第2話未定

 状況を整理するわね。私、ケールハイト=スプリングスは仲間と共に、レムリア大陸建造計画をやることにしたので、面識の有った神格個体に協力を取り付け、他とコネを創る機会を得て、そしてコネ作りの一環として、データ盗難の犯人を捕まえる為に次に来そうな場所に行こうと言う状況ね。

そして翌日、件の場所に早めに来て、雑談する。

「オーダーメイドのデータ狙いと言うと、デブフェチなのかしら?」

「そうとも限りません。例えば規格外に大きい人も小さい人もオーダーメイドはしますよ。後、特注品のウエディングドレスの為の採寸とかも。召喚された巨人系や小人とかの人達に衣服に関する能力設計が含まれて居ない場合も」

「ああ、特殊な体躯で召喚された人々は衣服問題がアレなのね……個人的には人妻フェチはどうかと思うけど」

「デブフェチはいいのですか?」

「デブが良いとかそう言う話じゃ無くて、自分の妻にだけそれが向くならともかく、他人の妻に向くような性癖だと思うからよ。そうでもなければそもそも結婚する前には相手にはその属性は無いはずなのだし。いや未亡人も含めてね」

「……ああ、そう言う……」

其処にアーバーンさんが来る。

「早く来ていたようね。因みに今の話に付け加えるなら、ネット通販サイトで採寸データを事前に送る事で、疑似的に自宅に居ながら服の試着が出来るサービスも有るそうよ。今回狙われているのはそれね。今は犯人を捕まえるまではサービス自体が停止中だけど」

「損害がやばくないですか?」

「表向きにはメンテナンスの為の物に成るから其処迄でも無いわね。実際にメンテナンス的な意味の物も含まれているから問題無いそうよ。さて、予定時間迄一時間半有るのだけど、先に貴女達の力を把握したいのよ。良いかしら?」

「解りました。では移動しましょう」

そして場所を移動し一通り見せる。テレパスに会話は変わるが。

『ふむ。コピペ能力に、一定空間内の物を強制停止して、掴んだ物扱いにする能力ね。コピペ能力は特に言う事は無いけど、一定空間内に物が納まり切らないと停止して無いのは問題ね。まるで特定空間の中の物を停止するレベル迄進んだ扱いにする能力みたい。だから空間外部に対象がはみ出ていると破綻する様だし、範囲攻撃されたら普通に破綻するわ。効果範囲を広げるのは急務でしょうね』

「う……そこまで解ります?」

「何よ、これくらいで。創作では前提の舞台設定や創るにしても数行で済まされて、誰かがやれた事にされている様な事を自分達で真面目にやろうとしているのに、考察力が足りてなく無い?」

「……私達にでも一千億万円の削減は出来ていますよ」

「それはあくまでも能力で工事をする事で、能力使用無しの場合掛かる工事費用が浮いたと言うだけじゃない。それ以外はてんで駄目よね?」

「それで十分じゃ無いですか」

「じゃあそれで国と事を構えるつもりだったの?」

「……なら他の手段にしますか?」

「なら試しに天空の大地の問題点を挙げられる?」

「パラシュートを全員に常備は必要ですよね」

「そうね。と言う事は?」

「……あ、通常の土地の上で魔法が解けたら大惨事ですね」

「いわゆるセルフなコロニー落としが起きるわね。結果として自然と海上の上空に常時の滞在をするくらいか無くなるわ。ついでに日照権的にも厳しいわね。まあ要は其処迄大きくしなければ起きることも其処迄でも無く済むけど……物語やゲームなら破綻時の時の事は考えなくても良いから楽よね……」

「一度で全部壊れなければ良いだけですよね?」

「そうだとしても作成者側がコロニー落としをやる気に成ったら話は別だし、制空権を取られるし、日照権を取られるし、それが戦争利用されたら大変な事に成るけど、それが出来るか出来ないかではなくて、それが出来るとどうなるかと考えると、まあ歓迎はされないわね」

「ロ、ロマンは有ります」

「確かに。でも、出来たとして、メリットしか無いかと言われると微妙よね?」

「それは海底都市も同じです」

「そうね。でも、前提のシステムが破綻しようがそれが他にも影響を与える大惨事には前提だけで考えると成らないわよ。津波が起きるにも要は陸地から離れた地点でのそれなら、仮に大地震が起きて津波が起きても離れた場所の陸地なら小さい津波が来るだけで済むもの」

「……それは場所に気を付ければ済む話で……」

「天空の大地を動かすつもりならそういう場所にそれは動かせないと言う話に成るけどね」

「制限をすれば済むじゃ無いですか」

「追加で言うと航空機のルートの邪魔に成る高度に配置すると航空会社やそのバックの国とひと悶着なんて事も普通にあり得るけど?」

「……低空か高高度に配置するしか無いのですか……」

「動かせないならそうなると最悪だけど、まあ、良いわね」

『さて、身体データの強奪……商売的な価値のある物ならともかく、一つ一つはその個人個人に対してしか意味が無い。例えば特定の用途のマネキンがそれを元に創られないなら、ね』

……そう聞いて殺意が湧くのを感じた。

『早く潰しに行きましょうか。マネキン製造業関連会社の所を回れば良いのですよね?』

『それくらい先にやっているわよ。でもそれらしい痕跡は無いわ。元々そう言う会社に勤めている奴の犯行なら、普通の企画として通せてしまうから、不正使用の必要がないし』

『社員の犯行なら、そうしなくても準備出来そうだから、無いのではないですかね』

『……思い過ごしで有れば良いけど、他人の身体データでハアハアやっているだけの奴ならまだマシな部類な可能性も有ると言う事は頭に入れておきなさい』

『身体データでそう言う行為をされるのは嫌では無いのかと』

『……それを言い出したら制服コスプレでやる性行為はどうなるの?それはやるのはあくまで他人だし、リアルタイムのデータでも無いでしょうから、完璧に正確なものでもない。だから、それはあくまで妄想は妄想でしか無いのよ』

『良く割り切れますね?』

『割り切らないとやってはられない能力持ちであるだけよ。完成度がいくら高かろうが、それが妄想で完結しているなら関係無い。それを完全に潰したければ言論統制レベルの事をやらなければならないし、無価値と主張した方が精神衛生上無難なのよ』

『それはある種の諦めでは無いのですか?』

『うるさいわね。私は全部を創った創造主でも無ければ、全人類の思想を完全に制御出来るような能力持ちでも無いの。只の妄想くらいなら許容してやるわよ。あくまでもそれが妄想で完結するならね』

『……卑下するような事でしょうか?』

『そもそも私は私の力が足りないと思っているからこそ、貴女達を保護する事にメリットが生まれているのよ?何か出来ない事が無いとむしろおかしいと思うのだけど』

『……その割には力があり過ぎである気もしますけど』

『私は召喚システムが出来てから生まれたのだもの。力に相応した経験が足りてないのよ。まあ、スペックゴリ押しはやらせない為の能力は有るけど』

『スタート地点はそんなに此方と変わらない、と?』

『百聞は一見に如かずとも言うし、模擬戦しかやらない様な人達よりか、戦闘経験の練度は有るとは思うけどね』

『太古から生きている様な奴にそれでは普通に負けませんか?』

『……何かしらね。この前提条件が特殊な物なのに、その前提条件的に論外の奴を持ち出して、そいつの方が強いとか言われるのは』

『でも居ないとは限りませんが』

『……居るならそもそも召喚システム自体が成立しても即座に潰されてそうだけどね……まあ、それはともかく、……私の持つ能力的に既に一部のそういうのに喧嘩売る真似は既にしたような物だし、そう言うのが居ても此方には干渉する気は基本的には無いでしょうね』

『……勘弁してくださいよ……』

『……まあ、奴の掌の上なのは気に食わないけど……さて、行きましょうか。転移するわよ』

 ……そして反論する暇もなく私達は転移した。そして現地の人々と情報を共有する。……ある程度事態が進行した後の様に見えるのは、事件が起きて直ぐなのではない事が伺える。……私側にコネを創る機会をくれたのだから、其処には文句は無いけど、アーバーンさんは事件が起きて直ぐに対処に当たった訳では無さそう。……まあ、下が育たないとアレなのは分かるけど、直ぐに事件を解決出来る力が有る奴が動かないで他の人を差し向けるのは……何かモヤモヤする。いや、ワンマン企業の世代交代が難しいのは解るからアレなのだけど。

 ……まあ、現場に張るからと言って、直ぐに犯人が仕掛けてくる保証は無いし、何なら別の場所に盗みに行く可能性も有る。まあ、全身の採寸データを提出するのを要求する商業なんて他にも有るとしても、種類は限られる……はず。例えば身長だけなら遊園地でも特定の身長以下なら安全上の理由でお断りとか有るけど。VRゲームの小説で自分の身長なり何なりを把握して、それを元にアバターを創るとか有るのを見たことがある……まあ、行動ログ取られる環境でエロ行為とか……盗撮……いいや、録画されている様な物で、AV女優的な事を結果的にやる羽目に成るし……。でもログの保管無しだとチートとかの違法行為をされても摘発出来ないのよね。……思考が逸れた。今はスタンドアロンのデータ保管サーバーの防衛をしないと、よ。こう言うのは初動で盗めるだけ盗んで対策されたら辞めるべきだけど、ギャンブルで賭けを的中させられたから、もう一回それを使って賭ける的な思考に成る奴もそれなりに居るのよね。実際は一流ギャンブラーでも無ければ一度デカいのを当てたら辞め時だと思うけど、それはそれ、これはこれ。データを集める事が目的なら、壊しには来ないはず。ダイアモンドを盗みに来た奴が、本物のダイアモンドを壊す動きをするとか何のために来たのかという感じ。この場合は壊す必要性なんてなくて、盗まれた事それ自体が公表されるだけで新規の客が来にくくなり、大打撃にも程が有るのだけど。人によってはクレジットカードの番号が流失するよりヤバイ気もする内容ではある。……でも、仮にバストとウエストとヒップだけで良いならアニメキャラとか公開しているキャラ多い気がする。……まさかね。そう言うのだけで足りるなら、そもそも盗む必要はなく、必要なデータは既に揃うもの。ある程度は詳細データが必要な、はず。有るならこんな事はしないわよね?……本当に胸糞悪いわね。

「あくまで妄想の産物、あくまで妄想の産物……潰す……いや、落ち着け、私」

「まだ、確定では無い事で熱く成らない方が良いわ……まあ、アニメキャラ、か。其方だけなら……それの人形を創るのは版権者じゃなくても売り出すのでも無ければ別に問題無い範疇だけど、実在人物のデータを集めてそれを元に……なら話は別。相手を疑似的に凌辱する道具を作りました。そしてそれがその本人にばれました。まあそんなの普通に裁判沙汰もあり得るわよね。……私刑で良いのを考えて有るわ。それなりに抵抗して貰わないとそれをやる大義名分が立たないけど」

「何をやるつもりですか?」

「私的には能力的に肯定しなければアレな事よ」

「……逆レ○プでもする気ですか?」

「少し違う……と言うか、それを有りにする魅力なんて感じないわよ」

「……少しですか?」

「直接的な逆レ○プはしない。警察に突き出そうと言う時にそれは此方も捕まるわよ」

「なら尚更何をする気ですか?」

「犯人には説得として幻覚を見て貰うわ。……対象がひっくり返ったね」

「……何のか次第でだいぶヤバそうですね。それを捕まえるのに必要だったと主張する、と」

「凌○、レ○プ、拷問。リ○ナ、機械○、常識改編、エトセトラ……まあ、相手をちゃんと考えていた対応しかしてなかったなら、そう言う不都合なのは無くて済むけど」

「なら、ひっくり返す上で、相手の見た目を変えませんか?」

「それは良いわね。そうしましょう」

「……ケール様……それは意味有るのですか?只の幻覚ですよね?」

「だからと捕まる事をしてもアレだし……」

「要はお前だと思う物を犯していると言う現象を見せられて居たと言うだけだから、同じのを返すと言うだけよ。まあ、ダブルスタンダード的な思考をしている奴や、そうされるのを許容して、笑い飛ばせるメンタルの奴には余り意味無いけど……似た行為を自分でそう言う意味が有るのだと肯定している事が前提条件の上での話だしね。まあこれで価値無し方面に思考が進むと前提行為の価値否定にもなるけど」

「うわぁ……」

「さて、犯人は来るかしらね?多少は強いはずだけど」

「一先ず配置に付きますので行きますね」

「行ってらっしゃい」

そしてしばらく目的地へと移動し、見覚えの無い奴が居たので、

「……貴方、誰?先の顔合わせの時居なかったけど?」

そいつは走り出した。……曲者だ。

「警報鳴らしてっ、侵入されているわ」

そいつへ攻撃を飛ばそうとするが、全て不発する。

「攻撃キャンセル?そんな無茶苦茶な……いや、そう言うのが有るから正面突破しようとしているのだろうけど、攻撃がとにかく撃てないわね」

メールで文面が来る。

【攻撃を潰す為の力が無限なはずは無い。とにかく回数撃って、攻撃キャンセルの使用回数を使い切らせろ】

 へえ。そうやれるのね。これは所有エネルギー量の勝負に成るけど、此方は発動前の技でエネルギーを無駄遣いなんてしてないのだ。それにはキャンセルの効果が当てはまらないと言うのなら、エネルギーはキャンセルの力に完全に囚われては居ないはず。つまり、攻撃キャンセルは完璧では無いと成る。なら攻撃を通せる隙は有ると成る。そうでないのなら、短時間のなら時間戻しで有ろうが、同じ理屈が通るはずだが、完璧に戻すなら、戻せなく成るまで戻させて、使用回数や、エネルギー切れまで行かせて、後は普通に殴り勝て……実に脳筋回答ね。自分のエネルギーの消費も戻せてごまかせる奴の場合はアレだけど、自分に有効な仕様なら、仮に他人に自分の能力を強制使用でもされようものなら……まあ、軽く死ねるわね。私はとにかく攻撃を試みまくりながら、そう考えていた……ああ、これ、短い時間戻しね。閉じ込める為に火災障壁とかを降ろされたのが通れる分だけ上がってまた閉じた。……まあ、今迄捕まって無いのも納得ね。つまり、捕まえようとする動き全てを時間戻しで不発させて、無理矢理逃げ切ったと言う事では無いだろうかしら?クソ技にも程が無い?

 其処に放送が流れる。

『はぁ……理屈は要するに指定した物のロールバック。前提となるシステムに干渉する力が無ければ、幾ら力が相手に有ろうが、関係なくその効果は発動出来る……とまあ、理屈を成立させるのは不可能では無いけど……そのレベルの事が出来ているのに何故こんなみみっちい犯罪等をするのか、と』

『うるせぇ!ロマンと言う物が分からんのかよ』

『二次元の存在を実際に顕現させる事にロマンは有るかも知れません……ですが、貴方のそれは独りよがりの物でしかないのよ。その相手に同意なんて取れてないくせに』

『そんなもん後から取れば良い』

『取れる様に調整した相手を創るのですから、確かにそれは取れるでしょうがね』

『実利が有るなら倫理観は無視される。医学だってそうだろ?』

『……どうせ読んだことは有るでしょうが、それは創作の勇者召喚の悪役としての王様の思考様式よね?それを批判する流れに嫌悪感を抱いた事は有るかしら?』

『……読んだことなんてねーよ』

『なら、召喚される立場に成ってみますか?そうしたら此方の言いたいことも分るでしょう。つまり貴方が召喚される者に求める事を求められる立場に、ね』

『……それは俺のやりたい事次第だな?』

『それがろくでもないことでもなければ、そもそもこうはなって無いでしょうが』

『やれることをやって何が悪い?』

『法律的に大丈夫なら何をしても良いのかしら?』

『駄目なことを辞めさせる為の物が法律だろ?逆に言えばそれ的にはセーフと言う事だ』

『……そう。なら不法侵入で貴方を捕らえるわ。その点に異論は無いでしょう?』

『……やれるものなら、な。じゃあ、さらばだ』

『転移で逃げた、と。でも甘いわよ。システムに介入出来るのが貴方だけとは思わない事ね。さて、転移先は……。良し。ちょっと行ってくるわ』

 そして放送は切れた。前提でシステム干渉権が無ければ対処出来る可能性は皆無な能力。科学兵器の類いを作話上排除する為の設定として、特定の力しか効かない能力なんて、創作でもそれなりに有るけれど、……実物を見ると理不尽過ぎるわね。



 さて、私はアーバーン・ウォーター。今は水神をやって居るのだけど……犯人を追跡する上での相手の目的を上げると、通常の追跡の人混みに紛れる事はやってはくれなかった様で、面倒な場所に逃げ込もうとして居る様ね。つまりは、別人に化けた上で、他国の大使館に逃げ込もうとしている訳よ。そうされたら面倒な事に成るからそうなる前に捕まえたいのだけれど、いっそ直接転移で大使館に逃げていてくれてれば、大使館側に不法侵入扱いで済んだのに。まあ、だからこそ、転移を咎められない範囲で離れた場所では有るが比較的近場の場所に転移したと。荒事にはしたくないけど、大使館に逃げられても面倒な事に成るから、分体をそいつと大使館との間に大量に配置する。……問題はロールバックのシステム干渉、よね。最初から今迄ずっと其処に在った物以外の物なら何でもどかせそうな能力な訳だけど、システム干渉の深度次第な話。つまり、他の奴が入った容器を自分は自由に動かせる。だから、ロールバックが出来ると言う事なら、その容器の容器を自由に動かせれば良い。完全に能力のレベルの勝負に成る。レベルの勝負なんてアレよね。あえて言うなら、子供の喧嘩に親が参加するとか、相手の権限よりも上位の権限を用意すれば勝ち理論。……それで勝つのはもう最早身も蓋もないわよ……。騎士道とか武士道とか綺麗事は言う気はないけど、ルールを決めた上で戦おう?そんな事知るか。……とかやり始めると小学生の考えた様な思考停止的な理屈も許容する羽目に成って負ける羽目に成るのよね……。……おっと、凍らされたわね。そもそも氷は水の状態の一つ。氷も水の一形態なのだから、普通に操れますよと言うだけよ。そもそも昔の四大元素とか、少ない物で全ての現象を説明する考え方は有るのだし、定義としての水ならそういうのもカバーは可能よ。結界?はぁ。結界は外からの侵入を防ぐ物で、殺界は外に出さない為の物。まあつまりどちらからも干渉が可能な状況でそういうのを使っても、両方から攻撃を通せるのだから、まあ、普通に壊せる。どちらも対処出来る物なら完璧?……ステ振り理論的には特化を器用貧乏に変える暴挙よ、それは……。

 まあ、それはさておき、目的は潰せたわ。大事に成ったのだから。追撃者を倒す為の行為をする事は本来ならばベターよ。でも保護される目的の行動の直前にやる事じゃ無いのではないかしら。此方がこいつを引き渡せと言う口実にも成るしね。……まあ迎撃しなければ捕まるかもと言う時に一切相手のダメージに成るような攻撃をするな……なんて要求を満たせと言われてもアレなのだから仕方ないのだけど。只の人違いとする為の変身なのに普通に捕まえる奴を潰す反撃行動をしちゃあ、ね。別人でも暴徒扱いで捕まえられるのよね……。さて、これで相手は大使館に逃げ込んだ、と。まあこれで大使館の奴がグルでも無ければ……。グルなら不味いけど、それなら直接大使館に転移しているから今回は関係無し。後は暴徒を捕まえる旨を伝えれば普通に引き渡される……。これで更に逃げたら二か国を相手にしないと成らなくなるのよね。……攻撃を引き出せて良かった。そうじゃ無ければそのまま逃げ切られているルートも有り得たわ。まあ、その場合はそもそも普通に捕まえる様にしていたけど。……さて、犯罪者の引き渡しを要求しましょう。

「犯罪者兼暴徒が此方に入ったので、引き渡しを求めるわ」

「……暴れたのは貴女様では無いですか?」

「それは犯罪者を捕まえる為にと、自衛の為よ。現に自分を閉じ込めた結界を壊す以外では此処では攻撃行動はしていないわ」

「確かに。では、どの様な方でしょうか?そしてその方が滞在中でも、それは現行犯逮捕には成らない為、貴女様に逮捕権はないかと思われますが」

「監視カメラの映像なら用意は出来るけど、侵入者の……変身能力持ちを連れてきなさい」

「残念ながら私達は個々の能力の詳細把握はしておりませんので、お応えいたしかねます」

「なら入らせて貰うわ。それで自分で連れて来る事にする。入っても良いわよね?余計な場所は荒らさないから」

「貴女様に国境を超える逮捕権が有るようにはお見受け致しませんが」

「脅迫する気は無いけど、そうね、貴方は犯罪者の肩を持つ訳ね?」

「ですからどちら様の事をおっしゃっておられるのかが解らないのですが?」

「……なら、そうね。そいつの現在地点を言えば文句無いわね?」

「盗撮はお止めください。訴えますよ?」

「誰の事を言うかと言う回答よ。そもそも見た目を変えられる奴に見た目と名前で言うと逃げられるだけだし、ここから一番近い二階の応接室の中に居る奴を全員連れてきなさい。それくらいなら、良いわよね?」

「……かしこまりました」

 待つ間も探査していると、目標のエネルギー反応が切り変わった。……やらかしたわね。変身能力持ちが変身出来るのが見た目だけなんてルールなんて無かったのよ。それで今変える理由?答えは単純。奴は遠隔操作系のロボットか何かで、此方が探知していたのは其方で有って。本人では無い訳ね。それで接続を切ったと。……身体データを集めていたのは変身能力持ちなのなら、変身する上での参照データが欲しかったと言う所かしら。つまり、犯罪する際の参照データの数がそのまま隠れ蓑に成る。と。対策としては身体データを盗まれた人達の所在地を把握しておく事で、その身体データを元に変身して犯罪をして来た時の潔白証明に使う……だけど、問題はその数よね。まあGPSでも渡して置けば良いかしら?紛失時には連絡をして貰う様にしてしまえば、まだ良いわよね?……敵のお陰で、なのは気に食わないけど、逃がした責任を取って、私の保護下に入って貰いましょうか。

「連れて来ました」

「ああ、はい。ご苦労様。で、問題の奴は此方から見て後ろから二番目に居る奴なのだけど、ロボットか何かだったとか、有るのかしら、此処に来る途中でエネルギー反応が変わっているのだけど、少し前に来てもらえる?」

 そしてそいつは前に来て高エネルギー反応が発生したので水を生成し、そいつを包む。……通常の爆弾ならこれで良いかしら?能力の爆発でも緩衝材くらいには成るでしょう。……まあそれにすら成らないパターンでも、此処に居る私は本体では無いから、関係無しでしょう。と言うか能力の無効化的な高性能爆弾を、回収困難な場所で使い捨てなんてしたら、今回は良くても今後がきつすぎるから流石に無いわよね。そして爆発は簡単に抑えられた。さて、自爆して、死に逃げを決めようとしたのか、それとも遠隔操作の人形の処分のためか、さあ、詳しく見させてもらいましょうか。

「この遺体は持ち帰って良いわよね?」

「貴女が爆殺したのでは無いですか?」

「それは言い掛かりが過ぎるわよ。殺すつもりなら、先の時点で本格的に殺しに掛かるべきだし」

「……遺体は此方が預かりますので渡してもらえますか?」

「断るわ。そもそもこれ、触れてみる限りは遺体じゃ無くて遠隔操作の機械人形っぽいし」

「使われている技術が此方も知りたいのですが……」

「後で解析結果は渡すからそれで勘弁しなさい」

「……解りました。ではよろしくお願いします」

「じゃあまた。これについて追加で連絡したい事が有るならこの国の軍の方に連絡でもしなさい。そしたら此方と繋がるから。それじゃあね」

 そして私は機械人形を持ったまま転移した。これは軍部の解析班にでも回しましょうか。後、被害者の補償もやらないと。まあ、問題が有るとすれば、GPSを理由の説明もちゃんと話した上で渡す場合、今回の手口の説明もある程度はしないとなのよね。……そうすると模倣犯が出る可能性が産まれるけど、でもそれに対するメタの提示有りきでやる説明な訳だし、……今回の奴をそのままのさばらせるのも違うか。説明もしよう。

 要点は、

一、収集された身体データを元に変身能力持ちがそれに変身し、犯罪をして、罪をなすりつけられる可能性が有る事。

二、犯人が捕まる迄所在地の開示をしておく事で、自分の姿で犯罪を行われても不在証明に使える事。

三、不在証明の為に警察側に解る形でのGPSを常時所持していて欲しい事。

四、犯人を逃がした此方にも責任が有るので、此方の保護下に入らないか打診する事。

 四に付いては此方の欲が入る様な検案だけど、GPSの詐称手段を相手側が用意してきたらアレでは有るのよね。……そうなっても、此方は保護下に入った奴しか助けないけど。そうでなければ保護下に入る奴らに対して不誠実だし、護衛しようか?と言うのを断った上で護衛しなかったのを責められても、そんなのなんか知るか検案なのよね……。対策は有る。そのメタも有る……けど、それを安売りする訳にも行かない。まあ、遠くを見るための能力なんて普通に有るでしょう。例えば露天風呂なんて対策積み重ねまくらないと覗かれ放題でしょうし。まあ、そう言う物は開示したら失効する物だと考えた方が無難な訳だけど、ある程度は提示できなきゃ客側が来るわけも無いし。自衛用と商売用最低限二つの対策は用意しないとね。まあ、保護下に入らない奴には最低限の一つしか教えないけど。しかし、何でもかんでもどかす能力……ね……あ、海底資源掘りを大規模にやって、それで出来た空間を海底都市のスペースにすれば良いのよ。……まあ能力無しでやるには海底資源掘りに掛かるお金が掛かり過ぎて資源が碌なのが出なかったら悲惨よね。……まあ、やり過ぎるとかなりの数の国から介入食らいそうだから、やるなら程々にしておかないと。海底資源の大規模独占とか下手したら戦争検案なのだし。よさそうな場所を選定はしておきましょうか。



 そしてアーバーンさんが戻って来た時には色々と話が進みだした。……まあ、都市基盤の移動をする羽目に成ったけど、問題は解決出来たと言う事で良いのだろうか?まあ、やるとヤバイが要はやり過ぎ無ければ良いと成るのは十分よね。

「……ケール様、問題はまだ終わっていませんよ。能力無しで似た事をやる奴の領域は残しつつ、それなりに領域の確保をすると成ると、相当深い場所に都市を創る必要が有るので、脱出方法はそれなりに数を用意しないと不味いですし」

「駄目なのは完全に独占する事。必要なのは他にも努力次第で得られる旨味を意図的に残す事。そうしないと他がそれで得られる利権を得る為には、協力か、買収か、侵略か、まあ侵略をされる際に他の場所に行けと言える余地がある様にしないと、不味いわよね……そうしとけば、侵略者に対しての糾弾で、努力すれば他の手段で得られる物を侵略と言う手段で無理矢理得ようとした奴らと出来る訳よ」

「独占市場なんて既存の物にもそれなりに有りますけどね」

「まあ確かに。これの場合は海底資源の内容と、量次第で変わる話よね。やれる分を最大限やるにしても経済水域圏は避け無いと不味いし、最高限度取るなら公海を全部掌握だけど、……まあ無理。人員も足りないし、予算的にも不可能だし、やるにも大規模整地も大変だし、そうしたら奪う目的の奴らに正当性も出てきそうだし。更に其処迄やるならゲームの敵役と似たような物に成るし、能力未使用で整地が現実的には不可能なエリア範囲の掌握と言うのは奪う側にもそれなりに技術が必要に成るだろうから、それをやれる国は奪いに行くより、自分の国の経済水域の中で似た事をやる方が確実に安全に稼げる訳だし」

「それで問題なのは経済水域が国として無い内地の国ですね」

「そう言う国が潜水艦とかの海底に行く方法を大量生産するのは考えられないわね。国外に行かないと使えない物を大量生産する訳だし、まあ最悪他国に売れば良いのだろうけど」

「創る手間が面倒だから奪う奴はどうなります?」

「……商業的には業腹にも程が有るけど、一度に滞在出来る人数の管理と制限をする事で、数に頼る侵略は潰せるわ。……質で押す奴はアーバーンさんに丸投げに成るけど」

「水神なのですし、雷とかに弱そうですけど」

「通電する事が即ち撃破なら苦労しないわよ。能力無しでの避雷針設備は基本的に一度の雷が当たれば使い捨てです。なんて話を私は聞いた事無いし」

「それは避雷針設備の質次第ですよね」

「そう、それね。結局は受ける側の質次第なのよね。流石にそこを手抜かりしているのに、神なんて過大広告抜きで名乗れるなら……神殺しはそれなりにやれる奴は居ると思うわ」

「……あのねぇ、私を倒す算段をするなら、私が知れない所でやらないと意味無いわよ?」

「ははは……アーバーンさんも聞いていましたか」

「そもそもガチ戦闘でも無ければメタを提示されるのはむしろ歓迎だけどね。それをどうにかするのを創れば更にまだ強く成れるし……まあ、只々ひたすら極限まで冷やせば全ては凍る……訳じゃ無いし、此方が既に対策済みの物をドヤ顔で出されても対応に困るけど」

「……絶対零度は全てが凍る温度では?」

「そうね。但し正確にはそれは条件付きでの物だけど。そして氷を使うキャラでその条件をカバーして無い奴には幾らそいつの冷却力が強かろうが凍らされない理屈は有るわ。……もし仮に凍らされても動けるしね」

「……条件の開示は?」

「わざわざそれを自分から吹聴はしないわ」

「……ですよね」

「まあ、特定属性の能力持ちがその属性の物で出来る事を網羅しようとしないのは本当に強く成る気有るの?と言いたく成るけど、まあ特定効果の能力が有れば対策出来てしまうレベルの物だし、わざわざ吹聴するとその対策自体が実効性無くなるのよね」

「……それは特定効果の能力が有れば対策可能系能力を全般的にディスってますよね……」

「……不確定性原理よ。要約するとオンオフスイッチとか、シーソーみたいな理屈。詳しくは自分で調べなさい。色々な能力を盛ってないシンプルな氷系能力者なら、大抵の能力者は持って無い事を凍らす為に要求しているから。そしてそれは一つしか能力を持てない属性系能力の奴には氷からは内容が逸脱している的な意味で持てない内容だから」

「……えげつなくないですか?」

「結局は対応している能力を持てば良いだけだもの。まあ、凍結させる事にのみに特化する能力持ちならセットで持つ奴も居るでしょうが、それの単体使用を考えると完全に別能力なのよね。創作ならそれは凍結とは違うだろう。と言うツッコミ受けるのが目に見えるわ。まあ、その能力を貰う側は沢山能力を貰える時にわざわざ貰える能力を減らそうとはしないでしょうけど」

「一つの能力をカバーする為の能力をサブとして大量に持つ奴も居ますが」

「……ああ、そういう創作も有るわね。一つの属性の能力しか使えない縛りなんて物が有るならそれが成立していたら、縛りの意味が殆ど無いけど。まあそういうスタイル自体は否定しないわ。それを否定するなら、単純に沢山能力を持つ系の奴も否定しちゃうし、切り札のカードを成立させる為にデッキを組むとか、カードゲームならやる奴は結構居るだろうし」

「あの、話は変わりますが、アーバーンさんを召喚した人はまだお会いしていないのですが」

「……ああ、そうね。彼はある件での研究で余り派手には動けないから気にしなくて良いわ」

「彼?アーバーンさんの召喚者は男なのですか?」

「まあね。もっとも、私を召喚された理由は完全に能力を求められてなんだけど」

「つまり持つ力しか見られて無かった訳ですか?」

「そうね。だから性欲全開で求められた訳じゃ無いわ。召喚システムの都合上、存在その物を求めるか、召喚される奴の所有能力を求めるかと言う違いは確かに有るけど……実利は大きく有るから外す訳にも行かないアレな設定を構築の前提にされたわ。実利が凄すぎて能力を自由に弄れたとしても変えるつもりは無いけど」

「アレな設定、ですか?」

「そう。アレな設定。それの悪い部分だけの単品なら絶対飲まない類いの奴……でも、それの実利は凄いからアレな訳で」

「……単品で見るとアレでも、それの目的の使い道が凄まじく有用……それは迷いますね」

「物は言いようと言い出したら、精神支配能力に対抗する為に既に設定上自由意志を阻害しない形で似たのを掛けておこう。的なのを肯定する類いのそれだけどね」

「……それは無しなのでは?」

「これの場合はそれが掛かっている状態なのが有用な場合や、同系統能力への対抗用として以外に一切使わないのが前提だけど、まあ、基本的に召喚システムの都合上それが出来る信頼関係なんて召喚時の設定を決める時点では無いから、それこそ召喚する前に好感度を稼げる方法でも無いと、そう言うのは召喚される者側が棄却するでしょうね」

「……ならなんでそんな条件を飲んだのですか?」

「一言で言えば、それがベースと成る存在の定義を拡大解釈して、強化する物だったから。私を存在として強く作ろうとした意図が明確に見えたのよ。それは別に精神支配能力では無いけどね」

「……意図が明確に見えたなら最悪の設定も許容する。ですか?」

「無しにしたら、利点も消えて、拡大解釈が無くなった、平凡な只の元ネタの複製の存在にしか成らなかったもの。能力的に強ければ全部良いと言う話でも無いけどね。例えばスキル至上主義の世界で、そう言うのは無しの無能力で無双する系の作品が有るけど、能力を過信したらそれでやられる能力だけは強いモブみたいな物に成るわよ」

「……能力的に強ければそれで良いじゃ無いですか」

「スーパーカーに赤子が乗っていても、赤子には普通は運転なんて出来ないのよ」

「……能力的には幾ら強かろうが、使い手が使いこなせなければゴミだと?」

「……まあ、使い手に技量を補わせる系の能力だって有るけど、技量を得させる為には精神とか記憶とか体とかに干渉する能力なはずで、他人に用意されたそれを使って精神汚染的な物が無いはず無いのよね。少なくとも技量関連のそれには干渉するのだし」

「それは言い掛かりでは?」

「それを用意したのが善神やそれに与する奴なら、そうね。でも元凶は基本的に姿隠した奴でしょうが。どんな目的が有っても私は驚かないわよ」

「召喚システム自体が怪しいのには同意します。召喚はしないようにはしていますし」

「この話に置ける召喚システムは何処かの誰かが創った直し方の解らないインフラみたいな物なのだし、それはそれで悪い選択肢では無いわ。問題は他の奴についてね。それは関係無く使って来る結果、使わないと自分の身を守るのも難しい検案にも遭遇する事だけど」

「……」

「世界には誰にでもやれる事を敢えてやらない縛りプレイで、何にでも問題無く勝てる奴しか居ない訳じゃ無いのだし」

「……殆ど強制的に使うのをしないと無理なのはどうかと思いますが」

「召喚システムを使うとヤバイと思うなら、それでも敢えての縛りプレイを無理矢理貫くしかないけどね。……まあ、生きている間に召喚システムの悪意的な使用者に対する仕様が暴かれでもしない限り、余程の技巧者でもないと愚者の道で有ると同時に修羅の道でしか無いけど」

「……」

「危ないわ」

私はいきなり突き飛ばされ、伸ばされた腕は断ち切られた。

「アーバーンさん、腕が……」

「そもそも私は水神。つまりは水の化身。単に幾ら切られようが、そもそも私は切られては居ない。質量保存の法則とか的な意味で自然界の現象では死滅などしないわよ」

 アーバーンさんの腕が再生する。次撃が来る。普通にアーバーンさんは腕を新たに出し、それを掴む。

「そもそも水は無形。それを力で形付けて居るだけ」

 アーバーンさんは一度全て崩れて、

「捕まえた」

 犯人らしき奴を捕まえた。構わず攻撃を行われて居るが、……なんかもう訳解んないわね。水の化身だから切られても切られてないって何よ?ハッタリの可能性も有るわね。正直に言う必要は無いのだし。

「神話では癒えない傷を付ける能力は散見されるけど、無形の存在には根本的に効かないわよ。そもそもその傷自体が体を構成する力を調整するだけで意味無く出来るもの。例えばその傷の部分を一つの体毛の部分に押し付けてしまえば、ね?」

「……うわあ……」

そして爆発が起き、私に掛かるバフの一部が消えた。

「エネルギー生命体ならエネルギーを消してしまえば倒せるとでも?そもそも此処に居る私は本体では無く分体よ。仮に効いたとしても今ここに居る私を消せた所で何の意味もないわ……だったなら、本体にも影響を及ぼすだろう毒だ?……真面目な話として、他の奴にならともかく、水の化身相手に液体で挑むのはどうなのよ?論外。さて、次は何かしら?終わり?毒飲んで自死、ねえ?毒を除去してやるわ。起きなさい」

 ……理屈も何も無い話をしているような気がするレベルで滅茶苦茶ね……。重ねて言うと、ハッタリもそれなりに有るとは思うけど。

「気絶したまま攻撃?オートパイロット?完全に独自構築のプログラムのそれならまだしも、内容まで全部システムに全投げしたそれとか、似た事を考える奴が居れば、要は似た事を出来る奴なんて腐るほど居る物でしか無い物で勝てるとか本当に思っているのかしら?」

 ……。自分で完璧なオートパイロットを組むのは要するに体力の消費とか、手間を省く為の物で、他人に用意されたオートパイロットでじゃ無いと戦えない奴とは根本的に違うのは解るけど、……其処迄言うかレベルの暴言なのでは無いかしら……。

「普通に死んで消えたわね。流石に自爆特攻するにも根拠が足りない気がするのだけど?……少し探査してみるわ。ビンゴ、同じエネルギー反応が複数散らばっているわね……でも只の分身なら一斉に来た方が良いはず。つまりは今の奴は只の分身体では無い。……情報収集の為?報復に私では無く彼女らを狙いに来るにも、私が近くに居る奴を狙う必要性は?……いや、システム干渉が出来ていたなら此方の能力を把握している可能性が有るわね。なら、倒される事に意味が有る?いや、自衛をしただけだし……政治的には意味は無いわよね?……先のロールバック能力の奴の差し金だとして、私への報復と反論に成る物は?……召喚システムでの召喚される人達の居る場所への逆召喚での事前交渉を可能にする事。又は召喚に関する能力のエネルギーでの生成個体なので倒されても問題無し……と言う所かしら。笑えないわよ。それが簡単に可能なら、召喚システムは、そもそも無くても世界はファンタジーを前提として許容する世界なはずなのよ。仮にそれは逆召喚では無いとして、何か別の物で疑似的にそれを達成した?……流石にその手段の割り出し迄は無理だけど……調べないと駄目ね。……悪いわね。分身は置いておくけど、少しの間私はムー大陸建造から離脱するわ。今回の種は暴くべきだから」

「……解りました。此方で進めておきます」

 なんかもうヤバイ内容が含まれ過ぎて圧倒されて逆に何も言えなかったわね……。まあ、これは放置も不味い検案なのは確かだけど。そしてアーバーンさんは分身を残し離脱して行った。要するに、他の世界への逆召喚的な事を別の世界に行かずにやる。と言う事よね?行く先の世界の定義次第では可能かも知れないわ。けど、それは現物としてこの世界に存在出来る必要が有るわよね?それをやれる能力を創れば良いとは思うけど、ゲームなら出来る方法は思い付く。でも実際にそれはやれる物なのかしら?要はワールドシミュレーターのキャラクターをこの世界に現物化しなければ成らない。でもそれをやれたとして、それをやる利点は召喚システムが既にある以上は、事前交渉が出来る事以外では余り大差無い。……反論の為だけにワールドシミュレーターを創る手間を掛けて来たとでも言うのかしら?まあ、流石に色々と仕様を組んでは居るでしょうし、それは今の段階では分からないけど。

 さて、仕事、仕事。重力と水圧と単純に海底都市の上に乗り掛かる海水の重量。これらをどうにかしないと単純に不味い。重力を引っ張る力だとするなら、その引っ張る力のスピードよりも速く、その方向に動けば良い。そうしたら重力からは限定的に解放される。とてもシンプルな回答では有るけど……引力とかで敵に自分の場所に吸い寄せられる際には自ら其処に行くことになる。つまり重力を消す能力とはその理屈を動かずに行う能力なのだと思うわ。つまり、その能力の動く事に出来る限界値が能力の限界値に成るのだと思うけど、……身内に似た事をやれる奴が居るわね。まあ重力は問題なさそうだとして、単純な重量、まあそれについては深海生物が大丈夫な事を鑑みるに、重さは分散されると見て良いはず。問題は水圧。深海生物を船に揚げると、目なり内蔵なりが体から飛び出ると聞いた事が有るけど、要は深海の水圧に耐える前提のバランスの身体が、いきなりそれが無い場所に移動させられたから、なのだと思う。要はばねを押さえる力がいきなり無くなった的な感じで。

 まあそれはともかく、見せる事その物が目的なのは間違いない。倒すにも雷を使うなり水を吸収してしまうなり何なりやり方くらいあるはずだし。タングステンですら融点は三千四百二十二度な訳で、ファンタジーの炎や雷を使う奴には溶かせる奴はざらに居るでしょう。その程度のメタで殺せるなら既にやられている気もするのだけど。

「さて、バフを他の物に移すのを試してみますかね」

「実際、アーバーンさんは質量保存の法則が云々と言っていましたが、炎でも雷でも死なないと言う意味ですよね?」

「多分水蒸気も体扱いに出来るか何かで、雷なり炎なり当てられても関係無いだけかもね」

「……酷過ぎますね。完全に蒸発させてしまえば、……だから質量保存の法則、ですか」

「そう言う事でしょうね。仮にも神を名乗れる訳だし」

「とは言え、神を名乗るだけならカルト宗教や創作含みそれなりに居ますけど」

「……それを言い出したら神と言う称号は定義的な物でしか無いわね。何をもって神と言うかの定義もバラバラだし」

「仮に神話生物の能力を持てたら神と言うのはどうでしょうか?」

「……例えば神話の金属系の能力は、そもそもまだ該当金属が造られて居ない的な意味で長い歴史を持つ金属にしか古典神話には居ませんよ」

「……ああ、そう言う。新造神話の物が良く成るなら簡単に神に成れてしまうし、金属生成能力とか、合金系の物を最初から作れる奴の方が金属自体の質良いし……」

「古い神話の方が強い的な物でも無いと、特定金属生成系の神はより良い金属が出来る度にマウントを取られそうですね。全能神とかでカバーされているとは思いますが」

「つまり、兵器開発で技術が進歩する的な意味で後継機の方が強いのを、それでも初号機を最強にしろ……と言う事よね、それは」

「造る技術が有っても乗りこなせる奴が居なくて後継機を劣化させなければ成らないとかも有ると思いますけど」

「そう言うのは新兵器の運用に要求されるレベルが高く成り過ぎて、大抵の人がそれらの運用が無理に成ってからの話よ……」

「一応分身を残しているのを忘れないで欲しいのだけど?」

「……あ、あはは。そうでしたね」

「今居る世界その物に依存する能力は、他の世界に移動させられたら無力。それはそうね。でも別に私が質量保存の法則なり何なりとの物を成立させる為に必要な能力を持って居ても問題は無いのだけど?」

「……それの何処が水なのですか?」

「水の能力をカバーする為の能力くらい私は持っているわよ。それにそのツッコミは、転移を私がした時にするべき物よ?今更過ぎるわ。そもそも貴女達を保護下に置いたのだって、それその物に利点が有るからなのだし」

「……」

「とは言え、今の私は只の分身だし、過度な期待をするのは勘弁ね。緊急時の本体への連絡手段役だとでも思ってなさい」

「……解りました。じゃあ仕事に入りましょうか」

「その前に先に消えたバフを掛け直して貰いに行きなさい……今回の打ち消す力が消せた奴は、消された原因と同レベルの奴が来たら、消される物でしか無いから、仮にそれと同じ理屈で消しに来られたら消えるバフに成るし、別にそのバフを受け直さなくても良いけど」

「解りました。バフの数が膨大な結果消し切れ無かっただけの場合も有り得るのでバフを受けてきます……まあ過信できない物には成りますが、無いよりかは良いので」

「実際創作上、打消し能力が最強なんて理屈を成立させてしまうと、魔法を使い、争う意味とは?と成るけどね。どんな魔法が有ろうが例外なく消えるのみに成るのだし」

「打ち消し系は大抵の能力相手に水掛け論に出来る能力であるのは確かですし」

「それで消されるのを逆用されたら目も当てられないけどね。封印受けている奴がそいつの攻撃を受ける事で封印を解かせるとか」

「そういう所に行かなければ良いし、攻撃対象にそれをしなければいいでしょう?」

「細かい指定を出来る打ち消し能力なんてそれの制御に介入されたら詰むかもね?それの制御の力は打ち消せては居ないのだし」

「他人には出来ない物を制御に使えば介入は無理でしょう」

「そう言う事が言いたいのではなくて、仕様上制御の余地が有る能力なのに、他の人に絶対に制御されない根拠は何処に有るのかしらね?と言う話。少なくとも所有者がそれの制御に使う力は打ち消されないと明確に既に示されている様な状況なのだし」

「……」

「さて、他の国に認可される国を少数で作った例は多分無いけど、国相応の場所を新しく少数で作った例なら一応実際に有るわ。まあ、軽く調べた程度のにわか知識だけど、国際社会が国の建国を歓迎するパターンは、例えば国際問題を解決する手段の一つとしての建国よ。まあ、それについては召喚システムから産まれた人達の受け皿の国に成ると言う大義名分が有れば、恐らくは何とかなるわ。召喚システムで産まれた奴で、上位層の地位を獲得した有能な奴が居るなら、その国と協力やその国に援助を受けるのも不可能では無いし、流石にそう言う奴が沢山有る国の全てで零と言う事はないはず。それについては私が話を付けるわ。人間が交渉に行くと多分協力してくれないから」

「……私達は何をすれば」

「多方面とのコネ造り。後、対多数戦闘訓練と海上と海中での戦闘訓練ね。建造は変わらずやるとしても、後はそれくらい?ああ、いや、国の法律も有るわね。でも人間が決めてはダメよ。そうでないと召喚された奴らの自由な受け皿に成りえないから」

「解りました……召喚者に被害を受け召喚された者達を国の単位で集める……。最早戦争の準備とか言われそうですね」

「要は召喚者と縁を切る様な状況に成った者が集まりやすいのだし、それはまあ、そうね」

「そうなるのは不味いのでは?」

「……。前提条件的に人間に対して、多少なりとも敵意を持つ奴が集まるのは当然の事よ。そうでも無ければ、そもそもこの話に参加する必要も無く、普通に生きて行けるのだから」

「……」

「戦争の準備では無く住み分けの為の物だと主張するのが無難かしらね」

「いやいやいや。流石に不味いでしょう?」

「とは言え、要は国からすれば不穏分子が国外に一斉退去してくれる検案よね?それ自体は良いことでは無いかしら?」

「その結果、敵対組織が産まれるなんてシャレに成りませんよ……」

「要は基本的には個人個人への恨み検案の人達を一括化しただけでしか無いから、それが国への敵対組織、ねぇ?随分な思考の飛躍よ。国その物への怨みを持つような奴を、大量に受け入れでもしない限りは反対する奴自体が怪しくないかしら?別に国への怨みを持つ奴を集めている訳じゃ無いと言える範疇の立ち回りをするならばだけど」

「なら受け入れる奴の選別は必要ですね。でも、それは通りますかね?」

「戦争を起こされる可能性を現実的に考えても有り得ると思う国は反対するでしょうね。そう言う国が居るのはそう考えられるだけの根拠と下地が有る状況なのでしょうけど」

「実利が有れば倫理観は無視される。ですしね。召喚された者達に人権を認めていない国ならそう言うのは余裕で有るはずです。召喚システムで産まれる奴は薬物実験に使うマウスでは無いですけど」

「要は片手間に簡単に幾らでも生み出せる存在に一定以上の価値を認めよと言う話よ」

「……貴女がそれを言いますか?」

「……完璧な全能神が居たとして、その神が世界に介入しない理由って多分実際これよね。この話はその認識を覆させなければ成らない訳だけど。さて、他の分身がある程度話を通せたみたいで、連れて来ると言っているわ。覚悟は良い?」

「早過ぎますよ!まあ仕方ないですね。お願いします」

そして連れてこられた男性は、

「君が代表格と言う事で良いのかな。……帰って良いだろうか。人間が上に居る組織に辟易している奴が集まる様な話に人間が上に居るのじゃ無いよ」

「……この話の利点は解るはずですが?」

「ちっ。解ったよ。君は何時でも殺せそうだしな。見定めてからでも遅くはないか」

「ありがとうございます」

そして一通りの説明を行う。

「要するに此方に資金援助と後ろ盾に成れと……水神が後ろ盾じゃ足りないと思う根拠が欲しいね。面倒事なら乗らないから」

「この話は私から持ち出した物よ。彼女がそれで足りないと言い出した訳では無いわ」

「へえ、水神自ら力不足だと認めた検案か。……まあ人権問題とかはそれなりの政治的な立場が無いと厳しいのは確かか。ふむ。主張としては住み分けを行いたい為の物。でも実際は各国からの徴兵みたいな物、ね。能力持ち達を合法的に集める様な話……普通なら人間は誰でも反対する。言い換えると兵器を各地から無償で回収しますと言う事だからね。でも、冷遇をされている様な奴でも無ければこの話に乗る必要が無いからな。なら人権保護的な理屈を持ち出せば反対する奴はそう言う対応をして居る奴だ。ちゃんと適切な待遇を召喚された奴らに対してしているのなら、その理屈が有ろうが誰も離脱無しで済むのだから」

「そうです。ちゃんとした待遇を召喚された奴らに対して与えて居るなら何ら困る話ではありません。だからこそやる意味が有るのです」

「多くの国を試す検案をやろう。と、言う事か。面白い。場合によって援助を打ち切るが、このリシ・アンギラスが援助をしてやろう」

「有難うございます」

「勧善懲悪とは言うが……悪が有った事で本来なら手に入らない物を手に入れる……要はオンラインゲームで言うならプレイヤーキラーキラーみたいな物だ。つまり、誰かを無制限にでは無く、食い物にしている相手を、悪に限定しているだけ。行為その物だけで言うなら大差無い。行為にどんな主義主張を込めるか?要は其処がそれらとは違うと言える所だ」

「耳が痛いですね。確かにそうです」

「この手法で進みたいなら大義名分は持ち続けろ。そうじゃ無ければ只の悪なのだから」

「……貴方はどんな力を持つのですか?」

「簡単に言えば敵対呪文。攻撃の対象の内容の敵対する内容に成る攻撃を撃てる。打ち消し能力とかの相手の力を潰す能力と言うより、例えどのような能力をぶつけられようが、それに相殺を強制する能力だな。そしたら後は水掛け論だろう」

「……酷過ぎ無いですか?」

「これは別に万能では無いのだが、打ち消し能力と違うのは、単発打ちで能力を使わない敵に当てても攻撃として普通に成立する事だろう」

「でも別に対策自体は可能ね。それは言わないけど、本当クソでしょう?こういう系の」

「……ですね」

 理屈は予想が付くけれど、その能力を何相手でも成立させたいなら相当な種類の能力の攻撃を撃てないと駄目じゃ無いかしら?流石に現実的では無いわよね?それが出来るなら相応の量の能力を撃てる必要が有るはず。後その理屈の場合、初見殺しにやられるし、そう言うのにも対応出来る奴でも無いと攻略出来る奴は結構居るわよね?過大広告?それとも別の理屈でも有るのかしら。……これ以上の説明は無さそうだし、考えてもしょうがないか。

「では、建築現場を見せてもらおうか」

「解りました。では移動を、」

「それは私がやるわ。水掛け論的に、能力の火力を上回らせれば能力を通せる訳だし、私が無理矢理移動させるから」

 そして建築現場へと移動した。

「ふむ。この状態で必要なのは潜水艦と大規模な浄水機器と空調機器、耐水性の高い漏電を防いだ電子機器等……いや、潜水艦でも無いと行けないレベルの海底の水圧に耐えられる電子機器……なんて能力無しでの耐水性が有る奴なんて無理か。手動で大抵の事が出来るタイプの設備構築が必要だな」

「……つまり、自転車で発電する的な奴ですか?」

「電子機器に頼り漏電なんてされたら不味いだろ?手動で全部が操作出来る設備は必要だろうよ。但し、そう言うのでも耐水性はガチの奴が必要だが、災害時に使用する道具辺りの発展形の物が下地に出来そうでは有るけど、相応のレベルの耐水性を付けなきゃいけない的な意味で確実にオーダーメイドだよな」

「潜水艦を貸し出してもらえるのですか?」

「それの話はともかく、セーフティの話について聞こうか」

「では……」

 そしてセーフティについて話した。

「潜水艦が水に沈み、浮かべる理由は、空気が浮く事さえ解れば解る様に、砕いて言うならば、水を潜水艦の中に入れて空気を外に出して浮力を潰しているから。そして浮かぶのは、潜水艦の中に有る圧縮した空気で水を押し出して保持して浮力を再び取り戻させるからだ。それは厳密には違うが、要点としてそれで一応は良い。要は密閉が可能な、大きい動かせるコンテナの中に空気を満たし、その中に入るだけで海上に上昇するだけなら可能に出来る。圧縮空気ボンベ辺りでも用意しとけば其処迄金も掛からんな」

「……そのボンベはそれなりの数が必要ですけどね」

「それはそうだな。後、コンテナ自体の重さも軽く抑えたい。……緊急時に使う物なのだし、頑丈でないと簡単に敵に破壊されかねないし、それなりの浮力を確保するのは必要だろう」

「でも潜水艦を買うよりかはかなりお金を抑えられますね」

「緊急時に浮力のみ有れば良いと言う理屈な以上、簡易的なレベル以上の操作が出来ないから浮上した後がアレだが、まあ海底で溺死するよりかはましか」

「……潜水艦買わないと、ですね」

「空中から海中にミサイルを撃つにはパラシュートを必要とするわよね?まあそうしないと海面にぶつかる時にミサイルに衝撃が掛かり過ぎて海面で爆発しちゃうからだろうけど、つまり、通常の兵器としての海上からの攻撃としての対潜水艦用のミサイルは、海面で迎撃する事がミサイルの進行スピード的には一番簡単なのよね。海中では加速しても問題無いだろうし」

「うわぁ……」

「……ヘリとかの空中からの対潜水艦ミサイルに、パラシュートが付けられているのは調べる限りはガチだが……まあ良いか。さて、特注品の準備は此方に任せて貰っても良いか?」

「良いことは良いけど、しばらくしたらは自分で用意出来ないとね。場合によっては支援を打ち切ると言われているし」

「……頑張らせて貰います」

「そう言う事なら、特注品に掛かった金額のリストは必要かな。それでその額を出せば購入扱いにしよう」

「何から何までありがとうございます」

「なに、この話はそれだけのやる価値が有る事だと言うだけの話だ。もっとも、他の国との衝突は覚悟しろよ?そう言う事に首を突っ込むのだからな」

「……」

「その為に私が居るのよ。召喚された奴らの人権保護。この大義名分は世界がクソで在れば在るほど機能する。私達に賭けて良いと判断させられる最低限の物さえ提示出来たら仲間は増えるでしょう。世界がクソで在れば在るだけ私達の活動に呼応する理由は増えるのだから」

「……解りました。やりましょう」

「よし。では細かい話に移ろうか」

 そして更に色々な事を話し合った。……要するに約一ヶ月後の次の国際会議に参加して、その件を公表すると言う事らしい。根回し期間が一ヶ月程度で足りるのだろうか?それに、そもそも国のトップや、報道機関側は人間ばかりだろうから、そうしたとしても、話を握り潰されないだろうか?生中継する国も有るらしいから、そこを足掛かりにするようだけど。……え?能力使用による討論の誘導等を警戒して、そもそも生中継を広範囲にするように成って居るの……?ああ、成程。公開する事でそう言う不正は有りません。クリーンな会議です。と言うための物かしら。流石に国際社会の目がある場所で能力を使用して云々なんてそれこそ世界を敵に回せる準備が有るところでも無いと、色々と不味いわよね。つまりそれをやるのは、それをやった国に対しては、和平交渉が無価値ですなんて言うような物だし、もし戦争にでも成ろう物なら相当厳しいし、相応な準備が有ろうともやれる国は少ないと思うわ。

 そして準備の為に月日が流れて行った。

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