孤高なわたしの楽しい遊戯
シュークリームもぐもぐ
うまいにゃー
そんなことを言いながら窓から空を見上げた
部屋のベッドに寝転がりわたしは何もしていない
ただし肺呼吸を除く
ヘリコプターがぶろろって青空の中を飛んで行った
春
春なんだね
あったかい午後
わたしはシューの噛み噛みを一時中断
死んだふりを頑張ってみることにした
「えっくし!」
くしゃみと同時に口に含んでいたクリームの飛沫が宙を飛んだ
顔面にぽとぽと落ちて来た
力無く笑う
わたしは花粉症
それも末期
もう何もする気になんてなれないよ
それでも喉が渇くので仕方なく起き上がり台所へと向かった
リプトンにストローを刺しその体液をちゅうちゅう吸った
指先で紙容器の角の点をそれぞれ支え
瞳はやや寄り目、加減を意識して
吸引
わたしはそんな怪人ごっこを楽しんだ
時折、ちゅうちゅうをやめ笑い声を挿入すれば完璧だ
お母さんが背後で心底がっかりしていた
(いつからいたの?)
お母さんは何も言わず(しかも視線すら合わせずに!)買ってきたほうれん草などを冷蔵庫へ移し始めた
「わたしそれ好きじゃないって言ったじゃーん」
でもお母さんは無視
お母さんは栄養重視
わたしは見た目とか重視
今夜はほうれん草の茹でたやつがまたしても食卓にのぼるのだろう
がっかりだ
なんか雑巾みたいにぎゅっと絞ってからずだんずだんと切り分けられたやつが
おひたし
何が美味しいんだかさっぱりわからない
幼稚園児の頃からずっと疑問に思ってた
未だにわからない
「ええっくし!」
わたしは鼻水を垂らしその場に立ち尽くす
駄目だ
もう部屋に戻ろう
ごろんと寝っ転がってケータイをいじる
メール無し
(暇だし詩でも書こうかな………)
それは孤高なわたしの楽しい遊戯
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