BONUS STAGE3-②~素直になろうよ!~

 等身大に大きくなり、ピンクに塗装されたジェンガ、【ハートフルジェンガ】に挑戦するみのりとレミ。


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 PLAY GAME No.10

【ハートフルジェンガ―HEARTFUL JENGA―】

 ・ジャンル『バランスゲーム』

 ・プレイヤーレベル:25


 概要・ルール

 直方体のブロックを積んだタワーを倒さないように積み上げるバランスゲーム『ジェンガ』の亜種版。

 主な特徴として、各ブロックを上に積んだ後に書かれたお題をクリアして次のプレイヤーに番を回さなければならない。


 ・勝利条件……ジェンガタワーを直さなかったプレイヤーが勝利。

 ・クリア報酬……参加プレイヤー全員に特殊アイテムをプレゼント。

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「……お題って、どんなのあるの?」

 ピンクジェンガに警戒しつつルールをみのりに聞くレミ。


「えっとね、主にジャンルに合った話をするのが多いね。例えば『幸せな話』とか『泣けたお話』とか、あとは『恋バナ』とか!」


(それ何処の合コン……?)


 サイコロ振ってお題でトークする番組みたいなお題だけではなく、友達の交流を深めるためにハートフルなお題も用意されている。

 まぁ説明するより、ゲームをしながら読んでいく方が分かりやすいでしょう!


「じゃ、早く始めましょうよ♪」

「う、うん……」


 ウキウキのみのりと、タジタジのレミ。

 感情相対性理論が書けるような関係のなか、ゲームはスタートした!


 先攻は、じゃんけんでみのりから。


「どこ抜こうかな~?」

 みのりは中部辺りの右側のブロックを抜いた。


 最初のお題は――?


「……『貴方はぶっちゃけて、、どちらですか?』」

「ぶっっっ!!?」


 純真な女子高生、所謂『JK』に何つー質問だと思わずレミは吹いた。


「んー……?『M』の方かな」


「えッッ? ちょ、ちょっとみのりちゃん!? 本気で言ってるの!?」

 レミは気が動転して慌てふためく。


「私こーゆーの良く分かんない! だから『みのり』の頭文字のMにしようかなって思っただけよ」

 幸いにも、純粋なみのりにはSかMの意味は知らなかった。フェティシズム的にも邪念が無い。


「あ……何だそーなんだ、アハハ……」

 余計な心配でしたねレミちゃん。


 お題を終えて、みのりはブロックを背伸びしながら上に慎重に乗せていった。


「次はあたし!」

 レミは下の段のブロックから攻めて抜き取った。

 ――お題はこちら。


「『何フェチですか?』………」


 これまたドストレートな……


「ねぇねぇ、レミちゃんは何フェチなの? 教えて教えて!」

 SかMかは知らんのに、何故にそこは興味津々なんだ、みのりちゃん。


「……あ、そうだ! あたしね、ルービックキューブの手触りが好きなの!!」

「ルービックキューブ?」


「そう! あのツルツルのキューブの手触りと、スライドした時の滑らかな感覚! あれだけで『パズルを解いてる感』が出て溜まらないのよ!!」


 案外レミちゃんも面白い趣向があるじゃないですか。


「ホントにレミちゃん、パズルが好きなんだね!」

 嬉しそうな笑顔でみのりがレミに微笑む。


「え……あ、ブロック置かなくちゃ」

 レミは急かすようにブロックを背伸びで乗せた。


 レミは苛められた経験が有る故に、以前まではずっと一人でゲームに勤しんでいた。

 そして剣達と出逢い、こうして今はみのりとゲームをしている。

 彼女の中ではまだ違和感で溢れる状況であり、他人に認められる事などもまだ慣れていなかった。


「……じゃ、今度は私の番ね」


 ――ランダムにブロックを抜いて、お題をクリアし、ブロックを置く。

 これをタワーが崩れるまで延々と続く。


 ではそのお題の一部をダイジェストで紹介しよう。


 ①『貴方の好きなゲームは何?』(みのり)

「えー、一杯あって選べないよ! ……じゃ今のところは剣くんと一緒にやった『スペースインベーダー』かな?」

 この前の進化インベーダーも、みのりちゃんとても頑張ってましたものね。


 ②『ちょっと得した話』(レミ)

「えーと、自販機でのルーレットでジュースもう一本タダで貰いました」

「凄いじゃーん!!」


 ③「ゲームキャラの物真似してください」(みのり)

「えーと………キュエッ☆」

 チョコ◯みーっけ!


(か、可愛い……♡︎)


 ④「必殺技を叫んでみて下さい」(レミ)


「―――アバ◯ストラーーーーッシュッッ!!!!!」

 そっちのセンス持ってくるか!?


「それ何のアニメ?」

 伝説のRPGを題材にしたアニメですよ。


 ◇◇◇


 ――ゲームの中盤。10巡目を終えてジェンガタワーも肉が削がれて、みるみると骨状態に近づいてきた。


「そろそろ、崩れてきそうだね」

 みのりもお題に楽しみながら積んできたが、いよいよ正念場を迎えるところで切り替えていった。


 一方のレミは……


(みのりちゃん、ホントに楽しそうにゲームしてる……! あたし、今までずっと一人でゲームしてて気付かなかったけど……

 ――誰かと一緒にゲームをする事って、こんなに楽しいものなのね――!!)


 みのりのピュアでひたすらゲームに楽しんでいる様子を見て、レミの心に大きな変化をもたらした。

 苦い過去をもかなぐり捨てて、対人への不安などレミにはもう必要なかった!


「――みのりちゃん!!」

「なーに?」


「あたし、もっとみのりちゃんと遊びたい! 貴方の事をもっと知りたい!!

 だからこのジェンガタワー、中途半端で倒したら承知しないわよ!!!」


 友達と仲良くするのに、勇気もおべっかも必要ない。


 ――要るのは親友を思うだけ。


「………私も一緒だよ! 私もレミちゃんと遊びたいもん! パーフェクト目指す気でやってやるんだから!!」



 お互いの気持ちを確かめ合った二人、だがゲームはまだ終わっていない。


 ――みのりの番、抜き取るとき少し固かったが、力を入れてようやくブロックを抜き取れた。


「次のお題は何かな………………え゛??」


 みのりの顔が、キュートな美少女から深刻シリアスな顔に変貌を遂げた。


「ん、どしたの? 作画崩壊したかのように変な顔し………………の゛!!?」


 作画崩壊も小説なので顔はご想像にお任せするとして、レミも同様にシリアスの洗礼を受けた。

 その原因はブロックのお題にあった。




『二人でポッ◯ーゲームをしてキスをする』




 ゲームウォーリアーを百合小説に変えるつもりかァァァァァァァァァッッ!!!!


 本当にキスするかは、次回のお楽しみに。

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