BONUS STAGE1-①~アーケードの町~
盤上ゲームの街『テーブルトップ・シティ』での進化オセロの激闘を終えた剣とみのりはこんなものでゲームへの好奇心が収まるはずが無かった。
更なるゲームに出会うために、次なるエリアへ――!
◇◇◇
剣とみのりを新たなエリアへ導いた『ゲート』、その門に書かれてある文字にはこう刻まれている。
≪筐体と共に歩んだゲームの歴史、そしてこれからの進化を志す≫
アーケードゲームで構成された町、【アーケード・タウン】への案内看板、キャッチフレーズだ。
「―――――うわぁ、凄ーーいッッ!!!!」
剣とみのりはゲートを開けたとたんに強烈に心を刺激された。そこはアーケード筐体並ぶ盛運の町だった!
前回の『テーブルトップ・シティ』が“幻想”のエリアなら、『アーケード・タウン』は”現実“のエリア。人類の進化する文化と慣れ親しんだ下町との共存を示す未来予想図、ゲームと人の共生の理想を示した町が今回の舞台。
80~90年代、アーケードゲームが盛んな時代に良く賑わっていた小さなゲームセンター・駄菓子屋の中で並んでいたゲーム筐体。
アーケード・タウンではそれが自販機コーナーの如く量産されており、古き良き下町風情のエリアなのに何処かしら工場のような無機質さが醸し出されている。人情と無情が混ざり合う不思議なエリアだ。
ゲームセンターの歴史を築き上げたアーケードゲームの宝石箱のような町。
昔懐かしの筐体のみならず、これからのゲーム界の未来を担う最先端ゲームも数多く設置されているようだ。
「町全体がゲームセンターのように出来てるなんて、本当夢みたい!」
みのりは町並みに置かれている筐体に興味津々。
「凄いやろ、この町にある筐体は500基を越えてるんだぜ?」
「500も!? ふぁ~……」
大胆な筐体の多さに、溜め息が溢れ落ちるみのり。
筐体に目を凝らして見ると、知る人ぞ知るゲームからマイナーゲームまで選り取り見取り。“温故知新”という言葉もありますが、町にゲーム資料博物館の資料をひっくり返して散らかすとこんなエリアが出来上がりそうだ。
「『ポン』に、『ミサイルコマンド』に……あった!『ブレイクアウト』!」
「あれ、これ剣くんがゲーセンでやってたブロック崩しじゃない?」
「そう、こいつも70年代に作られたゲームなんだぜ」
『ブレイクアウト』もそうだが、注目すべきは【ポン―PONG―】。
モノクロ画面に上下に動くラケットに見立てた線とドットのボールで繰り広げるテニスゲーム。
この上なくシンプルだが、ゲームの歴史を語るには欠かせないゲームなのだ。しかし今回挑戦するゲームは、当時社会現象を引き起こした伝説のゲームだ!!
「―――ふぁ!? ねぇねぇ剣くん! あのゲームもしかして……!!」
「何や? ……あぁ、【スペースインベーダー】か」
「キャーッッ!! 一度やってみたかったのよこれェ、きゃは〜〜☆☆」
みのり、羞恥心をも忘れるくらいの大興奮。
(……みのりってそんなキャラだったっけ??)
流石の剣もたじろいだ。
◆――――――――――――――――――――◆
PLAY GAME No.5
【スペースインベーダー―SPACE INVADER―】
・ジャンル『シューティングゲーム』
・プレイヤーレベル:15
概要
1978年に発売され、日本のゲームセンターや喫茶店に設置され、ゲーム文化の発展貢献や社会現象にまで至った伝説のシューティングゲーム。
ルール
画面上方から迫り来るインベーダー(敵キャラクター)を左右に移動できるビーム砲で撃ち、インベーダーを全滅させることを目的とする。時々、上空に敵母艦のUFOが出現し、これを撃ち落とすとボーナス点を獲得できる。
◆――――――――――――――――――――◆
「インベーダー、そんなにやりたかったん?」
「だってだって! インベーダーゲームってアーケードゲームの元祖、代名詞みたいな感じがするじゃない? 何かそーゆーの触るのってロマンがあるというか、憧れっていうか……!」
(何かオタクっぽいな……)
剣は半ば呆れながらも、内心嬉しそうなみのりを見てると満更では無い気持ちになった。
最先端技術で作られたゲームに囲まれていると、たまにはドット絵やらベーシックなレトロゲームもやってみたくなるみのりの気持ちも分からなくは無い。だからこそレトロなゲームは、プレイヤー達に古さ余って新鮮な印象を与えてくれるのだ。
早速みのり達はインベーダーゲームの筐体に座り、準備に入った。
「……どしたんみのり、100円入れないと」
「え、ゲームワールドってタダでゲームは出来ないの?」
「当たり前やろ、タダでゲーム出来るほどゲームワールドは甘ないで!」
(変なところでシビアなのね……)
ゲームワールドのゲームは基本有料だが、無料のゲームも少数ながらある。
更には一回一万円のゲームも存在するとか。だがクリアすれば条件によっては賞金が出るなど、豪華な報酬も約束されている。
「そうだよね、アーケードだからお金入れないとゲーム出来ないもんね。よいしょっと!」
みのりはプレイギアの財布アプリを開いて、筐体の読み込みパネルをタッチさせる。
自動で100円分引かれてゲームが作動した。因みにコインでもゲームは出来る。
「よーし行くよー! ゲームスタート!!」
みのりがスタートボタンを押した瞬間に画面が一転、画面中央やや上方付近に縦5段、横に11列の計55のインベーダーが現れた!!
――ピーン、ピキュン、ピキュン!!
この甲高い電子音がインベーダーゲームの世界観を物語る。
左右に操作する砲台の上には4つのトーチカ(防御陣地)、これを使いながらインベーダーの放線ミサイルを防いでいく。
しかし、インベーダーゲームは甘くはなかった。
「ちょ……変な所で反撃してくるわね、このクラゲインベーダー!」
一番下の列のインベーダーが砲台のビームをミサイルで相殺される。あとこのインベーダーはクラゲじゃなくてタコである。
――ドカァァァァァン!!
ビームとのすれ違い様で砲台が破壊された。更には……
「……あっ、UFO!!」
インベーダーの列の更に上方横から出現するUFO、当然みのりは狙っていくも……
――ドカァァァァァン!!
インベーダーに不意打ちを食らわされてUFOは途方に通りすぎ、みのり涙目。そして終いには………
――ドカァァァァァン!!!!
特記する事もない所で最後の一基を破壊されて、
「ふえぇ、ムズカシイナー………」
伝説のゲームに完敗したみのり、壊れかけてるのは気のせいか。そんな彼女を見かねて、剣は痺れを切らせた。
「仕方ねぇな、今度は俺がやったる!」
「剣く~ん……お願い私の敵をクリアしちゃってぇぇぇ――!!!!」
「………別に泣くことじゃ無くね?」
ヒロインの涙を背に受けて、剣が憎き宿敵、スペースインベーダーに挑む!!
「だからそんなデカイ話じゃねぇっての!!!!」
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