きりんちゃんとわたし
わたしは
きりんちゃんに噛まれた
かぷりと
頭がすっぽり収まった
目の前に広がる暗黒
きりんちゃんの口内だった
ぶひいぶひいと
生ぬるい風がわたしの両耳を通り抜けて行った
唾液塗れのわたし
「ねえ、きりんちゃん出して」
でもその声は届かない
ねっとりとした舌がわたしの顔面を舐め回し始めた
きりんちゃんがもぐもぐもした
「こらあ」
わたしは草じゃないよ
でもきりんちゃんはもぐもぐをやめてくれなかった
わたしはまだ外界に取り残されていた手を使ってきりんちゃんの頬をぺちぺち叩いた
「だせー」
わたしが食べ物ではないことに気付いたのは随分あとだった
ぺっと頭を吐き出した
「はあ………はあ」
やっぱ外の空気はうまいわ
ねとねとの顔面でたった今まで自分の頭を頬張っていたきりんちゃんを見上げた
「何か言うことはある?」
きりんちゃんは言った
「すみませんでした」
なかなか立派なきりんちゃんではないか
「たべものとまちがえました」
その割には随分ともぐもぐしてたよねえ?
わたしはきりんちゃんと仲直り
きりんちゃんはお礼にわたしに美味しい葉っぱが生えてる場所をたくさん教えてくれた
それは要らないけどさ
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