第4話未定

 住民の受入れ日当日。ああ、この可能性が有ったわね。……つまり、能力のラーニングや、能力奪取能力。そう言う系の能力持ちには此処は正しく入れ食い状態の場所に成るし、様々な能力持ちが膨大に同時に居る場所なのだから、効率だって良いかも知れないわ。……その能力持ちが多いが故にバレないようにそれをするなんて不可能なのに。まあ結果的に血祭りにされる奴がそれなりに出たわ。例えば奪取系能力持ちが逆に全能力を奪われても居たし。……能力奪取系能力持ちの本人の本来の持ち物の能力なんて解らないのだから、全部使えなくさせようと成った結果らしいけど。……まあもうこれは多分能力奪取系への能力奪取への刑罰は一律にこれに成る流れよね……。でも具体的に犯罪行為を犯罪と定義するのは存在する能力のバリエーションの多さ的な意味で難しいのよね。だから、一律的に不利益を被らせたら罰する。その手段の違法性の証明は必要無い……いや、それを言い出して手法自体が違法にするには、後出しじゃんけん的な意味で無理が有り過ぎるのよ。味付け変えたからその料理では有りませんとかが普通にまかり通ってしまう。まあだがしかし、これだと言い掛かりでも犯罪者扱いが通る事に成るから、最低限の物は決めた上で、既存の犯罪行為扱いされるような事を新しい手法でやっても手段を問わず罰する。と言う形に成る訳ね。だから言い掛かりをそのまま通す社会と言う事では無いわよ。……でも、能力奪取能力とか、ラーニング能力とか、そう言う普通に考えたら強い能力を排斥するとか普通なら、何やっている?検案だけど……でも、単純な話として、能力持ち全員の既得権益を壊すつもりの様な奴と共存するのはなかなかに難しい訳で、アーバーンさんと違い私なんて発案者として以外はお飾りみたいな物だけど、それでも何もやれない訳じゃ無い。ええと、犯罪行為を行った奴の独房相応の待遇の部屋と、最初の段階で待遇を決める迄の間の部屋、家賃等を払えない者達の代わりとしての労働をする人達の部屋、家賃を払い労働無し層の部屋、何らかの理由でVIPの人の部屋。そこから海側の部屋、建物の内側の部屋……部屋の種類だけでも考える事なんて沢山有る。部屋の関連については国税と言うか地主としての部屋の貸出料の徴収と言う感じだけど、馬鹿には出来ない額が動く。何せその対象に成るのは三千万人なのだから、一人一人から集める額はそこそこな額でも十分過ぎる程の税収が集まる。まあ、運営上で能力を多種多様使えるから節約出来る額がかなり大きい為、国の運営上でもそんなにお金は膨大には使わないのだし。……取り敢えず、それだけでも当初の投資分は回収成功と言えるわね。

仮に魔法や能力の価値をそれら無しでその内容をやる場合に掛る時間と金額と相応とするとする。科学的に可能な事では有る物をやる能力のランク付けとしてはいい感じでは有ると思うのよ。まあでも、大規模な設備を使わないと本来なら出来ない様な奴の場合は携帯性とかの付与価値も上乗せに成るし、科学的にはそもそもやりようの無い能力も有るのだから、全てのそれらのランク付けは出来ないのよね。やる上でのイメージは、領民に対する貴族と、大義名分を成立させるための難民の保護機構を混ぜた様な物。……まあ流石に商売系の場所代のピンハネとかの結果はまだ出てないけど、そう言うのは後、二週間後ぐらいには結果が解るはず。後、家賃の代わりにやらせた労働の成果も、ね。

……と思って居たら漁業者から関係者に広く通達して欲しい事として報告が上がって来た。何でも漁業を探知と転移で内側の生簀に魚を転移させていたら魔法を使える魚が含まれていて水を大量に生成しあわや生簀の魚の大脱走が起きる所だったとか。魔法を使える魚とか誰が仕込んだかは知らないけど、手間が台無しにされかねないわね。そもそも簡略化されている漁な為、そうなってもそんなに手間は掛からなかったらしいけど。山菜とかでも言える話だけど、取り尽さない様にしないと全部無くなるので、新しいのが増えなくなる。故に規格サイズを決めてそれより小さい奴は基本的にリリースしているそうね。

 


 俺は水霧浄土だ。俺自身の話はともかくとして、このレムリア大陸に来る奴の傾向の話をしよう。まず一緒に来ているパターンでもなければ、召喚された人々は何かの任務で、か、召喚者との間に問題が発生したため、袂を分けたか等が考えられる訳なのだが、袂を分けたパターンの袂を分けた理由を考えると、まずは召喚者が召喚された人々に何らかの騙しで変な能力を取らせたからとか。召喚者か召喚された人々側が犯罪と呼べる行為を犯したからとか。次に召喚された人々に対して召喚された人々が不本意な事を強制しようとしたからとか。……実際問題として基本的に召喚者は召喚された人々に対して自分が欲しい物を要求する。いや、それ自体はありふれた事だ。何せ召喚時に細かく注文出来るのだから。だが、欲しい能力を自分に与えさせる為とかで与えられた後とか、召喚者側にしてみれば、召喚された人が用済みに成るパターンも存在する。まあこういうのは主義主張次第の問題では有るのだが、問題なのは此処がゲスな人らの被害者が大量に集まる傾向な場所な事……まあ、つまりだ。戦争に足る大義名分が得られでもした日には戦争をやりたい奴はそれなりに居ると思う。いや、個人個人の動機は対象者への復讐だとしても協力して復讐しに行く訳だしね……。まあ実際の話として俺が創った奴はアーバーンだけでは無いのだが、彼女らはこの話に絡む必要は別に無いだろう。いや、別に彼女らに悪い様にはして無いけどね。問題としては仮に軍事衝突が起きでもしたら、このムー大陸に集まる奴の世論的には戦争に足る状態に成る事。そしてそれを止めないだけの理由が有る奴が沢山居る事。……本当勘弁なのだが、……まあそう言うのも来るよな。自衛の為の人権の未付与を悪意的に利用する奴がそれなりに出るのは火を見るよりも明らかなのだし、自国の法律的にはそれは犯罪では無いのだから、さ。要は此方的には普通に有罪判決の内容の物でも、自国の法律で裁きますとされたら無罪扱いされるような犯罪行為が出る。……戦争でもしないと落とし前が付けられないパターンだって出るだろう。……住み分けだけでは足りない……と言うか、住み分けしても彼方から勝手に来て犯罪行為をして行く形に成る。……はぁ。要はある程度そう言うのにちゃんと対応出来なければその後は食い物にされるだけなのだ。本当アレだな。まあ最悪鎖国すれば良いか。無罪で犯罪行為をやれる場所なんて事にされてはシャレに成らないし、物流的にはキツイが、そうせざる得ない事になり兼ねないからな。ああ、頭痛い。だが結果的には普通の人側もそれなりに居て良かった。そのお陰で、シンプルに戦争を仕掛けて来るルートはそう簡単には無理なはず。召喚された人々の人権を認めない法律的解釈で有ろうともそれは関係ない人間も居るのだから只の戦争を仕掛けた事に出来るし、召喚された人々の人権がどうであろうと通常の人間も居るのだから通常の戦争と同じ扱いに成る。……ではどうするか?もし仮に俺が此処の敵対者なら、少数で上層部の召喚された人々の暗殺をするだろう。そして失敗しても我関せずとして終わる……としたいのだろう。まあそれは能力が膨大な数ある場所では厳しいと思うがね。其処に人が来る。

「貴様は水霧浄土か?」

「そうだが、それがどうした?」

 そうしたらそいつはいきなり切り掛かってきたので、水の壁に突っ込ませ、触れた部分を起点に拘束しようとするが、そいつは加速してそれを振り切る。なので、水弾を連続で打ち込む。幾つかは避けたが一部は避け切れず攻撃で弾こうとするも、

「残念でした」

その攻撃を避ける形に水を制御し、そのまま直撃させ、そのまま拘束する。もがく分だけ水をずらし、そもそも攻撃で拘束にダメージが行かない様にしながら、拘束を無理矢理継続する。

「俺さえ殺せばあの水神に後は無くなる……とでも思ったのかな?あの水神を倒せないから俺を狙うとかそんなの意味が無いし、的外れもいい所なのだけども」

「……主様に光栄あれ」

 そして自爆を行いその爆破に此方を巻き込もうとしてきたが、問題無い。

「……はぁ。水落ちは生存フラグとか言われるくらいには緩衝材として水は優秀だから、衝撃波系の奴はあんまり意味無いのだけどな。さて、まあ、前提条件的には対人間を対処出来ればこの話的には一応は十分だし、人間にしか対応出来ないなら化物ぶつけよう……とかはして来ても前提条件的にそのままそいつは裏切らせられそうだからな……」

まあつまり、只の殴る蹴るや銃弾や爆弾等の相手に衝撃を与えて……系は無意味な訳だ。それ以外の兵器?少なくとも公式に管理された奴以外でそう言う兵器を持ち込ませるのを許すはずは無いし、そもそも外は深海環境なので、流石に此方の用意したルート以外だとワープとかでも持ち出さないと潜水艦とかを使う事に成るが、流石にそれは外壁を通る時に此方が流石に気付くと思う。何が言いたいかと言えば、兵器は持ち込める環境では無いし、只の物理でやられる様な奴しか居ない訳じゃ無いし、そもそもワープとかを使うならそれが召喚システム産の場合、排除したい奴を元にした奴を使う事に成るし。……毒を以て毒を制す?……それで使えるならそもそも侵略する利点が無いよ。

……しかし、情報漏洩したのか?いや、レムリア大陸建造計画関連じゃなくて、それより前の件の事が原因かも。サポートとしてとは言えアーバーンと一緒に戦う件は何回か有ったし、その時の相手を全員は捕まえられて無からな。

 爆発音を聞き付け、他の人が来る。

「何事ですか?」

「襲撃されたが、撃退した。他の人も襲撃されるかもだから、他のサポートに行け。此方は問題ないから」

「解りました。全体に通達します……やけに強い奴が来ているようですね。まあ仮に幾ら強くても能力未所有の人間相手でなら、物理耐性が完璧なだけでゴリ押せるのですけど」

「一応それでも兵器使われたらアレだろ?身体検査とかは入国時にやるから能力持ちでも無ければそう言う兵器の持ち込みは基本的に無理だけど」

「爆弾持ち込まれていてそう言うのは無理が有るのでは無いですか?」

「……多分素材や部品の状態で解らない様にしてから内部に持ち込んで、内部でクラフトしただけじゃないか?」

「……入国審査の基準の強化をするように伝えてきます。では失礼します」

「それじゃあよろしく」

 さて、俺は……電気関連の奴を見に行くか。何せ此処は海底都市電気を使う物は極力排除して有るとは言え、能力に全依存なんてしていたらそれが潰れた時が不味い。だから、ある程度はそういう時用に電気を使う様な物がある程度有る場所が有る。当然セーフティーは付いては居るが、相手側は内部に持ち込める物だけで爆弾を創って来ているので、悪用される恐れが有る……と言うか、そうされてない方が色々とおかしい。じゃなければ、襲撃を遅らせればもっと何か出来たはずだしな。他に連絡をしたい所だが、流石に大っぴらにはしたくは……いや、これは簡単に思い付く部類のセーフティーの部類だ。隠しても意味はない部類のそれだろう。仕方無い。連絡しながら移動だ。そして俺は水の制御を自分に対して使う。移動が少し雑に成るが、制御力さえあればこちらの方がスピードは出るのだ。……って……ああ、くそ。緊急時用の蓄電バッテリーを意図的に放電するとか勘弁してくれよ。基本的に動力は人力か水力発電なのだが、水力発電も前提条件的に水の制御が出来る奴の人力なのだ。まあ緊急時に成ってから創るのでは辺りは完全に真っ暗に成るしね。緊急時の電源はそれなりに無いと不味いのだ。……まあ蓄光塗料とか塗っても有るとは言え、海底都市なのだから外壁が壊れて、水が入り、それが水で洗い流されてもアレだし。まあそれは良い。それでバッテリーの放電機構に仮の呼称名を付けるなら放電爆弾と言う所か。……連絡終了。転移で現地へ行くか。


 うわぁ、犯人はもう居ないが、滅茶苦茶だな。電子機器群の破壊、ね。まあそれを破壊するの自体は解らなくは無い、が……能力での通信が可能な状況でそう言うのを潰す優先順位は低いのではないだろうか?……いや、相手側は此方の全ての能力を把握している訳では無いはずで、なら通常ならば有効で有ろう手段を一通り試していて、有効だったら儲けもの……的な感じだったなら?……それは対策される的な意味において、ガチで攻める時にしかやれない方法なのだが、……ええい。そもそも相手側が爆弾を使用して来た時点で既に此方の対策は足りてないと示されているのだから、今更か。放電爆弾はこれ、か?

其処で此方にナイフが飛んで来た。当然避けるが、そのナイフはいきなり増殖して来て避ける場所が足りない……訳ではなく転移で逃げたら、ナイフも全部着いてきた。

「ちょ、ええい、くそ」

 二度追加で転移するが、転移関係無しに避けた事で遠ざかった以上には離れずに着いて来て、幾つかは受けてしまった。毒を塗ってあった様だが、そもそも水の体を自由に動かせるのに液体を動かせませんなんて訳は無く毒を自分から除去した。そしてまたナイフが飛んでくる。……攻略しないと嵌め技延々とされる奴だな、これ。転移は無駄なので避けるのに徹する。……いい加減ヤバイ数に成って来た。壊してみようかな?だが何か壊す事で発動するタイプの物の可能性もあったので辺りの物にぶつけさせる。取り敢えず五十キロ転移……ナイフはそのまま着いてくる。……なんかデバフらしきものが掛かっているな……。ああ、解った。ナイフと此方に何らかの形で繋がりを持たせて有り、此方が転移する際の転移対象にナイフが紛れ込む様にして有るのだ。そして後は自動の追尾性能が有れば当たるまで勝手に……単純に凄い勢いで逃げたらどうなる?一先ず一気に移動してみるが、まあ無理だよね。ならナイフと此方を関連付ける力を破壊すれば良いはずだが……。さて、どう壊そう?一先ずエネルギーを遮断する場所に逃げ込む。それでリンクが途切れれば御の字……駄目か。俺への呪いの藁人形的なのなら壊したら不味いが、壊すか?それともあれをやるか?いや、そもそも今の体は特殊だ。通常の人間に効く力を此方に向けて来ても対象外的な意味で効かない可能性が有る。……意図的にナイフを少しだけ壊してみるか。……よし。何も影響無し。行ける。ナイフ群を破壊して一先ずは事なきを得た……と言うには何回もナイフに刺されまくる事に成ったが、一先ずはセーフだ。ふう……。ごほっ。俺は軽い空腹に成っていた。運動で疲れたからじゃ無いな。毒を排除する際に食べた奴も排除してしまった結果だろう。つまり、腐蝕系の毒をくらって居た様だ……まあ水が腐るのなんて基本的には他の何かが混ざった時だけだ……もしそうでなければ世界の水全てはもう既に腐り切ってしまって居る事だろうから、これは腐蝕毒で此方が先に食べた物が汚染された結果なのだろうが、……それを直ぐに取り除いてすらこれだから、やけに毒性が強い奴だった様だな。……わざと対応出来る奴を用意したのか此方の性能テストかなんて知らんが……此方は結局の話として、転移と通信と水の制御しか使って無い。手札を見せずには済んだだろう。と言うか、水の体持ちで水の制御が出来ないとかアレだし、転移は色々多用しているから今更だし、通信だって問題無い範囲だろう。それはともかく、犯人の迎撃に行こうか。……だが避けやすくする為にやけに人気が無く、広い所に来てしまったな……戻るとするか。転移を行う事にする。……転移が失敗した?いやいや、力はちゃんと発動している。と成ると、相手側の妨害だが……仮に転移封じなら普通に移動すれば良いだけだろう。力を使い、一気に離脱しようとするも、……ああ、アレだ。移動したのに元の場所に戻って来た。……ループ空間に閉じ込めて来たか。こういうのはループさせるために使われているエネルギーを壊すとか、それの核を壊すとかが定番だが、……それを探すのは面倒だ。水蒸気を水にして辺り一面を制御していき、水浸しにループしている空間は其処迄広くは無いだろうし、ループさせているなら水が外部に漏れる事は無い。もし漏れるようなら其処が出口だ。空間の把握をして行き、術式の壊すべき場所を探す。さて、約半径百メートルか。壊すべきは……よし。やってみようか。そしてループ空間を破壊し、脱出に成功したので、即座に其処から転移で離脱した。……転移封じの理屈は何だったのだろうか?まあそれがどうであれ、対処は出来るから良いか。……しかし、他の皆はあのナイフ群に対処出来るだろうか?場合によってはそいつだけでも潰しておかないと不味いよな……。物理無効の奴しか居ない訳じゃ無いし……。其処に爆発音が聞こえて来る。おいおい!そんなに爆弾を持ち込まれていたのか?其処に連絡が来る。……ああ、成程。水上だと主張する為に海上から海底まで行く穴が必要なら其処に爆弾を空から投下すれば良い、と……ああ、確かにそうだな。だが穴を全部塞ぐと国としては不味いか……要は解って居てもそのままにしなければならない弱点の類いの奴。だが要は迎撃でルートを潰して水の中に全部の爆弾が入るようにするのは無理なだけ。だから、迎撃自体は問題無い。水でなければ他の物を間に挟むのは可能だ。……とは言え、空気穴なのだからいつもはそうはしないし、明らかな侵略行為な訳だが……それを考えるのは後回し。海上に他を連れて移動して迎撃しよう。

そして移動し、海上に出る。まあだが相手の狙いの都合上、空気穴の上さえ押さえていれば良い。なら爆弾が通れない程度の鉄板を間に挟むだけでも爆発の場所を海上に出来る。穴に下手に落ちないように海上の設備が既に有るのだからそれの調達は容易だ、が。……まあそれで全て解決とするには二百数十ヶ所以上そうしないといけないので、それよりも爆弾を投下する爆撃機を落とした方が確実に速い。けどまあ海上に人員配置はしてはいるのだからそうするように通達する。……さて、此方は爆撃機を落とそう。丁寧に何処の国の奴か解らない様にされているけれども。……爆撃機が爆弾を投下するポイントは解り切って居る。単に廃墟の解体作業をやるわけでは無いのだから当然動きながら投下しないと撃ち落される事くらい簡単に出来るくらい解るだろう。まあつまり此方は攻撃を当てなくても良いし、妨害して投下するタイミングをミスらせれば防衛としては十分な効果が出る。海底に爆弾が行けず、海上で爆発するだけに成るのだし。人権が普通にある奴の五百万人を殺すなんて、人権を無視するための手順でも踏まなければ召喚された人々の事は関係なく大量殺戮として国際的な批判を受ける……はず。流石に其処の流れはどうなるかだよな……何処かの過激派的な国が召喚された人々の始末をする為に集まったのは都合が良い……なんて思って戦争を仕掛けてきていたとしても、五百万人の方はそれとは関係なく面倒な事にしか成らないはずだ。原爆や水爆や一定以上の威力の爆弾を海にぶち込むなんて事をやると海洋資源が壊滅するし、その様な真似をしたら、人権とかどうとか以前に、食料問題的な意味で自分側がヤバイ事に成る。……海洋資源に頼らなければ良い?なら他の星に逃げれば良い?そう言う事が可能な星が近くに有る世界観が有る世界なら、そうすれば済むけどさ。……とにもかくにも此処で敵が扱う爆弾の最大効果範囲は五キロ範囲の効果範囲の爆弾くらいだろうか?まあ水が緩衝材に成るから海上で爆発しても、海底にまでは届かないが、……さて、まあつまり五キロ以上上空の高高度からひたすら爆弾投下を延々と続けて来ている訳だ。……なんかもうこれは先ずは海上設備破壊の方がメインかね。で、運が良ければ海底にも爆撃をやれる、と。まあこう言うのは奇襲でなければ意味が無い。要は落ちてくる爆弾を転移させて、返してやれば良いのだし。……まあ、移動されて躱されたらまた落ちてくるだけなので、国の領土圏外に捨てるけど。

まあ結局はさ、侵攻されるのは、召喚された人々の前提が、その人達等に本来の罪相応の罰を与えても割に合わないシステムに成って居る。……と言う事に尽きる。……つまり、犯罪をした者に対する刑罰が召喚された人々に対してはほぼ不足か形骸化して居ると言う事だ。そりゃあ殺しに来るだろう。逆にそうしに来られたら罪に対して必罰で有ろうが、それに対して足りない罰しか既存の法律では与えられないのだから。……そして共存するには無理なケースもそれなりに出てしまって居るしね……。……ん?……あ、要は此処で全面戦争なんてしては不味いのは両方にとっての話だ。何故なら、要は今回の相手の立場は今後の犯罪に対する予防の為の行動。……もし、自衛権の行使と言える範囲以上の事を今回の事で此方がやれば相手側の思惑通りに成る。つまりは過剰防衛をするならば、それを実例として攻める相手に大義名分を与える。要するにこれは国としての対応を見る為の物で、ある種の実験なのだろう。だから、あくまでもこれは自衛権の行使なのだ。……と主張出来る範囲で戦うしか無いが、さあて、何処までやろうか。……国力はある程度は見せつつ、自衛をし、過剰防衛とされない程度に追い払う。……つまり、専守防衛をする?そんなの何処のゲームのラスボスだよ……。さじ加減が面倒だが一先ず他に連絡しよう。そして連絡した結果……やべえな、これ。考えてみたら要は正当な理由の有る、報復行動をやるのを抑えろ……だ。従わない奴は出ちゃうよな。無理矢理他に止められたが。……其処に広範囲に放送が入る。介入勢力が出てきたのか?

『我々は国連軍で有る。双方戦闘行動を止めたまえ』

 おお、仲裁が入ったか。……だがどちら側からもブーイングが大量に出ているな。……それに対して。

『これ以上戦闘行為を続けるなら世界に対して宣戦布告をしたと取るが、宜しいか?』

「……」

沈黙が全体を包む。別に互いに世界大戦を引き起こしたい訳では無いのだ。個々がもしもそれをやる気が仮に有ったのだとしても、準備も何も整って無いはず。ゲーム的に例えるなら序盤のボスと戦う準備をして序盤のボスと戦って居たら、相応の準備も何も無しに後半のボスがいきなり戦うか?と、介入して言ってくる構図。しかもゲーム的にコンティニュー等出来ないのに、だ。それで勝てる奴ならそもそもこうは成っては無いだろうな。黙るべきなのだろうが、メンツに関わる。最低限の文句は言わせて貰おうか。海水を使いでかい巨人を創る。

『これは敵対行為では無い。只文句を言うだけだ。そもそもてめえらがこうなる様に仕向けたと言う事なら世界その物に対して喧嘩は売らなくてもこれにゴーサイン出した奴には報復する権利が此方には有るのだが?』

『それは違う。汝らの戦って居た者達は此方とは関係無い』

『はん。どうだか。これが正しくとも其方からすればトカゲの尻尾切りすれば済むだけだしね。今回の発案者に対しての報復行動を邪魔しないなら止めても良いが……戦争行為を止める事自体は別に構わない。だが、此処の場所は一応公海なのだから、特に理由も無ければ来るのには時間が掛かる場所なはず。それにしては随分早いお着きですね。まるでこうなるのが解って居たみたいだ』

『仕事が早くて責められるとはね?クレーマーにも程が有ろうが』

『事前に準備でもして無いと無理なレベルで速くて、事前準備が出来ている事自体が怪しいと言う事なのだが?』

『転移封じが空間上にある訳でも有るまい?通報されてから準備します。では遅かろう』

『……これが軍事演習の可能性は考えなかったか?問い合わせすら無い様だが』

『何か?汝らは自分の動向を注目されるのが可笑しいとでも?』

『だからと国連軍がそんなに簡単に動けるなら、既存の戦争を根絶する働きをしてくれよ。特別扱い?二か国間の話に国連軍が即座に動くなんて真似が出来るなら、戦争なんて既に根絶出来ていてしかるべきだろうが』

『……つまり、今回の介入には今回だけの何か特別な理由が有り、それが今回の事を事前に知って居た事だと?』

『違うかよ?』

『……そうだとしても、我々は止めに入ったが?』

『そうすれば戦わずとも此方のメンツ潰せるからな。それが目的なのじゃ無いか?』

『なら何か?止めない方が良かったとでも言うのか?厚かましい奴だな。水霧浄土』

『別に此方は行為その物自体を批判している訳じゃ無い。客観的に見てマッチポンプしている様にしか見えないと言って居るだけだ』

『…………それより、相手側は逃げに掛かっているが、放置しても良いのか?』

『……過剰防衛をする気はねーよ』

『……せいぜい寝首を掻かれてくれるなよ?努力が水泡にきしかねん』

『……本来は成果の出ている努力の正当な評価を願う事の何がいけない?ゴホン。今更俺が死んだところで何も変わらんが』

『……それは貴様が自分の評価を過剰に評価しているだけでは?』

『……そうならそうで構わない。だが、そうだな。視点の問題の話なんて問いたとしても仕方ない。例えば努力して完全に独力で創った物が既に創られていた物で、自分の物は、それの只のパクリとか言われるのは仕方ないさ。そしてそれは大抵の場合に置いて正しい。だから別に只のパクリ野郎を擁護している訳じゃ無い。まあそれが本当に只の独力ならば到底割り切れる物じゃあ無いが』

『……色々と創って置いて今更パクリだのなんだのを気にするのか』

『只の例えだ。まあ、只のパクリを自分の考えた物だと言う、盗品野郎やトラの威を借るキツネを擁護している訳じゃ無いが』

『……てめえの中の自分自身に求める水準がデカすぎるだろ、本当。さて、こちらも帰るとする。それでは、な』

『それでは、また』

 さて、今回出した海水の巨人は、実際は只の水の制御で海水を巨人の形に仕立てただけなので、インパクト重視の張りぼて。とは言えないか。一応巨人を創る為に制御している水を攻撃に使えば良いのだし、戦闘性能なら一応はそれなりに有る。実際の話としては、普通に戦って居た方が制御力の無駄使いをしなくて済む為に、これをメインで戦闘行動をするのは、制御力に余裕が有ってインパクトを戦闘で重視する時だけだろうが。そして皆撤収に入る。海水の巨人は暫く出したままにしておこう。さて、撤収が終わったら飯でも食いに行くか……。

「……私が出る必要無く終わったわね」

「アーバーン。君が簡単に前線に出られては困るだろうが」

「……それを言うなら貴方もだけど?そして私を倒す目的なら貴方を倒すのも手段の内の一つなのは変わらないわよね?」

「……此処でする話じゃないな、それは。……アレを使うにはまだ早いだろうし」

「そうね。今回の様な件の場合には普通に敵も能力を使って来るのは気を付けないとね」

「能力を使う奴の使える理由=召喚システム産の奴。の構図が成立する内は、召喚された人々に対しての排斥検案では使って来ないと思いたかったのだがね……何らかの形で大義名分が相手側にもある場合は能力持ちも普通に相応な数出てくるのは……」

「貴方みたいな例もあり得るわよね?」

「ああ、確かに。別にこれは俺だけの専売特許な訳じゃ無いしね。でもまあ、それを強制的にそうさせた奴とかは、細部迄細かく指定出来なければ普通に身体の仕様に欠陥や爆弾的な物を抱える事に成りそうでは有る」

「……細部迄注文したとして、それが寸分たがわず正しくないと何かしらの不足分は出るでしょうね。でも、だからともしも寸分たがわずそれが出来るなら、そもそも召喚された人々に頼らずとも自分でも出来るであろうことを考えると微妙な所だけど」

「……召喚された人々側の知識に頼れば良いだけだが」

「……催眠状態にかけて、完全に主導権を握る形でそれが出来る知識が有るならそもそもそれをやる必要は無いわ」

「……なんか身も蓋も無い答えだが、そう言う物迄カバーした催眠術を用意したら良い……とか言うのは問題を幾ら提示しても問答的には意味が無くなるからな」

「催眠術に耐性を持つ奴がわざとそれをやると言い、意図的に失敗とかされなければ良いけどね」

「……ヒェ……勘弁してくれよ。そう言うのはマジでさ……」

「何無駄に怖がっているのかしら?貴方には関係無いわよ。もしそうだとしても」

「でもさあ、敵対勢力の心当たりと言えば天空都市のだろ?」

「貴方ね……確かに彼方はいくつかの意味で商売敵かもしれないけど、実際に戦争をすると成ると、ほぼ私怨に成るわよ?単に個人的に気に食わない程度の事がそれとはほぼ関係無い人達を動かせる大義名分に成るなら苦労はしないし……」

「私怨も何も無いビジネス的な戦争以外が皆無ならそれでも良いのだが……宗教戦争とか資源を求めての戦争とかも有るしそれらが有効な場合も有る。だが、自分以外の奴が民を守っているのが気に食わない。だから戦争を仕掛けますね。とかを大義名分に出来るなら大義名分とかそもそも要らない状況な訳だがさ……宗教とかアレだよな……」

 要は今回の場合ならば、自分が強く成りたいから、他に保護されている民を此方で保護する為に戦争をしよう。だ。……そんなのゲームでも無ければ普通に頭可笑しいだろうが。

「そうね。問題は宗教よね……大義名分を持つことに拘らないなら簡単に処理出来るけど」

「……それだと勝てても先が無いだろ。前提条件を考慮しない反論なんて無意味だけど、例えば途中で植物に作り替えられ、浄化される事を考慮しないなら空気なんてどれだけの奴の中を出入りしているのかね?少なくともそれは四人其処らじゃ無いよね」

「……何故四人かは知らないけど、それは途中で光合成とかで色々と組み変わるから」

「前提条件を考慮しないと言うのはその段階を無視して考える様な物で、事だから」

「……うわぁ……」

「まあ要は食べるのに使った食器を洗ったのを無視して食器を汚いとか言う奴。もうそれだと最早気分の問題だがね」

「……気分の問題は重要では有るわよ。元々は毒性の有る物に他の物を混ぜたから毒性は無いです(但し毒だった物は入りっぱなし)だから食べますか?と言われて食べたい?」

「それはやっぱ嫌だな。除去と中和は違うし。さて、もうここは良いな。俺は少し飯を食いに行きたいから下に戻ろうか」

「そうね。流石に腹は減るわよね。じゃあ食べに行きましょう」

そして飯を食べに行く事にする。海水の巨人は傍目には巨人を召喚した様に見えたのだろう。まあ通常の制御の理屈でやると攻撃や防御に使う部分以外の制御は見栄以外の意味では無駄だろうから、実質俺の制御力に相当余裕ができでもしないと、実戦投入するのは基本的には格下を相手にする時かハッタリか。逆に言えば通常の戦闘行為に使う制御力と、海水の巨人を制御するのを、それと同時に出来るレベルにさえ自分が向上してしまえば、デメリットらしいデメリットは無い事に成る。まあ実際、レベルが上がるまではたまにしか運用しようがないのだが、それは成長すれば済む話だ。それに、幸い水神と言う教師が身内に居るのだし、まあ何とかなるだろう。



 ……私はろくな事が出来なかったわね。復興くらいは色々とやらないと。

「ケール様、物事には適材適所と言う物がございます」

「……解っているわよ、そんな事。……でも神格個体を作れる奴ってあんなに化け物な訳?」

「神格個体に優先的に師事出来る環境があの人には有るのですから、それで弱かったら、むしろその方が問題ですよ」

「なんか酷いわね。神格個体を用意したのは彼自身でしょう?師事する前にもそれなりに力があったはずよね?」

「ですが、神格個体を創り上げた者がその個体と友好関係を築く事に失敗する例しか無い訳ではないですし、なら何かしら神格個体から貰って居ても別に可笑しくは無いかと」

「ずるいけど、自分で神格個体を作った事が前提なのを考えると……でももやもやするわ。……何か無いか、何か……」

「貴女には極度な耐性が有るのですから、その耐性を前提として、初めて運用が出来る能力をバフで貰うのはどうでしょうか?それならばいわゆる能力的な反動が大き過ぎる系のロマン砲の運用が視野に入れる事が可能なはずですから」

「その手が有ったのね……よし。アーバーンさんに掛けあって来るわ……しかし、ロマン砲、ね……」

 そしてアーバーンさんを探す事にする。……超越した火力等のメリットの代わりに大きなデメリットが存在する能力。それがここで言うロマン砲的な能力なのだけど……所持している耐性で耐えられるレベルのデメリットの物なら、私にも出来るかも。……ゲームのステ振り的な概念で言えば、反動等を抑え込む為に割かれて居る力を火力強化側に上乗せする。それで来るデメリットを耐性でねじ伏せる……実力以上の力を振るいたいなら何かしらの無理はしないとね。

 飯を食べているとケールハイトが来た。……要は能力が欲しい様だが、俺が能力を沢山持ち過ぎだ?能力を沢山持っていると言うかそのイメージをゲームで例えるなら特定の事をやるためだけの物がセットに成って、扱うのを簡単にして居る物がスキルや、能力だ。まあ俺の場合水の制御を基盤にしてどうこうする奴は全部出来る……可能性が有ると言うだけで、要するに大抵は只の鍛錬の結果な訳だが、沢山能力を持つのはチート?いや専用の能力を持たなくても結構努力次第でやれるのだが、そう言う訳にも行かないので。

「欲しいとして、具体的にどんなのが欲しい?」

「自分には過剰耐性が有るので、それに任せたロマン砲がしたいです」

「……詳しく」

 説明を受ける。……ふむ。

「要は自分にも攻撃しながら攻撃する高火力技が耐性有るので、問題なくやれるかもと。ゲームではHPゲージ消費技とか良くある部類の奴だけどさ、ゲームじゃ無いのだから、耐性で耐える前提で自分のガチの攻撃を敵への攻撃にしつつ自分にも受ける形なのだが……マジでやるのか?そう言うのは魔法無効とかの奴が使うとかならともかく、耐性で?」

「実力以上の力を使える方法なので、それくらいの無茶はしたいかと思います」

「……急いで実力を付けたいのは解るが、それなら耐性のレベルを更に上げた方が確実に選択肢は増えると思うぞ。今の案もリスクが更に減るからな」

「……確かにそうですね。ですが、流石にお荷物過ぎるのは嫌なので」

「そう言うのは解らんでもない。が、そうだな。耐久テストでもしないと認められないな。自壊するレベルの奴を渡す訳にはいかないだろ。ご都合主義的な世界では無いのだし」

「耐久力テスト、ですか?」

「渡す物がそう言うのが無いと決められんからな。俺はその結果は見ない様にはするけど。アーバーン。耐久力テストに付き合ってやってくれるか?」

「……解ったわ。それを見て決めましょう。流石にそれを貴方が見るのは駄目よね」

「そうだな」

そりゃあね。此処でそれを見るとか言うと、ケールハイトの身体検査データを見たいと言う様な物だからね。それは流石に、ね。

「あの、弱い威力から強い威力迄出せる奴が有れば良いのでは?」

「そりゃあそうなのだが、ある意味での自爆技が最大火力技とか、自爆しないと勝てないとかの状況が生まれかねないのだが、それでも真面目に欲しいのか?」

「……それでも勝ち目が一切無いよりかはマシです」

「……此方は何処かを攻め滅ぼそうと言う集団じゃ無いのだから戦闘行為をする事は要するに自衛行為……そうじゃないと国連がうるさい事に成るのは解るだろう?だというのに敵が殺せれば良い的な能力とかが有ってもさ……」

「なら他の人にも、貴方の様な水の身体を得させると言うのはどうでしょうか?成功例が既に有るのですから、失敗の心配は然程無い様に思いますし」

「それは断る。結果的に水の身体で得られる耐性以外の耐性を大量に捨てる事に成るし、耐性面で考えるとむしろ君の場合は弱体化するから、止めた方が良い」

「……確かにそうですね……でもどんな感じの身体なのですか?スライムとか?」

「……俺の体がスライムだ。……なんて何時言った?過ぎるのだが。そもそもスライムとか設定次第で強さがかなり変わる奴を元にしています。……とか言うと、悪意的な奴には弱い方基準の方で語られる奴だろうし……」

「いやいや、そもそも衝撃耐性とかゲル状とか」

「……今の身体のベースは別にスライムじゃない。別にだからとスライムと似た事が全然出来ない訳じゃ無いけど」

そもそもの話として、何でスライムではなく、水神に貰った身体をスライムがベースだとされなければならないのかと。別に前提としてアーバーンはスライムでは無いのに。

「衝撃耐性はどれくらいですか?後、転移で飛ばせるのはどれくらい?」

「ああ、そう言うのを言うと、水掛け論的回答される奴だから言わない。まあ飛ばせない重さの爆弾投下、とかされても、それが此方を殺すためだけなら極論転移で逃げれば良いだけだが」

「重さ制限が有ると?」

「……超重量の爆弾とか、掛かるコスト的な意味で実用化を見送られた類いの奴なのだが、そうだな。流石に天空都市をそのまま全部飛ばせる奴は少なくとも天空都市の敵には居ないよ。もし居たら対策破られたら天空都市自体が壊滅するしね」

「……うわぁ……世界観設定自体の崩壊ネタですか……」

「かなりの作品で長距離転移に何かしらの制限が有るのは、それが無いと滅茶苦茶な事に成るからだと思う。ゲームだと戦闘行為中は使用不可とかね。何せ相手側がそれの対策持ちでも無いと余裕で逃げられるし……まあ対策持ちと戦わない前提で居るとそう言うのと戦うと痛い目見るけども」

 さっきの戦闘の転移封じなり転移割り込みなりで、さ……。

「短距離転移なら戦闘中でも使う作品はありますよね?」

「それは特殊な使い方を考慮しないなら、高速で動くだけでも似た挙動は出来る範囲だし」

「……それに当てはまらない挙動をそれでしていた人が言う事ですか?」

「……能力を十全に使う事に文句を言われても……」

「ええと」

「っ、全員伏せろ!」

 俺は水蒸気を水に変え、操り、辺り一面に満ちるエネルギーを壊す。砂漠とかの場所でならともかく、此処は海底都市。湿度に困る事は基本的に無い。壊し切れなかったエネルギーが周辺の建物を破壊した。ほら、転移とかを制限無しだと滅茶苦茶だ。つまりは遠隔攻撃を転送する。転移の射程圏内全てが自分の遠隔攻撃全ての射程圏内に成る。本当にクソだ。制御力が及ぶ範囲でないと使えない能力ならともかく射撃系のとかなら問題無いし。……追撃があるか警戒するが。暫くは何も無い、か。転移転送系の対策組まないと……。俺は特別なんかじゃ無い。アーバーンを創り上げたのだって、最初は神格個体としてでは無い。拡大解釈が加わった特殊個体では有ったのだけども、強くならねば成らない理由が俺には有り、強く成れるだけの環境が俺には有った。……あの力を使うのならもっと強く成らねば成らない。それこそ、召喚システムを創り上げた奴よりも。

「さて、対策として転移系や転送系に制限を掛けるしか無くなったので、対策の為に皆に一定の不自由を強いる事に成るかも知れない。シンプルに転移転送封じするのが一番早いからな。……だが、そうすると移動が大変に成る。空気汚染要因は減らしておかないとなのだし。なので、此処はゲーム的に行こうか。地区毎に決まったポイントでのみ、転移や転送を可能とする。侵入者に対するセーフティーは別に詰めていこうか」

 ……こうしないと攻撃転送で市街地大規模破壊が簡単に可能に成るからな……しかし、これでは戦闘中に転移で逃げるのが無理に成るから、条件付きで無視可能にするか?でも、その基準の線引きが面倒だし、仮にカードキーなら盗まれる可能性が有る。登録制で登録した奴以外の使用不可なら、物流に転移転送を使えなくなる。そうでなければ抜け道は有る……うーん。やはり話し合うべき内容だろうな、これは。

 そして話し合った結論から言えば、使わない訳にも行かないので転移や転送を使う場合、逐一毎の許可制にするという形で落ち着いた。自分が上層部に居て良かった。許可を出す側の方に入れた。これなら然程自分の戦闘に影響は出ないだろう。……少しは出るがね。

 私は外壁の水の制御を常にしているのだから、制御力に制限が有るような物だし、戦ってもし倒されでもしたら不味い事に成るのは解るわ。制御力をかなり常に使っている以上同格以上と戦うのは不味い条件なのだし。でも、戦闘面では良いことなし過ぎてアレね……。自分の能力を嵩上げ出来る手段が有るとは言え、前提的な意味でハンデを受けているのだし、他の神格個体よりも強くならなければハンデ的な意味できついのよね……。でもいくら手札を見せたくないからと転移と水の制御だけで頑張る……なんて縛りを自分に対して課すなんて修行としてもやり過ぎと言う気がするけど、水の生成を何も無い場所でやるなんて、結局は無から有を創れないと無理な訳で、それが出来るなら苦労はしないわよ。周りの物を集めて水にするにしても、エネルギーを水に擬態させるにしても、対価は必要。質量保存の法則を破る為の理論なんて物を用意出来るなら、科学者として大成するレベルだと勝手に思っては居るけども。……魔法とは普通無理な事を出来る物だ?……この世界の魔法にはちゃんと前提となる理屈は有るわ。だから、相手の力のメタを考える時に答えを導き出す余地が有る。自分がその内容の結果の能力を創るならどう作るか?要はそれを考えられればそれなりな答えは出せるのだし。そう言えばどう耐性を上げるのが良いかと聞かれたから、一先ず負荷トレーニングをやるように勧めたわ。要はデバフを受けた状態でステータスを下げた状態を前提としてトレーニングを行うのよ。……駄目だった?……ああ、そもそも身体の質が大幅に変化するレベルで能力エネルギーを現在進行形で受けているのだから、バフ全外しをしないとデバフはそもそも論外……でも全バフ外しが相手に出来るならそもそも能力が使えなくなるので負けている……。そもそもそうなった時点で負けだから考える必要は無い?いやいや、有るわよ。……でも様々なエネルギーが混ざりまくった結果、それ故に魔法が効かない。……いわゆる体に影響を及ぼす、エネルギーの飽和状態と言う事?……ゲームで例えるなら、バフデバフの同時に掛けられる数を超えてしまった的な意味で。それで攻撃魔法をデバフ扱いにして、対攻撃魔法にも作用しているのかしら?……うわぁ……、そう言うパターン……。魔法耐性と言うよりも飽和現象による事象キャンセル。攻撃が完全に防げてないのはバフやデバフが相手の攻撃で潰れているからなのね……。問題なのはバフやデバフ一つ一つにコストを設定した上でのコスト制かシンプルに個数制限か……。自分を媒体とした能力が潰れる事を考えると強い奴に試すのも……。罪人とかにやるのも論外だし。……コスト制だと超強力デバフを手に入れても、コスト的に確実にオーバーするので確実に失敗しまから強すぎる結果逆に産廃性能です……とかも有り得るから、それならありがたいのだけど。そのパターンなのなら、格上の者に超効果デバブとかされても無意味だし……。……んー、フラワシの言っていた事と矛盾するけど、宿るのがバフやデバフ扱いなら、耐性で弾かれたと認識した結果、なのかしら?

「はぁ……高評価されるの自体は良いけど、その結果一部のトップ層しか出来ない様な事を出来ないのに出来るとされて、それを根拠に疑われるとかどうしろと言うのかね……」

「……水霧……それはそれだけヤバイ事を貴方が大量にやった結果よね?」

「もっと凄い事をやれている奴は普通に居るのだけども。能力無しで強いからと、どんな能力にでも勝てると言うのは、身体能力さえ高ければ攻略出来る能力しか無い世界でのみ通用する理屈だし」

「……」

 それは能力使用に対して縛りプレイなんてするからよ。……と、言うのは憚れるわね。他にも能力が水霧に有ると明言する事に成るし。……まあ水霧が召喚したのは私だけじゃ無くて、召喚された人々から召喚者は能力を貰うと言う事が可能なら、隠すまでもなく後何個かは持っていると思われても可笑しくは無い……応用性で幾つもの能力を使って居るからそれが個別の能力扱いされて居るならその認識を覆す必要は無い。そうでも無ければ縛りプレイの意味が無いのだし。即物的に即座にそれなりの能力を使えるが、それ以外は出来ない能力か、成長をさせさえすれば可能性が膨大な能力。どちらの方が良いかは状況次第だけど、前提として初期の大変な時期を召喚された人々に任せられる事を考えると、余程ヤバイ状況でも無ければ可能性目的で自分の能力を選ぶのも悪くないわ。でもまあ、そうなると召喚された人々が少ない初期の初期、自分の最初の最初なんて自分には普通の人としての力しか無いだろうから、その選択肢を取るなら自分より強い人を召喚して、仲良く出来ないと不味いのだけど、……召喚された人々の復活手段ツール的な意味で、余程ヘマをしなければ大丈夫だし、そうする事に私側にも実利は有ったのよね……。その結果、召喚された人々が召喚者に対して少しの事なら許す傾向が全体的に出て、で、召喚者側に舐められて……と言うか召喚された人々に対して調子に乗る奴が出て、その結果決裂、と。……そう成る理由を召喚者側が理解したらしたで、それを召喚者側に盾にされて交渉される形に成るし。そういう意味では召喚された側で再召喚のシステム的な能力を持つ奴は、極力敵対したくは無いのよね。そうなった際の命綱の代わりに成るのだし。水霧についてはシステムが起動し、開始した初期の段階で私達を創ったのだから、そう言う事は基本的に無かったけど。……いや、そもそもそう言う情報が世界に揃う前に私を召喚した結果、それを前提とした会話が出来なかっただけだろうとは思うけど、むしろ初期の段階で召喚に踏み切ったからこそ、特殊な立場の存在に私が成れて、いわゆる特殊個体に成れた訳だから、それを責める気は無いけど。……何せ自分の生成物ではなく、世界の物を使う能力なんて、先に産まれた方が所有権を簡単にそれらに対して主張出来る。なら初期に生まれればそれのトップシェアを得る事の難易度はそもそも競争相手がまだ居ない的な意味で、後発の奴よりもとても簡単な訳で、強くなるつもりさえ有れば、そりゃあ自然と強個体に成れるわよ。他の似たような能力持ちとのバトルとか、神格個体に成った理由とかはまた別だけど今は良い。

「なんだ?黙り込んでさ」

「少し前の事を考えていたのよ」

「ああ、海獣討伐戦とかか?アレ、海獣の死亡偽装を疑う様な結果だったし、撃破でなく撃退したと言う事にしていたのに、暫くその後何も無いから討伐に引き上げられた奴」

「まあそう言う事も有ったわね……創作ならそう言うのはフラグ会話だけど」

「……止めろよ。あいつ低次神格個体でも力押し撃破が出来なかった奴だからな?」

「……まああの時私はまだ神格個体に成って無かったもの。他の奴に良い所を持って行かれたのは確かよね。彼方はどんな感じ?」

「……まあ今の所は問題無し。彼方にもある程度の戦力は無いとだしな」

「ちょっと待ってください。低次神格個体がアーバーンさんでは無い様な話し方ですよ?」

「まあ低次神格個体なら確かに他に居るよ。俺が所属していた軍側に今は居るけど」

「神格個体を創れたのに他の奴を追加で創れない特別な理由でも無ければ作らない理由は特には無いですけど、他にも居るのですか……此処に協力させない理由は何ですか?」

「他の奴の護衛役。この状況なら狙う奴は出るだろうし、そう言う人員も必要だろ」

「……まあそれは確かに」

 ……一応はその軍側の人には海獣討伐戦に参加していた人達も多いから、大抵の奴らはかなり余裕な気はするけど、私達の敵対者の標的に成るなら神格個体が絡んできそうだから、最低限は居ないとなのよね……。まあ常識的に考えて、神格個体が簡単に作れるなら苦労はしないわ。でも低次神格個体を創れたのだから、水霧が神格個体の創り方を握っているのも嘘では無い。事実として私は初期の段階故の先行者利益を十全に活かしただけだから知られた所で他の世界ならともかく、この世界で再現するのは現時点では基本的には無理だけど、低次神格個体ならそうではない。……まあ要は、低次神格個体と言う物が、そもそも只の人間でも成れる物なだけだけどね。神格個体の創り方を握る奴を敵に回す。それは神格個体の創り方の難易度次第では、何体もの神格個体を一度に相手にする構図も有り得る。そりゃあ相手も逃げるわよ。事実として低次神格個体なら創れるから真偽判定系を受けている状況でそう主張しても嘘に成らないし、要は神格個体を創れる。創った。それは事実として嘘では無いのよ。但し自分で創る場合に、創る個体の神格の高さは考慮しないと言うだけで。だから、工作員も所属国を明かさない。……まあ介入して来た国連軍だって、国連軍の振りした敵国だった場合も有り得るし、もしそうなら虎の威を借る狐と言うのは最高な煽りでしょう。シンプルにもう言葉通りだし。……でもまあ、他の神格個体の創り方には出来るだけ早く辿り着く必要は有るわ。神格個体が数十体居ても倒せるレベルの戦力揃えられて戦争を仕掛けられたら、その戦力に対して数的な意味での主戦力が低次神格個体に成るのだし。だから神格個体を新しく私以外にも創るのが出来なければ不味いけど、既に成功例がある以上、他の人がそれをやれる可能性よりかは高い可能性を持っているのも確かで。だから水霧は他より高い可能性と言う面では否定出来ない範囲でのハッタリを通しているのよね。本当では無いにしても、嘘とは言えない範囲での演出迄出来ているし……。……只、アレを使うにはまだ時期が早いのよね。それを使う事で起きるだろう問題への対処が本当にそれなりなレベルの神格個体を自由に沢山創れるくらいには成らないと厳しいだろうし……。其処に連絡が来る。どうやら置き土産で火事に成ったらしいわ。そもそも只の炎なら水を当てれば消えるし、そして水は蒸発する……でも水は消滅する訳ではないわ。ならば、その水蒸気に成った水を制御で水に戻すのを繰り返せば消せない性質の炎でも無ければ基本的には直ぐに消せる。何故なら大量な水を延々とぶつけたのと同じ事に成るし。……それに水の身体だからと蒸発したら即座に死亡するレベルの奴なら単純に雑魚過ぎて神なんて名乗れる訳無いでしょうが。簡単に消火出来たわよ。湿度が高いからなんとかしろ?水に囲まれている海底都市に乾いた環境とか火山地帯とか、砂漠的な環境を求められてもね。海底火山が有ろうが海全体が熱く成る訳じゃ無いし、乾燥機的な物や能力が有ろうが周りに水があり過ぎるのは変わらないし。海その物を蒸発させられる奴が出ても水蒸気操って水に即座に元に戻せるし。としかね。戦闘に使うからその状態を改善する必要も無いし。……さて、海底都市のシステムの再編作業に移りましょうか。

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