召喚システムが造られた世界でレムリア大陸建造を試みた結果

@azeru1000

第1話考察や交渉事が嫌なら飛ばすべし

 私はケールハイト=スプリングス。しがないオカルトマニアだった者よ。……まあ、もっともそう言うのに傾倒していた結果、召喚システムが世界に発生した際に速く世界に順応出来た。人生何が役立つか解らない物ね。でも、本来なら出来なかった事が出来る様に成るシステムが実質の無償提供なんて何か有ると思ったの。だから私はいわゆる召喚者から何らかの理由で脱走した者達を保護する会社を創る事にした。……まあ、女が高い比率で増えたわね。理由なんて召喚者がそう言う事を彼女らに無理矢理求めた結果、なのでしょうけど、召喚システムで召喚される者は入力された召喚テキストがそのまま反映される訳じゃ無い。なら反撃行動が不可能な制限を食らわせられて、反撃出来ない様にされままひたすら犯してくる……。と言う事を考える奴が居ない訳も無いけど、召喚される奴がそれを望まない限りその制限が機能してない奴が召喚されるのよね。逃げる奴もそれなりには出る。ならそれなりな数が確保出来ると言う寸法ね。強い奴隷を隷属的にさせるつもりだった奴も不愉快な事にそれなりに居たから、それなりに強い奴も居る。……まあ、問題が有るとしたら彼女達は初手に肉欲をぶつけられようとした人達な訳で、人類に対して良い感情を持つはずも無いのよね。まあ全員がそうではない事は解って貰うしか無いけど、そしてその活動をし続けて暫く経った頃、元素系の召喚された人達が相互協力をしようと言う話が有ると来たのね。支配能力を持つ奴が出始めたのは知れて良かったから場合によっては合流する日見より意見を出して貰い私達は私達で動く事にした。他人が簡単に来られない場所で、大量に人が生活出来る場所……何処の国でも無い土地と言えば南極大陸だけど流石に其処には住みたく無いわね。大義名分は何が良いかしら?……ああ、そもそも誰も来られない土地なんて有るかしら?国でも建国して入国規制でもする?……調べたら金で買うには普通は無理な金額を要求されるわね。数百億って何よ。未開の地を買って誰も入れない様にした方が安上がりよ。経済水域を買うのが高いのよね……なら公海は……土地が無いわ。巨大な船に住めで終わるわね。……なら海底は?海底に土地を捻出すれば良いのじゃ無い?……調べるにもそんな前例は流石に無いわね。あ、これなら行けるかも。レムリア大陸を私達が創る。それなら金が掛かるとしてもクラウドファンディングでもそれなりに集金額は見込めるわよね……。レムリア大陸を創るだけ創ってトンズラとも行かないから観光客を受け入れる為の設備投資も必要だとして、考え付くのは巨大なパイプラインを創るのと、海中エレベーターを創る事。技術的な意味ではパイプラインを創る方にしたいけど、国側から公海迄伸びたパイプラインを創るなんて面倒事の匂いしかしないから、海中エレベーターを創る方にせざるを得ないわね。何処の場所に創るかで変わるかも知れないけど、流石に通常の強化ガラスで耐えきれるはずは無いし、能力依存の仕組みにするのは仕方無いか。それにそうした方が乗っ取りをしようとする奴をその環境を維持する力を止めるだけで海に簡単に沈められるし。そうなっても私に付いては皆からのバフなり何なりが有るし問題無いとは思うけど。因みに同種のバフは一種類につき、最高の効果の物だけが反映されるわ。もしそうじゃないなら、とにかくバフの数を盛れば、ステータス的な意味での個人の絶対強者なんて基本的に存在しない。そいつを超えるだけのバフに成るように相応に数を集めれば良いだけだから、相手基準でステータスが変わるのでも無ければ要はバフの数さえ揃えてしまえば上回れるのだし。まあ、それが無理でも別方面のバフなら普通に重ね掛けが可能なのよね。要はその力を掛ける部分が違うからだけど。水系の人達にでも打診して、レムリア大陸に防壁を創るのは良いとして、海獣にそれを抜かれたらどうするか?……そうなるなら能力に頼っても頼ら無くても同じ事よ。そうなった際の対処のしやすさは変わるけど、海底都市で周りを完全に硬い金属で全部覆うのでは危険要素が増えただけの只の地下室に居るのと変わらないもの。それだとロマンも何もないわよね。能力依存にするにしてもそう言う能力持ち達と何とか交渉を成立させないと……。必要な予算案はどれくらいに成るのかしら?返礼品の事も有るから早めに知る必要が有るわ。協力してくれる能力持ち達の所有能力で削れる予算は削らないとね。……幾らロマンが有るからと大国の一年間の国家予算並みの額をクラウドファンディングで集められるとは流石に思えないし……。でも、最低限海底迄伸びている海中昇降機だけでも創る予算は欲しいわ。観光客に能力を使う所を何回も見せたくは無いし、一億有れば足りるのかしら?海底迄届くそれを創る奴なんて聞いた事も無いし、恐らくは特注に成るわよね?不安だわ……なら最低限クラウドファンディングをする時に開示する情報として、水中に安全域を創れる事は開示しないと駄目ね。金を出させる根拠が無いと一見詐欺みたいに成りかねないし。これらの事は能力者の協力をどれくらい得られるかで資金繰り的な意味で難易度が変わるわ。……まあ、何でもかんでも出来る奴にしてみれば、そんなの片手間にやれる事だよ、とか、主張してきそうだけど、金の力でやるにも、そもそも通常の建国に必要な数百億は国とか一部の大企業とか大富豪とか辺りにしか出せないレベルの額なのだし、削減出来る予算は出来るだけ削りたいのよ。簡単にやれると言うなら創ってよ。但し、建国したと主張するだけではなく、実際に無償で。としか言わないわ。予算が大量に必要なのを馬鹿にするなら、予算関係なしに創って見せなさいよ。……はあ。出来る奴は出来るでしょうね。自分では召喚システムを使わない縛りをしているせいで、必要な人材補給が他者依存なのは如何ともし難いけれど。……複製能力とか欲しいわ。それが有れば高価な素材を建築に大量に投入出来るもの。例えばCFRP……つまり、炭素繊維強化プラスチックが大量に使えるのに。魔法的に未強化で、航空機に車に耐震補強材等の建築材にも成る……但し生産のコストが高過ぎるのよね。何かいい手は無いものかしら。単純に物質生成は消える可能性が有るのじゃねぇ…………あ、別にエレベーターみたいに専用の空間を先に準備している必要は無くて、極論最低限の支柱と、それを使い上下する中に入れる機械が有れば良い。うん。それなら大幅に掛かる資金を削減出来るわ。さて、考えるのは此処まで。動くとしましょう。

倍手招来ばいしゅしょうらい。聞いている?」

「何でしょうか」

「方針を決めたから聞いてほしいのだけど」

「つまり私達があの獣共に嫌悪感を持つのは仕方ないから、別の場所を創り、其処に住もうと」

「要約するとそうなるわ。もっとも、先立つものは必要だから完全には無理だけど」

「それでも今よりはマシです。では皆に伝えますね」

そして彼女は空間に幾つかの力を放つ。

「聞こえますね?倍手です。」

放つ力から様々な声が返って来る。彼女の力は要約すれば力を配置した場所に干渉したら他の場所に配置している力の場所に再現。要はコピペする能力。但し再現するサイズと威力は自由に設定出来る。なら何故倍手か?理由は簡単。作り主の目的が力を二つ設置した上で片方に攻撃を加えれば攻撃が倍に成ると考えたから。恐らくは遠隔操作のレイプ狙いの能力だったのでは無いかしら?後、ブラフよ。そう言う能力持ちでも無ければ名前が力と直結している奴しか居ないなんてルールは無いし、強さの描写が一切無い奴に勝てるとか言うのは後出しでどんな強能力を出されても良い奴だけがするべき。

さて、それはさておき、皆に計画を話していく。この話の肝は国を創る事で、入国審査を公式にやれる事。やばそうな奴は入国拒否をするのを国の単位で行える。それは大きな利点に成る。……まあ、本来なら其処迄するの?レベルだけど、前提条件的にそうしないと問題が起きる気しかしないのよね。

「獣共の資金を頼るなんてまっぴら御免よ」

 ……そうなるわよね。でも。

「じゃあ何処から資金を調達するかの対案が欲しいわね」

「……私達にだって能力持ちなのだからそれでどうにか……」

「言い難い事では有るけど、ここは言うべきだから言うわ。泡姫や風俗嬢になりたいなら止めないわよ?」

「……他の事も出来る奴だって居るじゃ無い」

「それでも基本的にはそう言う意図が前提に有る能力ばかりなのよ?それをするための手法が拡大解釈可能な物なら、他の事も出来るだろうけど」

「……普通に強い人もそれなりに居るじゃ無い」

「強い女を隷属させ、好き勝手してやりたいと言うつもりで作ったら、その隷属設定部分のみを棄却されたパターンの人も居るもの。でも、それは全員に当てはまる訳では無いわ」

「……気絶耐性はなんだと言うの」

「……それを説明しろと言うのかしら。……そう言う行為で快感の大きさに脳が耐えきれなく成り、気絶するのを防ぐためよ。用途的に他の人にも付与出来る様にしないとそいつを作った側だけが気絶する形になるから、他の奴にもそれを付与出来る様にされた。それだけの話よ」

「……じゃあ」

「待ちなさい。能力の質問は数的に切りが無いからそれ以外にしなさいよ?」

「なら、これを大半は女ばかりの環境に成りそうなのは解りますが男性が皆無な訳では無いのは解りますよね?彼らがそう言う行為に走らない保証は無いのでは?」

「……つまりその男共を私達から隔離しろと言う事かしら?……それは、男性用のエリアを別に創れと言う事で良いのよね?資金が足りないから削減しようと言う話の時に?」

「クラウドファンディングに一定以上払ってくれた人に定住権を与えるチャンスを与えれば良いのよ」

「……それは一見良いように見えるけど、ある程度の人数は受け入れる必要が有るわよね?大金を払いなのに受け入れ無かったなんて、詐欺扱いにされてもおかしく無いわよ?精々、規定期間ムー大陸の観光が出来る程度が限界じゃ無いかしら?」

「金を出してくれた人達から更に金を搾り取るの?」

「レムリア大陸を観光地として扱うなら、それは良い実証実験に成るわ」

「……」

「……さて、平行して一部の例外の人の金稼ぎも考えないと駄目よね。それに、そうね……予定地の整地もしないと、海底都市を作るのに浅い所で創ってもしょうがないし、だからと深い所に創るなら作業環境を創れないと不味いし……ええと、例えば、エアラッチ=ハンズ、能力は一定空間上の他の物を掴んだ事にして動きと重さに関係なく動かせる能力だったかしら?……なんか遠隔逆レイプ能力な気がするけど、ムー大陸の予定地点が決まったら、邪魔な岩を取り除く作業をやって欲しいのよ」

「解りました。予定地点は何処に成るでしょうか?」

「それは追々ね。ええと、次は……」

そして皆に仕事を割り振り始める事にしたわ。二人とも手に関する名前なのは偶然……とも言えないか。本来ならそう言う行為目的の名前なのだし。海底の整地が前提に有るのだし、それに使える能力の目星くらい付けていて当然だけれど、……問題は空気よね。地上なら大量に有るけど海底には無理よね。空気を創れる奴に、空気を根本的に清浄する能力持ちも欲しい。流石に酸素ボンベ等で持ち込んだ空気だけでやるには暫くしたら空気が汚く成りそうだし。しかし、動きと重さに関係なく掴めて、掴んだ物を動かす能力……ね。掴める物の数と掴み方の方法を増やして強化出来れば化ける能力なのは予想付くのだけど。空間上への遠隔攻撃を掴んだ扱いにして停めるとか、逆方向に同時に同じ奴を持つ形で展開して、引き千切るとか。遠隔物理殺しに成り得るから速くもっと成長して欲しいわね。裏切りとかされてもあれだし、酸素が星に産まれた理由は……ええと、シアノバクテリアで、ストロマトライトだったわね。一応細菌類扱いらしいわね。元は藻の分類らしいけど、これをある程度揃えたいわ。そうすれば海中から空気を抜き出す形でもそれなりに空気を創れるはず。能力で済ませる事が出来る場所はそれで済ますけど、……一部の場所は金属で全部囲う場所も必要よね。主に能力が無効化された際の脱出手段として。クラウドファンディングで集める奴はむしろそう言うセーフティーを造るのがメインに成りそう。必要な能力持ちが暗殺されて崩壊なんてされちゃあ困りますから。

さて、先ずは何処かの深いプールでも借りて、水中に安全域を創れる証拠を提示する為の物を創るとして、それとも海の方でやる方が良いかしら?でも実地で見せやすいのはプールの方よね。……設備が整えて有る場所を二時間貸し切りするとして、プールの貸し切りをするには幾らくらい……。……はぁ。クラウドファンディングで回収出来るのだから、多少高くても払うべき。とは思うけど、ある程度の船を借りるか、能力で沖に出て、海中でやる方が安上がりね。でも、実地で直接的に見せるには向いて無いから、……証拠を見せろと言う奴はそれなりに出るわよね?見せたとしてそれの持続性も要求される。……何回も証明の為に同じ事をするのもだし、プールの貸し切りを何回もするより、最終的には買う方が安上りかしら?でも、借りる回数が十回二十回程度なら借りる方が安上り……うーん。説明会を開く?あ、いい案が有るわね。要はプールを借りなくとも大穴を掘って水を入れて其処でやれば良いだけじゃない。コンクリート舗装されてないある程度広い土地が有れば実現可能ね。後はそこを借りるお金が有れば良い。大穴を掘るのは能力でやるとして、大量に水を用意するのと、空間の中に他の物を入れない能力、物質生成は駄目として……いや、駄目じゃ無いわね。どうせ金属で囲う場所も造るのだし、能力が消えた場合の対策もするのだから。……よしよし。事前実験は現実的な範疇に出来そうね。

 そこに倍手から連絡が来る

「ケール様、こちらでも話し合いをしたのですが、問題点として深海環境で光を大量に展開するのはチョウチンアンコウ的に誘蛾灯の様な状況に成るのでは無いでしょうか?」

「通常の魚なら気にする必要は無いけど、問題は一部の召喚された奴のはぐれ個体よね。定期的に駆逐しに行く事にするのはどうかしら?」

「では海獣と不規則的に事を構える気ですか?」

「そんなに大物が頻繫に発生して堪るものですか。そんなに頻繫には成りませんよ……誰かに意図的に用意されない限りは」

「そうされたら不味いではないですか」

「地上に創ったとしても外敵が獣をせかして来る可能性は有るわよね?敵が居るなら場所を変えても敵の手法が変わるだけよ」

「緊急時の海上への脱出はどうやるつもりですか?」

「……潜水艦に頼るのは無理ね。【個人】用ですら物によっては買うのに一千万以上掛かるわ」

「それじゃあ何隻も揃えるのは無理じゃ無いですか」

「そもそもそれは能力が機能してない状況が前提に有るのだから、本来は水に浮かぶ浮力を金属で囲う場所に用意しておいて、それを能力で押さえつけて居れば良い。能力が消えたら後は勝手に浮上するわ」

「……それを潰されたらどうするのですか?」

「当然全力でセーフティーを張るし、それでもそれが出来るなら実力で負けている相手でしょうから、問題無いわ。そうなるなら要は死に方が変わるだけよ」-

「開示するような物では無いかと思いますが」

「当然の疑問だけど、セーフティーが万全です。なんて言うのに企業秘密ですなんて言えない部分よ。救命ボートの代わりに何かを載せます。でも、それは開示しません。そうされてその船に乗りたい?」

「……なら他にも方法を用意してください。開示しないで済むように」

「……考えとくわ」

「てっきり考えているかと思って居たのですが」

「……それが無効化環境の話なのだから、異能は考慮せず。潜水艦は明らかに大量に買える予算は無い。脱出経路として人が通れる他国に繋がるパイプラインを創るのは不法入国のルートに成るから有事ですら公には確実に出来ない。公にしたら建国したと言いつつ、結局は繋げる国側に上前を取られる。つまり実質上の属国に成るわ」

「……入国審査の検問所をその入り口に設置すれば良いのでは?」

「不法入国や亡命のルートに成る場所をそんなに簡単に許諾するかしら?」

「入場料をその国が徴収出来る様にすればどうでしょうか」

「……うーん。一国に拘るからダメなのかしら。何か国かに繋げて、入場料を何処も同じにさせるとか。法外に高くする所が出たら他が……駄目ね。入国料を皆に激高にされたらそのルートが死ぬわ。パイプラインを創る手間を考えるとね」

「大陸を海上に創るとかはどうでしょう?」

「出来るか出来ないかは別として、それが有りなら、埋立地を創れば領海を増やせる事に成るわよね?それが有りなら既存の国がやらない訳ないわよ。億単位でお金が浮く訳だし。でも海底なら埋立地では無いから問題無いけど」

「……さっきの物と同じ理屈で他の案を出せば良いのでは?」

「ああ、つまり、能力の効果が消える事をトリガーに海上への道が完成(復元)する仕掛けを用意すれば良いわね。うん。それなら何とかなるわ。そちらは伏せて置きましょうか」

「最後に、仮に国土の陸地は海上しか認めないとされたらどうしますか?それでも構わないとするなら海上に埋立地を創る方が安全ですが」

「……海割りでも目指してみる?要は一部の土地が海中では無ければ良いのでしょう?」

「それは屁理屈では無いでしょうか?」

「空中に有る大陸でも無い限り、要は海中も含めれば海の中から一部が出ている山の上の国よ。最悪その部分だけを国判定にさせるわ。岩の一部が海上に出ているだけで島判定にして領海得ているパターンも実際に存在するからね」

「流石にネタですよね?」

「ガチよ。但し、岩のみが海上なだけで、それより下にはそれなりの物は有るけどね」

「……ええと、その件に付いては今調べると護岸工事で二百八十五億円程掛かったと調べれば出ましたし、岩の件は元からサンゴ礁で出来た島が潮の満ち引きの関係上での満潮の場合で、引き潮の時には普通に島が出るそうですよ」

「……工事費用が掛かる工程は能力で補うとして、なら海の浅い所に巨大なサンゴ礁を創り、足場として成立するくらいに急速に成長させるとかどう?」

「それはどうなるか解りませんよ。それを只の盛り土とどう区別化するか、です」

「……どうせ住むメインの場所は海底だとは言え、既存の国の定義が海底の国に対応しているはずも無いのよね。でもそうだからこそ数百億の金を使わずにやれそうな話が成立出来るのだけど、国判定の体裁上海上に土地は必要よね……海を割る事を常時やる場所を創るか、海の浅い場所を確保して、そこにサンゴ礁で土地を創り、そこを国とした上で、海底に土地を確保し、展開するか。能力者の負担的な意味では海を割るのは止めた方が良いのだけど……」

「一先ず両方やるべきかと思います」

「そうよね。あくまでも国としたければ人造の場所を土地扱いにするのが問題と言う話なのだから、海底上に何を建てようが問題無いのよ。あくまでも海が頭上に有る状況で無ければ、だけど」

「そもそもクラウドファンディングでお金は集まりますかね?」

「……あなた達の前提条件的に妨害行為される可能性は高いわ。そもそもの意訳での性奴隷を創ろうと言う連中が敵なのは前提条件なのだし、それが高官と連携でもされていたら銀行に借りるのでは融資を止められるかも知れないし、他国の国からの借りたお金で建国なんて属国でしか無いわ」

「制限を解除して、召喚をすれば良いのでは?必要な能力の奴をそれで用意すれば良い」

「前も言ったけど、召喚システムには何か裏が有りそうで、自分ではそれを使いたくないのよ」

「もう、そうは言ってはられないのでは?」

「クラウドファンディングで色々な国に宣伝も出来て人材募集も同時にやれる。それでいい人材が来てくれるのを願う……いや、大物との面識が有ったわね。水神のアーバーン=ウォーターとか。水精霊の件での共同体名で、彼方からコンタクトが有ったし、彼方からコンタクトがまた有るかも知れないし、此方から接触しても良いはず」

 そして話を通した結果。

「今回の話とその目的に付いては解ったわ……けど、そうね。協力をする事による相応のメリットを提示されないと協力をするには無理がある内容よ。何せ国土の広さに比例してどかす水量は増える訳で、其処迄広い国土を創る場合、負担も相応に成るわよね?」

「そこの居住権を進呈しようかと思うのですが……」

「……本来なら一千億を超える予算を騙しくらまして能力で代用してしまい創る土地の居住権。確かにその居住権は、此方がそれを自分で創るつもりなら相応の価値が有るかもしれないわね。でも、町のディティールを気にしないなら水の力だけでも此方でも似た事は可能な訳で」

「……そこを何とか出来ないでしょうか?」

「そちらに協力するのは相応の面倒事が予見されるわよね?ただでさえ此方はやることが有るの。更に面倒事を増やすなんて……」

「……其方に私達も協力しますので」

「まあ、それが落としどころよね。でも此方のそれは聞いたら戻れない類いの検案だけど、それでもそうする?」

「……少し考えさせてください」

「ああ、そうそう。念のために、予定地はプレートの境目とハリケーンや台風の発生の通過範囲や海底火山や大陸棚付近は避けるべき。洪水で土砂なり瓦礫なり何なりと、が流れ込むのが嫌ならね」

「……う……どちらにせよ私達に選択肢は有りませんね」

「そうね。此方は簡易的に直ぐにやれるもの。貴方達より弱い奴らを大量に味方に付けるか、貴方達がそれを出来る程に強く成るか、強い奴を召喚するかのどれかをやればまだ道は有ったはず。もっとも狙い的に強く成る時間は競合相手に先んじられるリスクが増える訳だからそんなに大きな余裕は無かっただろうし、召喚で良いのを召喚出来るならそもそもこう言う話に成るはずも無いし、貴方達より弱い奴らを大量に味方に付けるのも居住権を報酬にするなら限界が有るし、まあ、こうなるのは仕方ないかも知れないけど」

「……なら」

私は彼女に向かい、雷を放つ。只の水の塊だと言うのなら、これで。

「はいはい。そう来たのね。口封じね。その手段の問題点は二つ。一つ目。そもそも前提条件的に貴女達には出来ない事をやれる相手、つまり、特定項目で大幅に格上な相手に特に準備無しでそれで勝てるなら苦労しない事。二つ目。そもそも私達は貴女側の解釈で言えば共同体で、其方にもう伝わっている場合がある事。そしたら私を仮に殺せたとしても、もう全面戦争よね?」

「……ならどうしろと言うのですか」

「払う対価総量的には格上と協力した方が安上りなのは確かね。でも、場合によっては裏切る相手と手を結ぶのは普通なら難しいわよね?」

「だからそれでどうしろと言うのですか」

「貴女達は催眠術対策なんて出来ているかしら?」

「な……」

「つまりは裏切らない確約として、此方の催眠術を受けろと言う事よ」

「……他の手段をやりませんか?」

「つまり貴女達は催眠術対策をまともにやれていませんね?催眠術対策が完璧なら、要は効かない催眠術を受けるだけで話が済んでいるのだから、これは本来なら美味しい話なはず」

「……」

「そもそも代替案も無いでしょう?私を説得して見せなさい。で無ければ貴女達の海底都市計画は全力で潰しますからね」

「防げないとでも?」

「他の協力者の事が話に出なかったもの。対抗馬なんて居ないでしょう?」

「……」

「はぁ……駄目ね。これじゃあ商売相手としても無理よね。そもそも私は水の神な訳で、海底都市=水の中の都市。つまり私に敵意を持たれるのは?……なのにまともな対抗策も出せないなんて……」

「……対策をしろと言うのですか?」

「これくらいは答えてくれなきゃそもそもアレだもの。水から遠ざかる系の策は貴女達の計画には則さないでしょうし。何せそうしたら海底都市と言うコンセプト自体が潰れるもの」

「……結界を張れば良いのでは?」

「只の地下室と同じにしても海底都市と言う売り込みは成立するかしら?」

「……驕るのはたいがいにしてくれませんか?」

「散々レクチャーされている立場でよくもまあそう言えるわね。これらは只の事実でしか無いわよ。そもそもやるつもりなら今これを言う必要なんてないわよね?」

「だとしても、言い方と言う物があるのでは?」

「あのねぇ、此方は口封じされそうに成ったのをスルーしてあげて商談続行しているのよ?商談が潰れても良いならもう帰るけど、良いのね?」

「……なぜ、なら共同体を創ったのですか?力が足りないからでは無いのですか?」

「つまり、私の実力が過大広告だと言いたい訳ですか?そう思うのは勝手ですが、……そうですね。それは相手も違う手段で神格を用意してくるかもと言う状況でしたし、実際に下級神格なら戦う事には成りました。……詳細はともかくとして、前回の交渉時に軽く説明はしましたし、事前に流石に事件に付いてはニュースくらいには成りそうな物ですが?」

「……災害のニュースが殆どでしたよ。無知ですみませんね」

「……はぁ。良く今迄上手くやれましたね……ならこう言いましょうか。力の詳細の説明を受けたいなら不可逆的な方法で私達に協力すると示しなさい。契約書を此方が用意するから、……駄目ね。“貴女”はそれで縛れても、“貴女達”は一枚契約書を書くだけでは縛れないのだし、全員に署名をさせる契約書を書きなさい。そうしなければ貴女達のレムリア大陸建造計画は事実上の頓挫とさせます」

「……説明をしたくないのですか?」

「場合によっては裏切りますとして来ている相手にそうしない確約も取れずに喋るものですか」

「……ごもっとも」

そして署名を行う事にした……のだけど。

「増員時も追加で署名するのと、レムリア大陸を守る上で、未署名の者達については外敵として扱います。くれぐれも未署名人員を創り、どうにかしようなどと考えない事です」

「客も来るのですが?」

「そうですね。危険なアトラクションでは事前に事故が起きた際の為の契約書を書かされるそうですが、それと同じにしましょうか。私側はそれを把握していれば良いわ。そもそも金は幾らあっても足りない様な事をするのよね?入場制限を掛ければセーフティーをスタッフとその制限以下の人数の分だけで済ませられるから、セーフティーが大量に用意出来ていなくともやりようは有るはず」

「……解りました。では署名します。皆に連絡を付けるので、少々お待ちを」

「お願いね」

 そして皆に話を通すと。

「ステータス的に格上だからと偉そうにしやがって」

「ステータス的に格上を倒す系の効果の能力とかないのかしら?」

「ステータスが圧倒的なら何でも勝てるなんて思えないわね。例えばステータス無視系とか」

「そもそもステータスを無視とかどうやるのよ?ゲームならダメージ計算式介入で済むけど」

「要はステータスが発揮出来ない様にする攻撃を与えれば良いかも?」

「ならそう言えばゲームみたく全くの同一種族の個体が敵に大量に居るならその内の一体を捕まえて、それを研究してしまえば良いのでは?」

「存在特攻と言う奴はそれなら出来そうね。問題は召喚システムの都合で前提条件的に一体一体が別々の設定で作られているから、本人自体に喧嘩売らないと無理な事だけど」

「制限が有るとは言え、基本的には自由に召喚する奴を構築出来ますしね。それはやらない様にする方が良いのかも知れませんが」

「相手のステータスを無視するのではなく、相手のステータスを基準に火力上昇とかどうなのだろう?」

「ああ、例えばゲーム的には相手に与えるダメージ計算の参照値を相手の攻撃力を元に計算すると言う奴ね……ゲームなら余裕でやれそうね…………ステータス万能主義なら攻撃を当てさえすれば相当なダメージを与えられそう」

「防御力特化には意味なくないですか?」

「でも、相手の火力と同等クラスの攻撃力は得られるから、火力特化相手になら只の水掛け論的には負けないで済むわ」

「例外はそれなりにありそうですが、……例外?普通なら交渉打ち切り検案を積み重ねてもそれでも交渉を成立させようとしてくるのは何か裏が有るのかも……それこそ今後下級神以上の奴と戦う予定でも有るとか」

「それなら協力をしようしようとしてくるのは、その事に関連する?……下級神格と戦って生きている奴がそれでも戦力が足りないと思うレベルの奴と戦う予定疑惑とか勘弁して欲しいわね。そもそも此方はそうしようとしている奴に一蹴されているのに」

「共同体を大きくする事で利益が有るのかも。ゲームでギルド機能とか良く有るのですし」

「……実力的には人員募集すれば簡単に集まる気もするわ。そもそも元は軍の所属なはずだし、其方から人員補充は簡単なはず」

「聞いたら戻れない事情とは何なのでしょうか?それが怪しい気がします」

「……話を統括すると、それが何にせよ、協力を受けるのは明らかに危ない橋を渡る事に成るわね。でも、此方もそれは関係なく、それなりに既に問題を抱えているのも確かで、そういう問題に格上の奴を呼べる伝手は欲しいわ」

「……うーむ。自分達でも解決可能かも知れない問題の対処を楽にする代わりに、更に大きな問題に巻き込まれるのは有りなのでしょうか?」

「討伐する事の懸賞金数千万の海獣とか居たらしいけど、悪さをする下級神の討伐の懸賞金がその額を下回る訳は流石に無いわよね……でも楽にするのは重要よ。そもそも本来なら工事費用に払うべき金額を能力で工事する事で払わなくて良いように済ましている訳だし、上手く行った後に起きた問題で、此方の所有能力では代用不可能な検案が出たらアレなのだし。何せ財力自体は現時点では大国に及ぶ訳ないもの」

「そう言う風にしないように立ち回れば良い。……と、言うのは簡単ですが、そもそもムー大陸自体が成立したら利権の塊な訳ですし……」

「手っ取り早いお金を稼ぐ方法は無いかしら?」

「ケール様……無くはないですが、それに飛びつくくらいなら召喚をしてください」

「……そうね。大規模な大会を開けるなら大会参加費を一人につき一万千円にして、千円を場所代費用とかで運営側が貰い、残りの一万を大会優勝者が総取りとかやれるのだけど」

「それならやっている所は有りますよ。……ルール上能力の使用は禁止ですけど」

「……それはやる意味有るのかしら?」

「召喚された奴が参加不可能な訳では無いので、単純に能力関係なく物理で強い奴をメインに据えた大会ですね。……まあ、能力関係のレギュレーションを決める事自体に無理があるので、仕方ないのですが」

「誰かに行かせる?」

「まさか。因みにケール様は止めた方が良いかと。バフは事前に検査して潰されるそうなので。それに不正封じの仕様も有るようです」

「実質参加費千円でそんなに至れり尽くせりな仕様なの?裏が有りそう過ぎてアレなのだけど」

「前回のそれは特に問題なく終わった様ですがね。我々と同じパターンでしょうから、掛かる資金は無視して良いかと」

「場所代費用を考えるシャレに成らないはずなのだけど……まあ、多分追加サービスへの課金制なのかしら?大会参加者への補助系のサービスを有料で行うとか」

「……それ、例えば試合後、スタッフに回復技系を受ける権利が有償支給ならえげつない事に成りますよ?」

「参加費がそもそも最低限なのに回復系の援助迄受けられるのが当然と思うのはボランティアに対して言うにしても酷くない?」

「……相手が使うのが前提扱いに成るならサービス受ける為にかなりの回数課金をしないと駄目な奴だ……」

「最初から高額取って全員に補助受けさせたら良いのに」

「それで高額にしたらそもそも集客できなく無い?あくまでスタッフから回復技系を受けられないだけなら自分で回復技や回復アイテムを用意すれば良いだけだし、高額な参加料を最初から取るよりは集客出来ると思う」

「ルール上、体の構成上、素で物理無効の奴が有利過ぎないかしら?」

「要は場外負けが有るそうです。……幽霊系の奴が確かにヤバイ気もしますけど、流石にそう言うスペックの奴が参加するのは事前に拒否されてほしいですね。大会の趣旨から外れますし」

「攻略するにも、ゲームじゃ無いのだし、そいつらの使う物理無効の理屈が全部同じな保証は無い。一つの仕組みを攻略出来たからと言っても他の仕組みを攻略出来るかは別問題な訳で」

「とは言えあくまで体の機構としての物理無効なのだろ?何でも無効にする無敵パワー的なのは能力使用が駄目な以上は考慮しなくても良いはずだし、そもそも攻撃を当てられないケースでも無ければ理屈を割りさえすれば何とかしようは有るとは思うが」

「……ならそもそも攻撃を当てられないケースが問題か……」

「物理干渉するのが物理無効ならそもそも物量干渉出来なく無い?」

「つまり、そう言う奴らの攻撃に対するその物へのカウンターなら通せる可能性は有ると?」

「そうなのじゃない?幽霊系が物理干渉するのが能力扱いに成るなら互いに決め手が無い試合しか出来ないし、実質出禁に成るけど」

「話を戻します。どうしますか?」

「整理すると、先ずメリットは此方の要求と水の中云々を言う以上は水の制御を広範囲に出来る事は前提として有るはず。つまり、彼女を味方に付けられるとムー大陸の海底都市の全域の防壁の役目をこなしてくれるはず。交渉次第とは言え、彼女は防備策として私達以上の物を提示可能なのよ。問題なのは、彼女達はどういう事を抱えているか、ね。私達に提示出来る以上の防護策をそれと天秤に掛けるのよ」

「でも、一定以上の防壁を用意出来ても、それじゃあ足りない敵との戦いに巻き込まれるのでは意味無いぞ」

「ならそれは事前に確認しましょうか。それさえ良ければ良いと言う事で良いわね?」

「そりゃあそうできれば万々歳だけど、確約は難しく無い?どうなるか解らないし」

「なら、この契約がそう言うのと戦うためじゃ無ければ良いだろ?それは言質を取るべきだ」

「ではそれ次第と言う事で良いわね?」

 そして意見は纏ったので、彼女の所に戻り確認を取る。すると彼女は。

「成程。それはつまり、私にほぼ無償で海底都市を守る役目をやらせて、尚且つ対価もまともに払う気はないと言う事かしら?襲撃が有るとしても、実質要人待遇を貴女達全員にしろと言う事ね。そうするなら流石に此方から追加の条件を出すわよ」

「……どうぞ」

「一つ、今後一切他の共同体に参加しない事。つまり、貴女達の言う所の他の共同体との掛け持ち禁止。二つ、要人待遇をするのは本当に要人と、本当に戦う力が無い奴に限る。三つ、ムー大陸で商業をするなら全体の売り上げの二割を此方に渡せ。それを此方の報酬とする。四つ、私達にそのムー大陸を拠点として使わせろ……さて、後は契約書に書くとして、契約時間とかまだ他にも有るけど、今、言及すべきはこれくらいかしら?」

「……それはあんまりです。私達も解体すると言う事ですよね?」

「ふむ。では、外部の人員が構成員の物には参加するな。で、構いません。そうでもしないと機密情報を話せませんから、徹底して貰わなければ成りませんので」

「……そう言う情報が有るなら確かに仕方ないですね」

 思うより軽い要求だったわね。

「因みに二割で十分なのは、其処は本来なら一千億を超える資産を掛けないと創れない場所だから。つまり普通にお金を掛けるやり方でやる場合、そう簡単には赤字以外には成りようは無いわね。でも、能力でそれをカットした事で、本来なら赤字の様な事も普通に出来る予算を用意出来る。ちゃんと宣伝して最初の集客でミスをしなければ、客からすれば本来なら多少ぼったくり価格でも安いと感じ、それを払う奴はそれなりに居るでしょう。つまりお金の稼げる匂いしかしないのよね。でも、目標として、大体五百億以上は売り上げ出せないと大型潜水艦買えないのよね。買うなら六百億台の潜水艦でも六十数人くらいしか乗れないし、ハイジャックされてもアレだから半分以上をスタッフにするとして、一度に運べる客は三十人其処らなのだし。セーフティーが大型潜水艦だと言うには相当稼げないとだから、ね。まあ、あくまで、買うならの話だから創れば良いのだけど、一般規格でない潜水艦に躊躇無く乗れる奴がどれだけ居るかしらね」

「ハハハ、五百億は稼げないとアレなのですか」

「潜水艦をセーフティーと言うならね」

「小型の奴でも良くないですか?」

「だからセーフティーにするならと言ったのよ。緊急時に何十往復も出来る時間が有るなら良いのじゃ無いかしら?まあ多分二十人分くらい乗れる潜水艦を用意出来れば、当面は大丈夫よ」

「まだ問題も有ると思いますが」

「ええそうね。例えば辺り一面が海の環境でディナーを……と言うだけなら、どこかの水族館でも似た事はやれるもの。海底都市で有ると言う事を売りにしないと、最初は良くても……ね」

……。

「それはプラネタリウムが有るから、本当の星空は見なくて良いと言う理屈ですよね?」

「多少のぼったくりなら通るとしても、代用品で良いや、の理屈を通せる程高くしたら客は取られて富豪層しか来ないと言う事よ。そして富豪層は一度の来訪者数上限を決める以上はSPを連れて来られる人数も限られるし、富豪層を呼びたいなら一度に滞在可能な人数を引き上げないと厳しいわよね」

「山の上の自販機は運搬費等で値段が高く設定される物ですが」

「問題はそれで盛れる金額が基準も無く不透明な事。前例が無いのだから仕方ないけど」

「一先ず契約書をください」

「解ったわ。はい、これ」

 そして契約書を渡された。内容を見る限り至れり尽くせり過ぎる気がするけど、……それだけ儲けられると踏んでいると言う事なのであろうし、遠慮なく契約することにして、全員が署名した。

「さて、一人一人守るのには限界があるから、全員に基礎的な防護の魔法を掛けたいと書いたけど、今それをやるかしら?」

「お願いします」

 そして防護魔法を掛けて貰う。これには魔法の力を弾くのと、深海環境でもある程度動ける効果も有る様で、海中で潜水艦に乗る迄の猶予を確保する為の物だそうだ。

「こんなに至れり尽くせりで本当に良かったのですか?」

「ここまでしたのだから、相当稼ぎなさいよ。そうすれば此方にも相応な量のお金が入る事に成るのだし」

「はい。早速ですが、事情を聞かせてください」

「私の庇護下に入った事で、私と同じ方式で強く成った奴らに対しての敵対勢力に入った事に成るのよね」

「ごほっ……マジですか?」

「ええ、まあ同じ方式で強く成る奴が居たらと言う注釈付きだし、いわゆるシェアの奪い合い的な意味でだから、即座に開戦的な物では無いけど」

「じゃあ抜けさせ……」

「他の一定以上の奴に打診しても、そう言う方向以外で貴方達に明確にそう言う奴に保護されるメリットの提示を新しく出来る?明確なメリットが有るからこの話を私は受けたのだし、同じ条件で通すのは私と同じ方式で強く成った奴以外は厳しいと思うわよ?」

「つまり、保護する事自体に相応のメリットが有るから受けただけで、私達が他にメリットを提示出来ずに他に打診しようがそう言うのが無い奴に同じ条件で通るはずがない、ですか……」

「そう言えるだけの条件にはしたつもりよ。さて、問題に付いてだけど、海の荒波で潰れない程度に土地を確保出来れば良いのと、上空に何を設置しようが問題無い事から、能力を使わないなら、最悪ある程度のエリア範囲を囲う海底からの壁を創り、その中に土地を用意し、その上に建物を創る。でも、それで海上に行けたとしてもその建物の上の方の場所を土地と扱うのは駄目な様ね。それが有りなら苦労しないけど」

「……お金に糸目を付けなければ普通に行けそうですね」

「……海面上昇が起きない程度にやるならこれはやるのも問題無いのだけど、……それがある程度起きるレベルでやるなら標高が低い土地しか無い国からすれば絶対文句来るでしょうし、やるならかなり狭い部分だけを国認定させる様にして、海中で生活出来る様にしないと他の国と事を構えないと行けなくなるわね……」

「そんな無茶な……」

「これは能力を使わない場合の話。どかす水を圧縮なり何なりとしてれば良いのだけど、能力無しでやるなら広くするのにも予算的に限界有るのよ」

「どこか別の空間に捨てるとかどうでしょうか?」

「召喚システムの仕組みはともかくとして、質量保存の法則的な意味で世界の外に捨てるのは不味いわよ。目的的に秘密裏にも出来ないから、地球温暖化対策問題と同じ感じかそれ以上に批判を受けるわよ。亜空間とかに保存しておくのも、海面上昇が大幅に起きるレベルの海水を保存できるレベルの収納持ちがそれをやってくれるかどうか……。運搬業者的な動きをしたら大儲け出来そうなレベルの物を実質使い潰す訳だし……依頼するにも相応のお金を積む必要が有るかもね」

「どうにかなりませんか?」

「他の国の事なんて知るか。と言う態度を問題なく取れる立場に成るなんて流石に大国に成るまでは厳しいわよね。秘密裏にやるなら、ある程度の期間は批判を避ける事が出来て、発覚して、その上で批判を受けたら撤収すれば良い、と、何でもかんでも簡単に可能にする能力が有るなら、そう立ち回るのも不可能ではないけれど、そう言う奴が海底都市に拘る必要性自体も特に無いわね」

「何も問題なくそういう事をやれる奴はそもそもそれをやる必要性が無い。でも、金儲け出来る検案では?」

「仮に何でもかんでも出来る状態に成れたなら、そもそもお金を使わずとも問題無い状態には出来るのじゃ無いかしら?」

「……金儲けの方面での交渉自体が無駄と言う事ですか?」

「娯楽方面での打診なら何とか。でも、事前に興味がある事なら既に先に自分でやるわよね」

「娯楽方面での交渉の場合、自分でやろうと思いつかないレベルの奴をぶつけないと、そもそも無駄だと?」

「ついでに貴方達を生かして置く必要性も提示できないとアレよね。報酬払う段階に成ると殺しに掛かるなんて良くあるパターンだと思うし。まあ私の場合は既にメリットは有る訳だけど」

「……」

「さて、そろそろ現場を見たいから移動しない?」

「解りました。では移動しましょうか」

 そして現地の海上に船を使い移動し、説明を行おうとしたら、

「ふむ。整地と邪魔な岩石の除去と最低限の都市基盤の設置は完了済み……ね。なら、何処を海上の場所にするかを決めましょうか。まあ、基本的には中央か一番端の何処かでしょうけど」

「では利便性的な意味で中央にしたいのですが」

「都市防衛的には端の方が無難だけど、それでいいのかしら?」

「商売目的なので……まあ、それでいいです」

「中央にでかい昇降機設備を設置する事に成るけど、商業的に景観とか大丈夫?」

「あ、……端にしてください」

「解ったわ。さて、なら、やりましょうか」

 そして海がある程度の範囲割れた。……凄い事をしているはずなのに、なんか彼女は不機嫌に成っているわね。……まあ、地雷に成りそうだから、其処には触れない事にしましょう。

「こんな物で良いでしょう。これだけしか出来ない訳では無いですよ。ええ」

 ……まさかこれ以上の事を出来た奴でも居るのかしら?……地雷検案ね。聞かない方が吉、聞かない方が吉。

「それはさておき、セーフティーはどんな物を考えているの?」

そして説明を行うと。

「ふむ。他には景観が壊れても良いなら、水の入ってないある程度の空間を用意して、災害か何かでヤバイ時にそれの下の方の場所に通れる場所を創りその時に開ける。すると海水がそこから入り、その空間が海水で満ちて行くから海水が入る事で上がる最上部に居れば後は勝手に海上に運ばれる……まあ、もっともその空間を創る壁が先に壊されたら破綻するし、侵攻に来た者が海上に続く目立つ物を破壊しようとしないのは無理が有るから、潜水艦が壊れて脱出不可能に成りました、的な状況でも無いと余り意味無いけど……お、私の分体に丁度いい検案が報告されたわ。オーダーメイドの製品と言うのが有るじゃない?あれはその性質上、服なら採寸データとかを収集するのだけど、その採寸データに相応するデータベースのデータを何箇所かで盗まれたそうなの。犯人を見付けて確保すれば、服関連のメーカーとかにコネが出来るわ。商業するなら悪くないでしょう?私が解決しても良いのだけど、対処するのをやってみない?」

渡りに船では有るが、

「確かにそれは美味しい検案なのかも知れませんが、それは貴女に報告される検案……つまり、敵は相当やっかいなのではないですか?」

「倒すサポートはするわよ。最悪私が倒しても良い。まあそうなると得られるコネの大きさは小さく成るけど」

「……つまり、参加するだけで、最低限のコネは得られると?……いやいや、今さっき情報開示不足で騙されたばかりなのですから、何か有ると疑いますが?」

「私が仕組んだ訳じゃ無いけど、何件も多種多様な身体データを集める意図が、ちょっと嫌な予感がするのは確かね」

「……私達に参加させてください。そう言う意図の奴を潰せる機会に成るかもなので」

「……ああ、貴女達の集まった理由的に無視できない疑惑の検案よね。なら移動しましょうか。話を直ぐに聞きに行くために転移を使っても良いかしら?先ず元の場所に戻りましょう。私の分体に船は運ばせるから」

「解りました。行きましょう」

そして港に転移する。……ふむ。そして話を聞きに行く。如何やら何回も行われている様で、対策自体はされている様だ。そう言うデータを集める場所に居とけと言う事らしい。

「犯人さえ割れば後は逃げようが、何だろうが私が何とかするわ。だから警護をやりなさい。コネを得たいなら確保迄私に頼らない様にしないとだけど」

「……正直無理筋な気がするのですが」

「なら何人か連れてきなさいな。戦闘でも使い物に成る奴くらい居るわよね?」

「それは確かに居ますが貴女比べられると……」

「じゃあコネ作りを辞める?」

「……それはそれで困りますが……ええい。解りましたよ。やりますよ」

「宜しい。じゃあ話は私が通して置くわね。明日朝の九時から入る様にして貰うわ。明日またここに朝八時に来なさい。良いかしら?」

「解りました。では明日お願いします。」

 そして準備に取り掛かる事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る