第5話未定

 システム再編と領土拡張に追われて一ヶ月が経った頃。世界に他の空間と繋がる巨大なゲートを開く奴が出たわ……。正直言って正気の沙汰では無いと思うわ。それでこの世界より文明レベルが進んでいたり魔法的にヤバイ所と繋がったりすると、まあ食い物にされるわよね。案の定化物がそのゲートからは溢れ出した。……既存作品にそう言う展開の奴が普通に有るのに何でそんな真似をしたのか犯人に問い詰めたいけど、今はそれよりも化物の対処を……え?身内に対して助けを入れる以外は対処しに行くな?……召喚された人々に対しての軽視に思想に対して良い薬?水霧、まさか貴方が仕掛けた訳じゃ無いわよね?

「俺がやった訳じゃ無い。召喚システム干渉能力持ちなら心当たりが有るけどな。他の世界の化物と言う割にはこの世界の神話生物染みすぎている。……同じ世界の存在だから同じエネルギー反応なだけかもしれないし、この世界に化物が入る為に必要な何かが同じエネルギー反応を発生させているのかもしれない。後者なら、核と成る物を壊せば侵入している神話生物達に痛手をぶつけられるからゲートを壊せば解決迄有り得るが、一先ずは最低限だけ助けたら静観だな」

「……解ったわ。なら軍側に行きましょう」

「おう」

 そして所属している軍部に転移して移動し、話を聞く。その話を要約すれば、只々人類はやられている訳では無いのだが、只の人間に対処出来るレベルを超えているのがざらに居て、だが、召喚された人々に協力を拒否される奴がそれなりに出たため、貯蓄兵器が尽きるとヤバイ事に成る国がある程度有る様ね。……まあ召喚システムを排除する流れにするのならそれはそれで選択肢としては有りだったかも知れないわ。……でもそれが長い間完遂出来なければ排除派は毒を以て毒を制す思想の奴でも無いと召喚システムは使わず、それ故に能力を持てず。でも他は普通に使うし、システムで相手側だけが戦力のレベルアップも相応にされる。召喚システムを排除する流れにしたいなら最初期の段階で迅速に行うべきで、それが出来なかったのに召喚システムに頼らず、でも思想はそのまま。……良いカモと認識されても可笑しくは無い状況よね。リアルタイムストラテジーゲームに参加しているのに、自分だけレベルを上げるのを拒否した様な物なのだから。しかし、住民を大量に殺す、ね……。レベリングをする為と言うには集中育成とは言えない感じのそれだし……。

「住民を助けると一言で言っても、相手は神話生物が山盛り。……戦力比率的には普通に勝てないが」

其処で軍側の支部長が割り込んで来る。

「水霧。それはアレを使わなければ、だろ?今のタイミングならどうとでもごまかせる。文句を言うなら助けるのを止めるだけで良いし、それに恩に着させる為にある程度は静観しとくのは悪くは無いだろう」

「……それは準備が整って無いのですよ」

「それはあくまでそれを開示する事で全面戦争が起きる場合の試算としての話。だが、今なら対抗の為に力を使ったと言う大義名分が出来る。違うか?」

「……胸糞系のストーリーだと、助けた事それ自体は感謝するが、それはそれとして、手前を排斥するとか成りますが」

「……今ならその場合にも行ける場所はあるだろう?」

「……それで魔王にでも成れと?」

「ははは、そう言うのじゃ無い。但し、今回の事が単に他の世界とのゲートを開いたのか、単に大量に存在をクラフトしただけか。これがどちらかでだいぶ違うだろう。前者なら世界は君を受け入れ無いと滅亡コースも有り得る。今回撃退できても次回の他の誰かに依って今回以上の奴が来ない保証も無いのだからな」

「……ふむ……今回の奴らに対して既に劣勢なのに、それ以上の奴が来る可能性が有り、なのに強い奴を排斥……それは確かに自殺行為ですね」

「まあ恒久的な物では無く、一時的な物だが、再び排斥の流れになる前にそう出来ない様に準備を整えれば良い。アレを解禁するならそれも問題は無いだろうし」

「少し考えてみます」

「どうせ少しは静観するのだからそれは構わないが、早めに頼むよ」

 そして話し合う事にする。

「さて、研究した結果得た疑似的召喚システムを大っぴらに使うか否か」

「やめた方が良いわ。それでどうなっても良い様に力を得たかった訳で、それで失敗したら準備無しの状態で、準備有りにしてから挑むつもりだった問題に挑むことになるのだし」

「まあ基本的には元凶が表に出てない以上はそれを使うと元凶扱いされる可能性が、だが、今回は使うことに対して大義名分が用意出来る。問題はそれで他を押し切れるか否かだ」

「それがどうなるか次第過ぎるわね。安全策で行きたいならどうなっても良い様に戦力的に万全を期してから行うべき。と、一度は判断した物なのだし」

「なら折衷案だ。疑似召喚システムでは無く何かの武器の能力で偶然有効なのが出来たとする。それでの能力は何が良いだろうか?」

「……なら、受肉潰し、ね。受肉を潰せばどんな設定の奴で有ろうが召喚システムで産まれた奴はエネルギーの塊と同じに成るわ……一部例外も有るけど」

「まあ、そもそもそれが成立するのは生命基盤が召喚システムのみの場合だしな。だから君と俺は違う訳だ」

「……まあそうなるわよね。……水の化身の召喚者が水の身体持ちとか、まあ想像できる奴も居そうだけど」

「けどさ、結局はこれ止める必要あるか?召喚された人々に対しての軽視を止めて、何かの召喚をしてそいつに頼ってしまえば此方が助けずとも逃げるくらい皆やれるはずだろう?」

「……それはそうね。……ああ、召喚システムを使わせる事が目的と言うパターンかしら?軽視と蔑視を前提に助けろとか要求しても普通に断られる気もするけど」

「……つまり、只殺す為では無く、物理的と精神的にぶん殴るための物か。改心しない奴は見捨てられ、死ぬ構図だし。……これを止める必要、本当に有るのか?」

「……召喚システムにもし何らかの裏が有るなら召喚システムを使わない人もそれなりに居るべきだけど……」

「個人で生き抜く前提なら使わないと不味いが、基本的には静観で本当に良いな、これは」

「それ自体は良いとしても、なら何故事前告知しなかったのかしら?」

「そうすると只のやらせに成るから、じゃ無いか?」

「……それでもある程度以上強い奴は倒すべき。即席である程度以上の強さの奴を凌げる奴を創れる奴しか居ないのでは無いだろうし」

「確かにそれは線引きが難しい所だしな。……私怨もそれなりに含まれているだろうから、主犯が大義名分にかこつけてそう言う奴に報復するかもしれないし」

「ならちょっと様子を見てみましょう。……但し、そう言う行動が見られたら潰す事にしましょうか。そう言うのが有るなら要は報復に大義名分が欲しいだけの…………これは私達が言える事では無いわね。なら、神話生物の行動基準側を見ましょう。精神的にぶん殴る目的なら直ぐに殺そうとはしないだろうし」

「……おいおい。そう言うのを露骨にしたら、俺らが犯人側なのを疑われるだろ。だから、介入をどの程度どのレベルで行うかだな。国の世論的に召喚システム排除で召喚している奴が居なさすぎる方に行くか?召喚システムが危険だろうから使うな。と言うだけで、……それは軽視や蔑視しているのとはまた別の問題だ」

「……そう言う国に行くと多分今回の敵側扱いされるような気がするわね。そもそも召喚システムで召喚された人々が少ない場所な訳だし、大規模介入でも無ければ召喚された人々が大体は敵なのだもの。敵意は無くとも、敵対行動されても仕方ないレベルの条件よ。例えばミサイルや砲弾撃ち込まれるかも」

「俺らが今更その程度で死ぬか過ぎるけども、……迎撃用の物を此方に対して使って大幅浪費とか成っても笑えないな。兵器生産にも能力的な補助なんて無いだろうし」

 支部長が呼びに来る。

「そろそろ良いか?」

「支部長、仮に介入するとして、どの程度、何処に介入するのが良いのですかね、これは」

「……救助活動をするなら全部やれる限りやるべきでは有るが、今回の目的だろう事からは外れるだろうな」

「……全部って」

「……そりゃあ嫌なのは解るが、正義側的な、救助側的な事をやる上で、大義名分が有れば敵側のやる大量殺戮を黙認し、許しても良いのか?的な問題が、だな……なまじっか力を持つ以上、自分の力が足りなかったから対処出来なかった的な回答はそれに相応な事をやらないと使えないだろうしね。……つまり、その回答を公式回答にするなら、それが君らの力の限界と取られる。それは不味かろう?だから選択すべきは、やらないか完璧にやるかの、0か100かだ」

「……別の言い訳が有れば良いだけですよね。なら身内だけ助けます。それ以外は無視で」

「まあ、そうなるな。さて、どう助ける?」

「支配下の水のシェアは前提条件上一位で当然。……なら、その水を使役するだけです」

 私が水霧に与えた水の身体としての前提の力は、水で身体機能を代行出来る能力。……そうでも無いと水の身体なんて色々と無理が有る物ね。結果としてはまあつまり、存在する全ての水は水霧の身体たり得る訳よ。綺麗にする工程をしなければどんなものでも汚れれば汚いけれど、それが水の制御の種な訳ね。とは言え生命存在としての前提の部類の内容だし、能力と言うか生物としての前提の機構なのよね。……魔法生物を魔法生物が成立する理由を潰してしまえば勝ちだと言うのは、殺す手段をすれば死ぬと言うだけなのだし、わざわざ誇る事でも無いし、殺せる手段の提示だけで必勝と出来るなら人間など只の雑魚に成るのよ……。要は吸血鬼の心臓に杭を打てば死ぬ。だから吸血鬼は雑魚的な主張ね。なら全て水でなくせば良いだけ?だから物質変換?それは世界中の奴を殺せるレベルの奴でも無いと失敗するわよ。水のシェアの内容物全てを別の物質にするとか結果的にかなりの奴を殺す行為でしょうし。これは私の劣化版能力だけど……能力と言うよりは、種族特性の部類ね。初期の段階で動く。それはつまり、事前情報無しで動く事。先駆者は全て楽々な訳は無い。召喚システムが使うと不味い物なのだったなら、只の愚者とされて居る部類の行為で、人体実験に名乗り出て一人勝ちする様な真似を彼はやったのよ。……そんな真似が出来る奴が平凡でたまるか。……とは思うけど、彼はそれを認めないでしょうね。場合に依っては只の愚者呼ばわりされても何も反論出来なかった内容だし。但し、既に疑似召喚システムを手に入れた以上、本来の召喚システムに悪意的な意図が有ったとしても問題無い状況には既に成っては居る訳だけど。

「さて、やるか。アーバーン、一先ず雨でも降らしてくれ。それを基盤にする」

「解ったわ。……それは助けるだけなら本来必要無いけど、救助だけでなく、攻撃にも使う物ね」

そして私は身内に事前に渡しておいたアイテムを目印にその周辺に雨を降らせる。思ったよりも広範囲に成ったわね。……雨を降らせる能力と考えると微妙な気もする。例えば毒を降らせるとかすればやりようはだいぶ広がるのだろうけど、……そうするならもう全面攻撃をした方が早いし、これは水の制御だけでやりましたと言える範囲内なのだから手札を晒した事にも成らないはず。そして水霧はそれを基盤に身内を避難させた。……神話生物?介入をしてからは他の奴目掛けて行ったわ。……大義名分的な意味で神話生物が更に庇護下対象の人を攻撃するのは違う物ね。ついでに遠隔で声を上げる。身内の事以外知るか、と。事実として私達が助けているのは私が神格を得た際のその理由の関係者のみ。神格個体に成るのは多分、恐らく……と前置きするけど、私のパターンの場合は、自分の力や存在等の飽和現象を、自分の力でねじ伏せる事が必要なのだと思うわ。飽和現象の難易度は存在に依って違い、難易度が高ければ高いほど強い神格個体に成れる。それは忖度と言うよりも、要は飽和現象の規模が強ければ強いだけ大きいと言うだけ。要するに自分の力を超える力を身に宿し、それを自分でねじ伏せ、それらによる己の変質を超えろと言う事。だから、神格個体に成るだけなら簡単ね。……相応の力が伴わなくても良いのならば、だけど。だから、水霧は低次神格個体しか創れないのでは無いのかと勝手に思っているわ。神格を持つと言う事は、あくまでも進化の結果の物なのでしょう。……でも思う事としては、その変質後のエネルギーを既に知って居るなら、それを元に作れば……いや、それだと恐らくは私の劣化コピーが産まれるだけよね。その結果を絵の具的に言えば色々な色を混ぜた結果の最初には無い色。それが大量な物が混ざり合った結果で産まれた物が神格個体のエネルギーだと言うのなら、既にその色を占有している奴が居る的な意味で同じ色の力を求めた所で、劣化コピーにしか成らない可能性が高いわ。何故なら空間上に存在する該当エネルギーは既にその元ネタ個体に占有されて居るはずだし。まあ、この理屈だと最強の到達点は黒色か灰色かに成るけどね……。あくまでもこれは絵の具に例えた場合の例えであって、実際に黒色や灰色だからどうだと言う話では無いけれど。其処に水の身体をした奴が来て、喋る。

「邪魔をするな、水神」

「思惑がどうかなんて知らないが、身内を殺すのはさせねえ」

「……。全員助けるとは言わない、か……これほどの力を持つくせに」

「そんな事は無いがね」

「……。貴様らの力を使わせて貰うぞ」

そしてそいつはこちらに攻撃をしてこようとしたので、迎撃を此方が行う。

「ドッペルゲンガー、ね。今更過ぎるが……それを相手のコピーする事に使う奴は基本的にその相手より弱い奴だ。そうでも無ければ倒すのにわざわざその相手の形態を取る必要性なんて戦力的には無いからな」

「……だとしても、貴様らと同じ姿と力を私は手に入れた。これはそう言う能力だ」

「解って無いね。それならその能力はこちらより弱い力を前提に成り立つ物でしか無いよ。仮にもしそうでないと言うならば、わざわざ使い慣れてない力で相手を倒すつもりと言う事で、つまりは舐めプだ。そのまま驕っていろ。倒してやるから」

「……ならば、これなら、どうだ?」

そしてそいつはある女性の姿に成った。

「……貴様、ふざけやがって……」

それは水霧の召喚した内のある低次神格個体に酷似しているわ。

「くくく。仲間の見た目で仲間の力を持つ奴を殺す覚悟は有るか?本人でない保証なんて此処には無いぞ?」

「……だとしても、貴様は倒す。絶対に」

「……残念ね、そいつは彼女では無いわ。それは断言出来る」

 ……私の能力に繋がって無いもの。何せ私は仲間の能力を使えるはずなのに今の目の前のこいつからはその能力的なリンクが存在しないし、本人なら別所に居るもの。そしてそのまま叩き切る。

「嘘だろ、おい……」

「最悪再召喚すれば、それで済む話だからな」

……只のドッペルゲンガーなのに今の変化している奴以外の能力を使えるはずもなく、自然に変化先の内容は召喚された人々の誰かでないと戦力として成立しない。なら再召喚してしまえば本人が操られていただけなら、再召喚して復活させてから謝り倒せば済む話なのよ。……そのまま無防備に攻撃をそいつは受けたせいで、死亡したようね……。なんかマネキンみたいに顔が無いけど……ドッペルゲンガーに顔なんて有っても邪魔なだけ……。と言う事でしょうね……。

「ああ、胸糞悪い。なんか似たのがアニメに有ったけど……正直シャレに成らんよな。憑依とか本物を別人格が操っているだけのパターンも有り得たし。……本人はどうだ?」

「問題無しね。私の力の増減も無いから大丈夫よ。只、現場に居ない奴に対して変身出来るドッペルゲンガーとか……他にも居たら不味いわ。手札を晒すしか無さそうね」

「……仮に突き抜けた最強の奴が居て、敵がある程度劣化コピーを大量に出せたなら、本人以外に対処出来る奴は少ないか……。手札の出し惜しみをしている場合じゃ無い。ドッペルゲンガー潰しを始めよう……まあ根本的な意味でアレなのだが」

 ……弱いから他の奴の力で勝とうとする。それは良いとしても、わざわざ“此方の支配下の水の身体に成って”……まあ簡単に処理出来る訳よね。……ってちょっと!

「勝てない前提で海底都市沈めに来ているわ。そちらから行きましょう」

「……解った。海水を制御しよう」

 そして制御で割り込み防御していく。

「だがそもそも海に沈めるだけで全部詰むように成る様な不味い状態の場所にしている訳は無いのだが……此方がそのセーフティーを一部しか開示してない以上、それで十分だとは思うよな……まあ此方に無限にセーフティーが有る訳でも無いから、開示部分の全部の物に対応出来る奴をある程度の回数繰り返して出されると不味いが、まだ大丈夫だろうよ。……今はまだ、だが、連続で来なければ対策を足せば良いし」

「……対策を破られる前提で考えるならもっといい案を出しなさいよ……」

「……だからと構造上の問題が何も無い訳じゃ無いしね……対策を相手が出来ない前提で考えるのだと只の慢心なのだし。一先ず大抵の奴にバフ掛けてやりに行きなよ。後、金属製の密室の中に避難勧告もさ」

「解ったわ。そうしに行く分身を創るわ。今はドッペルゲンガー潰しを大々的に優先しないと。そしてそれを喧伝しないと主犯扱いされるわ。……傍目には私達がやった様に見えるのだから」

「本当に手札を隠している余裕なんてねーな。……解っていた事では有るが、……やるぞ」

「ええ、そうね」

そして私はドッペルゲンガー達の身体の水を改めて支配し、飲み込んだ。……飲み込むとか中で暴走フラグに成りかねないけど……私の能力を再現している能力を潰す為には相手の全身の水の制御をまずは奪うのが早かったのよね。他の能力で私の能力を再現しているが故の物だから、その能力を潰すのに水を奪い尽すのを前提にすればやりやすかったからで、もし私に同じ手法を取られても私は死なないけど。……要は映像その物では無く射影機側を壊す様な物で、私にはその射影機は必要無いという感じね。

「それはとりあえず吐き出しておけ。それをエネルギー探知で見つけられて、それを根拠に糾弾されても堪らんからな」

「解ったわ」

そしてそのまま死体を廃却処分し、

「さて、他のも潰して行こうか」

そしてドッペルゲンガー達を殲滅して行く事を再開した。



 住民を避難させながら私は考える。神格個体は総じて特殊なエネルギーを扱うのだけど、……なら他の奴がそのエネルギーを生成する能力だけ創れば、神格個体の真似事が出来るかもしれない……。でももし簡単にそれが出来るなら、神格個体の定義として求められるのは特定エネルギーに対する順応適正のみに成る。……流石にそれだけで神と名乗れるなら該当者が多過ぎる気がする。生成に何らかの形で特殊な前提が有るはずなのだけど……いや、どうせ私はエネルギーの飽和現象のせいで自分ではろくにエネルギーを生成出来ないのだし、今は関係無いか。今は出来る事をやらないと。……でも……、例えば、神を膨大なエネルギーを体内に自分の物として持つ者だと定義したとする。もしも持つだけで良いのならば、格上の敵にエネルギーを使う攻撃をされる形での条件達成のパターンも有り得るから、ご都合主義的に窮地にいきなり能力を覚醒したなんて話が只の現実として不可能とは言えなくなる。でも、それだけなら、要は格下に攻撃する場合、確実に仕留めなければ成らない構図に成る。だから、それだけでは無いとして、死んでたまるかと言う意志力?いや、それが条件なら格上に殺しそこなわれた奴は全員覚醒しかねない。……なら、一定の条件を満たすエネルギーを自分の力でねじ伏せる事をやれれば良いのかしら?……なら試してみる?いや、今はそんな場合じゃ無いわね。と考えていた時に私に攻撃が当たった感触が来た。飽和現象に依って、それは消えたけど。やったのは水霊?……よくもまあ水神の領分の場所でその下位互換の奴が暴れようと思えるなとは思うけど。私は攻撃を気にせずそいつの身体を目掛けて走り寄り、掴むと同時に相手は飽和現象に巻き込まれ崩壊した。……なんか私自身だけで成立する力ではないから誇るのもアレだけど、……飽和現象に相手を巻き込むとか本当にアレよね。飽和現象に耐えられる奴でも無いと触れただけでアウト。まあでも、格上には飽和現象を普通に耐えられてしまうから、慢心は禁物だけど。……別に私には世界の法則を歪めるなんて真似は出来ない。これは要するに相手に全面的なオーバーヒートを強制しているだけなのだし、オーバーヒートさせる為の此方の出力でもオーバーヒートに至らない相手はオーバーヒートをさせる事は出来ないのよ。これが概念系では無い以上は、相手のステータスに効果は左右される訳だし。例えば世界と言う機械が有るとして、私達がその中の人工知能なら、概念系は人工知能が自分の力のみで機械側に介入する力だし。……それは私ならシステムを自分で手に入れでもしない限りは何が有ろうが不可能な様に創る。そうでないとシステムを創る意味が無いもの。……基本的に例外をいくらでも好き勝手に通されるシステムに何の意味が?という話だもの。自分が好き勝手やるための舞台装置?自分が好き勝手にやる為にそうするのに、……それの邪魔に成る他の奴も自由にさせるかしら?まあそれは良いわ。要するに、……概念系は基本的に強ければ攻略出来ると言う物ではないようであって欲しい。言葉狩りしようが何だろうが、その概念が示す内容その物自体に対しては意味が無い様な物も概念には存在するのだし。それこそ世界を作り替えるレベルの事が出来でもしない限りは。でもそんな真似なんてそれこそ神の所業よね……。これはそれが出来る奴が出て来るフラグ?……概念殺し?世界全てを根本から改編し、世界全ての奴の記憶を弄る。全ての創作を含めたら出来る奴は居るでしょうけど、……そう言う奴がわざわざ介入して来て敵対するなら、前提条件上倒す相手が違うとしか言えないわよ……。って、こんな事を考えている場合じゃ無かったわね。飽和現象に相手を巻き込む。……これが飛ばせると良いのだけど、……そもそも飽和現象の前提条件上厳しいわよね。……ん?ならアーバーンさんはどうやっているのかしら?飽和現象能力を大量に持つ以上、飽和現象が既に起きてそうだけど?……水霧さん的な意味だと水の制御が何か関係有るのかしら?……いや、まさか飽和現象が起きるレベルの奴を用意した上で、制御で飽和現象を起きなくさせられて、その結果神格を得た。とかなのかしら?……飽和現象を制御で潰して調整してその結果産まれたエネルギーこそが神格個体の前提と成るエネルギー?それに自分で辿り着く事が出来たなら神格個体相応に成れて、力も手に入れて晴れて神格個体と言う事?……つまり、神格個体のエネルギーとは相応の制御力が無いと有っても生成出来ず、使えず、その制御力等込々での神格個体認定なので、完成品のエネルギーだけを掻っ攫い使えても意味の無い類の物と言う事?……何故なら飽和現象を制御で潰しているのだから、相応の制御力が無いとそもそもそれは神格個体のエネルギーとして成立しない……のかしら……。でもそれを可能とする制御力がある奴なんて奪わずとももう自分でやれば良いわよね……。強奪と言えば、能力強奪なんて、ゲームでも無ければ相手の身体機能器官強奪と、自己への移植をやって居るような?そしてそれがどんな相手にも自由に出来て、単に殺す目的だけ的に相手の心臓奪えばもう簡単に終わりじゃ無いかしら?能力がエネルギーで全てが成立して居るのなら、それはエネルギーを奪うだけの物でも問題無くて、部位強奪が出来無いのなら別かもしれないけど……。実際問題の話として、自由な内容での部位強奪が絶対通せる前提なら、部位欠損をどうにか出来る系の奴を相手にしなければ他相手には普通に勝てるだろうし。いや、条件が成立すれば勝ち系のとかも有るのに、条件が成立する前提で考えるのもアレよね……。それだと実現が無理筋な物も可能な形で考慮しないと成らないし……。

水霊の追加の大量発生?扱うのは熱湯、水雷、水火、強酸性液体、等々。これは酷いわね。アーバーンさんはどうしているのかしら?こんなの簡単に対処出来るでしょうに。……もっと強い奴と戦っている?……ああ、もう。創作では強キャラなんて居たら全部そいつが居れば良いじゃないと成るから、展開上死んだりそいつが動けない事情が発生したりするけど、そいつに頼り切りの場合なら、そう出来なくなったらヤバイ事に成るのよね。創作的には代わりに他のキャラが埋め合わせ出来る程に強くなる物だけど、これはそうできなければ不味い状況でしか無くて。……飽和現象の制御を無理矢理やるのを試すしか無さそうね。そして後方に撤退しエネルギーの制御を試みる……と、私の中にその結果の物が流れ込んで来て、私から飛び出し、何かが産声を上げた。……まさか出産とかの能力だったりしないわよね?ええと、調べると、レリエル。懐妊とかの物を司る天使。これは貰い物の力をより集めて、神格個体のエネルギーを創ったのが、代理出産扱いされて、得た力がそれになったと言う事?……セクハラにも程があるけど、……自分の力が然程含まれていない状況の神格個体のエネルギーを創った以上、それ以外の何が私にあてはめられるかと言われるとね……。しかも神格個体と言うか天使個体だし。……まあ天使個体扱いは貰い物の力でやった以上は妥当性しかないからアレだけど。まあつまりこれは行動評価で成れるものが変わるパターンなのだとしたら、私自身に魔法的な意味で評価すべき事がそれ以外には無かった結果、これに成ったと……魔法的に自分で何も積み重ねず一足飛びで神格個体に成ろうとしたらこうなると言う事ね……。懐妊と出産が能力なのだとしたら、……仕様次第では……好きな個体を自分で自由に産むことが出来る気もするけど、そんなにそれをやりたいかと言われると……。……で、出てきたのはユニコーン、ね。……それが私から出る、ははは。

「お母さま。どうしましょうか?」

「……貴方の名前はユコ=スプリングスと言う事にしましょうか」

「解りました。基本的な情報は把握しています。では……敵を殲滅しますか?」

「……お願いね。ユコ」

「水霊ですか。ではこうしましょう」

そしてユコは空間上にエネルギーを大量に散布して行った。すると、沢山の水霊は簡単に崩れ落ちて行った。

「ユコ、何をしたの?」

「只の水の浄化です。水其の物の生命体には無理ですが、ドッペルゲンガーが元のこいつらはそうでは有りません。ですからその部分を毒扱いにして浄化致しました」

「……なるほど、状況には則しているわね」

……だからってユニコーンはちょっと、でも仕方ないか……。はぁ。飽和現象は攻略難度が高ければ高いほどそれの制御で得られる力も上がる。つまり、ある程度の妥協をすれば、手に届く神格も有る……とは思ったけど、やりたくは無かったのよね。もっとレベルが上がってからやる方が更に良いのが出来るはずだったのだし……まあ条件的に力で出来る範疇が変わるだけだった様な気がするけど、そんなのは結果論なのよね……。ドッペルゲンガーが仮にどんな個体にも成れる力が有るとしても、それはそれその物自体の者に成って居る訳じゃない。どんな個体にも成れるのが売り文句なら、変身する為の機構は変身後にも残る……そうでも無ければその状態からの再度の変身が出来ないもの。だからこそ其処を突く。要は今回の話はそう言う話な訳で、不可逆性の無い変身なんてドッペルゲンガーとしての能力を捨てる様な物……。つまり、自分の能力を捨てた代わりに自分が最強だと思う能力を得たと言うだけに成る。……そう聞くとやる奴は居そうだけど、その先ドッペルゲンガーとして取れるはずの膨大な数の手札を対価にしている訳で……。まあそれとその能力が釣り合うと判断でもしない限りはまず無いわよね……。馬鹿でそれを認識していない奴とかも有り得るかもしれないけれど……流石にそう言うのが脅威に成るとは思えないわね。主に戦闘技量的な意味で。

「取り敢えず他の場所に行くわよ。水霊を潰すわ」

「解りました……何か敵に乳児にされた奴らが居るので、そちらに行きましょう」

そもそも不都合主義が前提の世界な訳だからどんなのが出ても可笑しくは無いけど、……相手の乳児化?つまり、相手の生命のロールバック?ゲームならHPゲージを一にする能力が有るけど、その要領で産まれた瞬間に戻したの?……。良し。なら。奴が居るかも。

「ユコ。あなただけがその原因を潰しに行って。それならそもそも乳児化されても問題ないでしょう?今生まれたばかりなのだから」

「解りました。ですが、幼児を回収くらいはしてください」

「……解ったわ。それくらいはしましょう」

……つまりは最初から強い奴以外の全否定。概念化すれば過去の本人を殺しに行っても過去にも未来の奴が居るから未来のそいつを倒せないレベルなら決め手には成りえないけど……。そもそもそんな力が有るなら面と向かって戦う事自体が馬鹿らしいわよ。もし前に遭遇した奴なら私とかに使わなかった理由が有るはずで、少なくとも時間超加速や巻き戻しでは無いはず。それなら乳児にさせるより、寿命が来る所迄超加速させるだけで寿命が有る存在なら相手は簡単に寿命が尽きて終わるだけだもの、ね。でも事実として其処の人達は乳児にされている。つまりステータス干渉能力なはず。ゲームの最初のステータスを変更するキャラメイクを相手に強制し、代行する。……プラス分のステータスは、全て何の意味も無い項目にぶち込めばいい。……相手は真正面から戦う事自体が馬鹿の所業な能力ね……。さて、どうしましょうか。……策は有るけど……いやね。……いや、贅沢言う状況じゃ無い。意思の無い兵器や存在を大量に存在を産み、それのステータスリビルドの暇を与えない物量作戦で潰す…………いや、……でも、……ええい、使えば勝てる天使個体の能力を、使いたくなくて死蔵して負けましたなんて笑い話にも成らないわよ。懐妊?いや違う。個体を作る際に私を介して居るだけ…………。やっぱり嫌よ。兵器を生成するのだけにしましょう。物質生成能力として使うだけにすれば良いわ。……ある程度の数を増やしたら後はとにもかくにも撃ちまくれ、ね。そして兵器を生成して行く。乳児の回収もしないとだけど、先ずは兵器を生成が優先。……よし、行くわ。そして空間上に兵器をぶちかます。すると、空間がコマ送りに成ったかのように見えた。…つ…ま…り…リ…ビ…ル…ド…中…の…じ…か…ん…て…い…し。…か…ん…が…え…ろ、…ど…う…す…る!わ…た…し…は、…わ…た…し…を…産…む。…た…い…こ…う…出…来…る。…ち…か…ら…を!そ…れ…で!……そして私は生まれ変わった。……即ち、アトロポス。運命の糸を断ち切る運命の女神。そう、それで、私は時間停止の運命を断ち切る。つまり強制行動キャンセルの高次元版ね。そして私は私に不都合な未来を剪定して行く。しばらくして敵は死に絶えた。……まあ、生きる道全部潰したもの。その結果、敵には死ぬ未来しか存在しなくなり、対応でそうでない未来を創られても私がそれを剪定し、潰す。……ふう。何とかなったわ。……運命力が高ければ切れないとかを言い出すと最早只の水掛け論的に成るから、今は良いわ。被害者に対して少し試して見ましょう。乳児化した運命を断ち切る……と言うよりも切除する。……よし。元の状態に戻せたわ。……私も天使個体の仕様群を吟味する為に、一度前の天使個体に戻って、そして最善の物に成るように調整することにしましょうか。しかし、ステ振り直し的な意味での自由な転生権能力、ね。案外悪くないわ。……いや、でもベースとなる能力がアレなのは確かね……。この世界の力は召喚システムが前提に有る。つまり、その範囲外に移動すると能力が使えなくなる。……いや、そもそも召喚システムに全依存した能力しか持ってないならともかく、範囲外に出されようが、いわゆるゲームで言う努力値は据え置きなはずね。召喚システムの力をあくまでも外付けの力とするなら、努力値側が消える道理は無いもの。……要は簡単に能力を得て、楽々なレベリングとかをやっている奴はそれで簡単に死ぬと言う事でも有るけどね。……召喚システムの理屈を自分で把握してれば、場外の状況でも、関係無い状況に出来るだろうけど、……そんなのを出来る奴なんて、それこそ神格個体か、召喚システムの作成者。つまり、召喚システム関連の事件の諸悪の根源で、元凶の奴。……自衛の為に召喚システムを得られるのは出来るなら最高だけど、それを開示したら他からの扱いが最悪に成るわよね……。

「……お母さま。私も巻き込む形で攻撃しましたか?」

「……余裕がなかったのよ。相手の能力的に」

「確かにミサイルがかなりの数不発に成りましたけど……」

「……数の暴力で倒そうと言う時に、数を絞るのはしたく無かったのよ」

「……まあ良いです。他にも行きましょう。簡単に他のも倒せますよね?」

「……じゃあ少し待って。準備するわ。……え?あ、ああ。なるほど……無限リセマラとは行かないようね。行きましょう」

 先ほどとは少しだけ違う姿に成って、ほぼ同じ力を振るう。……可能性や、それに成った運命を断ち切る。再度全く同じのをやるにはすぐには無理そう。ゲーム的には全く同じのに成るのにスキル的なクールタイムが有る様な物よね。可能性も運命も潰した後なのだから。まあ少しだけ違う物に成れば良いだけだし、元に戻す際の仕様に注意すれば良いだけだけどね。……そう言えば、水が入る運命を切除すれば防壁代わりに成るかしら?……いや拡張時に邪魔に成りそうだし、完全な防壁でも無いわね……。……。あくまで水を使っただけの物理限定なら水霧さんには勝てるかもしれないけど、勝てたら勝てたとしても、神格個体を追加で用意されそうだし、わざわざ敵対するうまみも無いのよね。レベルの概念的にはさっきの私はレベル一状態なはずだし、努力値的な意味でガンメタ仕様の奴に成れても即座に勝てるとは行かなさそう。そこ辺りも調整しないとね。

「一先ず雑魚は一掃したようですが、……大丈夫ですか?主に身体が得たばかりの力に耐えられて居るか?的な意味で」

「……自分の地力を超える力は振るって無いわよ。……使い方を変えただけだもの……それが駄目ならコピー系とか他の奴の能力を使う奴とかもアレよね?」

……だから限界があると言うだけ。

「そう言う意味では無く、天使個体と女神個体のエネルギー等を矢継ぎ早に使って体側が大丈夫か?という意味です」

「……つまり、私の素体側のオーバーヒートの検案じゃ無いか?と言う事かしら?そうね。なら少し休むわね。それは不味いもの」

 ……つまり最初は戦闘中の転生数を絞らないと不味い可能性が有る訳ね。レベルを上げれば緩和されるだろうけど、多分最初の内は手札が一定数以上ある奴には勝てないわよね、これ。全部に勝てる個体を創れないとアレだし、メタにメタをぶつけるのがやり尽せないし。更に言えば、神格個体に成るためには飽和現象を制御する事が必要ででも、それはその時だけ出来れば良いと言う訳でも無いわね。転生後がレベル一状態と言うよりも、その飽和現象を抑え付け続ける為に自動的に制御力がそちらに割かれている為に、結果的に私のレベルが下がっているように感じただけみたい。……つまり実力以上の超絶強い神格個体に成るのは出来たとしても、その力を振るうための制御力が潰れてまともに扱えない的な意味での張りぼてに成るでしょうね。……だったのなら、ドッペルゲンガーが水神では無く水霊に化けていたのは、……ドッペルゲンガー側の制御力不足で劣化コピーにするしか無かったと言う事ね……。何も制限無く変身出来るのに、わざわざ敵対の奴の劣化コピーに成る必要性とか無くて、相手の力を使って、それで戦って勝つつもりなのなら、普通なら水神その物に化けるわよね。わざわざ只の水霊に成る必要性とは?と成るし。……つまり力を振るう事に地力の実力を要求するタイプの奴は、模倣する側が格上でないと実力を発揮させられず、やる意味が無い。でも、格上の奴がわざわざ格下のそれに変身するとか、舐めプとか、相手に悪評を創りたい時とかくらい?戦闘のみで考えるなら相性ゲー的な役目を持てる個体でも無いとわざわざそれに成る意味とは?検案ね。まあ創作的には戦闘力的な意味での最強とされている奴に、ステータス的に過不足なく成る事が出来れば、その創作内に対しては、そいつ以外の奴はそいつのステータスを持てば大抵は手段次第で倒せる。そうでも無いとそのキャラクターは作話上では最強(と言いたいだけ)に成ってしまうし。……苦戦しまくりのタイプのキャラなら別な話ね。でも、だからこそのドッペルゲンガーなのでしょうね。ステータスに地力を前提要求する力なせいで再現が無理だった様だけど。……その前提の要求をクリア出来るならば自分でそれを先にやれて、わざわざ他を模倣する意味が無いし。苦肉の策としての劣化コピー。……だから数に頼る形に成ったし、私にも簡単に殲滅出来た。神格個体のエネルギーを扱う条件がもしもクリア出来るのなら自分でやれ検案な条件とか本当に酷いわね。……いや、条件が難しすぎて基本的に一部の奴以外根本的にクリア不可能な条件よりかはマシよね。……それを扱える技量がもしも有るのなら、わざわざ他から奪う必要も何もなくやれると言うだけの話。でも普通ならわざわざ飽和現象を起こす迄現象を一纏めにはしないし、ましてやそれを制御しようなんてしない。飽和現象は飽和現象として攻撃にも防御にも使える。その利点を捨てに行くような物だもの……でも、まあ自分の中に大量に能力を一気に得るような検案が起きたら、能力群を大量に捨てるか、制御出来ないとヤバイ事に成るわよね。……アーバーンさんは色々な能力を大量に得る検案でも体験したのかしら?能力を付け足す能力を持つ訳だし……。さて、休憩が終わり次第他の場所にも行くとしましょう。



 ……。おいおいおい……これ、やったのはケールハイトか?何かヤベー条件満たしてそうだとは思っていたけど、このレベルで?……。はあ、不味いな。ドッペルゲンガー共が化けていた水霊共の使う奴は此方の使う物の劣化コピー。此方の実力に勝てるかは別でも、……ケールハイトの能力は此方の劣化コピー相手であれば届くと言う事。火力勝負でどうこう言うのに本物が勝てたから、劣化コピーを用意してしまえば本物に勝てると言う程馬鹿でも無いが……こちらもレベリングをしないとか。疑似召喚システムが俺には有るのだから前提崩しや、卓袱台返し的な意味で強さ議論を台無しにして勝つ事は出来るけど、大っぴらにはそれは使えないからな……。この件で真に問題なのは、再現しようと思えば可能な条件でぶっ壊れ能力が成立してしまった事。どうせ召喚システムを碌には使わず、でも飽和現象を押さえつける制御力を提示した事。……召喚システムの恩恵を神格個体に成れるレベルに制御力が上がるレベルで受けて居て、それを有益だと思うのに、それでも召喚システムを碌に使わない?……意図的な縛りプレイを敢行しているタイプの人でも無いとまず満たせる条件でも無いし、また、その報酬を知らずにやれるレベルの縛りじゃ無いはずなのだよな。……はあ、初期勢はリソースの独占をやり易いとしたら、後追い勢は効率的な成長が出来るし、取り返しの付かない要素をやる際に事前情報に頼れる。……もっともな話、今回の場合、召喚システムに碌に頼らない上で制御力が一定以上で飽和現象を制御する事が条件なら、召喚システムを使わない選択をしていた奴に被検体になって貰えば再現性の確認が出来る状況では有る訳だけど……。再現性が有ると認められたら、まだ召喚システムを未使用な、次世代の奴ら(現時点での赤子とか)で似たのが再現されて増殖なんて羽目に成りかねない。……今の状況を創った奴が量産化される?もしくはある程度の数増える?勘弁してくれ。再現性が無しなので無いと展開的に非常に不味い。赤子がそれなりの年に成る頃には……疑似召喚システムを公に解禁出来る様にしないと本当に不味いだろ、これは……。同じ神格個体には同時には根本的に成れないとかのルールが有れば良いけど、疑似召喚システムを手にしている奴が他にも居たらそいつ用のそれを造られる。言わば別サーバーの同一個体扱いだ。それをさせないためには何か再現性のない別の理由があって欲しいが……。一先ず確認しに行くか。

「アーバーン。少しケールハイトの方に行こう。確認を取りたい」

「……。解ったわ。……私も行くからね、ええ」

「お、おう。……完全にこれはそう言う話の事では無いが……、まあ良い、じゃあ行くか」

 そしてケールハイトの場所に行く。……?ユニコーンが居るな。あんなの前に居たか?そいつが話しかけてくる。

「……ドッペルゲンガーでは無い様ですね。敵が真似ていた奴の元ですか?」

「……そうだな。だがケールハイトの敵対者じゃ無いが」

「お母さまは、今はお休み中です。お話しくだされば私が伝えておきます」

「……お母さまって、ケールハイトが?」

「はい。それが何か問題ですか?」

「……いつの間に結婚した?しかもユニコーンが子供とか獣○でもしたのか?」

「いえ、詳しくはテレパスでお願いします」

『解った。で,どういう事だ?』

『お母さまは神格個体に成ろうとした結果、レリエルの天使個体に成りました。そして私は産まれました。それからそれの能力を使い、アトロポスに転生しました。鎮圧はアトロポスの能力で行った物です』

『……は?真面目に言って居るのか?』

『私は大真面目です』

『いや、お前、一つの神格個体に成ったなら解る……が矢継ぎ早に天使個体と神格個体のエネルギーを使ったとか、おい待て、流石にちょっと可笑し過ぎるだろ』

『代わりに負担は大きいですよ。……もっともレベル一状態だからだと思いますが』

『……いや、問題は其処じゃ無い。……神格個体を創るじゃなくて、自分で神格個体に成りましたって事だよな?これは……再現性の有る手法か?それが問題だ』

『再現性、ですか?……それは解りませんね。何しろ産まれたばかりな物で』

『再現性が仮に有っても対外的には再現性は無い事にしろ。そうでないと似たような力を振るう奴が量産化されるぞ』

『……予想では情報が知れ渡った後は余程大きな勢力のバックアップでも無い限りは無理な条件ですよ……もっとも貴方も神格個体に成れているじゃ無いですか』

『……ふむ。完成するまでなら本人自体は暗殺可能だからな。完成するまでは外付け以外の力は碌に能力を持ってない状況でなければ成らないし。……後、俺の場合は、その、アーバーンが神格個体に成った後に融合しただけだ。元は俺のエネルギーから生まれている以上、存在としての親和性も問題無いし』

『……人の事言えます?』

『……うるさいな。少なくとも人型ロボットに乗り込むパイロットよりかはアーバーンと一体に成ってはいるよ。何処かを壊せば俺だけ死ぬなんて事も無いからね』

『……』

「今は、一先ず話は終わりだ。他の場所の物は放置で良いだろ。だから一先ず後片付けに入ろう。……もっとも、人間の身で神格個体に到達した奴が二人も居る勢力、か……これからも嫌な予感山盛りだな。これは」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る