第3話未定

 そして国際会議当日。厳重警備が敷かれて居るが会場には関係者と言う事で普通に入る事が出来た。意外だったのは能力を持つ奴も普通に入れた事。こう言うのは創作では能力を使う道具なんて有るなら全て預かった上でやるイメージが有るのだが、遠隔攻撃をする系の能力対策も必要だし、襲撃をされたら相手側だけが能力を使える……とかは割とシャレに成らない為、攻撃系は緊急時以外では使わない事を条件に、立ち入りが可能に成る様だ。さて、出番迄は待つとしよう。

そして会議が暫く進んだ所で、襲撃が発生したらしいわ。……命知らずの奴も居たものだと思うけど、対策に当りましょう。其処に巨大な衛星兵器が乗っ取られたと連絡が入る。……。えぇ……流石に宇宙迄届く攻撃能力なんて無いわよ……て、は?発射迄後五分?いやいやいやいくら何でも早過ぎ。チャージはこういうのはもっと掛かるのが定番でしょうが。……。えぇ……既にチャージした奴を持って襲撃に来たと?それを繋いだからからチャージ段階は殆どスキップされたと?……。冗談じゃない。逃げるのは無理よね。いや、転移がアーバーンさんは出来るかアーバーンさんの所に行こう。そして場所を移動し、アーバーンさんの所に行く。

「アーバーンさん……転移をしてください」

「そんなことしなくても対処出来る奴は居るわよ。流石に衛星兵器のチャージ時間無視なんてふざけた真似をしてくる奴が来るとは思わなかったけど」

「でもひとまずは移動しましょうよ」

「なら、そうね。衛星兵器の範囲は半径五百メートルの円の範囲。一先ず十キロ離れるわよ」

「解りました」

そして転移をして、時間が来る。衛星兵器が撃ち出されて、辺りは破壊さ……あれ?そんな事は全然起きないわね。いや、そこで光と轟音と爆風だけが来た。でも、遠目から見る限りは何も破壊されていない。……つまり、迎撃成功?こんなあっさり?

「やってくれたわね。衛星兵器を只の一人のろくに威力の無い攻撃で攻略しやがったわ……流石と言って置きましょうか。水掛け論の回答に対する回答でも得たのかしらね。多分、相手に火力で上回られていても問題無く勝てる様に出来る能力とか」

「そんな無茶苦茶な。単に高密度に攻撃を圧縮した結果、はた目には弱く見えただけ、かもしれませんよ」

「火力的な水掛け論は負ける時は相手の火力が上回っているのが前提。要はそれを崩せる能力が有れば良い訳ね……何通りかの理屈は解ったわ。実にゲーム的だけど」

「教えてくださいよ」

「嫌よ。これの使い手が増えると、基本的に相性ゲー的な攻略法以外無意味に成るもの」

「そんなぁ……」

「……連絡が来たわね……は?衛星兵器が攻撃した所で敢えて国際会議を続行する、ですって?……いやテロには屈しないアピールのためなのは分かるけど……ああ、そう言う事」

「テロ現場で国際会議を続行って何考えているのですか……」

「衛星兵器による攻撃が国際会議を潰すためのそれなら、国際会議をやめたらテロリストの思う壺だから、よ」

「流石に場所の移動くらいはした方が……」

「国際社会が一介のテロリスト風情に対して総撤退なんて真似をやる訳には行かないわ」

「……つまり各国のメンツの問題ですか……」

「中継されている物だから、中止は避け無いとね。とは言え、代理人を立てての物に成る様だけど、この流れは都合が良いでしょう?私達にとってはね。メイン目的忘れないでよね」

「……今回の発表をするのを防ぎに来た……とかなのですかね?」

「その場合、今回の話を事前に話した奴らの関係者の中に敵方が居る事に成るのだけど?」

「……」

「まあそうだとしても、今回の衛星兵器を防いだ奴は白の可能性は高いわ。敵方なら防ぐのをやらなくても良いもの。つまり、そいつを仲間に引き込める可能性と価値は十分に有ると言う事ね。それはともかく、会場に戻るわよ」

「解りました。お願いします」

 転移をして貰い、会場に戻る。本来なら正気の沙汰では無いが、テロには屈し無いと言うアピールには成るので(止めれば逆の意味になる)国際会議を止める訳にも行かない訳で。まあ、やるしかないわよね。会議を再開し、私達の番に成る。

「わざわざ時間を頂きましてありがとうございます。今回ここに私共が来させて戴いたのは、偏に人権問題についてです。私共は公海のある場所に、現在ムー大陸建造を行って居りますが、其処を召喚システムで召喚された人々の、緊急時の避難場所にしとうございます。避難民の数と規模次第では建国も視野に入るのでございますが、その場所の支援を行って頂けないでしょうか?要は召喚された人々の人権保護をする為の場所なのですが」

会場に沈黙が走る。当然ね。生放送で中継を中止したら不味い状況で、本来なら生中継を止めるべき内容の爆弾をぶち込んだ様な話なのだから、対応をミスすると相当不味い事に成るのだし。

「……なぜそんな話を此処に持って来た?他国の政策に内政干渉する権利等汝らに有るようには見えないのだが?」

 要はこの話で亡命するような奴らが此方に来てくれれば僥倖と言う話だもの。

「いえ、私共は召喚された人々の人権を確保したいだけでございます」

「現実問題として、だね、お金は無尽蔵に有る訳じゃ無い。仮に生活保護制度と言うものに召喚システムで召喚された人々を、範囲内にしてみたら解るだろう。その為のお金目的で、召喚された人々を増やす奴が出るのでは?」

「……つまり、彼ら彼女らの人権を一々認めていたら、政治が覚束ない。と言う事ですね。では、今回の話を住み分けの前提基盤の場所にするのは如何でしょうか?払うお金が無い。としてもそれは此方が引き受けましょう。何、召喚された人々には能力が有るのですから、労働義務でも対価に付ければ十分回収も出来るはずですから」

「それを此方がやるのは構わないのだよな?」

「ええ。人員流失が嫌だとしている国が有りましても、人並みにと人権保護がされているのならば、此方に人材が流れはしませんよ」

「つまり、ブラックな職場が多いだろうから、ホワイトな職場を用意してやるので、此方に来ないかと世界規模で宣伝しやがった訳だ。国を甘く見て来ているのじゃ無いよ。福利厚生出来ない国しかないと舐めているのと変わらないのだからな」

「福利厚生がしっかりして無い所は、他国に亡命を許さない国しか無い訳では有りませんよね?でもそれは召喚された人々の個々の意思でしか有りませんよね?」

「少なくともうちの国はしっかりしているさ。他国の国内事情迄は存じ上げないがね」

「ならば貴国は何も問題有ませんよね?」

此処で問題が有ると言うならば国際的に不味いわよね。

「なら聞こうか。その手法は多数決が使えぬ。つまり、選挙が無意味に成る。それをやらず使わないなら階級社会にでもして、貴女方は皇帝なり何なりとのにでも成るつもりか?」

「一定人数を超えたらグループ分けして別国扱いにするつもりです。小国連合の体を取るつもりなので」

「法律を決める権利を独占するなら名目上の物でしかなく、実効支配は変わらないが?」

「……それは調整中でございますが、人権保護の立場を崩すつもりはございません。ですが有ると問題だと言う該当の権利以外の権利を主張することは駄目なのですか?」

「……その場合も決局は選挙権をよこせと成るのでは無いか?」

「有っても問題無い権利迄も与えないのは横暴です」

「……人権問題的に言えば、仮に既にそうして様が似たような批判は来たと思うが?」

「それはそうですね。人間と似た生命体に対して権利の剝奪をしているのですから」

「……此方は別に感情論を述べている訳では無いのだが?」

「既得権益が壊れるのが嫌ですか?」

「なら国の政治の内容が滅茶苦茶に成っても良いと言うのだな?」

「一応そうしない為の対案は出しましたよ」

「それは国の定義や在り方その物の変更が必要だ。それこそ建国でもしない限り無理な類いの」

「……だから建国も場合によってはするのですが」

「これは建国迄して初めて通る理屈だろうよ。政治家は国家の経費削減策を、自分の給料を大幅に減らす形でしようとはしない物だ。それは当然で、タダ働きなんてしたくないからな」

「……それをする人も居るでしょう?」

「政治はボランティア活動じゃないし、一部の例外を全てのスタンダードと同じにするのじゃ無いよ。やるなら建国迄行け。そうすれば国の政策でそうできる。そうでなければ話に成らないだろうな」

「……その努力はさせて頂きます」

代理人の代理人なのにこのレベルに問題点を突いて来ているのじゃ無いわよ。小国連合の問題点は既に創作でやられている。つまりは、連合への超大国の参入。それに対する回答が根本部分の掌握権の独占なのに、それを潰されて堪るかって話よね。……さて、如何にかしないと。

「では、ネット側に私共の、団体名のサイト名のホームページを立ち上げておりますので、詳しくはそちらをご覧下さい。ではご清聴有難うございました」

さてさて、あくまでも此方の大義名分は人権保護とそれに必要な物に付いて。対案無く、それを棄却する、つまり、人権侵害を正義だなんてほざける世界に成るまで腐り切ってない事を願いましょうか。

「アーバーンが関わっているプロジェクトが有ると聞いたから、来てみたのだが、これは余り来る意味無かったかね?」

水霊か何かの男だろうか?

「すみません。どちら様でしょうか?」

「ああ挨拶が遅れてすまない。君のことはアーバーンからよく聞いている。俺は水霧浄土……アーバーンの本来の関係者と言えば良いかな」

「……本人に確認を取っても?」

「彼女なら俺がもう此処に居るのは知っているよ」

其処にアーバーンさんが来る。

「……貴方ね。研究の方は良いの?」

「ああ、そういう話に成っているのだったな。同じものを創るだけなら基本はコピペで良い。まあコピペそのままの物を創るつもりはないが。……まだ途中と言えば途中だが、基礎的な物なら十分出来ているよ」

「なら向こうで話しましょうか。転移をしましょう」

「おう。そうしようか」

 そして転移を行い、辺りに防音を行う。

「さて今回の話は聞いている。ムー大陸建造のプロジェクトと人権保護目的を掲げた人員募集、ね。うん。大義名分は悪くない、が、確認だ。途中で有った襲撃を手配してやった……とかならかなり不味いが、やってないよな?」

「そう言う物はやってないわ。まあそれが有ったから過激な方面に主張を変えさせたけど」

「確かか?」

「……ええ。そうです。あの条件で犯罪を手引きなんてとんでもないですから」

「ま、良い。だが、問題はそれを他がどう思うかだ。あの襲撃は妨害なはずなのに、結果的には君らに都合が良すぎる。邪推する奴はそれなりに出るだろう。最低限その犯人の捕まった後の処遇には口出しはし無い様にするべきだ。良い待遇にしようとさせたらグルなのを疑われるからな」

「ですよね……でも、そう言えばアーバーンさんの再生とはどういう原理なのですか?」

「……説明出来る範囲では、そもそも前提となる体を力で水によって成形しているだけだ。つまり、基本的に無形。便宜上人間のような形をしているだけ。傷が治らないと言う力を攻略できないとしても、受けた部分をそもそも体して扱わないだけで無意味に出来る」

「……何か歯抜けの物を感じますが……」

「そりゃあまあ、喋るつもりの無い物の代わりの理屈を言っているだけだし」

「……このレベルの事を話して良いと言うレベルにヤバイと言う事ですか?」

「やだな。完全に伏せると連携も出来ないから、嘘では無いさ。少なくとも言った事は出来るからな」

「……」

「……アーバーンさんは何故止めないのですか?」

「……はぁ。まあそれを話して良いと思うのは解るし、力を隠蔽していくのも水神と成った今ではしても仕方ないけど、……あれはやめてね」

「流石にそれは言わないさ。言うにしても研究が済んで奴を倒してからだ」

「確かにそれが出来た後ならそれを言うのも有りかも知れないけど、……言いふらさないでね?」

「はいはい。……君から持ち出した話だろ?あれは。今更そう言う対応にしても遅いだろうと思うのだが?」

「……あれは状況的に仕方なくだし……」

「……はぁ、はいはい。解りましたよ。なら、あれの理由は話したか?もう戻れない所まで来ているだろ?そこのも、さ」

「なら話して良いかしら?」

「少なくとも、一定以上の関係者には結構話していることだ。今の其処の奴に、此方と手を切れる余裕なんて確実に無い訳だし、裏切る心配も無いだろう?」

「そうですね。手を此処で切られては相当に不味いのは確かですけど、……それは手を切る奴が出るレベルにヤバイ話なのですか?」

「純粋な味方なら何も問題無いさ。それは其方にもメリットも有るし」

「……純粋な仲間でなければ不味いとは、もしかして裏切れなく成る類いの物ですか?」

「いや、此方の君らを保護するメリットの話の内実の開示だな。まだ詳しくは説明されてないだろ?」

「そう言えば、そうですね。でもそんなに不味いのですか?多分ギルド的な何かが有るとは思いますが、それ自体が此方に何のデメリットが?」

「簡単に言うならば、君らを保護するのは、君らが他者の集合体だの結集体だのに参加するのを防ぐ為。だから結果的に他のそう言うのに対しての敵対扱いに成る。これは良いね?」

「はい。それは契約して直ぐに教えられました。でもそれがどうしたのですか?」

「その理屈をアーバーンも出来る訳だよ。君らを対象にしてね」

「つまり、敵対する恐れが無くなったので、それに私達を参加させようと言う事ですか?」

「話が早くて助かる。まあ、そう言う事だ。本格的に彼女に命を握られる形に成るがね」

「……そう言う事ですか……私は違いますがスパイが紛れ込んで居たら内側から滅茶苦茶にされそうなそれですが」

「ぶっちゃけそう言うのが特に理由付けも無く出来る敵が居たらそんな事をしなくても、普通にやられると思うのだが?まあ最強ステータスで敵を殲滅してやった。的な単に強いから勝てましたとか言う奴がやる手段じゃ無いし、そもそもステータスが高ければ何でも倒せるとは限らないだろうと思うのだが、そう主張するだけなら取れてもないマウントを取りたいだけだろうし、相手にはする価値は無いが」

「ステータス万能説の全面否定ですか?」

「そもそも火力が有れば何でも倒せる世界とか、概念系は居らんのか?と言う話だしね」

「それは世界観次第ですとしか思いませんが」

「そう、それな。ゲーム的な世界なら大抵の場合に攻略法は有る。倒されない前提の敵役とかは別としてだけど。そうでも無いと、ゲームが成立しないからね……でも、現実にそんなバランス調整有ると思う?」

「競技なら有るかと思います」

「それはゲームとして言ったつもりだったけど、攻略法が有る事を事前に用意した上での、能力造りなんてしなくて良いからね。現実だし負けるつもりで能力組む訳じゃ無いし」

「……ですよね……」

「さて、で、どうする?」

「デメリットは他には有りませんか?」

「……それはアーバーンの方に聞いてくれ。その方が良いだろうし」

「……そうね。デメリットと言えばデメリットだけど、裏切るつもりが無いなら別段問題に成らない物なら有るわ……創作で言うと、他の人要る?と聞かれる様なそれだけど」

「……何でも出来て他の人の立場が無いとか言わないですよね?」

「いいえ、集合体は集合体の内容の人々の能力を、自分の能力として使用出来る。……まあつまり貴女の力を此方に提供する事に成るのよ。……まあ、貴女みたいな例は、特に此方が回収すべきものは無い訳だけど」

「……それは特筆すべき事ですか?能力の所持者本人が参加して形成する物なのだから、参加者の能力が使える。それは当たり前なのでは?」

「まあ、それはそうだけど、要は参加者に所有能力を貸せと言う訳だから、それが嫌な奴はそれなりに居る内容だと思うわよ。……スパイとか敵なら尚更、ね」

「……私達がそれを断ると敵認定くらう奴ですよね、それ」

「ええ。敵対する気が無い限り、デメリットは……表に出しては不味い能力でも持って無ければ基本的には無いもの」

「……」

「おいおい、言い過ぎだ。少なくとも渡す能力が無い奴にそれを言っても仕方ないだろ……持つ能力を無いとして隠していなければ、だけど」

「召喚システムを私は一度も使って無いわよ」

「ダウト。召喚システムはお手軽に使える物だ……それこそ使わせないようにする規制が無理だと判断されるくらいには。そうでも無いと、会議であんな態度を取る様な国々が召喚システムを潰す為の手法を取らないはずが無いし、かなり良い奴や、強い奴を召喚したければ、相応の手間が掛かるから、確かにまともな召喚はしていなくとも、一切召喚行動を取らなかったとするのは厳しいはず。第一、君らの前提の集まりの理由だって国が一切感知してないはずが無い。でも、君らが対処するまで放置されていたのだから」

「……それを私しか思いついて居なかっただけよ」

「それは国を舐め過ぎ。そもそも国際会議で君の話した相手は代理人の代理人だろうが」

「……百歩譲って仮に召喚をやって居たとして、それに何の問題が有るのかしら」

「問題大有りだよ。その理由は話せんがね。で、どうだ?どれくらいやっている?」

「本当に一定以上の奴は一人も召喚して無いわ」

「……なら良い。今後もするなよ?じゃ無いとあれが出来ないからな」

「何の話ですか?」

「ゲームで例えるならば、持ちキャラを進化させずに育てたら、それはそれなりに専用の技が有る可能性が有ると言う話だ。その可能性を君なら検証可能なはずだ」

……それはつまり、いや待ちなさい。

「そんなものが有るなら、そもそも召喚システムが無くてもそれは有ったはずですが?」

「君は特殊な例な可能性が有る。召喚システムにろくに頼らず、でもしかし、召喚システムの存在のエネルギーを体に受け続けた的な意味で」

「……つまり、特殊な強化ルートに入っている可能性が有る、と?」

「あくまでも可能性の上での話だが、ね。召喚システムが嫌なら、使わないのは解るけど、そうなのにも関わらず、召喚システムで召喚された人々の力を大量に受けまくるのはやる。それは召喚システム自体を嫌う奴の行動じゃ無い。言うならば対価を払うのは嫌だが、貰えるものは貰って置こう的なそれだ。普通やんないだろそんな事。危険だから使うのは嫌なのにシステム自体の否定はして無いのだからさ。なんていうかな。召喚システムが召喚を俺達にさせる上での慣らしを君はやってないのに、それで得られる物には散々触れている訳だ。何か有りそうだろ?そう言うのは」

「……それは死ぬ可能性が有る奴では無いですかね?例えるなら高山病的な意味で」

「まだどうなるかは分からんが」

「無限魔力とか、永久機構とか出来たりしますかね?」

「実質で良いのなら無限魔力は自分の実現可能なレベルの継続戦闘に耐え得るレベルの物が有れば一応は名乗れるぞ。だが、永久機構は、永久機構が作れない理由をクリアしないと無理。要は無から有を創れないと成立しないし」

「……無理ゲー過ぎません?……うう。何か共有されるべき前提が開示無しで喋られている気分です」

「召喚システムについての事は基本的にはノータッチなのは本当の様だな。召喚システムの話は長くなるから要約するが、そうだな、召喚者は召喚手順を踏めば幾つかの判定基準をクリアすると召喚システムは存在を創造する。その創造される本人に召喚する上での注文が提示され、それを召喚される奴はある程度棄却と改編出来る。そしてその結果召喚されるのだが、意図せぬ召喚結果も起きて居るのは知っての通り。召喚される奴らの能力が、エロ目的でも割とガチなのはその審査を騙す為だろうな。その結果ガチ能力を得られている奴も居るのだから割とアレだが」

「……うわぁとしか言えないですね、それは。でも何故其処迄知って居るのですか?」

「研究しただけだよ。仮にも其処のアーバーンの創り主は俺だしな」

「な……」

「其処迄言うのかしら?隠していても良いと思うけど」

……要は神の個体の創造に成功した人、ね。そういう人なら確かにそう言う事を熟知して居てもおかしくは無いわね。

「隠すにも前提条件的に軍関連の奴らには大抵既に知られて居るし、ある程度以上仲間なら別段言って構わん」

「そう言えばアーバーンさんが軍所属なら、創り主も軍所属なのはおかしくは無いですね」

「まあ今の活動についてなら軍は関係無くやっているけどな。後、要は召喚には条件が有ります。召喚される奴側にもその内容にある程度干渉出来ます。更に纏めるなら要はこれだけで済む話では有る。まあそれだと要約しすぎて最早中身の何の説明にも成って無いけど」

「……あはは、まあ、召喚される奴にも召喚内容に干渉出来ますと言うのは良いのでは?」

「それだけだとそれのやり方を変えたら創作の転生時に神に力を貰う的な物に成るが?」

「……本当にアレですね。本当に転生者も中には居そうな気がしてきました」

「それは解らんけども、どうだろうな。干渉出来るレベル次第でクソなのを掴まされるかと思うと結構リスキーだと思うが」

「でもロマンが有るじゃ無いですか」

「……召喚システムが無い世界ならともかく、この世界でなら召喚システム産の奴に新しい体造って貰えば良いだけだろ、と思うのだが?」

「それは流石に怖いです」

「……俺が言えた義理じゃ無いが、そう思うならば止めるべきだ。ついでに転生を自分から望むのも。転生についても、今の方法についても要は元の体を失うのは変わらないのだから、それを怖がるなら自分からの転生も無理だろ」

「……要するに転生は結局、死ぬことで今の体を捨て、新しい体を手に入れる事で、それの死を挟まない物を怖がるのに、死を間に挟む奴なんて尚更やれるか、と……」

「まあ、そう言う事だ。劣化版のも出来ずに、それ以上の物をやれる、やりたい。とか言うのはちょっと、ね。いや、自分の意思関係無く死んだ後に転生出来ました、の、パターンは考慮しない。自分からそれをやりに行けるかどうかの話なのだし、似た意味の事を嫌がる奴がやれると言われましてもね」

「自分から意図的に転生する奴はそれなりに創作では居ますが」

「……はぁ。要約するか。転生したいなら、今の自分の体を捨てる事を怖がってどうする。と言う話だ。うん」

「要約下手ですね?」

「最終的には出来ているだろ。話しながら考えて自分で要約している迄有るけど」

「口に出す前に出来ませんかね?」

「他の人に説明するのは自分のそれの理解を深める上で有効な手段の内の一つだからね。こっちもそれを全部解る訳じゃ無いし。敵対する気は無いと先に断って置くぞ。チェック」

すると私の首回りに水が出現した。

「……やる気は無いなら何の冗談ですか?」

「一先ずこれだけで此方はそちらの首元に手を添えた様な物だ。後はそれを制御したら首を絞められる訳だしな。今回はやらないが」

 そして水はそのまま霧散した。

「……私にも対抗手段くらいはありますよ」

「ああ、そうだろう。確かに何種類か有効な対策は有る。まあ簡単な勝ち筋ばかり求める奴に碌な戦闘技量なんて有るはずもないし、これは基本的には使わない奴だ。そもそも対策が有る奴に対してはエネルギーの無駄使いの部類だし……さて、此方を信頼しているようで何より。聞きたいことは聞けた。じゃあ会場に戻ろうか。参加については後々な」

「……つまり、試した訳ですか」

「話す気は無さそうだから別の奴で試しただけさ」

「……何か冷酷過ぎませんか?」

「召喚システムの事か?なら召喚される奴に確認が有るだけマシだろう。それとも何か?最悪な内容にされても拒否権無しで良いのか?」

「でも助けてくれても」

「つまり、個人間の取引に対してシステム側に口を出せと?」

「……」

 そして会場に戻った。……これで宣伝は十分。これで後はどうなるか、よ。

ホームページの掲示板の主なレスを抜粋すると。


「召喚された人々の理想郷爆誕か?」

「だが、其処の政治が王政的なのに成るかも」

「小国連合って創作では超大国に参入されるだけで潰されて無かった?」

「流石にそれは考えてはあるでしょう。実効支配権有りとか一部違いも有るし」

「その実効支配権を否定して無かったけど、参加して大丈夫なのか?」

「開墾主で地主に何も有利な権利が無いのもおかしいし、別に良いと思うけど」

「海底都市、ムー大陸を造り其処に住む。実にロマンが有りますねぇ」

「でも、前に召喚システム関連で海獣が出て海を渡る難易度がやばくなって無かった?」

「それについては海獣の討伐実績が有る奴がバックに付いている様だが」

「セーフティーをもっと開示するのです。海底とか危険なのです」

「……お前、それやったら他の奴が真似するだろ?先行者利益ぐらい許したれよ」


等々。……海獣討伐実績持ち?そんなの居たかしら?

「さて、宣伝は上々な様ね」

「アーバーンさん。海獣討伐実績の奴なんて仲間にしました?」

「それ私も一応その時のメンバーに居たのよ……もっとも私は今よりも弱い時の話だけど」

「……そうですか……」

「さて、更に忙しくなるわよ。襲撃も有るかもだし。……まあ、大義名分的に召喚システムで産まれた奴は襲撃の構成員に成らないでしょうから、其処迄迎撃するのは難しくないと思うけど」

「そう言えば催眠術対策はどうしましょうか?必要ですよね?主に小国連合を潰した作品の主人公的な手法潰しの為に」

「各々が自分でやる形を取らせるしか無いわ。ただでさえ前提に此方の強権が有るのだし、求めすぎると客は逃げるわよね。領地に重税掛けたら領民に逃げられましたとかテンプレな失敗例過ぎて避けとくに越したことは無いし」

「まあ、催眠術対策に催眠術を受けろとか言うのは信頼皆無の段階ではで通りませんから、仕方ないですね」

「準備が終わって始動するのは約一ヶ月後に成るけど参加する奴の整理を、……甘く見ていたわ。受け入れ可能人数を希望者がオーバーしたらしいわね……でも、人間もそれなりな数がいるらしいわ」

「二千万人くらいは受け入れ出来たはずですが?」

「希望者は人間が約五百万人で、召喚された人々は約二千五百万人の、合計約三千万人……でも、人間はどうしましょうか。住み分けの名目で此処まで人間に来られても、なのだけど」

「何か裏が有りそうなレベルで多いですね。まさか住民として入り、何時か邪魔に成ったら制圧する為だったりして」

「……なら、基本的には居住区を人間と召喚された人々で分ける必要が有るわね。ムー大陸や、海底都市に単に興味が有る人しか居ないなら良いけど、そんな事は無いでしょうし」

「それも詰めないとですが、それよりも先ずはオーバーする一千万人をどうするか、ですよ」

「全部断るのは勿体無いし、来る理由の前提的にも不味いから如何にかするしかない……でもそれは住民にする為の事前審査で絞れるだけ絞った上で考えましょう。観光目的だけの奴は一先ず弾く方向で行くしかないわね。そうしないと大義名分が果たせなくなるもの」

「まあそういう人は拡張の後に来てもらうしか無いですね。……使える土地も基本的には万里の長城立てても余裕なくらいは土地を確保出来るから結構余裕を持って用意したはずだったのですが、……これ、陸地に造っていたら土地ほぼ確実に足りてないですよね」

「そうね。私も流石に此処まで成るとは思って無かったわ。公海の中のみでなら土地を自由に確保出来るから、後からの拡張も一応問題無い訳だし。改めて拡張部分の土地を国扱いにするのが面倒なだけで」

「二千万人は入るだろうと言うのも、要は約二千万人の人口の国の土地並みの場所を海底に確保出来たからです……陸地で買うなら幾らになるかは考えたくも有りません。必要な設備の事を考えるとそれより少し少ないくらいの収容人数だと思っていた方が無難ですが」

「予定より換気口と陸地扱いにする為の海上の穴をかなり用意しないといけなくなるわよね。これは換気のしにくさを空間の広さでごまかすのが出来ない訳だし。そしてその海上の穴は海上フロートか船かで囲んでないと誰かが落ちたら不味いし、これ予算足りるかしら」

「それより換気のためのシステムを組んだ方が安上がりかもしれませんね」

「……それ、一ヶ月以内でやれる?」

「もういっその事、海をかなり定期的にどかしますか?で、換気のファンでも回しましょう」

「それが代用策としては無難ね。……でも換気の仕組みはいずれにしても作る事」

「ですね」

「まあ他国がムー大陸を攻める形式としてあり得るのは、陸地扱いにする為の海上の穴を全部潰すこと。そうすれば此方を倒せなくともムー大陸の国扱いを潰せるし、国と言う形式を潰すだけならそれで十分。……まあ此方はそんな事は解り切っているから、海上の穴付近にもそれなりに人員配置しとかないと不味いのよね」

「海底都市に住むつもりで来たら海上勤務をさせられたとか割と笑えないのですが」

「とは言え、観光地にするなら其処には玄関の役目が有るのだし、ある程度はそういう人も居ないと不味いわよ?」

「……それはそうですけど、担当者はコレジャナイ感が有る気がします」

「とは言え、仕方ないじゃ無い。まあ穴潰しが成立されたなら私は負けている訳だし。……他の神相応個体に連絡でも付けるかしら?」

「いやいやいや、そんな伝手が有るならもっと速く頼ってくださいよ……」

「そいつらとは別に仲が良い訳じゃ無いのよ。単に前に共闘した事が有ると言うだけ。でも、それをする価値は有るわ」

「……嫌な予感がしますね……」

「大丈夫、大丈夫。今回の話は彼方にも利点は有るし。実利が有れば協力はしてくれるはず」

「……つまり私達を保護するのがメリットに成ると可能性では無く普通に言えていたのは、競合相手が居るのが解って居たからですか」

「そう言う事ね。……まあ、大丈夫な……はず」

「流石に危険すぎますよね?共闘した際の理由にもよりますが」

「共通の脅威に対する対抗手段として私達は集まって、結果として各々今の力を手に入れたのだけど、その原因は解決して有るし……いや、それなら、うん。彼女の方が今の状況には適しているわね……フラワシ。出てきなさいよ」

すると空間上から声がする。

【何?アーバーン=ウォーター】

「どうせ聞いていると思った。どう?協力してくれるかしら?」

「ちょ、誰と話を?」

【其処の奴は退出させた方が良いのでは無い?】

「……貴女の能力的にそれは不味いでしょうよ」

【まあ、それはそうね。へえ、其処の人は膨大な数と、量のエネルギーが混ざったのを受け続けた結果、完全無効と迄は言わないけど、異常なレベルの各種耐性を得ているわね。……あくまでエネルギーの過剰エンチャントへの順応の結果だから、物理的には其処迄でも無いけど】

「……それなら私が気付くべきだったわね。なら物理さえ如何にかしてしまえば良い訳ね」

「ええとそれはつまり?」

【最早耐性が付き過ぎた結果、むしろ自分でエネルギーを生成制御するのにも支障が出るレベルのそれ。つまり、魔法を使うなら自分を媒体とする奴は諦めろと言う事】

「バフの能力は使えていますよ?」

「要するにそれはバフの魔法を掴んで投げているだけなのじゃ無いかしら?」

「……うわぁ……って、そうじゃなくて、どちら様なのですか?」

【私はフラワシ。しがない下級神格よ】

「……よく言うわね。元ネタがそうだと言うだけでしょうが」

【だとしても、まだ私には力が足りないから】

「……あんたが一定以上の力を得られると本当に強さ議論を無価値にするような奴にしか勝てなくなるから止めなさい」

【なら貴女も強くなるのを止めろと言われたら止めるの?】

「……止めないけど、本当勘弁してよ」

【貴女は万物其の物で有るならば、私はそれに宿る者なのだから似たような物よ】

「……最終的にはそうなる可能性が有ると言うだけの話をもう既にそう成って居るみたいに言わないでくれる?」

【そう出来る基盤は既に獲て居るくせに】

「……それは私だけじゃ無いし」

【そうね。今はそう言う事にしましょうか】

「あの、どういうことですか?」

「今のはまだ成長途中なのにカンスト後の事を前提に話して来ただけの話で、今の私にはそんなレベルの力は無いわよ」

「でもそれはそう成れる可能性の有る力を持つと言う事ですよね?」

「……そうだとしても、まだそうは成って無いし、それはまだ机上の空論レベルの物よ?」

「そうなるつもりは有るのですよね?」

「……そうなれば要は全世界の敵味方含めて全ての物が全滅でもしない限り死なないもの」

「……うわぁ……」

「この話はこれくらいで良いわ。で、どうなの?協力してくれるかしら」

【私が協力する事でのそれによるメリットは?】

「……能力者が住み分けされるわ」

【……つまり、そう言うのが居ない所で好き勝手していいと?】

「そうしたらまた止めるわよ?」

【はいはい。あの時の私は本意じゃ無かった物。まさか私があの時から一切強くなって無いとでも?】

「……そうなったのを嫌がって無かったかしら?」

【その代わりに物欲は基本的に満たされない事は無いもの】

「それは所有欲が、でしょう?」

【ま、そうね。最低なデメリットももうさすがに慣れたよ】

「……それにもう価値を感じなく成ったのではなくて?」

【……そう言うなら何か別のメリットを私に提示してよ】

「物を渡す系は意味が無いとして何が欲しいのかしら?」

【なら強く成れる環境かな】

「そうして強くなったら何をする気?」

【どうしようかな、私を造った奴ももう始末は付けたし……元凶の奴を倒せるなら倒したいけど】

「その機会があれば協力すると言う事で、どう?」

【分かったわ。それでいいよ】

「決まりね」

 創り主も、アーバーンさんもこの声の人も、奴を倒したいと共通して発言しているわね。何か共通の因縁が有りそうね……。奴とは誰なのかしらね?

「あの、疑問なのですが、復活能力持ちが全滅前提で全て爆破したらやばくないですか?」

「……私は、物は物でも物理の字の方を言っているのだけど、その能力が成立すると、いわゆる残機が世界に有る物質、それら全てが私の命に成るのよ。世界外に何かを避難させてもその避難に私も付随する形でね。だから世界その物を跡形もなく壊し尽すレベルの物でも無い限りは原理上やられないわよ。でもそう言うのが出来るとか言い出すのは強さの議論を無意味にするレベルのそれでしょう?」

「……うわぁ……」

「まあ、これはあくまでこの先の予定地点の話。今の力を話しているわけじゃ無いわ。……別にこういう力に手が届きうる力が無い訳じゃ無いけど」

 其処に水霧さんが来る。

「おい、ニュース見ろ。他の神格の奴が別のプロジェクトを発表したぞ。限定的な意味での天空都市を創るらしい。まあ、つまり、対抗心か此方の集客潰しかだろうが」

「……それにはロマンは有るけど、問題点はどうしたのよ?」

「だから限定的なそれなのだと。浮かぶ為に使う奴が浮かすのに使うエネルギーが多すぎるので、飛べない時間がある。……要するに、エアロスクラフトを改造した様な物。ゲームで例えるならば、飛空艇の島版みたいな感じらしい」

「……つまり内情的には天空都市、では無く、飛空艇の積載可能量を極端に増やした物ね」

「だが、要は補給さえ如何にかすれば、ずっと空中も可能な可能性が有ると言う物だな」

「……積載量さえ何とかすればやれたとか不覚としか言えないわね、それは……」

「一先ず視察に行きたいから渡りを付けてくれ。対抗が目的なら彼方からお誘いが来るとは思うが」

「そんな事はしなくとも現場さえ解れば、ああ、そう言う事。要は飛行艇だけでは足りない浮力を飛行出来る系の召喚された奴が支える事でカバーしている様ね。燃料だけが問題点なら、普通なら意地でも常時飛ばせる様にするもの。フルタイムでそれを飛ばせないのは、多分その補助役の休憩の為じゃ無いかしら」

「……つまり彼方も人手不足か……」

「とは言え商売的には彼方の方が良いわよね?主に落下時の為に少し町外れに有るだけで他の場所の観光地に行くのは簡単なのだし」

「……要は店をどれだけ此処に引き込めるか、と言う事か?」

「そうじゃなくて、要するに他とセットで行ける観光名所が彼方の方が多いわ。他の場所に行ったついでに行こうと言う客も来るのよ」

「……とは言え観光地にするのはそれで儲けようと言うよりも、補給の為の面が大きいのだろ?商売目的で参加してくれる奴がある程度居たら物資を運搬する上で此方が全額単独で払う事態に成る所がそうじゃ無くなる。それなりに商売で大手企業が参加したら物流面で楽に成る。此方がお金を払わなくてもある程度の物流が生まれるのだし、最大三千万人の顧客を得られる未開拓事業をやれる……商売人的には美味しすぎる状況なはずなのだが」

「人口の多い所で商売をやりたいのは自然ですけど……三千万人は多いのか少ないのか」

「なら調べてみてよ。例えば人口が一億超える所は二十カ国も無いよ?後それで少ないと言うのは国の人口が三千万人を下回る国全部をディスっているからね?」

「……はは……」

「今回は人口的にも国扱いでも何ら問題無いレベルの人数が集まる場所には出来ている。逃がしてなる物かよ。全員何とか受け入れる方向で行くぞ」

「現実的には今の土地では二千万人くらいしか受け入れられませんが」

「……土地は増やせないのだとしても、その二千万人の数値は一戸建ての所も含んでの話だろ?なら例えば一戸建てを建てる事を基本的に禁止するとか、高層マンションを増やすとかまだやりようは有るだろう?それを言って良いのはそう言う策をやってからだろうが」

「そうでしたね……一戸建てを無くすだけでかなりの上限値を上げられますね」

「……景観がぶっ壊れてアレに成るわよ?」

「そう言うのを気にするのは大義名分を果たしてからだろうが」

「そうね……さて、それで最悪収容可能人数を約二千万五百万人に到達出来れば、最低限の大義名分は果たせるわね」

「……おいおい。俺らは拠点として使いたいのが条件で協力しているのだろうが。それじゃ足りないよ。俺たちが住む場所がさ……。出来る限り受け入れられる様にしてからダメなら仕方ねえけど」

「そうだったわね……さて、住宅地の建築設計を見直ししないとね。まあ建てるのは能力でやるのだから配置図面と言う方が良いのかもしれないけど」

「まあ彼方も最低でもお金換算だと最低でも四十六億其処らは最低でも掛けて居るしね。生半可な物は出せ無いよ」

「……つまり、エアロスクラフトの値段がそうなのですか?」

「ネットで調べる限りでは、ね。しかもそれを改造し、巨大化迄している。後本来その設備では足りない浮力を召喚された奴で補う、と……。機械だけでやれるかやれないはともかく、やる場合にはさ」

【提案が一つ有るのだけど良いかな】

「なんだ?フラワシ」

【……脇の海水の中に土地のパーツの一部を入れる事で疑似的に浮かんだ土地を創る。と言うのはどうなのかな?】

「ほう?水中側に入る部分で浮力を持たせて、それで空中に浮かせるのか?面白そうだが外壁の負担が増すぞ?」

「その受ける負担については海水の中に入れている部分で得られる浮力次第よ。でも侵略を受ける場合に真っ先にその部分が破壊されそうだから、それをやるならそれ単体の場所で無いと無理ね」

「ま、そうなるか。でもそれは採用しよう。面白そうだ。……まあ多分、バンジージャンプとかの設備の場所に成るかもだけど。実際どんな設定の敵が来るか解らんのがね……。あーとにもかくにも凄い敵にはこう言う弱点が有って、(尚公式にそう言う文言無し)俺はそれを潰せる。なんてな」

【創作上自分の世界の独自設定を出すのは自由だけど、他の創作の世界もそうである。と言い出して、その理屈を肯定して、前提にしてマウントするのを有りにしたら、二次創作的な世界の玩具に成るよ。そう言うので否定出来る根拠がそうしたら潰れるし】

「まあ、だよな。元ネタが有るのはそういう時強いな。環境適応による相手に弱点を強制的に創る系なら既に此方は前に用意出来たけど」

「それを有りと言うなら独自の事の理屈上は何も断言出来なく成るのでは?他には前提をいくらでも勝手に変えられてしまいますし」

「それは創作上の話だが、万物其の物とかそう言えば世界外の奴はどうなるのだろうか」

「……定義次第よね。私は世界内の全ての物と概念的に成って居たら他の世界のだろうが世界に入る時点で私だし、世界に存在する全ての物質が私なら、そもそも身体の構成物質が一切此方にかすらないのでも無ければそれの中にも私は居るし」

「だが、それはかすらない奴を用意すれば良いと成るな」

「その理屈はそう出来ない程に此方が物質を網羅さえしてしまえば良いだけよ。……まあ身体の構成物質が何から何まで違う奴とか、要は生きる為に必要な物も違うわよね。呼吸するだけでも空気関連の物は有るはずなのだし、違う空気を元に生きる奴でも無いと何かしら被っていると思うけど、そう言う奴は要するに普通に呼吸したいなら此方でいう窒素しか無い空気を吸う様な物に成る気がするのだけど……って止め止め。それをどうにかする能力が有れば良いだけなのだし、そう言うのを言い出したら不毛だわ」

「……まあ、要するに互いの仕様次第過ぎて語る段階には無いと言う事で良いな」

「まあもうそれだと身も蓋も無いけど、そうね」

「しかし、召喚システムで産まれた奴の人権保護問題。此処で問題なのは人権をその者達に与える事じゃ無い。昔から有る問題で例えて言うならば、ロボットに対する人権問題で問われる事を更に増やした様な物。しかもその人々に自由意志が有るが故にロボット三原則は成立しないと来た。更に再召喚方法も有るから殺人したからと死刑にしても割に合わない……人権が保護された楽園?一部の国は召喚された人々の人権を認め無い事で、迫害して、拒絶していただけだろう。そう言う奴らがまともな環境を得られる場所では有るが、少し道を踏み外せばそう言う魔境に成る。だから人権を認めない事で、反撃行動で殺しても大丈夫にしていた国も有る。……その対応がむしろ召喚された人々からのヘイトを稼ぐのだがね」

「本当重いですよね……再召喚が可能=死刑が無意味。死刑相応の犯罪をやられても死刑にしては罰に成らない」

「普通なら匙を投げる様な問題点なら沢山有る。でもそれをどうにかする事をしないと、だ。そもそも復活のメカニズムなんて全部知り尽くしてないと潰すのも無理だろうし」

【再召喚は基本的には元の召喚者のエネルギーと召喚時の注文リストが必要で、その注文リストに再召喚の為の物を入れていたらその限りでは無い……けど、基本的には召喚者と袂を分けた人達が来る場所なのだし、再召喚はそうでない人で無いと無理じゃ無いかな】

「……そう言えばそうか。再召喚を設定に入れるのは注文リストの限界量を逼迫する為に、それが無ければ盛れた分だけ本来よりも弱くなりやすいから、余り考えなくても良い。……でもまあ再召喚の為の専用の奴を作れば良いと言うだけだったか……流石にそう言う奴は簡単には居ないと信じたい、が、システム干渉能力持ちも居た訳だしな……」

「まあ実際問題として私達の居た軍の所属の人にそれが出来る奴居るものね」

「だな。ぶっちゃけると火力勝負は創作的には幾らでも盛れるし、その数値を超える事のみが目的ならどんな数値を出そうが後出しで超えられて意味は無く、ならもうどんな敵にもどんな火力を出されてもが、原理的に死なない奴の方が手っ取り早くは有る。……いわゆる不老不死だが、不老不死は色々な作品でヤベー末路が有りまくるし、そうはしないとしても、ならそもそも壊すに足る形が最初から無い奴なら只の物理では壊しようが無くねえ?とは思う」

「つまり、物理で壊す対象がそもそも無ければ幾ら物理で火力が有ろうが関係無いと?」

「これだけだと幽霊系に成る。なんて言うか、固定された形がそもそも無い奴を壊したとは、どうやったら言えるのか?と言う話」

「消滅させたら、でしょうかね?」

「只の殴る蹴るの物理でそれやれるとかは、専用の設定でも無ければまず無理では?」

「一応は対消滅とか有るわよね?」

【……この話は止めない?創作的にはそう言うのを用意される流れだよ?】

「対消滅を利用するのに片方だけ消えるとか、何で対消滅と主張した?的なのを出されでもしない限りは対消滅のみしか設定が無いのは、要は自爆技だが?」

【だからそれ、相手だけ消せる理屈が有るよってされる前振りにしか見えないよ……】

「まあ要は消える分だけ物理で同時に物質生成して補えればやれると言えばやれるからな。一定以上の再生能力辺りでも有ればやれるかも知れないが……。体を消費する弾丸的な物扱いにする戦い方なのだが」

「ああ、つまり、ダメージを受ける前提で無理矢理ゴリ押しする奴は結果的にそう見えると言う話ですか。それは見た目的にはともかく、内容的には違うと思いますが」

「それな。消滅を只の殴る蹴るの物理でやりたければ要は対象の物質の許容出来る威力を大幅に上回れば良い。……まあそれだと粉微塵に成るまで迄砕け散る。的な意味でだから、要は消滅と言うよりも見え無くなっただけだが、只の物理では死にたくなければそれでも尚死ななければ良いだけなのでは?」

「……それが出来るなら苦労は無い。過ぎますが」

「それを言うなら只の物理で消滅が出来たら苦労は無い。過ぎだな。形に拘らない無形存在なのにそれが出来ないとするのも変だろとは思うけど」

【まあ実際万物其の物とかの話をしておいて素粒子を押さえてないはず無いのは分かるよ】

「一応それも壊せる事は壊せるだろ?まあ、それを出力するのは自壊しながらやるのでも無ければ、基本的には耐えられる方法が有ると自分で示している事にも成るけど」

「万物破壊の力とか名乗るのに、それを使う本人がそれを使う事で壊れてないならそれは万物全ての破壊は出来ない。……なんか身も蓋も無いのですが……」

「だが事実だ。少なくとも通常金属なんて物は、同じ硬度の物をぶつけたら壊れるのだし、壊すだけなら同じ金属を用意して、後は威力が有れば大抵の物は理論上はやれるぞ」

「本当に身も蓋も無いですね」

「何せ只の科学なら再現性が有ると言う事だし。なら同じ物を用意出来る。だから能力での特殊金属でも無くやり方を問わなければ大抵は壊せるかな。さて、脱線したな、話を戻そう。……ええと、再召喚について、人間も五百万人来るのだろ?その中に来ている奴の召喚者側も居る可能性も十分有るよな?」

「しかし何らかの形での制限を最初から与えるのは人権保護の名目から外れますね」

「そう成ると、犯罪行為で死刑に成った場合にはその後再召喚されていても、再召喚した奴含めてムー大陸からの継続的な追放処分辺りが無難かね?」

「基本的にはそれで良いと思うわ。……避難先として来て集まる奴の大半に対しては……でも前提として犯罪行為をしに来ただけの奴とかは野放しにする事に成るけど」

「……人権保護なんて必要の無い様な事を既にやっている奴にしてみれば、国とか他の人の対応は既に順当で、故に気にしないので、結果的に意味が無い……か。そうならなくても良い環境を自分からわざわざ捨てるのか?」

「犯罪行為その物自体をしたい欲求が有る系の奴にはそんなの関係無いわ」

「……例えば幾らでもお金が有るから風俗にでも行けば良いのに、わざわざレイプをするような奴の事は解らん」

【料理で例えると美味しい料理を食べた後に、またそれを食べたいと言う心理ね。レイプをするのが通常のそれをやるのより気持ち良いのじゃ無い?】

「うわ、なんかな。考えている前提を覆された上で回答を出されると、違う物を考えていたのだから、思い付かなかっただけとは言え、なんか微妙な気分……ってまた脱線した。話を変えるが、国にする場合国名どうする?人権保護関連の事を国名にでも入れるか?」

「少し調べさせて……ふむ。まず、連合国は入れるのは確定にしても、エウノミア連合国か、エウポリア連合国でどう?」

「それらの語源は?」

「両方ホーライの女神よ。それでエウノミアは秩序を司り、エウポリアは豊饒を司る……つまり、大地の恵みが沢山……的な意味のそれね」

「……うーん。人権保護の名目的に前者は良いし、後者も縁起が良い名前ではあるか。だが海底都市なのを考慮すると、前者の方が良いか?海の恵み関連の神の名前でも良いが」

「……メジャーな神様の名前の国にすると既にその名前を名乗る神格居そうだから避けるとして、マイナスイメージが付かないで使われて無いそれを探すのは難しいと思うけど」

「ならエウノミア連合国で良いか。名前負けしないようにしないとだけども」

【……既存の神格の名前に被るから問題と言うなら今後それを名乗る奴が出たらアレだよ】

「……神格を名前の元ネタにするのはやめた方が良いのか……」

「でも神話の存在を国の名前を使うのは良く有りますよ?創作なんて同じ元ネタの存在が居る奴なんてざらに居ますし」

「だが、今居る奴らから名前を取るのは今後神格を仲間にするなら、その神格に傘下に下れと言うのと同じだからな……さて、どうするかな」

「なら少し名を抜いてエウミア連合国としましょう。つまり、空気と海ね」

「うん。良いと思うよ。さて、更に煮詰めて行こうか」

 そして一か月が経った。

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