第五章 タバサの物語 妖精のお友達

可愛いタバサちゃん


第五章 タバサの物語 妖精のお友達


 アイリッシュ海に浮かぶ一級市民地域マン島。

 ナーキッドとアメリカの戦争も終わり、テラも平和な日々に包まれていた。


 マン島にもナーキッド世界の社会システムが根付きだした。


 タバサちゃんは十一歳、九歳で姉たちと共にマン島に移住、小笠原高女付属キャッスルベイ女子小学校の五年生になっている……

 妖精を信じるタバサちゃん、ある日、その妖精に出会ったのだが……


     * * * * *


 小笠原高女付属キャッスルベイ女子小学校の、五年生のタバサちゃん、今日はウキウキですね。

 二人の姉と茜おばさまがやって来るからです。


 ダグラス郊外のキャッスルベイにある宿舎。

 白いコンドミニアムを茜おばさまが購入して、大改装した邸宅です。

 海岸に面しているこの邸宅は、マン島鉄道のキャッスルベイという駅から、歩いて約五分のところにあります。

 キャッスルベイ小学校からも五分ぐらいです。


 一番上の姉、パメラは十六歳。

 二番目の姉、スージーは十三歳。

 二人とも今では小笠原高女の四回生と一回生、小笠原高女の寄宿舎に入っています。

 タバサちゃんは一人で通学しているのです。


 この宿舎はタバサちゃんたち、アディントン三姉妹とテレーサ・オリヴェイラさんが住んでいたのですが、今ではタバサちゃんだけが住んでいるのです。


 そして退官して、命婦(みょうぶ)となっている四人の方に、管理が委託されています。

 勿論アディントン三姉妹の面倒も、親身になってみてくれています。


 そのほかにも、マン島総督でもあるエステラさんと、御付きのブレンダさんもよく泊まりに来ます。

 この邸宅はマンクス・レディス・ハウスと呼ばれているのです。


 今日はミコ・バースディ・ホリディーの前日の金曜日、五時間目が終わり、いつもなら友達とペチャペチャおしゃべりなどしながら帰るタバサちゃんですが、今日は大きなリュックのようなカバンを背負い、走って帰りました。


 自宅に帰ると、二人の姉はまだ帰宅していません、でもエステラさんとブレンダさんが来ていました。

 右足を後ろに引いて、体を真っ直ぐにしたままで、膝を折り、スカートの裾などもちゃんと持って……

 タバサちゃんはちゃんと、二人にご挨拶をします。


「まぁ、ご丁寧に」

 エステラさん、ニコッと笑って云ってくれました。

 傍にエステラさんの愛犬、ファリニシュちゃんがいます。

 タバサちゃんを見ると、うれしそうに尻尾を振っています。


 愛玩犬のように小さく可愛いテリアで、なぜかタバサちゃんには親しみを表すファリニシュちゃんを、タバサちゃんも大好きです。

 実はタバサちゃんは犬を飼ってみたいのです。

 ファリニシュちゃんみたいな、可愛いい?犬を……


「タバサちゃん、チョーカーは不可視にしているの?」

「はい、学校のお友達が驚くといけないから……」


 タバサちゃんはこう見えても、立派なミコの寵妃、夜伽の順番を確保できる側女なのです。

 五年生といえど、体は官能を知っているので、時としてすごく色気が漂うことがあるのです。


 うっかりすると、ブレンダなど色気負けしそうな時もありますが、まだまだ仕種などは子供なのです。

 とても可愛らしいタバサちゃんです。


 そうこうしていると、タバサちゃんの二人の姉、パメラとスージーが帰ってきました。

「パメラ姉さん!スージー姉さん!お帰りなさい!」


 嬉しそうに二人に駆け寄ります。

 パメラが、

「タバサ、エステラ様の前ですよ、もっとレディらしくしなさい」

 と、たしなめます。


 エステラさんが、

「いいじゃない、ここにいるのは皆ミコ様の女、同じ方の所有物です」

「マンクス・レディス・ハウスの中ですから、堅苦しい事は無しにしましょう」


 そこへテレーサ・オリヴェイラさんが戻ってきます。

 この方はアディントン三姉妹にとって姉のような方、マンクス・レディス・ハウスの事実上の責任者、命婦(みょうぶ)となっている四人の方とは、苦労を共にしたと聞いています。

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