硫黄島リゾート 其の二
ここにはリゾート施設が林立しており、小笠原シティの住民の息抜きの場所でもあります。
小笠原シティはマルスの首都、グラブダブドリッブと肩を並べるほどの超近代シティ。
ナーキッドがマルスに撤退した後も、テラにおける拠点として維持している都市で防衛軍の本拠地、ミコのハレムであるテラ・メイド・ハウスの拠点でもあります。
……この小笠原直轄領に比べると、デヴォン島直轄領の何とのどかな事……
「ねえ、ママ……この頃、アメリカの中で内戦が起こっているようだけど、デヴォン島……大丈夫かしら……」
「ママにもわからないわ……でも……ここへ来るとき、小笠原軍港をチラッと見たけど……防衛艦隊の数が増えているようだし……」
「兵隊さんたちがあわただしいし……アメリカと開戦なんてことになれば……デヴォン島はアメリカに近いし……」
「ねえシェリル、ノーマも聞いてね……もしそのようなことが起これば、私たちはアメリカに向かって銃を向けます」
「みじめな娼婦であった私たちです、今の幸せを呉れたのはミコ様……覚悟を固めてね……」
「もし必要なら……ナーキッドの兵隊さんの為に……娼婦の出来ることを……その後は……明日を迎えない……」
「分かっています……でも……ノーマは可哀想です……」
ノーマが、
「私はお姉さまとお母様といつも一緒です!どこまでもどこまでも一緒です!」
「まぁ、そんなことが無いように祈りましょう……とにかく明日を楽しみましょう」
硫黄島のステーションは、島の中央部の地下深くに作られています。
シャトルは小笠原ステーションから、この地下一千メートルのステーションにマイクロワープするのです。
地温は百五十度を超えています。
まぁ、『コラ半島超深度掘削坑』は地下一万二千二百六十二メートルが記録としてありますから、一番ではないですけどね。
完全空調の広大な地下ステーションから、マイクロワープする超高速エレベーターで上がると、硫黄島国際空港ターミナルへ出るのです。
内緒ですけど、一応、掘削坑があり、それに沿って小さい地下街区が十階分ありますが、非常用の予備空間です。
島内には巨大な空気浄化システムが配置されており、硫黄のにおいなど、少しもしないのはご愛嬌ですね。
交通機関は地下鉄となっており、かなり小さい車両が縦横に走っています。
島の北西部の井戸ケ浜には、US―3不死鳥という戦闘飛行艇の航空基地があり、各種のホーバークラフトなども配備されています。
あまり高い建物はありません。
都市機能は地下にあり、最高に高い建物が、硫黄島国際空港ターミナルの空港管制塔ですが、次に高いのが硫黄島リゾートホテルなのです。
このホテルは、国際空港を利用する旅行客の宿泊施設として設立されたナーキッドの直営ホテル、その最上階にオーナーのゲストハウスがあるのです。
南西部の千鳥ケ浜の沖合には、すり鉢山から延びる人工浮島が連なっており、波穏やかなビーチを守っています。
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