第90話~アスレチック×サバイバルゲーム!?~

 ――アクションゲームの森林、『アドベンチャー・フォレスト』に出向いたシャッフルオールスターズ。

 そこで急に喧嘩腰に見知らぬプレイヤーに声をかけられた剣たち。


「お前、桐山剣だろ? G−1グランプリで話題掻っ攫ったプレイヤーで有名な」

「……だったら何や?」


 G−1グランプリの活躍は一気に彼の評判を広げさせたか、喧嘩を吹っ掛けられる事も上等とばかりに威嚇する剣。

 喧嘩早い剣に隣にいたみのりは、あちゃーと言わんばかりの困った顔。またしても良からぬ事が起きそうだとヒヤヒヤするのはお約束か。――――ところが。


「いやぁ~! 御会いできて光栄ですッッ!!」

「…………はい??」

 剣は喧嘩を売られたと思いきや意外や意外と、慣れない展開に目が点になっていた。


「見ましたよ、G−1グランプリでテロリストのタイマン勝負! マジカッコよかったっすよ!!」

「え、あのバトル見てたん!?」


「勿論ですよ! ゲームワールドが閉鎖されて、現実世界でG−1のライブ実況が復帰したときに丁度貴方がゲームしてたんです!!」


 あの時、みのりと銃司がトランスホールのセキュリティを解除していた際に現実世界の通信回路が復旧し、現実世界でもゲームワールドの様子が見れるようになっていたのだ。この一件から全国のプレイヤーに桐山剣の名が知れ渡っていた。


「おーい皆来てみろよ! 桐山剣さんが来ているぞ!!」


 さっきまで威嚇の如く近寄っていたプレイヤーは剣の事をさん付けして近くのプレイヤー達を呼び寄せた。

 そしてあっという間にエリア中のプレイヤーが集まってきた。


「貴方が剣さんですか! ゲームワールドを救ってくれてありがとうございました!!」

「結構カッコいいわね、好きになっちゃいそうかも!!」

 対戦相手、敵同士にもなるプレイヤーたちにこれでもかというくらい称賛される剣。


(へへッ……良い行いはホントに色々と報われるもんだな!)


 褒められる事も久方ぶりな剣のニヤケが止まらない。一方で他のメンバーはあまり目をくれてなかった為、孤立感と嫉妬が混じりながら途方に暮れていた。


「オイ、剣! ゲームは何をするんだ!?」

 焦れったく感じた槍一郎が咳払いしながら剣に呼び掛ける。


「あ、そうだ! なぁ皆、このエリアでおすすめのゲームってあるか? 経験値とか一杯貰えるヤツ」

 折角なので、周りのプレイヤー達に意見交換・情報収集とRPGの鉄則に従う剣。その答えは直ぐに出た。


「あの事件が終わった後、丁度新しく出来たサバイバルゲームがあったわよ」

「サバゲーか! よし早速案内してくれよ!!」


 ◇◇◇


 プレイヤー達に案内されたのは、アドベンチャー・フォレストの中で最も広大な面積規模を誇る密林フィールド。そしてその内部には数々のアスレチックが。


「このフィールドにあるアスレチックや仕掛けを駆使しながら武装して戦うサバイバルゲーム、【サバイブ・クロス】だ!!」




 ★★★

 PLAY GAME No.19

【SURVIVE CROSS ―サバイブ・クロス―】

 ・ジャンル『サバイバルゲーム』

 ・プレイヤーレベル:40


 ルール

 マシンガンやヘルメット等、武装しながらフィールドワークを駆使し数多くのプレイヤーを討伐しながら生き残るサバイバルゲームに、アスレチックの要素を加えた新時代サバイバルゲーム。


 リタイアされる条件は2つ。

 ①武装アーマーに設置された『ライフメーター』が弾やアイテムのダメージによって0になった時

 ②アスレチックのアウトゾーン、池に着水した時。


 フィールドと戦略をクロスさせ、100人のプレイヤーの中で1人生き残った者がクリアとなる。

 ★★★


「新しく出たゲームだから皆ルールとか探り探りで挑んでるよ」

「ここで生き残りの一人になったらクリアの証として『エンブレム』が貰えるんだって」


 プレイヤーが口々に色んな情報が剣の耳に入ってきた。特に『エンブレム』が手に入るということに更に興味を持った剣は。


「決まった! 俺このゲーム挑んでみよ!!」

 その決定にプレイヤー達も歓声が注がれる。


「そんでさ、俺だけじゃなくて皆でやろうぜ! この人気絶好調の俺と一緒にゲームする良い機会だしさ、楽しもうや!!」


 その一声にワーッと更に歓声が大きく沸き上がる。自意識過剰な所はさておき、前のヤンキー染みた短気な剣とは、別人のように明るい振る舞いだ。



「凄いなぁ剣くん! あんなカリスマ性、前からあったのかしら?」

「彼もリーダーとしての素質が分かってたんだよ、みのりちゃん。自分勝手な奴に僕達みたいな仲間は背負えないからね」

「あの様子だとまた仲間増やしそうじゃない? 剣くん」

「まぁえぇやないか! それだけ責任も感じれれば大人に近づいたもんやからな」

 他のメンバーも剣の成長を微笑ましく思いながら、剣の後を付いてゲームに参加する。



 どうやら久々にフレンドリーなゲームが期待されそう……ですが?



(この英雄気取りめ……今に見てろよ――!!)



 また、波乱が起きそうな予感――!!

 新ゲーム『サバイブクロス』、ゲームスタンバイ!!!

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