第3章【激闘・ゲーム戦士総進撃】編

第85話~最強ゲーム戦士への道!!~

 ――【ゲーム超次元時代】を迎えてから約五十年の月日が過ぎた、超次元ゲーム西暦・0050年の頃。舞台は日本、関西の中核・大阪。

 大阪は日本の中でトップクラスにプレイヤーの数が多いんだとか。


 そんな大阪の中心・通天閣がトレードマークの浪速区の下町情緒溢れる住宅街。新生活の風吹く四月の朝の陽気から、女子高校生の元気な――――




「まさか1話と同じ事言わせるんじゃないでしょうね? 打ち切りから2年ぶりの更新だから?」



 ――――――――えっと…………



 ――もとい、がらりと話代わって! 大阪の住宅街に住むゲーム大好きな可憐なお嬢様、河井かわいみのりと……


「オイ、急に美化し出したぞ。この語り手」


 上から目線が気に食わないが、剣の魂を持った桐山剣きりやまつるぎ!!


(何かムカつくなぁ……)


 ゲームワールド管理機関・WGCお墨付きプレイヤーの天野槍一郎あまのそういちろう

 天才パズルプレイヤーの畠田はたけだレミ。

 そしてゲームジムトレーナーの高橋豪樹たかはしごうきの5人で結成したシャッフル・オールスターズ。



 テロリスト集団・ブラックヘロンによる【ゲームワールド】崩壊の危機に敢然と立ち向かったオールスターズは一躍プレイヤー達の英雄となった…………のだが――??


 現実世界でのプレイヤー達にインタビューしてみた。


『シャッフル・オールスターズ? 聞いたこと無いなぁ……』

『てかG−1グランプリが潰された事が腹立つよ、あのテロリストめ!』

『シャッフルでもワッフルでもいいよ、当分ゲームワールド行くの止めてゲーセン通うわ』

『はぁ~サバゲーやりてぇ~♪』


 ブラックヘロンが仕組んだゲームワールドのテロにより、現実世界に居た者や、テロに巻き込まれたプレイヤー達はただならぬ混乱に陥ったようだった。

 その為、剣らシャッフルの活躍を知る者は少なかった。



 そんな事件もブラックヘロンの壊滅によって鎮静化し、平穏な日々が戻ってから約一週間が経った。


 ◇◇◇


 ――アミューズメントパーク『ギャラクシー』内のゲームジム、『ビッグウェーブ』にて。


「――ねぇねぇ剣くん、これから私達何していくの?」

「何していくって……こうして次の大会やゲームに備えて、コツコツトレーニングしとんやないか」


 みのりと剣はG−1グランプリ後も毎日2~3時間は『ビッグウェーブ』でトレーニングするのが日課になっていた。

 みのりはボルダリング、剣はエアロバイク式のサイクリングゲームで体力強化中。


「でもあれから一週間ずーーーっとトレーニングばかりよ。そろそろ新しいゲームとかやりたくなったんじゃない?」


「そりゃま、俺だってゲームやりたいさ。ただ今ゲームワールド行っても物騒だからな、G−1グランプリの事件で警備が一層厳しくなったって言うし」

「……今思えばあのブラックヘロンのボス、何だったんだろうね」

「さぁね。俺らにはわかんないよ大人の事情なんて……」


 その時の剣に、あのG−1グランプリの記憶が脳裏に浮かんだ。


 復讐の為に荒れ狂い、最期には微塵もなく消された烏田康宏からすだやすひろや、大人のエゴで利用された他のプレイヤーの事を思うと、剣は思い出す度に忌まわしくもやるせない気持ちになった。


(ただ解せないのはボスが何で消えたかだ。あの白い光も……)


 ブラックヘロンのボスがゲームワールドの『神の裁き』によって消滅した事を剣はおろかプレイヤー達が知るよしもない。



「――お! 槍一郎、いらっしゃい」

 受付にいた豪樹が来店の挨拶をした。槍一郎は入店早々疲れはてた顔をしていた。


「なんや、随分バテとんな。熱中症か?」

「いやそうじゃなくて、ゲームワールドのセキュリティチェックとかでWGCに引っ張り出されるもんだからくたびれましたよ……」


 槍一郎はゲームワールドを管理する『W《ワールド》G《ゲーム》C《コーポレーション》』の公式プレイヤーであるため、あの事件以来更に忙しさを増したようだ。それを聞き付けた剣が一端エアロバイクを降りて槍一郎の元へ。


「やっぱり槍ちゃん !どーしたよ忙しいときに」

「あ、剣! 丁度良かった。君に話したかった事があったんだ」

「俺に?」

「でも話す前に……プレイギアの【P《ピー》-tube《チューブ》】開いてみて、が出てる」



【P《ピー》-tube《チューブ》】とは、万能端末プレイギアにインストールされている動画アプリである。

 特徴的なのはこのアプリがゲームの実況や大会ライブが中心である事。そしてその実況者『P《ピー》-tuber《チューバー》』の活躍によって成り立っているのだ。


「……アイツって誰だよ?」


「君が好敵手ライバルって言ってる立海銃司たつみじゅうじだ」


「何!!? 何処のライブ動画だ!?」


 剣は槍一郎の言うとおりにP-tubeを開き、教えてもらったライブ動画を再生した。



「え……何だこのゲーム!!??」

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