中華女人世界
「志玲さん、ひどいわね、私、ひどく冷たい女のように思われているわよ」
忍が笑いながら話しかけてきました。
「申し訳ありません……」
あれから五か月ほどたった、今日は旧暦の正月、つまりは春節です。
あっというまに大陸世界は二十の地域に分かれ、それぞれがミコ様に忠誠を誓っています。
河北、河南、山東、山西、陝西、江蘇、安徽、湖北、湖南、浙江、江西、福建、広東、広西、甘粛、四川、雲南、貴州、海南、遼寧の二十地域となり、統治はその地域の力関係で決めることになりました。
ナーキッドは権力闘争などには関知しない、ということです。
それぞれの地域は細かな荘園に分かれ、それぞれに領主がいます。
領主には位があり、名称はかなりもめたのですが、古代の爵位、殷の爵位、公、侯、伯の三階級です。
五爵や女性の称号位も候補に挙がったのですが、三階級に落ち着いたのです。
その領地名にはその位がつけられます、○○公領、○◆侯領、X◆伯領のようになります。
身分が保証されますと、不思議なことに醜い権力闘争がなくなります。
忍様がそっと教えてくれました。
「利己特性は、テラの内戦時に遺伝子から削除されているの、基本的には生存が脅かされない限り、今ある状況を人々は許容するはずです」と……
最下層の人々も働けば生きていける……
そのような世界になっているのです……
全土がほぼ農地です。
食糧生産が富ですが、もし飢饉が襲ってきたら、領主の要請により、ナーキッドから最低限の食料は提供されます。
これは分割で返済することになります。
これが滞れば領地が取り上げられ、公売にかけられます、しかしまずそれは起こりえません……
その場合は領主一族から、ナーキッドが指名する人物を奴隷として、献上させることで代納できることになっています。
領主にはかなりの特権が認められています。
荘園の農奴は売れません。
農奴さんの婚姻も領主の許可が要りますし、なにより子供を授かるためには、領主の手元にあるナーキッドの産科装置が必要なのです。
つまりは領主の許可がいるのです。
初夜権も持っています、家内奴隷は売買が許されます。
領主が望めば、農奴さんの一家に三人目の子供を命ずることが出来ます、子供たちの中から、領主に仕えるための家内奴隷を提供させることができるのです。
春節を迎え、この中華女人世界とも呼べる世界は、安定してきました。
曲がりなりにも平和、そして曲がりなりにも、生きていける世界となっています。
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