第53話-ユ涙姫と卒業式⑥
『いやぁー、素晴らしかったな!』
一連の昼会プログラムが終わり、千鶴さんが再びマイクを取る。
横を向くと姫野が有巣の席に無理矢理入り込もうとするのを有巣が精一杯の力で拒絶するという、すっかりいつも通りの二人に戻っていた。なんという切り換えの早さだろう。女子ってこんなもんなのかな、と新田は笑う。
『あ、そうだ。最後に皆に宣伝をしておこう!』
そういって千鶴さんはステージの真ん中から、こちらを指差した。ホールの全ての視線が俺達に集まる。そして、とんでもない爆弾を落としていく。
『この春から我が校にCAN部なる生徒支援型の同好会が発足した! 部活内容は相談室を含め、依頼主のできるようになりたいことや、やりたいことを応援し、できないことをできるようにするというものだ。なにかあったらぜひ頼りにしてくれ。メンバーは先程の一年七組、姫野凛。一年八組、有巣麗奈。同組、武者小路優馬。そして……今日付けでワタシ、三年一組、神宮寺千鶴が加入する!』
『ちなみに現在は姫野凛による劇的ナチュラルメイク術講座を開講しているから、ぜひ参加してくれ! では、以上で全校解散!』
その後、俺達CAN部を含め絶叫の渦を巻き起こすと千鶴さんは
――一大ニュース。神宮寺千鶴が部活に加入する。
その真相。もし俺がCAN部に入れなかった時のための補充要員として有巣が頼み込んだ。というのを聞いたのは、それから数日経ったことである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます