偽電話


 会議の雲行きがここから変わっていきます。

 交渉相手が寵妃と分かった以上、この交渉がかなり危険なこと、もし寵妃に恥をかかせれば……ナーキッドがどう出るか……


 自らの立場がそれこそ、『薄氷を履むが如し』なのだと思ったようです。


 しかも寵妃と交渉が決裂し、うまくミコ様が怒らなくても、次はウェイティングメイド……


 四級市民などウェイティングメイドにとっては面倒なだけ。

 ナーキッドを使い、あっさりと解決してしまうのは明白……そう思っているでしょう……

 忍様が可愛そうですね……優しいのにね。


 でも、これでうまく誘導できそう……ミコ様も忍様もごめんなさいね……

 気の毒な人々の為に泥をかぶってくださいね♪


 三級になれるかもしれない……しかしその為には特権がなくなるかもしれない……代表たちはあちらこちらで話をしています……


 あれほどいがみ合っていたのに、利益が同じとなったら、いがみ合いも消えるようね……


「私からの提案ですが、皆さんがそのまま領主となられればどうですか、皆さんの今の社会体制は、一部の貴族の独裁体制……それを認めましょう」

「その代り、ナーキッド、いえ、ミコ様に忠誠を尽くす、それでどうですか?」


「我らが領主、それを認めてくれるのか?」

「確約はできませんが、私が直接ミコ様に掛け合ってみます、多分……私への処罰ぐらいで通るでしょう……」

「感謝します……我らは最大限……努力いたします……寵妃志玲様」


 志玲はその場に有った、電話なるものでウェイティングメイドの忍に連絡します。

「忍様、志玲です、そうです、お叱りはごもっともですが……大陸の方々の……そうです……」


「なんとか、ミコ様に……はい……責任は全て私がとります……」

「そうです……鞭打たれてもかまいません……だから、何とか……そうですか……ありがとうございます」


 わざわざ、中国語で電話した志玲でした。


 次にかけた電話は、ニライカナイにつながります。

「ミコ様、志玲です……お願いがあります……テラの東アジア、大陸の方ですが……なんとか二十地域の、今の支配階級の領主化をお認めに……お叱りはいくらでも、この志玲が受けます」


「はい……どのような事でも……できましたら……その……三級に……そうです……」

「必ずミコ様の為に……はい……それは必ず守らせます……誓約を守らぬ場合は……はい、それなりの対処を……綺麗に更地に……仕方ありません……」


「そのように伝えておきます……特例でお認めに……ありがとうございます……謹慎……はい、承りました」


 志玲は代表団に向かって言いました。


「聞こえたでしょうが認められました、ただし条件があります、認める以上、忠誠を尽くすこと……」

「皆さんはミコ様の所有であることを徹底的に知らしめること、このことを誓約してもらいます」

「もし違約すれば……大陸には一人として人間は居なくなりますよ、このことはミコ様がはっきりといわれました」


 そういって、代表団を見まわしました。

 しばしの沈黙の後、「誓約いたします」と、一人がいいました、すると次々と続きます……

 意外と簡単に終わったわ♪

 

「それでは、方法論の討議をいたしましょう……」

 この後はトントン拍子、でも忍様とミコ様からは、えらく叱られたようです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る