第91話~フォレスト・サバイバル!!~

 ――『アドベンチャー・フォレスト』にて登場した新サバイバルゲーム、【サバイブクロス】をする事になった剣たち。まずはサバイバルゲームでお馴染みの迷彩服やマスク、グローブ、そして武器の銃をレンタルで装着する。


「私、サバゲーってあまり乗り気じゃないかも」

「確かに。みのりちゃんはこーゆーのしなさそうだよね」

 みのりとレミ、女性陣は抵抗を感じながらも迷彩服を装着していった。戦意むき出しのゲームには草食なタイプである。


「いや昔から結構女性でもサバゲーを好んでやっている人は多いみたいだよ」

「まぁまずはやってみなよ、もしかしたら結構ハマるかもよ?」

 剣と槍一郎も話に乗っかり、二人に興味を促す。シャッフルオールスターズ全員、服を着替え終わって次は武器選びだ。


「あれ、拳銃ばっかりじゃねぇか。槍ちゃん、マシンガンとかおっきい銃は無いの?」

 剣は疑問に思いながらレンタルのリボルバーやオートマチックのモデルガンをまじまじと見つめる。


「マシンガンはゲーム中にフィールドの何処かに落ちてるんだ。まずは拳銃から装備されて、強い武器は敵に気を付けながら、拾って強くするしかない」

「成る程、じゃ俺はこいつにしようかな……」


 剣はレンタルの中から『ワルサーP-99』を選択した。他のメンバーも『コルトガバメント』『ブローニング』『ベレッタ』と各々の好みに合わせたハンドガンを選択していった。


 これでオールスターズの準備は整った。後は参加プレイヤー全員のスタンバイが出来次第、部屋の奥にあるワープホールを入ってフィールドに転移した段階でゲームはスタートする。


『参加プレイヤー全員の準備は整いました。各自ワープホールに入り、フィールド転送をして下さい』

 部屋内の案内アナウンスが流れた。ここから仲間内も関係ない孤独のデスマッチが始まるのだ。



「じゃ皆、こっから敵同士だけどぶつかりあっても恨みっこ無しで! レベル上げも一旦置いて思いっきりやろう!!」

「勿論だ。バッタリ会っても手加減はしないからな!!」


 槍一郎がそう言うと、オールスターズ全員で拳でタッチしあい各自ワープホールに乗り、フィールドに転送された!



『サバイブクロス、ゲームスタート!!』



 ◇◇◇


 ――桐山剣、転送完了!

 剣の目の前には密林の中の沼地。その沼には足場となるであろう、無数の石が大きな池の中に浮かび上がっていた。



「なんや? 初っぱなからアスレチック要素ぶちこまれてんじゃん!」

 剣は気になる池には進まず、まずは周りを見渡し敵の様子やアイテムを探した。



(あ、あった!)


 剣が見つけたのは拳銃に使うピストル専用弾(サバゲーでお馴染みのBB弾)、そしてペイントボール型の手榴弾だ。剣がアイテムを補給しようとしたその時!!


 剣の顔スレスレに、BB弾一発飛び交った!


「やべ、見つかった!!」

 慌てて剣は逃げる! そしてあの池に無我夢中で渡る剣を、弾を撃ったプレイヤーも獲物を逃さんと追いかける。


「アイツかッッ!!」

 剣は逃げながらワルサーP-99で応戦する。


 池の林を周辺に、追いつ追われつの激闘が繰り広げられ、プレイヤーがショートカットをしようと、沼の上の石を渡ろうとした、次の瞬間!!


 ――ポロッ


「うわぁッッ!!??」


 突然頑丈な筈の踏み台石が沈み、バランスを崩したプレイヤーはそのまま池に落ちた。


「あの石、池の中に誘い込む罠だったんか! あぶねぇ所やった!」

 下手すれば剣もトラップ石の餌食になっていたであろう。沼地に落水したプレイヤーは、ルールに従ってそのままリタイア。ズブズブと底無し沼に沈められてそのままエリア外へ転送・退場となった。


(あらぁ~……俺も気を付けて行こうっと)


 ◇◇◇


 その後もフィールドには様々なアスレチックが剣の行く手に現れた。

 ターザンロープ渡りや、丸太橋、更にはスパイダーウォークのような両端の壁を水平移動したりと、アスレチックの難所を次々に越えていった。



「これサバゲー要素無くなって来てへんか!?」


 いやそんな事はござんせんよ! 眼前の難関を乗り越え、敵を倒して生き残る。これも立派なサバイバルなのだ。しかし剣もゲームが進むにつれて、次第に順応していく。


「豪樹さんにシゴカれた甲斐があったな。よーし、これならクリア出来るかも……!?」


 ピリッッ――――!


(………?)

 意気揚々と突き進もうとした剣。突如脳内に神経を張り積めたような、妙な違和感を感じ取った。



(何だ今のは……? 誰もいない筈なのに、

 戦意剥き出しになっているような、とても強いオーラを感じる――!!)




 剣が感じ取った波長。それはゲームに魂を賭けた者にしか分からない、ゲームに燃ゆる感情の波動の象徴! プレイヤーを超越する、ゲーム戦士だけが持つ異能力『PAS《パス》』の波動だ!!



 剣の目の前にある誰もいない森林フィールドの何処かに、ゲーム戦士が居る!!

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