体で無い奴に負けている=実力で負けていると言う事だとは限らない。……のだが、いくら何でも今回の相手は可笑しいだろ。……仮に神格個体としてこれならヤバイにも程がある。さて、どう崩すか。その仕組み自体は簡単なのだから、それの専門的なメタ能力をぶつければ良いと言うのはその通り。でも、水掛け論的解法は水掛け論的解法で攻略される訳で、……極力水掛け論的解法での攻略法のみで攻略するのは避けるべきである。それは水掛け論的解法で破綻するから、実力ブーストの隠し札が有れば、普通に勝敗が引っ繰り返りかねないし、それが有る可能性は相手が神格個体ならば確実に有ると言えるはず。どの能力がブーストされるかは、また別な話だが。……まるで第二形態の有るボスキャラだな……とは思うが、…これの場合は只自分の力の配分を変えただけで、謎のパワーアップでは無い訳だしな。

『……どう倒します?』

『術者を捕まえるのが手っ取り早いか?』

『手札を隠したままでは流石にそう簡単には行かないけど……』

『……手札を惜しまなければ行けるのですか?』

『一応な。……これを使うと色々と批判受ける気しかしないから使いたくないけど、今なら目撃者自体が一部の奴らだけで済むし、使うのも選択肢としては有りだが』

『……贅沢言っている場合じゃ無いでしょう?』

『だな。だから俺とアーバーンは敵の本陣行って来る。やる為の理屈が批判受ける気しかしないけど、ね』

『はい?敵の本陣がもう解るのですか?』

『理屈は開示できない。すまんな』

 ……全ての水は俺の身体足り得る。……それは良い事しか有ると言う訳ではないが、……範囲を極めたら星の中の水分は全て俺の身体に成る。……制御力が足りず、まだ其処迄ではないが。だから、要は世界中の水分を順番に俺に一時的にして全体をカバーすれば、世界中の探査が出来る。……まあ平時に大規模に使えばバッシングを受けるのは間違い無い。……どうしてかは敢えて明言はしないけど、今は問題ないだろう。大抵の奴が封印されて居るし、それをどうにかする為の物だと言い訳出来る範疇だと言う事にする。そして、探査を行い、それらしい場所を見付ける。

『アーバーン。行くぞ。此処から千数百㎞離れた海上に船が有って。その中にそれらしいのが居る』

『解ったわ。行きましょう……相手が転移転送持って無かったら先制で船壊そうかしら?』

『だな。それで行こう』

 変態行為をしたか?流石に女性と融合した状況で、更に他の女性に手を出す気はないと言うか、要は浮気を堂々と自分の彼女とか妻とかの目の前でやれる精神なんて俺には無い。それはさておき、……既に戦闘になっているな。天空神エアデー=ローダー。……天空都市を創る側に着いた神格個体。知る限りは、……能力は端的に言えば全ての空は彼だ。それは、天候制御では無く、空と言う概念その物だ。その構成物は全て支配下に有る。……それこそ世界その物を壊さない限り、どんな攻撃をされようが問題は無く、空にある物の全てを自分として操る。空を飛ぶ奴とか物は全て彼の制御の力が及ぶ。まあ、それ故に少しジャンプするだけで、攻撃を当てられる。命中率が壊滅的な能力でも余裕で当てられる。……だが、その巨体故にスケールが一定以下の能力はほぼ効かない。毒で例えるならば、その対象者がデカすぎる結果、効果を効かせるのに必要な毒量が異常に多い的な意味で。威力が相手基準で変動する奴とか、効く奴も無くは無いのだろうが、一定スケール以下は論外スペックだ。……これは前提の基礎ステータスの話で、彼の戦闘力の話はあくまでも別の話だからな……。……神格個体と連続同時戦闘とか、相手には同情するが、是非も無い。まあ、今の説明した能力は要するにスペックの足りない奴に対する足切りの為の能力でしか無く、格上にそれだけで問答無用に勝てると言う根拠にするのは厳しいと思う。まあ、いくつかある内の売りの一つが機能しないと言うだけで、能力が全部それで終わる訳では無い訳だが。戦闘の様子を見る。……ふむ。空に触れていると攻撃をゼロ距離で叩き込まれるから船と存在を合成し、空にと言うか空気に己が触れていない状況で船の艤装で戦う、と。……いや、防御力が高い物に相手の攻撃を受けさせて戦う。うん。そう解釈すればゲームだとド定番の部類の戦法だろう。……只、それと存在合成レベルの事をしないと、防御ガン無視で空間からのゼロ距離攻撃を受ける形なので、もう本人自体が攻撃に耐えられるくらいに成らないと、後は海中か地中に逃げでもしないとひたすらに攻撃を受け続けるだけに成る。そして反撃しようにもスケール的な意味で足切りが有る。それを超えられて初めて勝負に成る。……改めて考えると雑魚狩り特化過ぎないかな、これは……。……いや、そんなに数の居ない神格個体の一角なのだから、自分が圧倒的に格上だと言う事を前提に能力を組んでも大抵の場合は何とか成るのだろうし、実際に神格個体に成れるレベルの奴以下のレベルの相手にならば大抵には勝てるのかもしれない。……それに付け加えるならば、理屈はどうあれ封印し損ねられている訳だしな。……もしや封印能力で封印する際に入れる空間のサイズ的な問題だろうか?デカすぎて封印能力空間のキャパシティーオーバーとか的な意味で。……只のゲームなら一つのアイテムの一ストレージ占有するだけで済むだろうけど、現実でそうは行かないよな……。神格個体に大量に喧嘩を同時に売るとか、勝算がそれなりに無ければ自殺行為でしか無い。……全員封印能力で封印して、世界中は俺達の物だ……を、しようとしたら、何かしらの理由で封印能力から抜け出す奴がそれなりに出ちゃいました……。と言うのが今の状況なのだと思う。もし自分が相手の立場なら泣きたいだろこれは。……いや、流石にデカいから入りませんでしたとか流石に無理があるか?……いや、それは無いな。世界中の奴の隠し札含めた詳細スペック把握でも出来ないと計算違いは起きるだろうが、もしそれが出来るならこうは成って無い……他を考慮し無いにしても、そもそも此方の事前の撃破に失敗した時点で破綻が確定していた内容だしな……。

『……何というか、これ、介入する必要有る?普通に倒せるよな』

『格下狩り用能力がメインウエポンとか、格上と戦う時はどうするの?検案だけどね』

『しかし、封印能力がある以上部分的に捕獲とかされないか?これは』

『星を囲えるレベルの封印能力が有るなら、そもそも戦うまでも無いわ。感知されないほどに遠くに、大規模に封印能力を展開してしまえば良いのだし』

『それをやれるなら今回の話が根底から崩れる奴だろ。星の外に出られる様な奴以外には何の意味も無い封印でも有るし、大規模な割に割に合わないだろ、それだとさ』

『……ただ単に空間を囲い、閉じ込める空間の規模をデカくし過ぎても、それだと封印の意味が無さすぎると言う奴ね。だから、封印空間はある程度狭く成って居た。でも、それよりも彼は大きすぎた……と。……なら取るべきは異世界への追放の方がマシよね、それだと』

『……だが、それがもしも出来るなら、この世界だけに拘る必要性なんて私怨くらいだろう。今回の話としてはそれが原因として、ちゃんと上げられる前提条件な状況では有るのだし』

『そもそもある程度以上の規模の場所に閉じ込める封印能力は、極端に大きい奴に対して以外には意味が無さ過ぎる。なら彼を閉じ込められる奴を創っていたのなら、他にとっては殆ど意味が無い物に成って居た……と言う訳ね……もうデカすぎて計算違いを起こしたと言う話で終わるのでしょうけど』

『今の話を踏まえると……大地か何かの神格個体辺りも封印能力から逃れられてそうだが……封印能力の空間に一部分だけを納めれば全部潰せるタイプの奴しか居ない訳じゃないだろうに』

『……星その物の神格個体が居るなら、それこそ星を丸ごと封印能力圏内にでもしないと意味無いでしょうけど……流石にそのレベルの奴は居ないでしょう……但し、私達の土系バージョンの奴は居るかもしれないわ』

『……ならこれに介入して来ても良いはずだが』

「呼んだだろうか?水神夫婦どの」

 そしたら地殻変動でも起きたのか、近くにいつの間にか小島が発生し、そこに小人が居た。

「うぉっ。……おいおい……超速地殻変動かよ……あなたが大地の神格個体と言う事か?」

「如何にも。……私はガイアと名乗りたい所ですが、テラ=マーテルと名乗らせて頂きます」

「大地の神とかよくなる気に成ったな。四六時中誰かに踏まれて生きている様な物だろ?」

「……大地が産出するものは全て私の支配下なので、相応の対価は頂いていますよ」

「まあ、そうなるな。天然鉱石系全掌握可能と考えれば資産的にはお釣りが来るか……」

「おい。お三方。来たのなら加勢してくれ。それが嫌ならせめてどちら側なのかを示せよ」

「俺達は今回の事を止めに来た。封印能力を壊しに来た側だ」

「私は……今回の件で一定以上の力を提示した者達の顔を見に来ただけですね。首謀者は問題なく倒せそうですし」

「「……」」

「ははは、なら、水神、船を沈めさせるから、拘束しちまいな」

「……解った。但、転移や転送はどうする?」

「この状況で転移や転送した所で逃げ場なんて有るか?」

「……条件付きでとは言え、確かに」

 最初期にそれを創った奴側や最初期から参加する奴から見れば、最初期は大抵の利権が手付かずのまま残っている。……なら、それを確保し無い手はない。……まあ、こう出来たのは俺個人からすれば、結果論なのだが。こう出来ると事前に知っていたならば、他の似た形式の奴だって先に創っているからな……。其処で船のエネルギー反応が増していく。

「……ちょっと不味いわね。要は封印能力の空間が足りなかったから逃れられたなら、その空間を拡張して、再試行すれば良いだけなのだし、時間を稼がれると不味いわよ」

「……ああ、じゃあ、先に潰そう。天空上でやる以上は俺の力が及ぶからな」

「……ええ……」

「これで終了、と」

「……」

「メタ視点的には此処は閉じ込められて、どうこうと言う流れでは?とは思うが、さて、どう解除しようか。通常の解除方法に術者が必要な場合、殺すのはそれが出来なかったらの話で良い訳だが」

「強制終了させれば良いのでは無いかしら?」

「精神にダイレクトアタックする力が使われている時に、その力の制御を暴走させたならどうなる?精密機械を強制終了させるような物だろうと思うが。極力はそうはしたく無い」

『……神格個体様方その事に於いて提案が有ります』

「……場合によっては潰すよ?首謀者共」

『現在の世界の状況は把握していることかと思いますが、それをどうにかする為の手段としてこれは成立します。何なら貴方様方の主張をそれに乗せる事だって』

「……はぁ……せめてもの悪あがきとして、此方の奴らの道ずれを狙って来るなよ。それに乗ったら此方は其方の共犯者扱いに成るだろうが」

『……そもそも私共は劣悪な環境にさらされた者達です。ですから、それをどうにかする為の物がこれです』

「……住み分けの話が出ている時に、それらに乗らずにダイレクトアタックする事を選んだくせに、か?」

『迫害の精神自体はそれでは無くなりません』

「嫌な物に関わらなくても良いようにすると言う事が回答として足りないのか?」

『貴方方みたいに数千億単位の規模のプロジェクトを簡単に動かせるなら苦労しません。完璧に住み分けろ。要は僻地の山奥とかに籠るとかの事ですが、娯楽全般から離れろとか、とても詰まらないではないですか』

「……確かにそれは嫌なのは解るけれども、……今回の能力を娯楽に使えば十分に色々と楽しめたはずだが?」

『……色々とされたのに黙って遠ざかるだけとか詰まらないじゃ無いですか』

「……場合によってはそれらが必要な時も有る。我々は結局の話として人間から産まれた存在でしか無くて、全面戦争とかに成れば、それが目的の奴隷的な個体も生まれるだろう」

『だからと放置するのですか?』

「人間と我々はそもそも生物としての前提が違う。まるでゲームのNPCがこの世界で言う人間で、我々はゲームで言うプレイヤー側だ。我々側だけ何度でも蘇生が出来る以上は」

『……なら好き勝手やればいい』

「世界がゲームに例えられる状況でも、この世界はゲームでは無い。蘇生も人間依存の方法も有るし、ジェノサイドをやろうものなら同族の首を締める結果の行為に成りかねない」

『……長い目で見ると不利益にしか成らないから、放置、ですか?』

「……じゃあ敵も味方も殺しまくる様な事を貴様らはやりたいのか?』

『……だから殺しては居ませんよ』

「……最終的な結果論的に限る話だろ、それは。……で、封印能力を解くか?」

『そうしたら我々は死ぬような状況に成りますよね?』

「確かに。だが、死ぬ訳じゃ無い様にはまだ出来る余地が有る」

『……』

「さて、交渉と行こうか。」

『……何が望みでございましょうか』

「端的に言えば今回の封印能力の技術の提供。天空都市や、海底都市に置いて、娯楽としてそれが使えれば其処の娯楽が少ないと言う問題が一気に解決する」

『……嫌だと言ったら?』

「他に出せる物次第だな」

『……どちらにせよ死にたくなければ何かしらの条件を飲むしか無いでございますか』

「ああ、そうだ。交渉が決裂するなら貴様らを始末する選択肢も此方には有る、が……只々始末するだけなのは惜しいとは思えるレベルの物だからな」

「天空神……技術提供を受けるとして、こいつらがそれらに細工をする可能性はどうするつもり?」

「そしたらまた再戦するだけ。こいつらがコンテンツを問題無く提供し続ける限りは良い。そうしている事自体が刑罰扱いにする。ボランティアでコンテンツを提供し続けろ」

『つまり、奴隷に成れ、と?』

「いや、ゲームで言う運営側にボランティアで成れと言って居る。当然、監視付きでな」

『……そうしたら何が貰えるだろうか?』

「今回の事に対する刑罰を貴様らに受けさせる。という大義名分で貴様らを保護する。但し、此方にも益が有る間だけな」

『保護し続けて貰いたければ我々が有益なのを示せ、と』

「どちらにも悪い話では無いだろ?少なくともこのまま殺されるよりかは」

『……解りました。では我々を別所に移動させてください』

「おう。解った」

 ……そして封印は解かれ、天空都市と海底都市に分けて今回の首謀者共は収監される事に成った。……裏切りには気を付けるべきだが、……此処でそうしたら、次には交渉なんて通じない覚悟でやる必要が出るし、少なくともすぐにどうこうとは成らないだろう。

 さて、その設備はそれなりに盛況な様だ。どうせ虚構なのだからと、ガバガバ理論やご都合主義が横行するのも構わないと言えば構わないが、戦闘系の話で勝つ根拠がガバガバだと、勝ったと言う事にしたいだけの作話上の都合感が出てなんか、ねえ?いや、寝て見る夢なんてそんな物だ。と言えばそれまでの話でしかないが、……大抵の娯楽の代替物な以上は、それだと白けるとしか言えないだろう。それが現実その物である必要は無いけれど、それを信じさせるだけの物は提示しろと言う話で、内容に解りやす過ぎる粗が有っても、それらに対して没入なんて出来るのか?と言う話。要は八百長の試合を見せられても楽しめるか?と言う問題と似たような物だ。それは現実でも創作でも言える事なはず。……八百長でもしないとそう言う欲を満たせない奴にはそう言うのも需要は有るのかも知れないけれど……。要は勝負で接待プレイをされて満足ならそれで良いのでは無いかな、としかね。わざわざ全部手札が解る形で開示されているし。技量は自分の方が上なのが前提で、相手の能力のメタも全部揃えた。だから勝てる。……それが事実ならば確かに正しい。だけど、戦闘の技量が相手よりも自分が上で有ると言う根拠は何処から来る物なのだろう?……これはある意味海獣討伐戦時の自分をディスっているけど、あれは相手が格上でも問題無い方法としての物だし、相手が格上でも格下でも問題無い方法論は出せたので、それとはまた別の話だろう。自分が格上なのが前提の方法論は相手が格上なら前提が崩れる的な意味で破綻するのに、それで絶対勝てると思うなら良いのでは無いかなと思う。要はレベリングをしてから再戦するだけで通じないと主張出来る内容と言う事なのに。此方はレベリングするのに相手のレベルは据え置き?敵がゲームのラスボス的な思考の奴ばかりならそれも有り得るだろうけど、ね。

 まあ、話が長く成ったが、要するにそれがもし虚構でしかなくとも、只の妄想の産物でも、提供する以上は最低限のリアリティーぐらいは確保しろと言うだけ。そうでもないと見る上で没入感も何も無くなるし、それでもし煽られて居るのだとしても、ツッコミ所しか無い内容に成るのだし、アレだな、煽り文に誤字を見付けた様な気分に成る……。

「水霧、これから、どうしようか」

「アーバーンか。一先ず今は海底都市の運営優先で良いだろ。表向きは首謀者を全員捕らえた事に成るのだし」

「件の奴の検閲にでも行く?」

「悪意込みで運営されている可能性を考慮するならまだ使わない。少なくともまだ暫くは様子見をしてからかな」

「解ったわ。使い方次第で大抵の娯楽の代替物に成り得るものとか、直ぐにやりたいけどね」

『場合によっては技術を盗んで此方側で自前に用意して創るまではやらない形にした方が無難なのかもしれんがね』

『……それは酷くないかしら?』

『これは相手も承知済みだよ。アレはそう言うのも含む交渉内容だったのだし、ずっと保護するとは別に言って無いし。交渉材料の無い亡命者とか碌な交渉出来ないだろと言うのは異能なんて有っても無くても関係無いがね』

『……それはそうだけど』

『さて、海底都市の運営に戻るか』

『……そうね……』


 そもそもの話としてだけど、仮に設定での他へのマウントをするなら、相手の設定は考慮しないと意味が無い。それを考慮しないなら只の案山子を殴っているのと変わらない。それが無いと、要は自分の方が格上だから貴様には勝てる、勝てた……と言う事にしたいだけに成る。それを互いに言い出すと、最早只の子供の喧嘩だろうに。相手の設定を無視して倒せましたとか言い出すと、その真逆も通せる事に成る。まあ、それだとどんな設定を創ろうが不毛で無駄だな。どんな設定創ろうがそれに根拠抜きで俺は勝てると言うだけで勝てるのなら、議論自体、そもそも意味が無い状況に成るし……。最強のだけにでも勝てれば良いのなら、指定の奴にだけ勝てると言うだけの設定や、専門ガンメタ系能力設定が有れば良い。だから沢山の奴に勝たなくても良いのならば、どんな設定が来ようが設定マウント的には無意味だろう。どんな設定出されようがそれに勝てる設定と言う設定にすれば勝てるのだからな。……まあ、これは設定勝負のみならばの話。現実的に考えれば、専門ガンメタ能力しか持って無いし、使えないとか、その対象者以外との能力勝負的には只の無能力者と同じだし、足手纏いも良い所だろうけど。何せ設定的には対象者以外との勝負を捨てるレベルの設定な訳だし。

まあ、何が言いたいかって、専門ガンメタ設定作れば最強扱いの奴にも設定的には勝てるのかも知れないけど、それは他に対する勝率捨てているし、それなりの量の奴らに勝てる奴の方が最強では無くともマシと言う奴。……はぁ……召喚システムでは召喚者は自分の召喚した奴の再召喚が可能。……これだけならゲームならサモナーとかにありがちな部類の設定だが、……その召喚された者達が人間相応の人権を得ようとするか、与えようとしたらどうなるか?今回の話は、結局はそう言う話だ。……。しかし、幾ら死んでも復活が出来るから、召喚された奴らや自分をプレイヤー側認定して、人間をゲームで言うNPC扱い、か。……認識の溝は深い。ゲームで例えれば、確かに何回も復活出来る存在がプレイヤー側だけのパターンは多い。そう言う話にしたいのではなく、ゲームで例えるとその状況が合致してしまう。……はぁ、人間と召喚された人々を陣営で完全に分けるとしたら、……復活手段を握るのは召喚された人々だけなのもまた確か。……俺みたいなタイプの奴はどちらに付けと言うのか、ね。……そして話に出ていた敵を大量に殺すには敵や味方を含めた虐殺云々も……結局は蘇生手段や復活手段が召喚された人々側に不足無く揃えばどうなることやら。

「……水霧……その話を海底都市の運営する側に回っているのに迷うのですか?」

「盗品するのを批判為に人の物を盗んでは批判してもブーメランでしか無いけど、……相手がどんな設定出そうが、それを成立出来なくする能力が最強……とか、身も蓋も無いな」

「そう言う戦闘が面白いかはさておき相手が倒せれば良いだけなのならそれもまた正しいわよ。それに、創作的には矛盾する効果の能力をぶつけて対処、とかをやるにしても、他人の創作側では真逆の結果でもおかしくないもの。何せそれは作者側のさじ加減次第でしか無いのだし」

「……そりゃあそうだ。まあ、だから相手のスペックを考慮しないで問題無い攻略法以外は対処する側がスペックを盛れば対処出来る。……それを言い出すと、身も蓋もないが」

「要は例外を後出しして、それが全てに当てはまるとか言い出すような事に成るものね」

「矛盾する効果の能力勝負なんて、作話上は作者側の匙加減でしか無い。それを踏まえると、自分で話を創るなら、シンプルに何もかも、全てを破壊する能力が有れば良い。対抗能力?それも壊すよ。で、終わり。それを言い出すともう身も蓋も無さ過ぎる……」

「……別にプロレスやっている訳じゃ無いから良いのじゃ無いかしら」

「……特に相手の話も何もない一発KO話がひたすら続くだけの勝負話とか面白味が有るかと言われるとね……」

「それ以外をメインに置くならと前置きすればそれをやっている有名作品は有るわよね」

「それはそれ以外の要素が良かっただけの話な訳だし……」

『私たちの場合、前提条件的な意味で巻き戻しとかを受けても制御力が無くなる=飽和現

象による事象キャンセルが発動すると言う事だから、神格個体に成ったタイミングより前には戻りようは無いのよね』

『……まあ逆に言えばそう言う力は他に此方が対策しないならそれよりも少し後までには戻せると言う事では有る。そうされた所で意図的に制御を放棄して事象キャンセルを起こせば良いだけだし、自分の制御下でそれを行うなら、そんな心配は必要無いがね』

『……そう考えるとケールハイトの能力ってそれの利便性を上げただけの能力よね……』

『……他の特殊能力を得られる様な条件じゃ無さ過ぎるから、それはしょうがないだろ』

『実際に考えると相手の全てを制御する様なレベルの力でも無いと現実問題として無理よね。そう言う能力を使う奴は使えると前提として主張するでしょうけど』

『まあ要するに相手を制御するようなのは格上には殆ど効かないと言う話で終わる。それをする為の力が相手側の方が強いが故に、それをするのに必要な必要量が増えて足りなくなるのだからな。……そう言うのがメインの創作的にはそれでもそう出来ると言う所だが、それは水掛け論的解法で互いに潰せる話だし』

『でも大抵の能力相手に水掛け論的解法をぶつけられる能力って強くないかしら?』

『……それは逆に言えば大抵の能力に水掛け論的解法でやられる事の裏返しだろうが』

『……うわぁ』

『そう言えば例外はなくはないか。巻き戻しの場合、巻き戻しの過程の間に起きる飽和現象で起きる事象キャンセルに、巻き戻しの力が当たるから其処で事象キャンセルされて終了する。と、言う物。なら、直接的にそれよりも前の状態に巻き戻し以外の方法論で戻してしまえば良い……まあ、これがもし仮に出来ると言うのなら、そもそもそう言う手段をしなくとも倒せる状況なはずだからな。エネルギーの制御する力を潰せて、その結果起きるエネルギーの飽和現象も潰せて……単なる戦闘で、撃破目的なら、最早普通に倒せばいいだろ的なレベルの行為を必要とする訳だが』

『……二次創作的にはそうされるパターンよね、それ』

『いや、要するにこれは相手の起こす現象を全て上回り、潰せる力が有れば倒せると言う、負ける事で有利な状況にするとかの一部除き、大抵の奴に言える事でしか無い訳なのだが』

『本当に身も蓋も無いわね……』

『ついでに言えば、ゲームって負けイベントが有る奴有るだろ?どれだけ攻撃をしようが、HPゲージにプロテクト掛かっている奴とか。HPゲージプロテクトを能力として使えたら、通常の範疇の敵には負け無くね?』

『通常の範疇が何処までを指すかに依るけど、それはあくまでも負けないだけで、勝てるかは別問題よね。それよりもゲーム的な理屈が通用するなら、勝敗判定改編のほうが早くないかしら?負けても相手に敗北判定を押し付けて話を進行させるって奴。……まあ現実的には相手を倒せた訳じゃ無いから、相手に勝ったと言う喧伝をするだけの能力に成る気がするけど』

『……それで勝てたとして、それは勝ったと言えるのか?』

『ゲーム的ルールが全ての世界なら、そうね。相手に強制サレンダー処理を発生させる能力でも良いけど』

『……もう一度言うぞ。それは勝ったと言えるのか?』

『一応システム的には勝ちよ。それに納得出来るかはまた別の問題だけど』

『身も蓋も無くて草枯れるよ、これ……もう強さ関係ないし』

『議論の余地がある能力だと反論が出来るなら、議論の余地のないクソ能力を出さないと話が終わらないもの。この能力はあくまでもゲーム的世界でしか通用しない理屈だけどね』

『仮に完全に陣営を人間と召喚された人々で分けるなら、人間側の前提として取るべきなのは他者の回復や蘇生や復活能力を全部殺害なり、封印なりする事か自分側にも該当能力の奴を大量に創る事。前者はやらなければ幾ら倒しても無駄だけど、もし後者をやるならば、ダブルスタンダード的な状況に成る。似た能力の奴達を一部は優遇して他の者を絶対死すべしとする事に成るのだし、果たしてそれが裏切り行為が発生しない保証が百パーセントだと言える状況に成るかは疑問だ。隠蔽するにも限界が有る訳だしな』

『……なら何故人間側は融和政策をやらないのかしら?』

『そもそも国際会議で触れられていたが、幾らでも量産化出来る存在に人間側と同じ人権を完全に与えると、それだけで政治体制が壊れるレベルの事が可能な状況に成る事が最悪だ。人間側と同等の人権を無制限に政治家側が与えたらそいつらに依って政治家としてのポストを選挙の数の暴力的な意味で簡単に奪われかねないのだからな。故に政治家の都合上、国民選挙でもし無い限りはそれを覆すのは無理だが、その国民選挙をやると決めるのも政治家な訳で』

『まあだからこそ住み分けをしようと言う話が成立するのよね。人権を認めない理由の事の前提は、人権を認める事で起きる不都合な事にさせないようにする為なら、全く別枠の国を新しく創れば、その事情が有っても問題無い様に仕組みを根本から自由に調整出来る。……もしも召喚された人々が少数でしか無い形で有ったのなら、何処かの土地を買って後は召喚された人々が其処に籠るだけで話は済んだのだけど……そうじゃないから、それらを大規模にしないと話が成立し無い訳だし』

『要するにそれは、召喚された人々と言うのが存在として成立させる為の高い難易度とか、レアリティが高ければこう言う話に成らなかった訳だが……難易度やレアリティが高いと一部のそう言うのは関係無しに元から才能持ち以外には召喚なんて実質不可能な訳だし……後再召喚可能設定もゲームでなら良くある設定としか言えないのが結果的に凶悪な意味に成っているし……何だろう、この、誰にでも自由に新しい存在を作れるし、それが基本的には損失はしない(但しそれに関係無く産まれた奴は除く)世界……。()内を除けば誰かの妄想で普通に有りそうな題材なのに、もし仮に全面戦争に成ったのなら、人間側には地獄でしか無いな、これ。……。設計する時点で召喚される奴に何らかの形で制限加えとくべき内容だろこれは』

『……。その制限を設ける事も創る側に一任されて居るし、設計上、設定を召喚される側がある程度棄却可能なのよ?まあ無理よね、そう言うのは……。それこそ召喚システムを自分で創れない限りは』

『……一応、疑似召喚システムなら手中に有る訳だがね……』

『それが有るからどうするって言うのは簡単で、それを使って、召喚システムに干渉して、システム編纂に挑めば良いけど……立場的に自分の首を絞めるだけよね。そのシステム的な力で神格個体にまで成っているのだし、その基盤を自ら崩すなんて真似は流石に……』

『それをやれる奴にはやる意味が無い事が現状を変えるために必要な事とか、意地が悪いとしか言えないな……それで全部終わりと言う保証も無いのだから、仮に神格個体の力を捨てて、システム編纂しましたが、他の神格個体の力はほぼそのままでした。とか成ったら……まあ殺されるよね。他の神格個体側にさ』

『問題は其処なのよね……』

『それはさて置いて、一先ずエネルギーの飽和現象でも起こして置こうか。時間巻き戻しの対策にでもさ』

『解ったわ。やって置きましょう』

 そして飽和現象を意図的に起こす。……一先ず、それの飽和現象に依る事象キャンセルには特に反応無し。これで夢の中に実は入らされていた展開は無いだろう。後念の為システムブレイカーも、と。よし、問題無し、と。これからは定期的にやるとしよう。……実際無双ゲームのプレイヤー側的挙動を召喚システムから産まれた人々を相手に人間側がかなりの人数が出来るのでも無ければ、全面戦争をやるなら割に合わないパワーバランスに成るのじゃ無いかな、と思う。それが出来る奴側だけが一度死んだら終わりなのだし。少なくともそれ込みで互角な状況では論外だろう。例えば無能力でどんな能力にも勝てる奴しか居ないとは思えないしね……。ゲーム的には人間側がある程度格上でも無いと前提条件的に論外な訳だ。……。そもそも異能自体は大抵の奴がその倒す対象達から貰った力に成るのに、それで格上と名乗るとか、まあ、うん。ある程度以上相手より格上で初めて勝負として成り立つ話で俺の方が格上だから俺の方が凄いぞとか言われても、過ぎるな。実際問題として、範囲攻撃への対処が出来ないと回避に能力全振りは厳しいが、復活出来る前提で相討ちを狙うのも召喚された人々側は有りだよな。……つまり入れば自分でも死ぬ様なギミックを組んだ上で、其処に逃げ込み敵を誘い込む。入ればそのギミックを発動して、その過程で、自分が死んでも相手も死ねばそれで勝ち。自爆技系等の能力は蘇生の手間が掛かるだけで、実質ノーリスク。つまり根本的に取れる手段に制限がある程度人間側よりも外れている。……取れる手法や手段の量の差が大きい。最強議論的には致命的な気がするこれをどうにかしないと、人間側には勝ち目は無いのだ。……と言うのは後先考えずに、大規模殺戮兵器を乱発する等とかして、いわゆるヒーラー系の能力持ち達を先に全滅させなければの話。……まあ其処迄やっても相手側に能力持ちが膨大に居るのは変わらないが、少なくとも互いに殺せばそれで終わりの状況には出来るのだと思う。そのレベルの綱渡りをもし、やれても、やっと初めてイーブンなのだから、勝ち目が低いとしか言えないが。……自己復活?封印とかで何とかするのじゃ無いかな。……はぁあ……真面目に戦争やって人間側の大勝利……展開なんて無理だろこれ、感が凄いな。もし人間側に付くなら、召喚システムに介入して、召喚された人々に対してどうこうとすると言う事を出来るならば、何とか勝ち目は有るか?と言う程度。……だがそれは、召喚された人々の人権保護の名目を掲げていた奴側の方に居た奴のする事か?過ぎる訳で。要するにそれを此方がやることで人間側にもし勝たせても、その後の扱いがアレに成る気しかしない。……はぁ。これでは俺はもし人間側に付く場合俺が原因に成る形で勝ったとしても得し無い。でも人間を虐殺したい訳じゃ無い。……戦争が起きる前に止めるか、戦争に不干渉の中立か、そもそも戦争前に事前に逃げるかした方がマシと見た。

『どちらの方にも勝ち筋を与えられる立場なのに中立とかふざけていると思うけど?』

『俺みたいな立場の奴、つまり、人間から人外に成った奴は何方側にも付く権利が有るけど、何方が勝ってもアレな状況に成る。両陣営がある意味では自分と同族なのだから。だから、中立の立場を取るのが一番無難なのは間違い無い。……勝ち残った側から、負けた側の奴扱いされる可能性も十分に有るがね』

『……全面戦争に成ったら特殊空間に逃げる能力の奴でも創らないかしら?其処に逃げた方がマシ検案な気がするわ』

『はぁ……そう出来るならそうしたいけど、システム作成者がそれを許すとは思えないな』

『……私が貴方をその体にしたから、よね、これは』

『……今迄散々それに助けられて来た。……今更それで恨み言を言うのは違うだろう。……そもそもこの体が無ければ出来なかった事が出来た事全般自体が君のお陰だから、それを無視して、批判だけするなんて、ね』

『…………』

『……さて、どうするか話し合うとしようか。一先ずの案としては似た状況の奴らに協力を打診する事……だが展開次第で、協力は厳しい気がする。全面戦争の主力が海底都市の奴らに成るのなら、此方が海底都市を創る話を途中で潰すようにしてれば、そうは成らなかったのだし』

『……だからって人権問題をそのままにしているのが正しかったなんて理屈は認めないわ』

『……創作に置いての奴隷解放がアレなシナリオに成りやすい理由の一つは、奴隷制度を前提として成立する社会構造にしているのに、それの代案を提示せずに奴隷制の撤廃だけをするから。その点に置いて代案の提示と言う事は出来ては居るはず。でも、……その結果、その話的に例えるなら、元奴隷の大規模結託が成立した形な訳だ。俺らと同類の奴らに其処を突かれると、協力して貰うのは厳しいと言わざるを得ない。これはあくまでも、全面戦争展開の前提基盤に海底都市が成ったら、の話だけどね。全面戦争を避け無いとそうなるのは濃厚な訳だが』

『大規模結託したから何よ?それとも、個々が勝手に酷い目に会えとでも言うのかしら?』

『それ自体が悪いとは言って無い。だが、人外化した奴らは強さ的にはトップ層もそれなりに居るはずで、海底都市の関連が無くても自分の周りの事を如何にか出来た奴の可能性が高い。つまり俺らと似た立場の奴からしてみれば、海底都市が原因で全面戦争展開に成るなら余計な事をしやがって、と思いそうな訳だ。それが無ければ万事上手く行っていたろうし』

『つまり、ピラミッドを組み上げていたらその台座を卓袱台返しされた状況に成る訳?』

『ああ、海底都市が原因基盤で全面戦争展開に成るなら、此方がそうした形に成る。それで友好的に成れる期待は流石にしない方がマシだと思う』

『……全面戦争展開だけは避け無いとだけど、これ以上何をやれば良いのかしら……』

『……戦争展開を止めても遺恨が消える訳じゃ無い。裁判をするのも人権問題的な意味で難しい。……だからと個々に必要最低限の報復行動を取らせるにも、それをやる人数的に、只の侵略行為的に扱われかねないし。でも、その展開は非常に不味い……』

『……要は全面戦争に成らなければ良いのよね?』

『……小規模な戦争を起こすって?』

『そうじゃなくて、人間も召喚された人々も参加出来る大規模に戦う形の大会でも開くのよ。それなら互いに取って相手をぶん殴る良い機会に成るはず』

『……それをやれば娯楽にも成るか。……よし。それで行こう』

 そして準備に取り掛かることにした。……実績とかを考慮すると召喚された人々に味方する展開でも受け入れられる可能性はある程度有るけど、そうならない場合も考慮しないとね。


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