BONUS STAGE3-①~Wヒロイン仲良し大作戦!!~
最強のプレイヤーを目指して、『ゲームワールド』を旅しながら、ゲームに挑み続ける剣達。
パズルの工場『パズルファクトリー』にて、テトリスの殿堂入りを果たした
さて、今回彼等に待ち受けるゲームは……?
◇◇◇
――天童学苑高等学校。
ここは、剣達が通う私立高校である。
「――ねぇ剣くん、今日はゲームワールドの何処のエリアに行こうかしら?」
「せやなぁ、どないしよか?」
学校を終えた放課後、剣とみのりが今日もゲームワールドへ行くための計画を立てている。
勿論、ゲームに強くなるための精進である。
「そのままゲームワールドを気の向くまま探索する、じゃダメなの?」
確かに計画とは言っても、簡単に言えば遊びのプランを考えるもの。みのりが疑問に思うのも分かる。
「……そう言うけどさ、結構エリア選ぶの大変なんだぜ? 無数にゲームがあるのは承知の上だけど、それに人数とかレベルの条件もあるから、絞るだけでも時間食われるからな。みのりのレベルにも合わせんといけんし」
「……それ、どういう意味?」
一言余計な剣の発言に、少しムッと来たみのり。
するとその拍子に、みのりはピンと何かに閃いた。
「そうだ! どーせならレミちゃんも誘って行こうよ!! 友達になったばかりだし、仲良くなりたいし」
チームの中で初めて出来た女友達であるレミを誘いたくなり、ウズウズしているみのり。
「……せやな! あいつずっと一人で遊んでたみたいやし、俺らから誘ってもえぇな!」
剣も賛成したは良いが、二人ともレミがどういう子なのか詳しくは分からない。
そこで、レミと同じ5組であるメンバーの
「レミをゲームに誘いたい?」
「そうなの!私どうしてもレミちゃんと仲良くなりたくて。それで、何かテトリス以外に楽しめそうなゲームってある?」
「……んー、難しい質問だな…………」
槍一郎は首を傾げながら悩み込んだ。
何しろレミと槍一郎はチームで一緒になるまでは赤の他人当然であり、深い趣向まで分かるはずも無かったのだ。そこで剣がある提案を立てた。
「―――俺考えたんだけどさ、こーゆーのは女子同士で交流するのがええんちゃうか?
俺とか槍一郎の男子が居ると話しづらい事もあるだろうし、ガールズトークしながら二人でやれるゲームって考えれば話が付くだろ」
何と剣自らが、ゲームの主導権をみのりに預けた!
というのも、みのりが真剣にレミと仲良くなりたい意思にはとても勝てなかったからである。
「成る程、それなら話が早いよ。だったら、おすすめのエリアは【テーブルトップ・シティ】!
――プレイヤー・バザールから向かって西のエリアだ」
【テーブルトップ・シティ―TABLETOP CITY―】
それはテーブルで繰り広げる卓上ゲームが、そのまま土地となって盛んに発展した街。即ちテーブルゲーム専門のエリアだ!
「テーブルゲームはプレイヤー達と友情関係を築くのに最適なゲームだからね。――これが、そのエリアのゲームだ」
槍一郎は自分のプレイギアで広げたバーチャルマップをみのりに渡した。
みのりは数多くあるエリアのゲームをマップで確認している。すると………
「――あっ、これ! これならレミちゃん楽しんでくれるかも!!」
みのりの第六感にビビッと来たゲーム。剣は後ろから、その概要を覗き見して反応を示した。
「これは、かなりガチやな………」
そのたじろいだ剣の反応が、今回登場するゲームの全てを物語っていた。
◇◇◇
「多分、また居残りされてるだろう……」
槍一郎は剣達を連れて、自分の教室である5組に案内した。中を覗いてみると……居た!!
「……あ~ん、勉強つまんなーい!! 早くパズルゲームやりたい~!!!」
勉強机にポツンと座らされながら、一人駄々をこねるレミの様子が教室の中から垣間見えた。
「やっぱり思った通り。また居残り勉強されてるな」と槍一郎が呟く。
「何や? あいつ赤点でも取っちゃったか?」
にやけながら様子を伺う剣。
「いや、彼女は宿題忘れた為に補習をさせられてる。しかも常習犯でね。多分最近テトリスに没頭しすぎて、勉強の事をほったらかしすぎたんだろう」
「要はだらしないって訳か………」
剣は呆れて思わず溜め息を付く。
剣は宿題もテストもやることを終わらせてゲームしてるので、そこはまともと捉えておこう。
「むぅ~! 早く終わんないかな、その補習!!」
一刻も早くレミを誘いたくてそわそわし始めるみのり。だがそれ以上に早く終わらせたいと思っているのはレミ本人である。そして……
「―――よし終わった!!!
はぁぁぁぁもうッッ、さっさとゲームワールドに行くぞこんにゃろめーー!!」
嫌な勉強を終えて、すっかりフラストレーションが溜まったレミは一目散に教室を出ようとした。
「レミちゃん!!!」
痺れを切らせて、ガラッと扉を開けて自らレミをお出迎えたみのり。
「……あれみのりちゃん!? どうしたの急に――」
「今日は私と遊びに行こッッ!!」
「……え、ふぇッッ!!?」
いきなりの展開に戸惑うレミ。
「あ、いや、今日はあたし一人で行こうと―――」
「ダーメ! 今日だけは私と付き合って!!」
急な告白、そして直ぐ様ゲートを出現させて無理矢理レミを連れ出して、みのり自らゲートに飛び込んでいく。
「ゲート・オープンッッ!!!」
「何でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ………!!!?」
連れ出されたレミの断末魔がエコーのように響き渡り、そのまま教室のゲートは消滅していった。
「随分強引だったね、みのりちゃん……」
槍一郎は呆気に取られながら、見送りを見守っていった。
「後はみのり達に任せようぜ。今回俺等出番無いみたいだし」
「……………マジで?」
マジです。
◇◇◇
「もぅ~みのりちゃんてば、急に連れ出すんだから! 何しに行くのよ!?」
今日は学校終わって、パズルやる為にゲームワールドに行こうと計画してたが、急なハプニングに混乱しやすいタイプのレミ。
御冠になりながらも、みのりに連れられるまま案内される。
テーブルゲーム特有の西洋・ヨーロッパな雰囲気が、そのまま街の風景に反映されてプレイヤー達の好奇心を高めていく。
双六の通路に、巨大なチェス駒のオブジェ。どれもこれもテーブルゲームの要素を拡大させたような賑やかな街、それが【テーブルトップ・シティ】なのだ。
「ごめんね! こーでもしないとレミちゃん誘えないと思って! ――ほら、あそこだよ!!」
案内を終えたみのりが指差したのは、直方体の大きなブロックを積み組んで作られた巨大なタワーだ。
「……あれ? この形どっかで見たことがあるわね――?」
レミはこのブロックタワーに既視感を覚えていた。この手のテーブルゲームと言えば……!
「これは、ビッグサイズの【ジェンガ】だよ!!」
「ジェンガ! 懐かしい~!! 子供の頃良くやってたわ!!」
手応えあり、レミのご機嫌も良くなってきたようだ。
【ジェンガ】とは、同じサイズの直方体のパーツを組んで作ったタワーから、崩さないように注意しながら片手で一片を抜き取り、最上段に積みあげる動作を交代で行うテーブルゲーム。
勿論タワーが崩れたら負け。だがこのジェンガタワー、ピンク色と妙に変わっている。
「これは普通のジェンガとはちょっと違うよ。このブロックパーツには、一つずつお題が書かれてあるの!
――そのお題をクリアしながら積み上げないと聞けないハートにキュン♪と来るジェンガ。題して、【ハートフルジェンガ】なの!!」
(え、えぇ………みのりちゃん、あたしに何をさせる気なの――??)
ご機嫌から一転、コミュニケーションが求められる要素に不安を感じるレミ。
――みのりとレミ、女子同士のハートフルで百合百合しいジェンガが幕を開ける!!
――あ、百合って言っちゃった………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます