死暑


かき氷を食べて

わたしは元気いっぱい

「栄養満点すぎるだろ………これ…」

てきとーなことを言ってまたも周囲を喜ばす

「ただの水の固まりだよ」

そんなツッコミに「確かにね」といったん頷く

「きみの言うことにも一理あるよ」

でも見えない部分が充足されていくのだよ

それを感じ取ってしまっているのだよわたしのハートが

確かにただの水だが

このシャリシャリ感は一体なんだ?

他の何物にも代え難いではないか

そこに掛けるフルーツシロップ

まさにこの世の楽園だな

「シロップって言ったって無果汁じゃん」

手厳しい

無果汁

確かにこれは酷い

ここには果汁が入っていません

詐欺だ

匂いだけしてさ

「まあいい」

よくないのはこの真夏の尋常ではない暑さ

猛暑とか越えてるだろこれ

別の言葉が必要だろ

さっきね

庭でね

隣りのわんちゃんが散歩に出掛けるところを見届けたんだ

早くも舌を出しゼエゼエ過呼吸、気味だった

(………必ず生きて戻ってこいよ)

わたしはここでかき氷を食べながらきみのことを応援しているよ

頑張れ

わんちゃんは一度だけこちらをちらりと見て瞳で言った

「肉球が焦げちまうよ」


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